不動産買取とは?仲介との違いや基礎知識をメリット・注意点と併せて解説!

不動産買取とは、リフォームを施すことで付加価値を加えて再販売を行う不動産会社に、不動産を買い取ってもらう方法です。この記事では、仲介との違いを踏まえ、買取の基礎知識やメリット、注意点を解説します。

目次
  1. 不動産会社に買い取ってもらう買取
  2. 不動産買取の基礎知識
  3. 不動産買取のメリット
  4. 不動産買取の注意点
  5. 不動産買取と不動産仲介のどちらが向いている?
  6. 不動産買取の流れとは?
  7. 頼れる不動産会社を選んで、満足のいく不動産買取を
記事カテゴリ 売却
2023.08.17

不動産会社に買い取ってもらう買取

マンションや一戸建て、土地など不動産を売却する方法に迷っていませんか?不動産売却を成功させるためには、自らの状況と、所有する不動産に合った売却方法を選ぶことがポイントです。

不動産の売却方法は、不動産会社を通じて一般個人の買主と取引する「仲介」が一般的ですが、ほかに「買取」という方法もあります。買取とは、一般の個人に向けて不動産を売却するのではなく、不動産会社に買い取ってもらう方法です。不動産の種類や不動産売却に求める条件によっては、一般の個人に売るよりも買取のほうが適している場合があります。

この記事では、買取とはどのような売却方法なのか、また仲介との違いやメリット・注意点、手続きの流れについても詳しく解説します。まずは買取の基礎知識から見ていきましょう。

●マンション買取に関する記事はこちら
マンション買取は得?詳しい売却方法を解説!

不動産買取の基礎知識

買取を行うか迷っている方は、まず買取の基礎知識を把握しましょう。この方法が自分に合った売却方法なのかどうかを判断できます。

不動産会社のビジネスパーソン

買取とは?

買取は一般の個人に向けて物件を売却するのではなく、不動産会社に買い取ってもらう方法です。不動産会社は、その物件にリフォームを施すことで付加価値を加え、再度販売を行います。

買取を行う際は、売主が買取業者または不動産会社と直接取引することもできますが、仲介を行う不動産会社が間に入ることで、取引がよりスムーズで安心なものになります。仲介を通さないと、買取のプロ(買取業者)対素人(売主)の取引となってしまい、不利な条件での取引をさせられてしまうこともあるため注意が必要です。そのため、買取の場合でもなるべく仲介会社を通して行うのが安心です。

不動産売買のイメージ

仲介との違い

買取と仲介の違いは、不動産会社とのかかわり方です。では、具体的にどのような違いがあるのかを比較してみましょう。

買取仲介
買主不動産会社個人が多い
売却期間長くても1か月程度3か月前後
成約価格仲介の約6~8割相場と同じ~高く売却できることも

仲介との違いから見られる買取のメリットは、最短1週間で売買契約ができ、1か月で残代金の決済までを完了できる可能性があることです。一方、買取の注意点には、成約価格が仲介の約6~8割程度となることが挙げられます。というのも、買取を行う不動産会社は、リフォームや修繕を施してから不動産を再販するため、それらの費用や買取再販に関する諸経費などを買取価格から差し引く必要があるからです。

家の売買

買取保証も選べる

買取には、「買取保証」と呼ばれるサービスもあります。買取保証とは、仲介と買取の両方を行う不動産会社が、まず一般の個人に向けて売却活動を行い、買主が見つからなかった場合には不動産会社が買い取るというものです。

買取保証のメリットは、仲介と買取それぞれのメリットを活用できることです。仲介で売却活動を行えば希望価格で売却できる可能性があり、もし買主が決まらなくとも不動産会社に買い取ってもらえます。そのため、時間にある程度余裕があり、買取の前に仲介での売却活動にチャレンジしたいという方におすすめです。

