住宅ローンが残っていてもマンションの買い替えはできる?売却の流れや注意点を解説

住宅ローンが残っていても、現在住んでいるマンションを売却した資金で完済できれば、買い替えは可能です。ただ、売却資金で補えないときはどうすればよいのでしょうか?住宅ローンが残ったままマンションの住み替えを行う際の選択肢や注意点、税金控除の種類についてご紹介します。

目次
  1. ローンが残っていてもマンションの買い替えはできる
  2. 住宅ローンの残高はどうやって調べる?
  3. ローンが残っているマンションを住み替える方法
  4. 住宅ローンが残るマンションを買い替える際に利用したい控除
  5. 残債がある家を住み替えるには、まずは査定から
2024.03.28

ローンが残っていてもマンションの買い替えはできる

マンションの住み替えを検討している方にとって、住宅ローンの残債(残高)は大きな悩みではないでしょうか?ですが、ローンが残っていたとしても、マンション売却で得た資金または自己資金でローンを完済できれば住み替えは可能です。

住んでいるマンションを第三者に売却して引き渡すには、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければなりません。つまり、マンションを売却してお金を得るか、銀行からお金を借りるなどして、残ったローンを完済しないと「住み替え」はできないのです。

購入したときには新築マンションでも、人が住み始めた時点で「中古物件」となり、不動産価値は下がっていきます。中古物件の場合、売却で得られる収入が想定通りになるとは限らず、仲介手数料や税金などもかかるため、売却代金を全て充てても、残った住宅ローンが完済できない状況に陥るケースもあり、この状況を「オーバーローン」と呼びます。

この記事では、住み替えをしたいけれどもオーバーローンになってしまった場合の対処法について解説します。

●抵当権について詳しくはこちら
抵当権とは?基礎知識から抹消手続きまで分かりやすく解説

ローン残の確認とマンション買い替えの計画

住宅ローンの残高はどうやって調べる?

住宅ローンの残高はどのように確認するのでしょうか?以下の4つの方法について順番に解説します。

・金融機関のウェブサービス
・返済予定表
・残高証明書
・金融機関の窓口

金融機関のウェブサービス

借入先の金融機関によっては、インターネット上で住宅ローンの残高照会を行えるウェブサービスを提供している場合があります。このサービスを活用することで、パソコンやスマートフォンから24時間いつでも住宅ローンの残高照会を行うことが可能です。

ただし、金融機関によってはこのようなサービスがない場合や、サービスの用意があったとしても、自身の利用形態や加入プランによっては対象でない可能性もあります。自身がサービスを利用できるかどうか分からない場合は、金融機関に問い合わせて確認しましょう。

返済予定表

返済予定表とは、住宅ローン契約時に、ローン支払いの全体像をつかむために発行される返済計画書のことです。返済計画書では、支払いの開始から終了まで、そのたびごとの借入残高や返済額の予定が記載されており、該当の時期を見ればローンの残債が分かるようになっています。

また、変動金利でローンを組んでいる場合は定期的に金利が見直されるため、金利が変更された場合は返済計画もその都度変わっていくことになります。この場合、新しい返済計画書が金融機関から発行されるため、最新のものを確認するようにしましょう。

残高証明書

残高証明書とは、年末調整や確定申告にて住宅ローン控除の適用を受ける場合に必要になる書類を指し、年末時点での残高や、利息と元金の推移を確認することができます。住宅ローン控除の適用を受けたい場合に手数料を支払うことで、毎年おおよそ10~11月ごろに発送されるのが一般的です。

金融機関の窓口

金融機関の窓口では、ローン残高の確認ができるほか、返済予定表・残高証明書を紛失した場合の再発行も可能です。再発行には通帳や本人確認書類、印鑑や手数料が発生する場合もあるため、事前に金融機関に確認しておくとよいでしょう。

住宅ローンを融資する金融機関

ローンが残っているマンションを住み替える方法

オーバーローンの状態でマンションを住み替えたい場合、預貯金をはじめとする自己資金を使ってローンを完済する以外にもいくつかの方法があります。資産状況やローンの残債を踏まえ、以下にあるそれぞれの特徴を比較して自分に合った方法を選びましょう。

住み替えローン

住み替えローンとは、大手銀行といった金融機関が、住み替えのための新たな住宅ローンと、残ったローンを完済するための資金を合わせて融資してくれるローンのことです。

住み替えローンを利用すれば、1つの住宅ローンで済むため、管理が楽というメリットがある一方で、以下の点が注意点として挙げられます。

・審査の基準が厳しくなる
・毎月多額の返済が必要
・通常の住宅ローンと比べ金利が高い

審査が厳しくなる理由は、旧居と新居の住宅ローンが合わさることで金融機関の融資額が大きくなるためです。また、住み替えローンの金利は、通常の住宅ローンに比べて高く設定されています。融資額の大きさとも相まって、毎月の多額の返済が負担となる可能性があるでしょう。

