不動産売買にかかる仲介手数料とは?上限と計算例

仲介手数料とは、売買を仲介した不動産会社に支払う報酬のことです。法律で上限額が決まっており、売買契約成立時と物件の引渡し時の2回に分けて支払うことが一般的となっています。今回は、不動産売買にかかる仲介手数料の基礎知識を解説します。

目次
  1. 不動産売買にかかる仲介手数料とは?
  2. 不動産売買の仲介手数料を支払うタイミング
  3. 仲介手数料の相場は?
  4. 不動産売買の仲介手数料は安く抑えられる?
  5. 仲介手数料以外に必要となる諸費用
  6. 不動産売買の仲介手数料に関するよくある質問
  7. 不動産売却をご検討中なら三井のリハウスへ
2025.06.27

不動産売買にかかる仲介手数料とは?

不動産売買にかかる仲介手数料とは、仲介を依頼するために媒介契約を結んだ不動産会社に支払う報酬です。成功報酬であるため、売買契約が成立したときのみ発生し、売買契約成立時と物件の引渡し時の2回に分けて支払うのが一般的です。

不動産会社を介さず売買した場合は、仲介手数料が不要です。たとえば、売主自身が買主を探して売却する個人間の取引や、買主が不動産買取業者やハウスメーカーから直接購入するケースが該当します。

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不動産売買にかかる仲介手数料

営業活動に対する成功報酬

不動産売却の場合、不動産会社と媒介契約を結ぶと、売買成立のためにさまざまな営業活動を行います。たとえば、不動産ポータルサイトへの掲載、新聞折込広告の手配などが挙げられます。集客だけでなく、購入検討者の内覧に立ち会うことも営業活動の1つです。つまり、売買契約の「成功報酬」として発生する仲介手数料の一部は、不動産会社の営業活動に対する対価という意味を持っています。

各種手続きの代行費用

不動産会社の仲介としての役割は、売主と買主の間に立って両者の売買契約を成立させることです。よって、売却物件の販売活動だけでなく、売主と買主の売買契約条件の調整や書類作成、売買契約から引渡しまでの事務手続きなども行います。このような各種手続きの代行費用も仲介手数料に含まれています。

不動産売買の仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料は成功報酬であることから、不動産の売買契約が成立するまでは支払う必要がありません。また、仲介手数料は成約価格が決定しなければ算出できないため、売買契約成立時に半金、引渡し時に残りの半金を支払うことが一般的です。

売買契約時に全額を一括で支払うケースもありますが、不動産会社の仕事は売買契約が成立したら終わりではありません。引渡しまでには各種手続きが残っているため、2回に分けて支払うのが通例です。不動産取引をスムーズに完了させるために、支払いのタイミングは事前に確認しておくことをおすすめします。

仲介手数料の相場は?

不動産売買の仲介手数料は、物件の価格によって変動するため、明確な相場は存在しません。また、法規制により上限額が定められており、物件の価格によっては特例が適用されます。

仲介手数料の上限

不動産会社が受け取る仲介手数料には、宅地建物取引業法に基づく国土交通省の告示により定められた上限額があります。従って、上限額を超える仲介手数料の請求は法令違反にあたることを押さえておきましょう。

不動産会社に対する仲介手数料は、「物件価格に応じて一定の料率を乗じて得た金額を合計した金額」以内と定められています。物件価格(成約価格)に応じた仲介手数料の上限を、簡易的に求める速算式は以下の通りです。

成約価格(税抜)仲介手数料の上限(速算式)
200万円以下(成約価格×5%)+消費税
200万円超~400万円以下「(成約価格×4%)+2万円」+消費税
400万円超「(成約価格×3%)+6万円」+消費税

速算式で使用されている「+2万円」「+6万円」という追加金額は、仲介手数料の計算を簡略化するためのものです。速算式を使わずに仲介手数料を計算するときは、「200万円以下」「200万円超~400万円以下」「400万円超」のそれぞれを分けて計算し、合算する必要があります。なお、いずれの計算法でも、算出される総額は同じです。

仲介手数料の計算例

では、実際に仲介手数料の上限を計算してみましょう。売買価格(成約価格)にもとづく計算方法は、以下の通りです。なお、成約価格が800万円以下の場合は、後述する特例で、不動産会社は原則による上限を超えての受領が可能です。

成約価格仲介手数料の上限(速算式)仲介手数料(税込)
1,000万円(1,000万円×3%)+6万円+消費税10%39万6,000円
2,000万円(2,000万円×3%)+6万円+消費税10%72万6,000円
3,000万円(3,000万円×3%)+6万円+消費税10%105万6,000円
4,000万円(4,000万円×3%)+6万円+消費税10%138万6,000円
5,000万円(5,000万円×3%)+6万円+消費税10%171万6,000円
1億円(1億円×3%)+6万円+消費税10%336万6,000円