しかし、仲介で買主が決まらなければ自社で買い取れることから、不動産会社が積極的に売却活動を行ってくれない場合もあるため注意が必要です。

不動産買取のメリット

買取には、上記で挙げた以外にもさまざまなメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

短期間で現金化しやすい

上記でもお伝えしましたが、買取は仲介よりも短期間で現金化しやすいのが特長です。不動産会社が買主を探す仲介と違い、不動産会社自ら買主になってくれるので、買取価格さえ合意できればすぐに売却できます。買主を探す時間がかからないため、短期間の現金化が可能となるのです。

また、買主がなかなか見つからないこともある仲介より、買取は売却スケジュールが立てやすいというメリットもあります。進学や転勤などで売却を急いでいる方や、売却期限が決まっている方におすすめです。

掃除や修繕の手間が省ける

仲介で物件を売却する場合は、内覧での印象をよくするために、掃除や修繕、プロによるハウスクリーニングなどを行う必要があります。しかし買取は、リフォームを前提としているため、不動産会社による内覧に備えてのハウスクリーニングや修繕を行う必要はありません。また、不動産会社が不用品回収業者と連携しており、残置物があってもそのまま買取をしてもらえるケースもなかにはあります。

契約を結ぶ男女

契約不適合責任を免除できる可能性がある

契約不適合責任とは、売買契約時に伝えられていなかった不具合が見つかった場合、売主が一定期間内に負わなければならない責任のことです。以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、法改正によって2020年4月から「契約不適合責任」と名称変更され、内容も改訂されています。買取の場合、売主は売却後の契約不適合責任が免除される可能性があります。

たとえば、買主が一般個人の場合、売買契約書に書かれていないシロアリの被害や給排水管の故障などが見つかれば、売主は修理の対応に応じなければなりません。しかし、買主が不動産会社の場合は、契約不適合責任が免除される条件の契約が多く、売却後の責任を免責にすることも可能です。

ただし、契約不適合責任が問われないことが多いとはいえ、後のトラブルを避けるために、売買契約時に契約不適合責任が問われない条項があるか、しっかり確認しましょう。

また、売主が個人である場合、キッチンや浴室などの主要設備の修補も行わないという特約を入れることが可能です。買取の売買契約時には、その特約事項を入れておくとよいでしょう。

●契約不適合責任(瑕疵担保責任)に関する記事はこちら
瑕疵担保責任とは?不動産売買前に知りたい情報を解説

相談する夫婦

仲介だと難しい物件も売却できる

買取では、仲介での売却が難しいとされるような不動産でも買い取ってもらえる可能性があります。たとえば、築年数がかなり経過した物件や、事件や自殺があった事故物件、ごみ処理場や火葬場などの嫌悪施設に近い物件など、いわゆる「訳あり物件」と呼ばれるような物件がこれにあたります。

そのため買取は、上記のような物件を所有しており、なかなか売却できずに困っている方に適した売却方法です。

●心理的瑕疵に関する記事はこちら
心理的瑕疵とは?ほかの瑕疵との違いや売却時の注意点について解説

周囲に知られず売却できる

近隣トラブルや離婚などの理由で不動産売却する場合、「周囲に知られたくない」と考える方もいるでしょう。買取なら不動産会社とのやり取りのみで済むため、売却することを周囲に知られるリスクは少ないといえます。一方、仲介で不動産を売却するときは、ホームページに物件を公開したり、広告を作ったりといった販売活動を行うため、自宅を売りに出していることが周囲に知られてしまう可能性は高いでしょう。

突然解約されるリスクが低い

買取の場合、個人ではなく不動産会社が買い取ってくれるため、購入契約を突然解除されるリスクは低いといえます。一方、仲介の場合は、買主が住宅ローンを組んで購入することが多いため、「融資利用の特約」により購入契約を解除される場合もあります。

融資利用の特約とは、買主が銀行やローン会社から融資を受けられなかった場合、買主から一方的に不動産の購入契約を白紙解約できるというものです。通常、買取側が住宅ローンを利用しない不動産買取では、そういった理由で購入契約を突如解除されることはありません。

不動産買取の注意点

買取にはさまざまなメリットがある反面、次のような注意点もあります。利用する前に把握しておきましょう。

人の手に乗った家

成約価格が仲介よりも安くなる

上記でもお伝えしたように、買取では成約価格が仲介の約6~8割になってしまいます。これは、不動産会社が買い取った後でリフォームや修繕を行うことを前提としており、その費用を成約価格から差し引くためです。

