一戸建ての査定|流れや評価のポイントを不動産売却のコツと併せて解説!

不動産を売却する場合には、その物件にどのくらいの価値があるのか不動産会社に依頼して算出してもらう「査定」を受けることが一般的ですが、一戸建てを売却する際も同様です。この記事では一戸建ての査定の概要や受ける際の流れ、見られるポイントなどについて解説します。

目次
  1. 一戸建ての無料査定とは?
  2. 一戸建ての査定は2種類
  3. 一戸建ての査定額はどのように計算される?
  4. 一戸建ての査定で準備するべきことは?
  5. 一戸建て査定の流れ
  6. 一戸建ての査定で見られるポイントは?
  7. 一戸建て査定を受ける際の注意点
  8. 一戸建ての売却を検討中ならまず査定を依頼しよう
記事カテゴリ 売却 一戸建て
2023.10.02

一戸建ての無料査定とは?

一戸建てを売却する場合は、マンションや土地の売却の際と同様に不動産会社へ無料査定を依頼することが一般的です。査定とは物件の価値を調査し、どのくらいの価格で売却できそうかの予想価格を算出することをいいます。

不動産を売却する際には実際に売り出す価格となる「売り出し価格」を決める必要があり、売り出し価格は不動産会社の査定によって算出された査定額(査定価格)を参考に設定します。また家の住み替えを検討している場合にも、次の物件を購入する際に必要な費用が支払えるかどうか、事前に確認できるため、査定は役に立ちます。

査定を初めて受ける方のなかには「どうやって依頼すればいいの?」「査定の流れは?」と、疑問や不安を抱いている方も多いのではないでしょうか?この記事では一戸建ての査定の特徴や査定を受ける際の流れ、査定で見られるポイントなどについて解説します。まずは査定の種類から詳しく見ていきましょう。

●家の売却に関する記事はこちら
【家の売却ガイド】初めて不動産を売る人向けの基礎知識

●家の住み替えに関する記事はこちら
住み替えの方法や費用など、戸建て・マンション別に解説

一戸建ての雑貨

一戸建ての査定は2種類

一戸建ての査定は「簡易査定」と「訪問査定」の2種類で、売却の検討段階に応じて選ぶ査定方法が異なります。それぞれの特徴を把握し、状況に合った査定を選びましょう。

簡易査定

簡易査定とは築年数や所在地、面積などの物件情報や、類似物件の取引価格などをもとに算出する査定方法です。不動産会社の営業担当者は物件を訪問せず、データのみを利用して査定を行うため、「机上査定」とも呼ばれています。簡易査定は、Webやメール、電話などで依頼でき、査定結果が数日以内で得られるため、手軽に受けられるといった点がメリットです。

一方で、査定の精度は実際に物件を訪れて査定を行う訪問査定のほうが高くなります。そのため、まだ売却の意思が固まっていない方や、とりあえずおおまかな査定額だけ知りたいという方に適しています。

●簡易査定に関する記事はこちら
簡易査定を受けるメリットは?不動産売却を成功させるコツも併せて解説!

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社の営業担当者が実際に物件を訪れて調査を行う方法です。簡易査定で参考にする情報に加えて、日当たりや建物の状態、周辺環境など現地を訪れることで得られる情報も考慮して査定額を算出するため、精度の高い査定結果を得ることができます。

ただし、訪問査定は不動産会社の営業担当者を家に招く必要があり、日程調整や準備に手間がかかるうえ、査定結果が分かるまでは翌日~1週間程度かかることが一般的です。そのため、より細かい査定額を知りたい方や、売却の意思が固まっている方におすすめです。

一戸建ての査定額はどのように計算される?

査定額の算出方法には「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3種類があります。一戸建ての場合、土地価格は「取引事例比較法」、建物価格は「原価法」を用いて算出されることが一般的です。

土地付き一戸建ての査定方法の解説

取引事例比較法とは、売却したい物件と類似する取引事例をもとに価格を算出する方法で、土地やマンションの査定で利用されることが多いです。この方法では、類似した事例を多く保有し、最新のデータを使用するほど査定結果の精度が高くなるため、取引実績が豊富な不動産会社に査定を依頼することがおすすめです。

一方で原価法とは、所有する一戸建てを再建築した場合に発生するコストをもとに価格を算出する方法をいいます。まず、再建築した場合のコストを計算し、そこから築年数の経過に応じて減価修正を行います。近年の一戸建ての査定では、築30~35年程度で建物価格をゼロと査定する傾向があります。

