不動産売却の際にかかる費用は?安く抑えるコツや注意点を解説!

不動産を売却する際にかかる費用には、仲介手数料や税金があります。この記事では、不動産売却に必要な費用の説明と併せて、費用を抑えるコツや注意点などについて解説します。

目次
  1. 不動産売却にかかる費用
  2. 不動産売却の費用一覧
  3. 不動産売却の費用目安
  4. 不動産売却費用を安く抑えるコツ
  5. 不動産売却の費用に関する注意点
  6. 不動産売却にかかる費用を理解してイメージをつかもう
2023.12.20

不動産売却にかかる費用

不動産売却にかかる費用は、主に不動産会社に払う仲介手数料や税金などです。これらの費用は、住宅ローンの返済状況や家の所有年数などによって金額は異なります。この記事では、不動産売却にかかる費用の種類やその目安、費用を安く抑えるための方法などについて解説します。

不動産売却している様子

不動産売却の費用一覧

不動産売却にはさまざまな手続きが必要であるため、費用もいろいろなものがあります。以下でそれぞれ見ていきましょう。

仲介手数料

仲介手数料は、売却が成立したときのみ、仲介を依頼した不動産会社に支払います。個人で買主を探す方法もありますが、トラブルなくスムーズに売却を行うためには、不動産会社に相談しながら売却活動を行うのがおすすめです。なお、仲介手数料の上限額は法律で設定されています。以下に上限額の計算式をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

成約価格(税抜)仲介手数料
200万円以下(成約価格 × 5%) + 消費税
200万円超400万円以下(成約価格 × 4% + 2万円) + 消費税
400万円超(成約価格 × 3% + 6万円) + 消費税

●仲介手数料について詳しくはこちら
仲介手数料の相場はいくら?決められた上限と計算方法を解説

印紙税

印紙税とは、売買契約書といった法的に定められた文書を作成する際に納める税金のことです。収入印紙を購入し、文書に貼り付けることで納税したことになります。

不動産売却では、売買契約書を売主分と買主分、2通を作成しそれぞれ印紙税を納めるのが一般的です。ただし、不動産売買契約書の印紙税額については、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの期間は軽減税額が適用されます。

契約金額本則税額軽減税額
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円

なお、不動産売買の領収書にも印紙税はかかりますが、マイホームの売却で発行する領収書には印紙税は発生しません。

軽減税率について詳しく知りたい方は、以下のサイトを参考にしてくださいね。

●具体的な軽減金額についてはこちら
国税庁 | 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

仲介手数料

譲渡所得にかかる税金

不動産を売却して利益が出た際には、譲渡所得にかかる所得税と住民税を納めることが必要です。これらの税金は、譲渡収入金額が売却した物件の取得費と譲渡費を上回り、利益が発生した際にかかる税金で、譲渡所得税と呼ばれることもあります。

なお、売却する不動産の所有期間によって所得税と住民税の税率は異なります。それぞれの税率は以下の表をご確認ください。

対象税率
短期譲渡所得
(所有期間が5年以下の土地・建物)
39.63%
(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
長期譲渡所得
(所有期間が5年超の土地・建物)
20.315%
(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)

三井のリハウスでは譲渡所得にかかる税金のシミュレーションサービスを提供しています。所得税・住民税がいくらくらいかかりそうか気になる方はご利用ください。

●税金のシミュレーションはこちら

譲渡所得の内訳書

登記費用・抵当権抹消費用

登記の手続きをする際に、登録免許税が発生します。登記とは、不動産の現状や権利情報を登記簿に明記することをいい、不動産売買の際に必要な登記は主に、「抵当権抹消登記」「所有権移転登記」の2つです。一般的に前者を売主、後者を買主が行い、登録免許税を納めます。抵当権抹消にかかる登録免許税は、1つの不動産当たり1,000円です。マンションを売却する場合は、通常土地1つと建物1つを合わせた2,000円がかかります。

また、多くの場合、登記は司法書士に依頼しますが、依頼する際は登記の費用に加えて、司法書士への報酬が必要になります。自分で登記手続きを行うこともできますが、専門知識が必要な場合があったり、作成に手間がかかったりするため、時間や手間をかけたくない方は司法書士に依頼するのがよいでしょう。抵当権抹消登記を司法書士に依頼する際の相場は、1万5,000~2万円程度です。

測量費用

測量費用とは、土地の測量にかかる費用で、境界を明確に定めることで、隣人とのトラブルを避けられたり、土地や一戸建ての取引をスムーズに行いやすくなったりします。

測量は必須ではありませんが、測量を行った証明となる確定測定図があると、買主を安心させることができます。土地の境界があいまいな一戸建てや、土地の売却の際に行われることが一般的です。マンションは、敷地権の割合が区分所有者ごとに明確に決まっているため、測量の必要はありません。費用の目安は40万〜80万円程度です。