●不動産相場に関する記事はこちら
【家の売却ガイド】初めて不動産を売る人向けの基礎知識

売却の諸費用や税金はかかる

買取であっても仲介での売却と同様に、不動産登記にまつわる費用や、売買契約書に必要な印紙代、所得税や住民税などの譲渡所得にかかる税金がかかります(抵当権の抹消登記がない場合には、登記費用はかかりません)。こうした諸費用や税金がいくらかかるか、あらかじめ把握しておくようにしましょう。

●不動産売却時の仲介手数料や諸費用に関する記事はこちら
不動産売却の仲介手数料はいくら?そのほかの売却費用を抑える方法についても解説

家の模型と電卓と通帳

住宅ローンを完済する必要がある

仲介を通して売却する場合でも、買取で売却する場合でも、住宅ローンを完済しておく必要があります。なぜなら、住宅ローンの残債がある状態だと、抵当権が抹消できないためです。

抵当権とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、金融機関が不動産を担保にできる権利です。一般的には、売買代金を充当して住宅ローンを完済し、抵当権を抹消します。しかし、完済されずに抵当権が設定されたままの物件は、購入後に金融機関によって競売にかけられるリスクがあるため、買い手が見つかりにくくなってしまいます。

住宅ローンがまだ残っていて、不動産の売却価格でも完済できないオーバーローンの場合には、任意売却という方法で売却することが可能です。ただし、任意売却を行うと信用情報に登録されるため、利用は慎重に判断しましょう。

●住宅ローンの抵当権に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

●不動産競売に関する記事はこちら
不動産競売とは?流れや回避策をご紹介

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任意売却とは?住宅ローンの支払いが厳しくなったら知っておくべき基礎知識を解説

不動産買取と不動産仲介のどちらが向いている?

買取と仲介、条件が大きく異なる2つの不動産売却方法のどちらを選ぶかは、売主の状況によります。ここではそれぞれに向いているケースを詳しく見ていきましょう。

不動産買取に向いている人

買取に向いているのは、スピーディーな売却を求めていたり、仲介では売りにくい物件を抱えていたりする方です。具体的には、以下のような状況が挙げられます。

・転勤や離婚、相続で売却を急いでいる
・すぐに現金がほしい
・建物が古い、瑕疵ありなど、買い手が付きにくい条件の物件を所有している
・手間をかけずに手放したい
・売却を周囲に知られたくない
・仲介で買い手が付かなかった

家の模型と現金

不動産仲介に向いている人

仲介に向いているのは、売却の期限に比較的余裕があったり、需要の高い物件を所有していたりする方です。具体的には、以下のような状況が挙げられます。

・できるだけ高く売りたい
・売却を急いでいない
・築浅や駅近、設備が最新といった人気物件の条件がそろっている

特に、好条件の物件の場合は相場~相場以上の価格で買主が見つかる可能性が高いので、仲介を選ぶのがおすすめです。

不動産買取の流れとは?

「買取を依頼したい!」と思ったら、手続きの流れをあらかじめ理解しておくとスムーズです。ここでは、買取の流れとポイントを5つのステップに分けてご紹介します。

[ 1 ] 事前準備をする

買取を依頼する前には、情報収集と必要書類の準備を行います。まずは、売却したい物件についての情報を以下のように整理しましょう。

・物件の状況…過去の修繕履歴、住宅ローンの残債など
・相場価格…物件の売却相場はいくらくらいか

これらの情報を集めておくことで、売却計画を立てたり、買取価格の交渉をしたりしやすくなります。

次に、用意する必要書類は以下の通りです。

・登記識別情報(登記済権利証)
・固定資産税納税通知書
・印鑑証明書
・住民票(住所変更登記が必要な場合)
・身分証明書(運転免許証や健康保険証など)
・購入時の売買契約書や重要事項説明書
など

