ガイドとめぐるジモト旅 Part.3
新旧の魅力が融合した街「武蔵小杉」

この十数年で、工業地帯からタワーマンションの立ち並ぶニュータウンへと変貌を遂げた「武蔵小杉」。駅周辺にはショッピングモールが充実しており、東急東横線・目黒線、JR南武線・横須賀線・湘南新宿ラインの5路線が乗り入れる利便性の良さも相まって注目のエリアです。
洗練された街のイメージが強い武蔵小杉ですが、一歩奥へ入ると再開発前の面影を残す街並みも健在。ぬくもりを感じる商店や路地裏の隠れ家風レストランなども点在しているので、思いがけないお気に入りの店が見つかることも。
そんな武蔵小杉の魅力を体感しにいくのは、ジモト旅のレポーターを務めるモデルの村上奈菜さん。武蔵小杉のまちづくりに取り組んでいる「NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント」の広報グループでデザインを担当している本平基さんをガイドに迎え、 武蔵小杉の街に出かけました。

記事カテゴリ 神奈川 首都圏
2018.10.12 /Part.3

◆お菓子も“オーダーメイド”する『クチュールベイク』

そういって本平さんが案内してくれたのは、路地裏にある老舗のオーダーメイドスーツ専門店『仕立館』。東京に本社を構える同店の支店として1940年に武蔵小杉の駅前に誕生。しかし、本社が戦災で焼失してしまったため、武蔵小杉の支店を本店として営業してきました。そして4年前、カフェ『クチュールベイク』との複合店というスタイルで、現在の場所へ移転してリニューアルしたのです。

村上さん
外観は完全にカフェですね!

村上さん
え!? 店内はカフェとスーツ屋さんが一緒になってる!

「珍しいですよね」と笑うのが『クチュールベイク』店長の大久保知子さん。

大久保さん
実は、『仕立館』は義父の店で、移転のときに『クチュールベイク』を併設したんです。『仕立館』ではスーツ、『クチュールベイク』はオリジナルクッキーと、どちらも「オーダーメイド」というコンセプトなんですよ。
本平さん
世界的にも例を見ない組み合わせかも(笑)。オーダーメイドのクッキーとはどんな商品なんでしょうか?

大久保さん
オリジナルのサブレにアイシングでメッセージをお描きする「クチュールクッキー」(350円・税込)です。
村上さん
かわいい~! 好きなメッセージを入れてもらえるんですか?
大久保さん
はい、お名前やメッセージを無料でお入れします。ほかにも、プラス100円で持ち込みのデザインをお描きすることもできますよ。
本平さん
贈り物に喜ばれそうですね。これまでに思い出深いオーダーってありましたか?

大久保さん
どのご依頼も思い出深いですが、幼稚園の男の子が、バレンタインに好きな女の子からうちのクッキーをもらって、ホワイトデーのときに、その女の子の名前入りでクチュールクッキーをお返ししたいとオーダーいただいたのは、かわいらしかったですね。
村上さん
素敵なエピソード! 商品は店内でいただくこともできるんですね。

大久保さん
はい。常時パウンドケーキとタルト各2種類ずつのケーキ4種、クッキー6種をご用意しています。ケーキは季節によってお味も変わるんですよ。
村上さん
どれもおいしそうで選べない!
大久保さん
それなら、ケーキとクッキーを2種類ずつに、コーヒーか紅茶のついた「よくばりアソート」(1,100円・税込)はいかがですか? ケーキとクッキーは、お好きなものを選んでいただけますよ。
村上さん
本当によくばれちゃいますね(笑)。じゃあ……ケーキは「レモンとアーモンドのタルト」と、「チョコチップのパウンドケーキ」にします! 私、チョコレートが大好きなんです。

村上さん
どちらも味が濃厚ですごくおいしいです!

本平さん
コーヒー(550円・税込)もコクがありますね。
大久保さん
コーヒーは、生豆を数十カ月寝かせてから丁寧に焙煎したエイジングコーヒーなんです。朝入れて、オーダーまでさらに寝かせることで、より深みとコクを出しています。
村上さん
ここは『仕立館』のお客さん専用の場所かと思いましたが、カフェだけの利用もできるんですね。
大久保さん
ご家族でスーツを作りに来られて、旦那様の採寸中などに奥様とお子様が利用されることもありますが、ご近所の方やマンションのママさんたちなど、幅広い世代の方が普段使いしてくださっています。
本平さん
この4年で武蔵小杉の変化などは感じましたか?
大久保さん
やはり年々若い世代のお客様が増えているなという印象はありますね。このあたりは昔からの街並みが残るエリアなので、お客様を通して、新旧両方の良さを感じられます。
村上さん
武蔵小杉は新しい街だと思っていたのですが、昔ながらのお店もあって、いろいろな楽しみ方ができる街なんですね。

 

◆武蔵小杉を見つめ続けて78年。オーダーメイドスーツ専門店『仕立館』

場所を隣へ移して、今度は『仕立館』へ。社長の大久保重臣さんと店長の渡辺さんが再開発前の武蔵小杉のようすについて教えてくれました。

本平さん
普段スーツを着る機会の少ない僕でも、オーダーメイドは憧れます。こうしてじっくりみると、やっぱり生地の質から違いますね。でも、3万円台のスーツもあって、思っていたよりお手頃かも。
村上さん
生地の種類もたくさんあるので、自分好みのものがつくれちゃいますね。

渡辺さん
生地だけでなく、デザインやスタイルなどもすべてお好みに合わせておつくりしますよ。過去にはハリウッドスターの写真をお持ちになって、「こんなスーツが欲しい」と来られたお客様もいましたね。体型の変化に合わせてつくりかえるなど、地域の方々と長いお付き合いになることも多いので、どことなく美容院に似ているのかなって思います(笑)。
本平さん
確かに!そういえば、前回の東京オリンピックの衣装も作られていたんですよね。80年近くこの街で営んでこられて、長いお付き合いのお客様もいて。再開発前後で何か変化は感じましたか?

大久保さん
そりゃ大変な変化ですよ(笑)。以前はあたり一帯野原で、カエルが鳴いていたんですから。
村上さん
今の武蔵小杉からは想像もつきませんね。
大久保さん
そうでしょう。武蔵小杉駅の前身は、500メートルほど離れたところにあった「工業都市」という駅でね。昔このあたりは軍事工場なんかもあったし、中小企業向けの団地も多かったんです。当時を思うとかなり便利になりましたよ。
本平さん
武蔵小杉駅は、乗り換えなしでアクセスできる駅が220以上あるんです。これからもっと増えていく予定だし、さらに便利になっていきますよ。
村上さん
お店も充実していて、何でも揃っちゃいますしね。またまた住みたい欲求が湧いてきちゃいました!

『クチュール ベイク』
住所/神奈川県川崎市中原区小杉町3-4−3 Maison Plaire KOSUGI 1F
電話番号/044-455-4001
営業時間/11:00〜18:00
定休日/水曜
http://couture-bake.com/wp/
https://www.instagram.com/couture.bake/

『仕立館』
住所/神奈川県川崎市中原区小杉町3-4−3 Maison Plaire KOSUGI 1F
電話番号/044-722-2901
営業時間/10:00〜19:00
定休日/水曜
http://www.shitatekan.com/