狭小住宅の魅力と注意点…土地10数坪でも格安で家は建つ!

目次
  1. 安さが魅力の新築一戸建て「狭小住宅」を建築・購入するうえでの注意点
2016.11.07

住宅関連で、最近注目を浴びている物件が「狭小住宅」です。その言葉どおり、通常の住宅に比べて、かなり狭い敷地の中に建てた小さな一軒家のことです。どれくらい狭いかという明確な定義はないようですが、一般的には15坪(50平米)以下の土地に建てられたものとなっています。

では、なぜこのような狭小住宅が注目を集めているのでしょうか。

狭小住宅の一番の魅力は、なんといっても土地代が安いこと。面積が小さいのだから当然ですが、それ以外にも、狭すぎて家を立てるには数々の制約があるため、土地の坪単価そのものも安くなっていることが多いです。

一戸建て住宅を購入する際の費用で、高い割合を占める土地代を安く抑えられるということは、限られた予算であっても、都心近くに新築一戸建て住宅を持つことができるようになるわけです。

また、税金などの面でも、面積に応じて決められる固定資産税が安く抑えることもできるというメリットもあります。

さらに、狭いながらも快適で使いやすい居住空間を確保するために、建物の設計に工夫をこらすわけですが、そこが設計士の腕の見せどころでもあり、また施主のほうも自分の希望やアイデアを活かした、デザイン性の高い家を望むことが多いようです。

なかには10坪(33平米)という極小の土地に、個性あるデザインの家を建てているケースも数多くあります。ほかとは違った自分だけのデザインの家を持てる……それも狭小住宅の魅力のひとつになっています。

こういった狭小住宅では、居住空間を広く確保するために3階建て以上にすることが多く、さらには地下室も設けることが多くなっています。ただし、個性的な家を建てるために、建築コストが一般的な住宅より割高になってしまうこともあり、価格が安いことが魅力の狭小住宅だけに、このあたりが予算と希望の兼ね合いになるところです。

その一方で、建売の狭小住宅も、最近では多く販売されています。とくに地価の高い都心部の住宅地では、狭い敷地のなかに新築3階建ての狭小住宅が数多く分譲されており、低価格で都心近くの一戸建てに住めるということもあって、注目を集めています。

こういった建売狭小住宅は、一般的に一階部分が車庫、いわゆるビルトインガレージになっており、車を持っている人にとっては、別途に月極の駐車場を借りることなく、車が置ける場所があるのも魅力です。

安さが魅力の新築一戸建て「狭小住宅」を建築・購入するうえでの注意点

このように、さまざまな魅力がある狭小住宅ですが、狭いがゆえに、購入を決める前に見ておきたい注意点もいくつかあります。

注文建築で狭小住宅を建てる場合には、2階や3階建てといった家での上下移動のこともしっかり考えて設計しないと、何かするたびに階段を上がり下がりすることになり、生活しづらくなってしまうケースもあります。

また、出入り口部分が狭く、持っている家具や大型家電が中に入れられない……などというケースも考えられます。その点も注意して設計を行う必要があります。これは建売住宅でも同様で、間取りを見て、希望の家具や家電を置けるスペースがあるのかなどといった視点で、物件をチェックしていく必要があります。

民法上、建物は隣家との敷地境界線から50センチ以上離れたところに建てなければならず、狭い土地のなかに建てた家が、さらに狭くなってしまうことがあります。ただし、隣家の所有者の承諾が得られれば50センチ以内にすることもでき、また分譲住宅の場合は、住宅が並ぶ一角全体がひとつの売り主によって建てられているため、50センチ以内になっているところが多いようです。

隣家との距離に関する注意点として、10~15年に1回は行う必要がある建物の外壁の修繕を行う際、隣家との間が狭すぎると、工事の足場を組むことができないという事態に陥ってしまうということもあります。それ以外にも、狭すぎてエアコンの室外機を置く場所がないなどということも起こりえます。

そのほかにも、住宅地における建物の高さ制限により、屋根を急勾配にしなければならないケースも多く、3階の部屋の天井が斜めになったり、逆に1階部分の床を地面よりも低くして建築している家もあります。

そして、建売3階建て狭小住宅によくあるビルトインガレージの家の場合、耐震強度の面で問題があるケースもあります。車が出入りする1階の開口部分には壁がないため、その分、強度が低くなってしまうからです。これらのことは一般の方が見てもわかりづらいことなので、専門家にも一緒に見てもらったほうがいいでしょう。

メリット・デメリットそれぞれある狭小住宅ですが、やはり都心近くに低価格で一戸建ての家が持てるという魅力には代えがたいものがあります。じっくりと研究したうえで、検討してみてはいかがでしょうか。