不動産の見積もりとは?売却時に必要な査定の方法を解説

不動産価格の見積もりを取ってもらうことを「査定」といい、不動産の売却や相続が発生するとき、査定を依頼することで不動産のおおまかな価格が分かります。今回は不動産の見積もりについて、複数の査定方法や準備、注意点などをご紹介します。

目次
  1. 不動産の見積もりが必要なときとは?
  2. 不動産の見積もり方法は2種類
  3. 無料査定の種類
  4. 査定額を左右するポイントとは?
  5. 見積もり前に準備することは?
  6. 見積もりを依頼する際の注意点
  7. 見積もりを依頼して納得のいく売却を目指そう!
記事カテゴリ 売却
2023.09.04

不動産の見積もりが必要なときとは?

不動産の見積もりは、土地や住居、または賃貸用のアパートやマンションなどの不動産を売却するとき、相続するときに必要です。そういった場面では、見積もりを取ることで不動産のおおよその価格を知ることができます。

特に大きな費用が動く不動産の売却においては、まずは見積もりを取り、価格を把握しておくことが大切です。不動産の売り出し価格は見積もり額をもとにして決定するため、見積もりは売却への第一歩といえるでしょう。

とはいえ、不動産売買が未経験の方にとっては、どのように見積もりを取るのか、どこに見積もりを依頼すればよいのかなど分からないことが多いのではないでしょうか?今回は不動産売却時に必要な見積もりの取り方や自ら売却の相場を調べる方法を解説します。

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不動産の見積もり方法は2種類

不動産の見積もりには有料査定と、無料査定の2種類の依頼方法があります。

有料の査定は、不動産鑑定士に依頼する査定で、後述する不動産会社に依頼する場合よりも詳細に査定が行われます。また、公的機関で使用できる「不動産鑑定評価書」を用意してもらえるため、相続や離婚時の財産分与のために不動産の価値が知りたいときには、不動産鑑定士が行う有料の査定を依頼するのが一般的です。

●不動産鑑定評価書に関する記事はこちら
不動産査定書とは?記載内容や、見るべきポイント、依頼方法をまとめて解説

無料の査定は、不動産を売却するために不動産会社に依頼する査定です。不動産会社には、売買が決定した後で、成功報酬として仲介手数料を支払うことになっているため、不動産売却の見積もりは無料で依頼できます。有料査定の場合、不動産鑑定士への報酬が数十万円ほど発生することもあるため、「売却のためにとりあえずおおまかな価格を知りたい」という方は、不動産会社が行う無料査定を依頼するとよいでしょう。

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無料査定の種類

不動産会社に依頼する査定には、「AI査定」、「簡易査定」、「訪問査定」の3種類があり、それぞれの査定方法について、特徴や押さえておきたい知識をご紹介します。

AI査定

AI査定は、過去に取引された成約事例をもとに、AIが自動的に不動産価格を算出する査定方法です。後ほどご紹介する簡易査定は、一般的に結果が出るまで数日かかりますが、AI査定は基本項目をネット上で入力するだけで簡単に査定結果が得られ、早ければ瞬時に査定額(査定価格)が分かります。

AI査定のメリットは、電話番号を登録せずに済む点です。そのため、不動産会社の営業担当者から電話がかかってくる心配がありません。また、営業担当者との直接的なやり取りがないため、売却の意思が定まっていない方も気軽に申し込みやすい査定方法です。

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簡易査定

簡易査定は机上査定とも呼ばれ、築年数や面積、立地など依頼者から提供された情報を参考に、自宅への訪問なしで行う査定方法です。

依頼は各不動産会社のWebサイトやアプリ、メールからも行えます。まだ売却するかどうか決定していない段階や、単に相場を知りたい場合でも、気軽に依頼できる点が簡易査定のメリットです。

ただし、AI査定や簡易査定は不動産会社の営業担当者が自宅に訪問せず行う査定のため、次に紹介する「訪問査定」と比べると、査定結果の精度は低くなるのが一般的です。そのため、より高精度な査定価格が知りたい方は、訪問査定を依頼しましょう。

訪問査定

売却が決まっている場合や、簡易査定やAI査定を受けて、売却の意思が固まった場合には、訪問査定を依頼しましょう。訪問査定の場合は、不動産会社の担当者が現地に赴き、実際にその不動産を調査しながら査定額を算出します。主な調査内容は以下の通りです。