原価法の計算式は「査定額 = 坪単価 × 総面積 × (耐用年数 - 築年数) ÷ 耐用年数」となります。実際に計算してみましょう。

〈例〉 面積30坪、築15年の木造一戸建てで、再建築した際の費用が坪50万円の場合

坪50万円 × 30坪 = 1,500万円
1,500万円 × (35年 – 15年) ÷ 35 = 約857万円

上記の一戸建ての査定額は約857万円となります。

以下の記事では「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」について解説しています。査定額の算出方法について詳しく知っておきたい方はチェックしてみてくださいね。

●査定額の算出方法に関する記事はこちら
不動産査定とは?方法や流れについて、不動産売却を成功させるポイントと併せて解説

一戸建ての査定で準備するべきことは?

一戸建ての査定をスムーズに進めるには、事前準備が大切です。後々のトラブルを避けるのにも役立つので、以下に挙げる項目を確認しておきましょう。

一戸建ての模型と、虫眼鏡

所有者名義を確認しておく

査定では、売却したい物件の所有者と売主が同一人物かどうかを確認する「真の所有者の確認」が行われます。所有者を確認できる登記簿謄本は、あらかじめ不動産会社が訪問査定の際に取得していることが一般的です。

不動産の所有者と売主が同じであれば問題ありませんが、相続した不動産の場合、「所有権移転登記」を行っておらず、所有者と売主が一致しないことがあります。所有権移転登記とは登記簿謄本の名義を新たな所有者に変更することで、手続きを行っていないと買主が所有者を確認できないため、実質的には売却できないということになります。

そのため相続した一戸建てで所有権移転登記をまだ行っていない場合は、速やかに行うようにしましょう。またスムーズに査定を進めるためにも、登記簿謄本の所有者が誰になっているのかを事前に確認しておくことがおすすめです。

●所有権移転登記の手続きに関する記事はこちら
所有権移転登記とは?費用や必要書類、手続き方法を解説

一戸建て

境界線を確定する

査定を受ける前には、土地の境界線を確定しておくことも重要です。境界が未確定の土地はすぐに売れないため、不動産会社によっては査定を断られてしまうこともあります。境界線が定まっていない場合は、専門業者に測量を依頼して境界線を確定させてから査定・売却を進めるとよいでしょう。

相場を理解しておく

不動産会社の提示する査定額が適正か判断するために、自分でも一戸建ての相場を調べておきましょう。相場を調べるには、国土交通省が公表している「土地総合情報システム」を活用する方法があります。土地総合情報システムでは、全国の都道府県を対象エリアとして、過去に取引された一戸建てや土地の取引価格を手軽に調べることが可能です。

また「レインズ マーケットインフォメーション」でも相場を確かめることができます。レインズ マーケットインフォメーションとは公益法人不動産流通機構が運営しているオンラインシステムで、不動産の取引情報が掲載されています。ぜひ活用してみてくださいね。

●土地総合情報システムはこちら
国土交通省 | 土地総合情報システム

●レインズ マーケットインフォメーションはこちら
成約価格を基にした不動産取引情報提供サイト REINS Market Information

一戸建て査定の流れ

ここからは査定の主な流れをご紹介します。不動産査定を行うにあたって必要な情報や書類についても、併せてチェックしていきましょう。

[ 1 ] 簡易査定に必要な情報を把握

訪問査定を受ける前に簡易査定を受ける場合には、不動産会社に以下の情報を伝えられるようにしておきましょう。

・住所
・物件の種類(土地、一戸建て、マンション)
・面積
・築年数
・間取り

[ 2 ] 簡易査定

必要な情報がそろったら、Web上のフォームやメールから簡易査定を依頼しましょう。査定結果は電話やメールで数日中に伝えられます。なお売却の意思が固まっている場合には、初めから訪問査定を受けることがおすすめです。

[ 3 ] 訪問査定で必要な情報や書類の準備

訪問査定を依頼する不動産会社によって必要な情報や書類は異なるため、事前に何が必要か確認しておくとよいでしょう。書類を準備しておくことで訪問査定をスムーズに進めることができます。以下の表に準備しておくとよい書類をまとめました。ぜひチェックしてくださいね。

書類名内容と取得方法
登記済証(権利証)または登記識別情報通知書不動産の所有者を証明する書類
固定資産税納税通知書固定資産税の納税額が明記されたもの
毎年4~6月ごろに自宅に郵送されてくる
間取り図間取りや部屋の広さが記載されたもの
購入時に受け取る
確定測量図土地の境界が確定していることを証明する書類
建売住宅や分譲地であれば購入時に受け取っていることが一般的

