
住宅ローンが残っていてもマンションの買い替えは可能?売却の流れや注意点を解説
住宅ローンが残っていても、現在住んでいるマンションを売却して得た資金で完済できれば、買い替えは可能です。では、売却資金で補えないときはどうすればよいのでしょうか?住宅ローンの残債があるままでもマンションを住み替える方法や注意点、税金控除の種類について解説します。
目次
マンションはローン残債があっても買い替え可能
マンションの買い替えを検討している方にとって、住宅ローンの残債(残高)は大きな悩みではないでしょうか?しかし、ローンが残っていたとしても、マンション売却で得た資金または自己資金で残債を完済できれば住み替えは可能です。
住んでいるマンションを買い替えるには、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければなりません。つまり、マンションを売却して得たお金を充てたり、自己資金を充てたりして、残ったローンを完済しないと買い替えはできないのです。
しかし、住宅ローンの残債がある状態でも、いくつかの方法によってマンションの買い替えはできます。この記事では、マンションを買い替えたいけれども住宅ローンの残債がある場合について、買い替えのポイントや、売却から購入までの流れ、買い替え方法などについて分かりやすく解説します。
なお、マンションの買い替えの際に必要な情報である住宅ローンの残債は、以下のような方法で調べることが可能です。ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローン残債の調べ方 | 概要 |
---|---|
金融機関のWebサービス | 金融機関によってはパソコンやスマートフォンから24時間いつでも住宅ローンの残高照会を行うことが可能。 |
返済予定表 | 支払いの開始から終了まで、毎月の返済額や利息、借入残高などが記載されており、金融機関から郵送される。 |
残高証明書 | 年末時点での残高や、利息と元金の推移を確認できる。毎年10~11月ごろに金融機関から送られてくるのが一般的。 |
金融機関の窓口 | ローン残高の確認ができるほか、返済予定表・残高証明書を紛失した場合の再発行も可能。 |
●住み替えについて詳しい記事はこちら
住宅ローン残債における買い替え前の確認事項
住宅ローンの残債がある状態でマンションの買い替えを検討する場合、住宅ローン完済の目途が立つかを確認するのがポイントです。住宅ローン完済の目途は、住んでいるマンションの売却見込み価格を踏まえて考えます。以下で詳しく見ていきましょう。
アンダーローンの場合は売却代金を利用
アンダーローンとは、住宅ローンの残債が売却見込み価格を下回っている場合のことです。この場合、売却活動を行い売却して得られたお金でローンを完済できます。
しかし、ローン返済後に売却代金がどの程度残るのかの把握も重要です。残債を返済できそうな場合でも、マンション買い替えのための新しい住宅ローンが組めそうか、資金状況を事前に確認しておきましょう。
オーバーローンの場合は自己資金を利用
オーバーローンとは住宅ローンの残債が売却見込み価格を上回っている状態のことです。オーバーローンの場合、売却で得られたお金だけではローンの完済ができないため、足りない分の返済には自己資金が必要になります。
しかし、新しいマンションの購入にもある程度の自己資金は必要であるため、なかなか用意するのが難しいという方も多いでしょう。そこで、後ほどオーバーローンの状態でも買い替えを行いたいときに利用できるいくつかの方法をご紹介します。
また、オーバーローンかアンダーローンかを把握するには不動産会社による査定が必要です。まずは住んでいるマンションがどのくらいの価格で売却できそうか査定を依頼し、把握しておきましょう。
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●不動産売却にかかる費用について詳しい記事はこちら
住宅ローン残債がある場合の買い替えの流れ
住宅ローンが残っているマンションを買い替える場合の流れについて、「売り先行」「買い先行」の観点からそれぞれ解説していきます。
売り先行の場合
買い替えの際には、旧居の売却を先に進める「売り先行」と、新居の購入を先に進める「買い先行」の2つの流れがあります。売り先行の場合、売却して得た資金を住宅ローンの完済に充てられるというメリットがあります。ただし、マンション売却と新居購入のタイミングが合わないと、仮住まいを用意しなければならないことに注意しましょう。
買い先行の場合
どうしても欲しい物件があり、新居の購入を急ぐ場合は、買い先行がよいでしょう。しかし、買い先行の場合、売却活動が延びるほど、管理費や保険料、税金といったランニングコストが二重でかかるため、金銭的負担が大きくなります。そのため、買い先行は資金計画に余裕がある場合におすすめできる買い替え方法です。
このように、売り先行、買い先行にはそれぞれメリットと注意点があるため、自身の状況や住宅ローンの残債額を考慮してどちらの方法で住み替えるかを検討しましょう。
ローンが残っているマンションを住み替える方法4選
