倒壊、不審火などの危険性がある空き家の放置

昨今、空き家の増加とその放置が問題となっています。2013年に総務省が行った「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は820万戸。5年前に比べて63万戸(8.3%)増加して過去最高となりました。 空き家は放置されることで次のような問題の原因となります。

・倒壊
・不審火
・不審者の侵入や住みつき
・ゴミの放置
・悪臭や害虫の発生
・景観への悪影響

このような背景から2015年5月26日、「空き家対策特別措置法」が施行されました。

命令に従わなければ行政代執行で撤去も可能

同法により自治体は空き家に対する立ち入り調査や指導、勧告、撤去命令などを行うことが可能になりました。
この法律では空き家を次のように定義しています。
「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。(2 条 1 項)」

ただし、すべての空き家が指導や撤去命令の対象となるわけではありません。対象となるのは以下の状態の特定空き家等になります。

・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空き家等をいう。(2 条 2 項)

具体的には国土交通省がガイドラインを作成しており、サイト上で確認することができます。
http://www.mlit.go.jp/common/001090532.pdf
*ただし、サイト上の例示で一律に判断するのではなく、「個別の事案に応じてこれによらない場合も適切に判断していく必要がある」としています。

このような特定空き家等の所有者は、自治体の立ち入り調査を受け入れ、指導、勧告、撤去命令に従わなければなりません。もし、従わなければ50万円以下の過料が科せられます。それでも所有者が従わない場合、自治体は行政代執行で撤去することが可能です。

固定資産税の軽減措置の対象から除外

空き家が増える原因の一つとされているのが、固定資産税の「住宅用地の特例措置」です。これは更地ではなく建物が立つ住宅用の土地に対しては、固定資産税が200㎡まで6分の1、200㎡を超える部分に対しては3分の1に軽減される、というものです。この特例措置があるがゆえに、利用する予定のない空き家を取り壊すことなく、放置しているという所有者も多いといわれています。
ところが、空き家対策特別措置の施行に合わせて税制も改正されました。2015年度から特定空き家等として自治体から勧告された土地は、固定資産税の軽減特例の対象から除外されます。一定の負担調整措置はあるものの、6分の1の軽減ではなくなり、大幅に固定資産税が上がることになります。
「固定資産税が軽減されるから、空き家をそのままにしておこう」と考えていた方は、今後の土地活用の方法を検討するべきではないでしょうか。