・物件の立地(駅からの距離)
・接道の状況
・方位
・日当たり
・経年劣化といった建物の状態
・室内の使用状況
・周辺施設
など

以上のような情報を不動産会社の担当者が細かく調査するため、訪問査定では簡易査定より詳細な査定額を知ることができます。

また、訪問査定では、不動産会社の担当者と直接会えるため、疑問に思ったことをその場で聞けます。対面でのやり取りを通して、対応の誠実さや説明の明確さなども知ることができるため、査定額の妥当性を加味しながら、仲介を依頼する不動産会社選びの判断材料としても活用できるでしょう。

なお、訪問査定は、結果が出るまでに1週間ほどかかります。現地調査の後、役所や法務局で法規制、またはインフラの状況調査も行うため、査定額が出るまでの時間がAI査定や簡易査定よりも長くなります。

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●家の査定の仕方に関する記事はこちら
不動産査定とは?方法や流れについて、不動産売却を成功させるポイントと併せて解説

駅近市街地の風景

査定額を左右するポイントとは?

売却したい不動産の条件によって大きく変動するのが査定額です。ここからは査定を依頼した際に、見られる複数のポイントを解説します。

物件の状況

不動産売却時に査定を受ける際は、売却対象となる物件の状況が査定額に大きく影響します。では、どのような点をチェックされるのかを見ていきましょう。

築年数
一般的には、築年数が浅いほど算出される査定額は高値になります。これは、法定耐用年数が定められていることによって、築年数の経過に伴い、建物の資産価値が減少するためです。木造建築の法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造は47年です。ただし、最近は新築物件の価格上昇により「中古物件」の需要も高まってきているため、中古でも条件によっては高い査定額が算出される場合があります。

内装
内装も、査定時に見られるポイントの1つです。室内のきれいさや環境面での暮らしやすさ、壁紙やフローリングの劣化状況などを確認されます。また、雨漏りやシロアリ被害の有無もチェックされるポイントです。特に、水回りの設備状況は念入りに見られる重要な箇所ですので、日頃から適切な管理を行うことが大切です。

最新設備の有無
遠隔操作設備や自動点灯照明などのホームオートメーションシステム、太陽光発電機や家庭用小型風力発電機といった自然エネルギーを使用した設備が備わっている物件は、査定額が上がる場合があります。また、耐震設計であることも査定額がアップするポイントです。

周辺の環境

駅や生活利便施設(商業施設、公共施設、医療・福祉施設など)が近い物件ほど、査定額が高くなりやすいです。ほかにも、会社や学校が密集している、中心街へのアクセスがよいなども査定額が上がる要因になります。また、今後の人気が見込まれることから、大規模な再開発が予定されているエリアの物件も、売却相場が高まる可能性があります。

見積もり前に準備することは?

不動産の売却を検討し、見積もり依頼をする場合、売主は事前にどんな準備をしておく必要があるのでしょうか?ここからは、訪問査定を依頼する前に準備しておくべきことを説明します。

家の模型と計算機

書類を用意する

不動産会社が行う査定には、必要書類は特にありませんが、あるとよい書類や実際の売却を見越して用意しておいたほうがよい書類があります。用意する書類は、一戸建ての場合とマンションの場合で異なります。

一戸建ての場合

必要書類(あるとよい書類)
本人確認書類
登記簿謄本(登記事項証明書)
地積測量図
建物図(確認申請図または竣工図など)
公図
登記権利証または登記識別情報
土地の境界が確認できる資料
越境の覚書、私道の覚書(あれば)
建築確認済証と検査済証
固定資産評価証明書
リフォームの実績

以上の書類のなかで、いくつかの書類について解説します。

●登記簿謄本
所有権や抵当権などの不動産にかかわる権利関係、土地の面積や地目、建物の種類や構造といった登記されている情報が記載されている書類です。法務局で取得できます。

登記事項証明書

●地積測量図と建物図面
正確な土地の形状や面積などが記載された土地の測量図です。登記されていれば、法務局での取得が可能です。

●公図
土地のおおまかな形状や番地を記載した書類です。こちらも、法務局で取得できます。

●登記権利証または登記識別情報
査定時には必要ではありませんが、いずれ必要になる書類です。不動産の所有者を明らかにするために必須な書類で、所有権登記をしたときに発行されます。購入や新築、相続などにより所有権を取得した際に、不動産会社、あるいは司法書士から受け取ります。売買契約を行い、買主へ所有権を移転するときに必要になるため、事前に書類の有無と内容の確認をしておきましょう。

登記権利書

●確定測量図と境界確認書
隣接する土地の所有者との境界に間違いがないかを確かめるための測量図です。また境界確認書は、境界が相違ないことを証明する書類です。手元にない場合は、売却が決定する前に、測量士と土地家屋調査士に作成の依頼をしましょう。