オーバーローンの状態でマンションを住み替えるには、預貯金をはじめとする自己資金を使い、住宅ローンを完済する以外にもいくつかの方法があります。資産状況やローンの残債を踏まえ、以下にあるそれぞれの特徴を比較して自分に合った方法を選びましょう。
住み替えローンを利用する
住み替えローンとは、残った住宅ローンを完済するための資金と、住み替えに必要なお金の両方を融資してもらうローンのことです。
住み替えローンを利用すれば、住宅ローンを1本化できるため、管理しやすいというメリットがある一方で、以下の点に注意する必要があります。
・審査の基準が厳しくなる
・毎月多額の返済が必要
・通常の住宅ローンと比べ金利が高い場合がある
審査が厳しくなる理由は、旧居と新居の住宅ローンが合わさることで金融機関の融資額が大きくなるためです。また、住み替えローンの金利は、通常の住宅ローンに比べて高く設定される傾向があります。融資額の大きさとも相まって、毎月の多額の返済が負担となる可能性があるでしょう。そのため、住み替えローンは、旧居の売却資金を充てても賄えない残債が少ない場合に向いているローンといえます。
ほかにも、「旧居の売却」と「新居の購入」のタイミングをそろえなくてはならないため、スケジュール調整を慎重に行う必要があるといった注意点もあります。
ダブルローンを利用する
ダブルローンとは、現在支払い中のローンに加えて、新しくローンを組むことです。ダブルローンも住宅ローンの残債があるマンションを住み替える方法の1つではありますが、二重でローンが発生するため、毎月の返済額が今以上に増えます。対応する金融機関は限られており、融資条件も厳しくなります。そのため単独の住宅ローンに比べて審査のハードルが高くなることや、申請しても、審査に通らないケースが多いことを覚えておきましょう。
住み替えを先延ばしにする
支払い中の住宅ローンをしばらく払い続けて、ローンの残債を減らしてからマンションを売るという選択肢もあります。この場合、しばらく返済を続けることで今よりもローンの残債が減るため、マンション売却で得たお金でローンを返済できるようになる可能性があります。すぐに住み替えをしなくてもよい場合や、所有するマンションの売却価格が今後も大きく下がらないと予測できる場合は、売却の先延ばしを考えてみるのもよいでしょう。
つなぎ融資を検討する
欲しい物件を逃したくない方や、引越しを一度で済ませたいという理由から先に新居を購入する買い先行を選ばれる方もいるでしょう。このような方は、買い替えのためのつなぎ融資を検討してみましょう。
買い替えのためのつなぎ融資とは、住んでいるマンションを売却する前に、新居を購入するための融資を一時的に受ける制度のことです。後に、旧居(住んでいたマンション)が売れたとき、売却額をつなぎ融資の返済に充てるという流れになります。
融資の期限は3か月から1年以内が一般的で、期限内に売却できない場合は、不動産会社が相場の8割程度の値段で買い取る傾向にあります。また住み替えローンと同様、つなぎ融資は通常の住宅ローンに比べて金利が高く、借入期間が長引けば最終的に出費が大きくなってしまいます。そのため、つなぎ融資を利用する際は慎重に検討しましょう。
住宅ローンが残るマンションを買い替える際に利用できる控除
住宅ローンが残っているマンションを売却し、損失が出た場合、「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を活用することで負担を軽減できます。
この特例を活用すれば、居住用の家を売却して「譲渡損失」が出た場合、赤字分を給与所得のようなほかの所得から差し引いて税金を軽減する「損益通算」が可能です。それでもなお、損失(赤字)があるときは、翌年以降最長3年間にわたって、ほかの所得から差し引ける「繰越控除」の適用も受けられます。
ただし、この特例でできる譲渡損失の損益通算には限度額があります。通常、5,000万円で購入したマンションを3,000万円で売却した場合、譲渡損失は2,000万円です。しかし、この特例の場合、たとえば売却の前日に4,000万円の住宅ローンが残っていると、4,000万円(ローン残債)から3,000万円(売却代金)を引いた1,000万円が損益通算(控除)の限度額となります。
また、この特例は新しく不動産を購入(買い替え)しなくても適用されますが、適用には満たさなければならない要件があるため、詳しくは国税庁のWebサイトを確認しましょう。
●特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について詳しくはこちら
残債があるマンションを買い替えるには査定から
マンションを買い替える際は、住宅ローンの残債や自己資金、さらには現在住んでいるマンションの売却見込み価格などによって、買い替えの方法が大きく異なります。
特に住宅ローンが残っている方は、いくらくらいで売却できそうか、その目安を確認するために、早めに不動産会社に査定を依頼し、資金計画を立てることが大切です。査定額を参考に、オーバーローンの場合は、住み替えローンやダブルローンなどを比較して、自身に合った方法を検討しましょう。
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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。