令和6年度版 税金の手引き
不動産を売買する時、また所有している時など、さまざまな場面で税金がかかります。
個人にとって不動産は、売買する資産として高額であり、かかわる税額も決して小さいものではありません。
しかしながら個人のマイホームの売買や所有に関しては、国民の資産形成を促すためにさまざまな税制上の特例が設けられています。
これらの特例を受けるためには、その適用要件を正しく理解し、適切な手続きを行うことが必要となります。
本サイトでは、個人のマイホームにかかわる税金の基礎知識や、各種軽減の特例のほか、
セカンドハウスや住宅用賃貸マンション・アパートを売買・所有する際の基本的な税金について、わかりやすく解説していきます。
なお、税法の規定を簡略的な説明にとどめている部分や、行政によって対応の異なる場合がありますので、
実際のお取引での税法上の適用の可否につきましては、
ご自身にてお近くの税務署や税理士等へのご相談・ご確認をお願いいたします。
2024年(令和6年)度税制改正の内容
2024年(令和6年)度税制改正が確定しました。
不動産・相続・贈与に関連する主要な改正項目は以下のとおりです。
所得税・住民税
改正住宅ローン控除の控除限度額
現行制度
①2024年(令和6年)1月1日から2025年(令和7年)12月31日までに入居
2024(令和6)年~
2025(令和7)年入居新築・買取再販 長期優良住宅
低炭素住宅ZEH水準
省エネ住宅省エネ基準
適合住宅住宅ローン限度額
4,500万円
3,500万円
3,000万円
②2023年(令和5年)12月31日以前に建築確認を受けた新築住宅について合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、床面積40㎡以上50㎡未満も対象
2024年(令和6年)1月1日以後の入居
①夫婦のいずれかが39歳以下、若しくは18歳以下の扶養親族を有する者(子育て特例対象個人)が2024年(令和6年)中に入居する場合
2024(令和6)年入居
新築・買取再販 長期優良住宅
低炭素住宅ZEH水準
省エネ住宅省エネ基準
適合住宅住宅ローン限度額
5,000万円
4,500万円
4,000万円
② 2024年(令和6年)12月31日までに建築確認を受けた新築の認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅について、合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、床面積を40㎡以上50㎡未満も対象
延長居住用財産の譲渡に関する特例
現行制度
特定の居住用財産の買換え特例
譲渡資産に対する譲渡所得税を買換資産に引き継ぐことで、課税を将来に繰り延べる制度
2024年(令和6年)1月1日以後
現行のまま2年間延長
2022年度改正により買換資産が2024年(令和6年)1月1日以後に建築確認を受けたもの等については一定の省エネ基準を満たすものに限る
現行制度
①居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
譲渡資産に係る譲渡損失を他の所得と通算し、通算しきれない部分を3年にわたって繰り越す制度②特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
ローン残高のある住宅をローン残高を下回る金額で売却した場合に、一定額を他の所得と通算し、通算しきれない部分を3年にわたって繰り越す制度
2024年(令和6年)1月1日以後
現行のまま2年間延長
延長・縮減認定住宅等の所得税額の特別控除
現行制度
認定住宅等の新築等をした場合に一定の要件の下で認定のための費用(最大650万円)の10%を所得税額から控除できる制度
2024年(令和6年)1月1日以後
合計所得要件を2,000万円以下に引き下げた上で2年間延長
贈与税
延長・改正住宅取得等資金の贈与税の非課税
現行制度
贈与年 | 省エネ等住宅※ | 左記以外 |
---|---|---|
2022(令和4)年 | 1,000万円 | 500万円 |
※断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上
2024年(令和6年)1月1日以後の贈与
省エネ住宅基準を引き上げた上で3年間延長
贈与年 | ZEH水準省エネ等住宅※ | 左記以外 |
---|---|---|
2024(令和6)年 | 1,000万円 | 500万円 |
※断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上
(但しその住宅が2023年(令和5年)12月31日以前に建築確認を受けたもの又は2024年(令和6年)6月30日以前に建築されたものであるときは左記の基準で適用可能)
延長住宅取得等資金の相続時精算課税選択の特例
現行制度
直系尊属から一定の要件を満たす住宅の取得等資金の贈与を受ける場合は贈与者の年齢制限なしで相続時精算課税制度を適用できる制度
2024年(令和6年)1月1日以後の贈与
現行のまま3年間延長
登録免許税
延長住宅取得に係る登録免許税の軽減
現行制度
①住宅用家屋の所有権保存・移転・抵当権設定登記に対する軽減
②認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の所有権保存・移転登記に対する軽減
③買取再販住宅の要件を満たす建物の所有権移転登記に対する軽減
2024年(令和6年)4月1日以後
現行のまま3年間延長
不動産取得税
延長課税標準及び税率の軽減
現行制度
①宅地の取得に係る課税標準が1/2となる特例
②住宅及び土地の取得に係る税率が3%となる特例
2024年(令和6年)4月1日以後
現行のまま3年間延長
延長土地先行取得の軽減要件・認定長期優良住宅の税額軽減
現行制度
①土地の取得から3年以内に建物を新築すると軽減が受けられる特例
②認定長期優良住宅に該当すれば控除額が1,300万円となる特例
2024年(令和6年)4月1日以後
現行のまま2年間延長
固定資産税
延長新築住宅及び新築の認定長期優良住宅の軽減
現行制度
①新築住宅の固定資産税を3年間(マンションは5年間)2分の1に減額
②新築の認定長期優良住宅の固定資産税を5年間(マンションは7年間)2分の1に減額
2024年(令和6年)4月1日以後
現行のまま2年間延長
印紙税
延長印紙税の軽減
現行制度
不動産売買契約書及び工事請負契約書の印紙税の軽減
2024年(令和6年)4月1日以後
現行のまま3年間延長
※本サイトは2024年(令和6年)1月1日に施行されている法令及び2024年(令和6年)2月2日に国会に提出された法案に基づき作成しており、今後変更される可能性があります。
監修
東京シティ税理士事務所