いま注目の沿線、通勤通学に便利なターミナル、人情が残る下町の魅力

目次
  1. 一人暮らしの女性にも優しく費用も安い賃貸物件の選び方
2016.07.24

今年の春、大学進学や就職を機に一人暮らしを始めた方も多いことでしょう。とくに地方から、東京や大阪、名古屋などの大都市圏に引っ越してきた場合、街を歩く人の速さ、コンビニの数の多さ、電車の終電時間の遅さ、豊富なテレビのチャンネル数など…あらゆることに毎日、驚いていることと思います。

しかし一方で、夏になったいま頃が、いろいろな面で不満を感じ始める時期でもあります。その不満のひとつが住み始めたばかりの物件・部屋かもしれません。

「不動産屋さんに連れられて見に来たときは、都会とは思えないほど静かで、家賃も安かったことから、すぐに入居を決めました。ところが、住み始めてわかったことですが、隣との仕切りの壁が薄く、テレビの音やケータイでの話し声が丸聞こえ状態。また、床板も薄く、夜遅くまで上の階で子どもが走り回る音が響いています。不動産屋さんと部屋を見に来たのが昼すぎの時間帯で、居住者の大半が不在なんで静かだったんですね。東京だから多少騒がしいのは覚悟していましたが、これほどうるさいとは想定外でした」(都内に住むサラリーマンのAさん)

今後、気に入った物件には、いろんな時間帯に訪れ、騒音について調べると固く誓ったAさんは、南九州の山間部出身。夜になれば部屋の蛍光灯が発する「ブーン」というわずかな音さえ聞こえるほどの静寂に包まれていたようです。それだけに、上下左右に他人が住み、生活音の嵐に翻弄されるという経験はかなりの衝撃だったに違いありません。

ただ、Aさんはまだ住み始める以前に物件を自分の目で確認していますが、同じく地方から上京して都内で働くOLのBさんは、引っ越し当日に初めて自分が住む部屋に入ったそうです。

一人暮らしの女性にも優しく費用も安い賃貸物件の選び方

「物件探しだけでなく、住む部屋を決めるのもネットで済ませる人はけっこういて、高校の同級生も内見なしで部屋を決めました。私の場合、大好きだったドラマの主人公がこの街に住んでいたので、一人暮らしするなら、どうしてもここに住むと決めていたんです。だから、引っ越して来たばかりの頃は、オシャレな街並を見るだけでも嬉しかったですね。ところが、人気の街だけに家賃も高く、お給料の半分は家賃で消えました。それに、近くには安いスーパーはないし、どの店もセレブ価格だから暮らしはたいへんで、毎日節約のことばかり考えていたんです。結局、2年間の契約更新前に引っ越すことになりました」(都内で働くOLのBさん)

一時は落ち込んでいたBさんでしたが、現在も都内に住んでおり、以前とは見違えるほど笑顔の満ちた毎日を送っているとのことです。

「当時、私が住んでいた街は人気路線の『千代田線』にありました。その沿線で次の引っ越し先を探すと、同じ都内なのにかなり格安の物件が見つかったんです。もちろん、最初に住んでいた街とは様子が全然違って“下町風”なんですが、好きな街に一本で行けるからいいかなと、思い切って決めちゃいました。私はラブストーリーも好きですけど、『寅さん』がいるような下町の雰囲気も大好きなんです」(Bさん)

偶然、同郷だった大家さんと意気投合し、安くて美味しいお店をたくさん紹介してもらえたと、Bさんは語ってくれました。また、お店で知り合った町内会の幹部に誘われ、お祭りの時期にはお神輿を担ぐなど、地域にも溶け込んでいる様子も話してくれました。

最後に都内の不動産に精通するジャーナリストがこう指摘します。

「東京23区内での家賃相場は、比較的に西側が高く東側は低いという『西高東低』を示します。とくに、東京メトロ『日比谷線』沿線の広尾や恵比寿といった女性に人気があるエリアは非常に高いですね。ただし、日比谷線も東側に行けば上野や北千住といった庶民的な街につながっているんです。『千代田線』も表参道、乃木坂といった高級感のある街と、千駄木、根津といった下町風情が色濃く残る街とを結んでいます。人気の高い街へ住むことに固執するのではなく、その街へ移動しやすく、暮らしやすい場所で部屋を探すことに切り替えられたら、ずいぶんと選択肢が増えるはずです」

ときには背伸びをして頑張ってみることは大切です。しかし、足元を見つめることはもっと大事とされます。人生をより豊かにさせるためには、肩肘張らずに視界を広げて自分らしい部屋探しをすることが第一歩といえそうです。