不動産売却に必要な書類は多く、確認や取り寄せに時間がかかる場合があります。売却を思い立ったら、書類の準備は早めに始めておきましょう。

●不動産売却時の必要書類に関する記事はこちら
不動産の売却に必要な書類は?リストを見ながら計画的にそろえよう

不動産売買に関する書類

[ 2 ] 不動産会社に買取査定を依頼する

次は、仲介を依頼する不動産会社、または買取を行っている不動産会社へ査定を依頼しましょう。申し込みにはネットを利用すると簡単です。また、不動産会社の査定は無料で依頼できます。

査定方法には、ネットや電話で手軽にできる「簡易査定」と、不動産会社の担当者が実際に物件を見て行う「訪問査定」の2つがあります。買取について、どの程度具体的に考えているかによって、どちらの査定方法を依頼するか検討するとよいでしょう。

●不動産査定に関する記事はこちら
不動産査定とは?方法や流れについて、不動産売却を成功させるポイントと併せて解説

スーツを着た女性

[ 3 ] 不動産会社と売買契約を結ぶ

不動産会社から提示された査定金額に合意できれば、不動産会社と売買契約を結びます。契約前には、手付金額の金額設定、引渡しのスケジュール・引渡し条件・必要書類・入金日などの確認、契約不適合責任免責条件の調整などが行われます。

このとき、「家の中の家具・家電は売主が自分で処分しなければならないか」「残置物ごと引き受けてもらえる場合、処分費用はいくらかかるか」といった細かな点まで確認しておくことが大切です。

買取は買主が不動産会社なので、疑問点を気軽に聞きやすいのもメリットです。たとえ小さなことでも、分からないことはしっかり確認しておきましょう。

[ 4 ] 決済・引渡しを行う

売買契約を結んだ後、物件の引渡しと決済(買取価格の入金)を行います。一般的には司法書士の立ち会いのもと、必要書類の処理と鍵の受け渡しを行ったら、不動産会社とのやり取りは終了です。

作業がスムーズに進むように、準備する書類の内容、登記をはじめとする必要費用などを事前に不動産会社へ確認しておきましょう。

[ 5 ] 確定申告

買取での売却後は、確定申告を忘れず行いましょう。利益が出た場合に確定申告を忘れてしまうと、無申告加算税や延滞税が課せられ、本来支払うべき税額よりもさらに高い金額を納めることになる場合があるため、注意が必要です。

また、利益が出なかった場合でも、確定申告をすると節税できる可能性があります。「居住用不動産の譲渡損失の損益通算と繰越控除」という特例に当てはまれば、不動産売却で出た損失を所得から控除できます。確定申告をしないと税金の軽減措置は受けられないため、利益が出なくても忘れずに確定申告をしましょう。

税金の特例に関する詳しい要件については国税庁公式ページをご確認ください。

●不動産売却における税金に関する記事はこちら
不動産売却にかかる税金は?税金の計算方法と税金対策をご紹介

●譲渡所得の計算に関する記事はこちら
不動産譲渡税とは?税金額の計算方法も併せて詳しく解説

女性営業担当者

頼れる不動産会社を選んで、満足のいく不動産買取を

不動産買取は、早く売却したい方や、仲介では売却が難しい物件を所有している方に適した売却方法です。しかし、仲介よりも成約価格が低くなってしまうことに注意しましょう。慎重に検討を重ね、自分の状況と所有している不動産に合った売却方法を選択してくださいね。

ただ、事情によって買取を選ぶ場合でも、なるべく高い価格で売却したいものですね。希望に近い条件での売却を成功させるには、仲介と同じく不動産会社の選び方が重要なカギとなります。頼れる不動産会社を見極め、満足のいく買取を目指しましょう!

三井のリハウスでは、買取を行っている複数の不動産会社から条件に合った会社をご紹介する「買取サポートシステム」というサービスや、無料の不動産査定を行っています。仲介と買取どちらの売却方法にするか悩んでいる場合は、まず査定を受けて不動産の価値を把握してみてはいかがでしょうか?

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山本直彌

さくら事務所 マンション管理士。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。マンション・ビル管理、不動産仲介、マンション管理コンサルタントなど、不動産の多岐にわたる業務に従事している。
https://www.sakurajimusyo.com/