ほかにも、「旧居の売却」と「新居の購入」のタイミングをそろえなくてはならないため、スケジュール調整を慎重に行う必要があるといった注意点もあります。これらから、住み替えローンは収入にゆとりがある人や、住宅ローンの残債と、マンション売却で得られる金額に大きな差がない方に向いているローンといえます。

ダブルローン

ダブルローンとは、現在支払い中のローンに加えて、新しくローンを借りることです。

ダブルローンでは二重でローンが発生するため、毎月の返済額が今以上に増えます。対応する金融機関は限られており、融資条件も厳しくなるため、住宅ローンに比べて審査のハードルが高くなることや、申請しても、審査に通らないケースが多いことを覚えておきましょう。

残っている住宅ローンのやりくり

売却の先延ばし

支払い中の住宅ローンをしばらく払い続けて、ローンの残債を減らしてからマンションを売却するという選択肢もあります。

この場合、ローンの残債を減らすことで、マンション売却で得たお金でローンを返済できるようになる可能性があります。すぐに住み替えをしなくてもよい場合や、所有するマンションの売却価格が今後も大きく下がらないと予測できる場合は、売却の先延ばしを検討してみましょう。

つなぎ融資

つなぎ融資とは、住んでいるマンションを売却する前に、新居を購入するための融資を一時的に受ける制度のことです。後に、旧居(住んでいたマンション)が売れたとき、売却額をつなぎ融資の返済に充てるという流れになります。

融資の期限は3か月から1年以内が一般的で、期限内に売却できない場合は、不動産会社が相場の8割程度の値段で買い取ることになります。住み替えローンと同様、通常の住宅ローンに比べて金利が高く、借入期間が長引けば最終的に出費が大きくなってしまうため、利用する際は慎重に検討しましょう。

任意売却

任意売却とは、住宅ローンを融資している金融機関の許可のもと、住宅ローンの残債があるまま抵当権を解除してもらい、一般市場にて売却することです。

任意売却で得られた資金は、住宅ローンの返済に優先的に充てられ、返済できなかった分は引き続き返済し続けなければなりません。なお、任意売却には期限があり、期限以内に完済できないと競売によって低価格で売却されることになるため、慎重に判断しましょう。

●任意売却について詳しくはこちら
任意売却とは?住宅ローンの支払いが厳しくなったら知っておくべき基礎知識を解説

●競売について詳しくはこちら
不動産競売とは?リスクやメリット、回避策を解説!

マンションの買い替えで売りに出された物件

住宅ローンが残るマンションを買い替える際に利用したい控除

住宅ローンが残っているマンションを売却し、損失が出た場合、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を活用することで負担を軽減することができます

この特例を活用すれば、居住用の家を売却して「譲渡損失」が出た場合、赤字分を給与所得のようなほかの所得から差し引いて税金を軽減する「損益通算」が可能です。それでもなお、損失(赤字)があるときは、翌年以降、最長3年間にわたって、ほかの所得から繰り返して差し引ける「繰越控除」の適用も受けられます。

ただし、この特例でできる譲渡損失の損益通算には限度額があります。通常、5,000万円で購入したマンションを3,000万円で売却した場合、譲渡損失は2,000万円です。しかし、この特例の場合、たとえば売却の前日に4,000万円の住宅ローンが残っていると、4,000万円(ローン残債)から3,000万円(売却代金)を引いた1,000万円が損益通算(控除)の限度額となります。

また、この特例は、新しく不動産を購入(買い替え)しなくても適用されますが、適用にはさまざまな条件があるため、詳しくは国税庁のウェブサイトを確認しましょう。

●特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について詳しくはこちら
国税庁 | No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

マンション売却の際の控除

残債がある家を住み替えるには、まずは査定から

現在住んでいるマンションを売って住み替える際は、自己資金がどれくらいあるかや住宅ローンの残債に加えて、現在住んでいるマンションがどれくらいの価格で売却できそうかによっても住み替えの方法が大きく異なります。

特に住宅ローンが残っている方は、いくらくらいで売却できそうか、その目安を確認するために、早めに不動産会社に査定を依頼し、資金計画を立てることが大切です。査定額を参考に、オーバーローンの場合は、住み替えローンやダブルローンを比較して、自身に合った方法を検討しましょう。

三井のリハウスの無料査定は、100万件以上の累計実績を生かした精度の高さが特長です。また、地域に根差して展開しているため、個人の状況に合わせて売却をサポートできます。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html