その他の費用

そのほかにも引越し費用や、任意のハウスクリーニング費用、家電や家具といった家財の処分費用が挙げられます。建物を解体して土地として売り出す場合は解体費用も必要です。ハウスクリーニングや家の解体を行う場合は、それらの費用も具体的に算出しておくと安心です。

●ハウスクリーニングの費用に関する記事はこちら
ハウスクリーニングの目安の料金相場を依頼条件から解説

●解体費用に関する記事はこちら
家の解体費用の相場は?費用を左右するポイントや安く抑える方法について詳しく解説

登記申請書

不動産売却の費用目安

不動産売却の費用目安は、一般的に成約価格の3.5~4%程度だといわれています。これまでご紹介した費用一覧のなかから、物件を売却する際に必要なものを選び、足し合わせることで費用の概算をつかめます。

たとえば、上記でお伝えした登記は、手間はかかりますが、売主自身で行えるため、その場合、司法書士への報酬は必要ありません。このように自分の状況に合わせて資金計画を立てましょう。

不動産売却費用を安く抑えるコツ

不動産売却の際に、高額な税金がかかることもあるため、資金面で不安に感じている方もいるかもしれません。不動産売却にかかる税金は、特例や、特別控除を利用することで抑えられます。続いて、譲渡所得に関する3つの特例をご紹介します。

3,000万円の特別控除の特例

譲渡所得(売却益)のうち、3,000万円までを控除するという特例です。つまり、最高で3,000万円までは課税されないことになるため、不動産売却の費用を大幅に抑えられるでしょう。ただし、その物件に住まなくなってから3年以内に売却した物件であることや、前年と前々年にこの特別控除を利用していないなど、適用されるためには複数の要件を満たさなければなりません。詳しくは以下の記事をご覧ください。

●3,000万円の特別控除の特例について詳しくはこちら
居住用財産の3,000万円控除とは?適用要件や必要書類も併せて解説!

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

10年以上居住していたマイホームを売却する場合、課税譲渡所得の6,000万円以下の部分に課税される税率が軽減されるという特例です。3,000万円の特別控除と併用できるため、併用した場合、3,000万円が引かれた譲渡所得に軽減税率をかけて算出します。所有期間のほかにもさまざまな要件がありますので、詳しくは以下の記事を参考にしてくださいね。

●マイホームを売ったときの軽減税率の特例について詳しくはこちら
居住用財産の3,000万円控除とは?適用要件や必要書類も併せて解説!

減税の積み木

特定居住用財産の買い換え特例

マイホームを売り、新しいマイホームに買い換えた場合、譲渡所得にかかる税金を将来に繰り延べできる特例です。この特例は、税額が控除されるわけではない点に注意しましょう。この特例は、新しく購入する家にも要件が課されており、売る家、買う家どちらも満たしている必要があります。詳しい要件を知りたい方は以下のサイトをご覧ください。

●特定居住用財産の買い換え特例について詳しくはこちら
国税庁 | No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例

またこの特例は、上記でご紹介した2つの特例とは併用できない点にも注意が必要です。同年だけでなく、前年、前々年に上記の特例を受けた場合も、特定居住用財産の買い換え特例は受けられない点にも気を付けましょう。

不動産売却の費用に関する注意点

不動産をスムーズに売却するためには事前準備が重要です。不動産を売却する際は、代金を得るだけではなく、費用もかかります。何に費用がかかるかをあらかじめ把握し、必要な資金を事前に用意しておくことがおすすめです。

特に、住宅ローンの残債がある場合は、不動産売却で得た代金や自己資金を使っても住宅ローンを完済できないと、引渡しができないため、あらかじめ残債額や、不動産がいくらで売れれば完済できるかを見積もっておきましょう。

また、不動産売却で利益が出た場合や、上記でご紹介した譲渡所得の控除に関する特例を利用する際は、家を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要があります。確定申告を行わないと、税の特例措置が受けられないだけでなく、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課されるため注意が必要です。利益が出ていない場合でも確定申告をすることで、税金の控除を受けられることがあるため、不動産売却後は確定申告を行いましょう。

確定申告書

不動産売却にかかる費用を理解してイメージをつかもう

不動産売却にかかる費用と、費用を抑えるコツや注意点についてご紹介しました。必要な費用を把握し、資金計画を立てることで、スムーズに売却を進めましょう。

資金計画を立てるには、不動産がどのくらいの価格で売却できそうか見積もる必要があります。不動産売却を検討している方は、まず不動産会社に無料の不動産査定を依頼するのがおすすめです。

三井のリハウスでは、100万件以上の取扱実績で積み重ねた知見を生かしたAI査定、簡易査定、訪問査定を行っています。お気軽にご利用ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html