売買価格1,000万円の売買にかかる仲介手数料を、速算式を使わずに求めると以下のようになります。

・200万円以下:200万円×5%=10万円
・200万円超~400万円以下:200万円×4%=8万円
・400万円超:600万円×3%=18万円
・10万円+8万円+18万円+消費税10%=39万6,000円

低廉な空き家の売買における仲介手数料の特例

2024年7月に、空き家等に係る媒介報酬規制の見直しが行われ、物件価格が800万円以下の低廉な空き家等を売買する際に仲介手数料を上限まで受け取れるようになりました。ただし、不動産会社は、媒介契約の締結時に、依頼者へ説明し合意を得ることが必要です。

具体的には、800万円以下の低廉な空き家等においては、不動産会社が受領できる報酬の上限は、一律で30万円+消費税に変更されました。低廉な空き家等と定義される物件として、「空き家」だけでなく、「居住中の土地・建物」「土地」「区分所有建物」も対象です。また、対象者も変更され、売主だけでなく買主も含まれるようになっています。

空き家の流通促進が課題になっている一方で、空き家は低価格で取引され、仲介手数料も安くなる傾向があったため、この特例によって改善が期待されています。

不動産売買にかかる仲介手数料の計算

不動産売買の仲介手数料は安く抑えられる?

仲介手数料は、不動産売買でかかる費用のなかで大きな割合を占めるため、安く抑えたいと考える方もいるでしょう。安く抑えるためには「不動産会社に値引き交渉する」「仲介手数料が安い不動産会社に依頼する」といった方法が考えられます。ただし、仲介手数料が安い分、売却活動のやりとりやアフターフォローが手薄になったり、そもそも媒介契約を結びたいためだけに価格を下げているため期待している活動を行ってくれなかったりする可能性も考えられます。

従って、仲介手数料の安さだけで不動産会社を決めることはおすすめできません。実績が豊富な不動産会社と媒介契約を交わし、少しでも高値で売却できたほうが、結果的には売主が受け取れるお金が増えることになるでしょう。仲介を依頼する不動産会社は、信頼できるかどうかを見極めて慎重に選ぶことが大切です。

●不動産売却の仲介手数料が安い場合の注意点についてはこちら

仲介手数料の値引き交渉

仲介手数料以外に必要となる諸費用

不動産を売却する際には、仲介手数料のほかにも諸費用がかかります。実際にどのような諸費用があるのか、事前に確認しておきましょう。

諸費用の内訳概要
売買契約時の印紙代課税文書に課される税金で、成約価格によって異なる
登記関係費用抵当権抹消登記や司法書士への報酬など
測量費用土地や一戸建ての取引では必要になる場合があり、境界の確定状況や隣接地の状況等により費用が異なる
引越し費用荷物の量や移動距離によって異なる
建物解体費用取引条件等により必要となる場合があり、費用は建物面積等諸条件により異なる
所得税・住民税マイホームを売却して譲渡益が出たときに課税される税金。税率は短期所有、長期所有により異なるが、3,000万円の特別控除が利用できる場合もある

不動産売却でかかる費用

不動産売買の仲介手数料に関するよくある質問

不動産売買における仲介手数料について、よくある質問にお答えします。

仲介手数料に消費税はかかる?

不動産売買の仲介手数料には消費税がかかります。一般的な商品やサービスと同様に、仲介手数料の消費税率も10%です。

消費税は、日本国内の事業者が商品やサービスなどを提供する取引に対して課されるもので、消費者が負担し、事業者が納付します。仲介手数料は、不動産会社に仲介業務の対価として支払うお金であり、居住用・事務所用にかかわらず課税されます。

仲介手数料の勘定科目は?

仲介手数料の勘定科目は、不動産を購入するか売却するかによって異なります。たとえば、不動産を売却した場合の仲介手数料は「支払手数料」として計上します。反対に、不動産の取得にかかる費用として扱われるため、不動産を購入した場合は、「土地」や「建物」の勘定科目に加算されます。

不動産にかかる仲介手数料の疑問

不動産売却をご検討中なら三井のリハウスへ

この記事では不動産売買にかかる仲介手数料の概要と上限額や計算例など、主に不動産売却を例にしてご紹介しました。今後、不動産売却を考えている方は、仲介手数料について正しく理解することが大切です。

三井のリハウスでは、累計100万件以上に上る取引実績をもとに不動産売却をサポートしています。所有している不動産の推定売却価格が分かれば、仲介手数料の目安も把握できるでしょう。不動産売却をご検討中の方は、無料査定からお気軽にご相談ください。

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不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/