売る方 不動産を売却するときの税金
譲渡所得の計算方法 ![売る方 売る方](/mtebiki/assets/images/common/badge_5.svg)
特定居住用財産の買換え特例について
マイホームを売った金額より、買い換えたマイホームの取得金額の方が大きければ課税されないという制度です。
この制度は税金の支払いを免除するのではなく、課税の繰延べといわれます。
譲渡資産に対する譲渡所得税は買換え資産に引き継がれます。
この場合、譲渡資産の「取得費」は次の買換え資産に引き継がれますが、「取得日」は引き継がれません。
譲渡所得の計算
譲渡代金>買換え代金の場合
①譲渡収入金額
譲渡代金 − 買換え代金
②取得費・譲渡費用
(譲渡資産の取得費 + 譲渡費用)× ①譲渡代金
③譲渡所得
① − ②
譲渡代金≦買換え代金の場合
譲渡所得はなし
特例の適用判断にあたっての注意点
1 居住期間は通算年数で判定
特定居住用財産の買換え特例には居住期間が10年という要件がありますが、それはその居住用財産の所在する場所に10年ということであり、引き続き居住している必要はなく、転勤等により一時的にその場所以外に居住している期間がある場合には、通算して10年以上であればかまいません。また、その10年という期間は譲渡した日までの居住期間をいい、前述した所有期間の計算とは考え方が違いますので、注意してください(「税務上の居住期間・所有期間・建築年数とは」参照)。
2 土地と建物の所有者が異なる場合でも可能
特定居住用財産の買換え特例は、基本的に建物の所有者に適用されます。しかし土地と建物の所有者が異なった場合でも、次の要件の全てを満たしたときは特定居住用財産の買換え特例の適用を受けることができます。敷地の所有者と建物所有者が、譲渡時から居住の用に供すべき期間(取得年の翌年末)まで生計を一にする親族関係があるという条件とともに、売った資産・買った資産に次のような条件が付いています。
売ったマイホーム(譲渡資産)
①敷地所有者の所有期間10年超
②敷地所有者の居住期間10年以上
③敷地と建物の同時譲渡
④敷地所有者と建物所有者が譲渡時に同居
買ったマイホーム(買換資産)
①居住用の建物・敷地を取得すること
②買換資産は譲渡資産の収入割合に応じて取得
③買換資産の取得期限内までに取得
④譲渡した敷地所有者・建物所有者ともに買換資産に居住する
3 適用期限
2025年(令和7年)12月31日までの譲渡で、譲渡価額が1億円以下(※固定資産税等精算金を含む)である場合に限る
ケーススタディ
現在の自宅は、1992年(平成4年)に購入した従前の自宅(取得費 2,000 万円)を 2014年(平成26年)に 6,000万円で売却し、同年にその売却代金と自己資金 1,000 万円を合計した 7,000万円で買い換えたものです。この時に特定居住用財産の買換え特例を利用しました。今般、この自宅について売却を検討しています(売却予定金額は 9,000万円)が税金はどうなるでしょうか。
特定居住用財産の買換え特例を受けて購入したマイホームを売却する場合の税額
![特定居住用財産の買換え特例を受けて購入したマイホームを売却する場合の税額 特定居住用財産の買換え特例を受けて購入したマイホームを売却する場合の税額](/mtebiki/assets/images/img11-4.png)
計算のポイント
居住している自宅であるため3,000万円特別控除を利用することはできます。ただし、現在の自宅は2014年(平成26年)に取得したものであり、2024年(令和6年)に譲渡した場合は、譲渡した年の1月1日現在において10年超所有していないことになりますので、特定居住用財産の買換え特例や10年超所有軽減税率の特例は利用できません。なお、この自宅の譲渡所得計算上の取得費は、1992年(平成4年)に購入した従前の自宅の取得費2,000万円に自己資金1,000万円を加えた3,000万円となります
① 2014年(平成26年)買換え特例を適用した税額は 0円
② 2024年(令和6年)3,000万円特別控除を適用した税額
売却代金9,000万円 -(取得費3,000万円 + 譲渡費用280万円)- 特別控除3,000万円 = 2,720円
(注)譲渡費用を280万円と想定
● 税額を求めます。
所得税 = 2,720万円 × 15.315% = 416万円
住民税 = 2,720万円 × 5% = 136 万円
合計 552万円
③ 2014年(平成26年)と2024年(令和6年)の税額合計552万円です。
2014年(平成26年)の時点で買換え特例を使わず購入していた場合の税額
① 2014年(平成26年)3,000万円特別控除を適用したと仮定した税額
売却代金6,000万円 - 取得費2,000万円 - 特別控除3,000万円 = 1,000万円
(注)譲渡費用は考慮しない
● 税額を求めます。
所得税 = 1,000万円 × 10% ※ = 100万円
住民税 = 1,000万円 × 4% = 40万円
合計 140万円
② 2024年(令和6年)3,000万円特別控除を適用した税額
売却代金9,000万円 −(取得費7,000万円 + 譲渡費用280万円)− 特別控除3,000万円 = 0円 税額 = 0円
③ 2014年(平成26年)と2024年(令和6年)の税額合計140万円です。
このように買換え特例を利用した場合、買い換えしたときの税金はなくても、その後その買換資産を売却した場合には当初の売却時に3,000万円特別控除を適用した方が有利な場合があります。買い換え特例を選択する場合は買換資産を10年を超て所有するという長期的視野で税法上の適用を考えなければなりません
※1992年(平成4年)から2014年(平成26年)までの10年超所有軽減税率
(注)税額計算は円単位で計算しますが、便宜上「1万円未満」を切捨てて計算しております
居住用財産の買換え特例のポイント
取得費の引継ぎ
2014年(平成26年)に取得した自宅の取得費は、7,000万円ではなく、1992年(平成4年)の取得費2,000万円を引き継いでおり、これに1,000万円の自己資金を加えた3,000万円とみなされます。
取得日はいつか?
取得費2,000万円が引き継がれる一方で、取得日は引き継がれません。2014年(平成26年)に取得した自宅の取得日は2014年(平成26年)となります。
※本サイトは2024年(令和6年)1月1日に施行されている法令及び2024年(令和6年)2月2日に国会に提出された法案に基づき作成しており、今後変更される可能性があります。
監修
東京シティ税理士事務所