Column / 2019 12,10

引越業者がつかまらない!単身なのにウン十万円?
「引っ越し難民」問題について、引越会社3社を集めて議論してみた

ここ2年ほど、春先に「引っ越し難民」という言葉を耳にするようになった。どの引越業者に連絡しても空きがない、見積りが高額すぎてとても頼めないなど、「引っ越ししたくてもできない人」が増えているという。
引越業界は、こうした状況をどう捉えているのだろうか?また、そもそもなぜ難民が生まれてしまうのか?各社はどんな対策を講じているのか?次の引っ越しシーズンを迎える前にこの問題について考えるべく、引越会社3社にお集まりいただき、議論していただいた。

榎並紀行(やじろべえ)

編集者・ライター。水道橋の編集プロダクション「やじろべえ」代表。「Relife mode」をはじめとする住まい・暮らし系のメディア、グルメ、旅行、ビジネス、マネー系の取材記事・インタビュー記事などを手掛けます。
Twitter:https://twitter.com/noriyukienami
WEBサイト:50歳までにしたい100のコト https://www.yajirobe.jp/media/50-100/

●かつては60連勤も! 引越業界でも進む働き方改革


―― 先ほど、業界全体の人手不足が深刻化しているというお話がありました。そして、その背景には働き方改革の影響もあると。働き方改革で長時間労働が是正されるのは望ましいですし、そうあるべきですが、一方で繁忙期の引っ越しは残業や長時間勤務によって成り立っていた部分もあるわけですよね。

ファイン:正直、そうした側面はあります。昔は本当に激務でしたから。それこそ私が毎日現場に出ていた30年前は、3月・4月まるまる60連勤なんてこともありました。二か月ぶっ通しで働き、給料とは別に10万円の報奨金を貰う、そんな時代でした。
トレファク:あの頃は1日に詰め込めるだけ詰め込むのが当たり前でしたよね。夜中の0時過ぎまで引っ越し作業をするのも普通でしたし、そのまま事務所で仮眠をとって、また朝から出ていった。良い悪いではなく、それが事実なんです。


―― アートさんは、ピーク時どれくらいの件数をこなしていたのでしょうか?

アート:かつては大きい店舗だと1日最大100件を超える引っ越しをやっていた時期もあります。1チームあたり1日3~5件くらいですね。トレファク様がおっしゃったように、夜遅くにお客様のところへ伺い、それから引っ越し作業をしたこともあります。
もちろん、やればやるだけ給料がもらえましたし、それを目当てに頑張っている人もいましたが、さすがに今はそんなことが通用するはずもありません。引っ越し業界も、ここ10年でかなり健全な働き方にシフトしていると思います。


―― ただ、それによって引越会社のキャパが減り、引っ越し難民という問題が出てきた。人手不足を解消するために、どのような取り組みを進めていますか?

アート:以前から、人を集めやすくするために各地域にサテライトセンターを設けるなどの取り組みは進めてまいりました。ただ、もっと根本的な部分を変えていかないと本当の解決には至りません。
ファイン:そうなんですよね。直近の繁忙期対策ということでいえば、どの会社もすでにやれることはやっている。ただ、たとえば人を確保するために時給1500円を1800円に上げるとかっていうのは、所詮その場しのぎの対策ですよね。アートさんがおっしゃるように、もっと根っこを変えないといけない。