●建築確認済証と検査済証
建築する際、建物の計画が法に適しているかを証明する書類です。建築確認済証がないと、建物を建築することができない可能性があります。また、検査済証とは、建築基準法に沿って建てられたことを証明する書類を指します。

●リフォームの実績
建物のリフォームを行った場合は、リフォーム箇所が分かる書類を準備しておきましょう。査定額に影響し、価格が高まる可能性があります。

マンションの場合

必要書類(あるとよい書類)
本人確認書類
登記簿謄本(登記事項証明書)
登記権利証または登記識別情報
分譲時のパンフレット、図面集
耐震診断報告書
アスベスト使用調査報告書
固定資産評価証明書
管理規約・使用細則
管理費・修繕積立金の記載書類
長期修繕計画書
総会議事録・議案書(直近3年分)

査定の際に、以上の書類がない場合は不動産会社の担当者にそのことを伝え、売却時までに書類をそろえるようにしましょう。

売却希望価格や期限を決めておく

見積もりを依頼するまでに準備しておくとよいこととして、売却希望価格と売却期限の設定があります。売却希望価格は、この価格であれば即決できるという上限価格と、これ以上は値下げできない下限価格の2種類に分けられます。特に住宅ローンの残債がある場合には、いくらで売ればローンを完済できるか確認して下限価格を設定しましょう。

ほかにも、転勤や引越し、子どもの進学などで売却期限が決まっている場合は、不動産会社に伝えるとよいでしょう。

進学する女学生

見積もりを依頼する際の注意点

ここでは、不動産会社に見積もりを依頼するときの注意点をお伝えします。

査定額が売却額になるわけではない

不動産を販売する際の売り出し価格は、査定によって出された査定額をもとに不動産会社と相談しながら決めていくことになります。

売却活動では、売り出し価格をもとに購入希望者を募りますが、必ずしも売り出し価格がそのまま成約価格になるわけではありません。なぜなら、購入希望者から値下げ交渉をされた場合、実際の成約価格が査定額よりも低くなることが起こり得るからです。そのため、売り出し価格は、値下げ交渉があることを考慮して決めるとよいでしょう。

家の模型と評価グラフ

周辺の相場を把握する

事前に自分で相場価格を調べ、周辺地域の相場を把握しておくことも大切です。見積もり額は不動産会社によって異なるうえに、必ずしも正しい相場とは限りません。自分で近隣の取引状況を調べて確認することで、徐々に相場の感覚が身に付き、不動産会社による見積もり額が適切かを判断する際の材料にもなります。

自分で相場を調べる際は、以下のサイトを利用するとよいでしょう。

レインズマーケットインフォメーション
不動産流通機構の運営サイトです。レインズマーケットインフォメーションでは、実際に成約された金額を知ることができます。

土地総合情報システム
国土交通省が提供するサイトです。売却したい物件の所在地域で、どのくらいの相場で不動産取引が行われているかを知ることができます。

路線価図
国税庁が提供するサイトです。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額で、路線価が定められている地域であれば、その土地の評価を確認できます。

査定額が高過ぎるときは注意する

不動産会社によっては、ほかに比べて高い査定額を出してくることもあります。そのようなときは、なぜその査定額になったのか、何が根拠になっているのかを聞くようにしましょう。高額な査定額を出す不動産会社のなかには、買主を探してもらうために結ぶ「媒介契約」を取ることを目的としているケースがあります。また、対象エリアの取引経験が少ないために、ほかよりも高い査定額を出してきたという場合もあるため、注意が必要です。

家の模型とマルバツ

見積もりを依頼して納得のいく売却を目指そう!

不動産の売却は、見積もりを取ることからスタートします。査定方法には、AI査定、簡易査定、訪問査定の3つがあり、売却を検討中の方はまず、AI査定や簡易査定でおおまかな相場を把握することがおすすめです。

売却の意思が固まったら、実際の物件を丁寧に調査する訪問査定で、より精密な査定額を算出してもらいましょう。不動産査定を依頼する不動産会社を選ぶ際は、訪問査定の際に対応がよく、多くの売却実績を持つ信頼できる会社を選ぶと安心です。

三井のリハウスでは、AI査定、簡易査定、訪問査定を無料で行っており、取扱件数100万件の知見に基づいたデータを使用しているため、高精度な査定結果が期待できます。また、適切な査定額をご提案し、お客さまの不動産売却を丁寧にサポートしておりますので不動産売却に関する不安を抱えている方はぜひお問い合わせください。

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村田洋一

さくら事務所 不動産コンサルタント。宅地建物取引士、行政書士。消費者にとっての最良の不動産取引を目指し、多岐にわたる不動産トラブルの相談を受ける。
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