意外に奥が深い土地探し

人生の中でもっとも高額な買い物といわれる住宅。それゆえ、何度も買い替えることはできません。また、家の住み心地は立地条件に大きく左右されます。つまり家を建てるための土地探しは、長期に渡るライフスタイルを決定づけるといってもいいでしょう。
ところが初めて土地探しをする人のなかには「“広さ”と“駅からの距離”さえクリアできれば大丈夫」といったように簡単に考えている人も中にはいるのではないでしょうか。しかし、土地の探し方は意外に奥が深いもの。その目のつけ所を紹介します。

まずは諸費用をしっかり計算に入れる

住宅を購入する際に、ありがちな失敗例が予算オーバー。そのなかでも「家を建てるために理想の土地を買ったが、建物の建築費用が足りなくなった」というケースが目立ちます。そのおもな原因は、土地と建物の購入時に発生する諸費用を計算に入れていなかったことです。
土地の場合は、土地・売地代金以外にも不動産取得税、司法書士費用、登録免許税、印紙代、仲介手数料などがかかります。目安は土地代金の5%前後。2000万円の土地なら約100万円です。
また、建物に関しては、住宅ローンの事務手数料や登記費用といった諸費用のほかに、外構工事費、屋外電気工事費、屋外給排水工事費といった本体以外の別途工事費用がかかります。目安は建物建築費の15~20%。2000万円の建築費なら300万円は見ておきたいところです。
土地・売地を探すなら、まずこれらの諸費用を考慮して総予算を見積もっておきましょう。

予算内で購入可能なエリアを絞り込んでいく

いくら住みたい街があっても、予算内で土地が買えなければ、家を建てることも住むこともできません。そのため、予算が決まったら、その金額でどのエリアなら買えるかを調べます。
調べる手段としては、不動産情報サイトを利用すれば便利です。
土地の値段は、たとえば「都市に近い」「駅から近い」など様々な条件で決まります。通勤や通学時間を考え、どの駅の周辺に住みたいかを決めましょう。
情報サイトなどで表示されている駅までの徒歩時間は、単純に80m/分で算出されたものです。途中の坂道や信号の待ち時間などは考慮されていません。土地を見に行く際は実際に歩いて何分かかるか確認しましょう。その際、交通量の激しさや途中の街灯の有無など周囲の様子もチェックすれば、より住みやすさを把握することができます。

時間を変えて周辺の雰囲気をチェック

そのほか、土地探しの際にぜひチェックしたい項目には次のようなものがあります。

土地・売地の形状

一般的に土地の形状は、広さや接道にもよりますが基本的に正方形に近いほど人気があり、高額になります。しかし、変形地でも意外に費用対効果を高く感じる場合があります。たとえば*旗竿地は、通りに面していないので静かでプライバシーを保ちやすいなどのメリットがあるからです。その土地に理想とするマイホームが建てられるのか、購入前に建築依頼先へ相談しましょう。

土地の形状を示す参考図

隣地との高低差

隣の土地と高低差があり、自分の方が低い場合、家の風通しや日当りが悪くなるだけではありません。雨水がたまることも考えられます。

スーパー、コンビニなど商業施設

土地からの距離だけでなく、営業時間、品揃え、物価の高低、駐輪・駐車場の有無なども確認しましょう。

金融機関、病院、交番などの公共施設

距離、営業時間、営業日、診療科の種類などを確認しておきましょう。

幼稚園、小中学校など教育施設

距離、通学路の交通量は現地で確認できます。そのほか交通手段(通園バスなど)、費用、入園・入学の難易度、評判といった情報はインターネットなどで調べましょう。

周辺の雰囲気

競輪・競馬場、火葬場といった嫌悪施設の有無、昼間と夜間の人通りの差、将来高層建築物が建ちそうな空き地の有無などが家の周辺の雰囲気を左右します。

地盤の強度など防災情報

埋め立て地や川沿いなど地盤が弱い土地に家を建てる場合、地盤改良に数百万円かかることもあります。国土交通省ハザードマップポータルサイトなどで各地域の地盤強度や洪水時の浸水域といった防災情報を確認しましょう。

https://disaportal.gsi.go.jp/

最後の決め手はプラスαのこだわり

新しい生活がはじまる住まいは、居心地がよく癒される空間であってほしいものです。そう思えるポイントは十人十色。「窓からの景色が良い」「ジョギングに最適な河川敷がある」。一生住み続ける家を建てるために土地を買うなら、便利さだけでなくプラスαのこだわりを満たして、精神的な豊かさも手に入れたいものです。