不動産営業担当者が訪問査定をする様子

[ 4 ] 訪問査定

次に訪問査定を依頼する不動産会社の営業担当者と日程調整を行います。訪問日当日までに、必要最低限の掃除を行っておくとよいでしょう。

訪問査定の際には、建物の劣化部分や設備の故障があれば、必ず不動産会社の営業担当者に伝える必要があります。万が一、劣化や故障の報告に漏れがあった場合は、売却後のトラブルにつながる恐れがあるため注意が必要です。

加えて、過去にリフォームしている場合も修繕履歴を不動産会社の営業担当者に伝えるようにしましょう。省エネリフォームや耐震リフォームを行っている場合、建物の価値が上がる可能性があります。そのほか、キッチンのリフォームは、内覧者の好印象につながりますし、人工大理石の天板や、デザイン性の高い水栓金具を使ったキッチンは、高級感があり、特に人気があるでしょう。

●三井のリハウス無料査定はこちらから

[ 5 ] 査定結果を受け取る

訪問査定の査定結果は、一般的には翌日~1週間程度で営業担当者から査定書の形で送られてきます。追加で役所での物件調査が必要になる場合は、査定結果が出るまで時間がかかることもあります。

●不動産査定書に関する記事はこちら
不動産査定書とは?記載内容や、見るべきポイント、依頼方法をまとめて解説

訪問査定で査定結果を得た後は、不動産仲介会社と媒介契約を結びます。売主と買主を仲介する不動産会社とは、売却活動中にコミュニケーションを取る機会が多くなるため、信頼のおける不動産会社を選択するようにしましょう。

●媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

●不動産会社の選び方に関する記事はこちら
不動産売却はどこがいい?大手不動産会社のメリットや選び方のコツを解説

一戸建ての査定で見られるポイントは?

中古住宅の査定では、建物自体の状態から周辺環境まで見られる箇所はさまざまです。ここからは、査定額に影響を与えるポイントをご紹介します。

家を模った木

築年数

建物の価値は築年数が経過するほど下がっていくことが一般的です。木造一戸建て住宅の場合、築30~35年を超えると建物の価値はゼロに等しくなります。

建物の価値がなくなっても土地の価値は残るため、査定額がゼロになるというわけではありませんが、建物自体には価格がほとんど付かなくなります。物件によっては更地にして売却することを検討してみるとよいでしょう。

●古民家売却に関する記事はこちら
古民家売却を成功させるには?売却方法と費用を解説

一戸建ての室内

建物の状態

建物の状態も評価を左右する要因の1つです。建物の外部と内部、それぞれのポイントについてご紹介します。

外部
査定では屋根や外壁などの塗装剥がれ、雨漏り、破損箇所などがチェックされます。築年数が経過している建物の場合は、木材が腐食していないかどうかも見られるポイントです。なお外装を修繕することは内覧者にとって好印象になりますが、修繕費用を売却で回収できるかどうかを考えて行う必要があります。

そのほか建物の傾きも重要な評価対象です。建物が傾く主な原因としては、「不同沈下」や「施工不良」などが挙げられます。不同沈下とは地盤の固さや建物の負荷のかかり方によって地盤が歪み、不均等に建物が地中に沈み傾くことで、施工不良とは地盤改良や杭工事が不十分だったことによる建物の傾きが築年数の経過によって表れることです。

建物に傾きがあると住み心地や安全性に影響するため、査定額が下がってしまう恐れがあります。瑕疵(かし)物件として低い価格で売却する、修繕してから売却するといった対策を検討するとよいでしょう。

内部
日当たりや風通しが悪い物件は評価が下がる傾向があります。室内の管理状態も重要で、壁紙やフローリングが劣化していないか、部屋が清潔に保たれているか、水回りの設備に故障はないかなども見られるでしょう。

一方で、ベランダや窓から有名な山やランドマークが見えたり、景色をさえぎる障害物がなく周辺が一望できたりする眺望のよい物件は好評価につながります。そのほか高級システムキッチンやお風呂の追い炊き機能などが付いている場合も、プラスに働くでしょう。

土地

土地も一戸建ての査定の評価対象になります。土地は立地がよいほど査定額が高くなることが一般的です。また、土地の形状も重要な要素の1つです。間口が広く奥行きが短めの長方形であればプラスに働くでしょう。

また土地の方向や、道路に面している土地が何方向あるかによっても評価は変わります。評価が高まりやすいのは、日当たりのよい南東向きの角地です。

土地には「用途地域」というものがあり、地域によって建築できる建物の用途が決められています。一戸建てやマンション、大型商業施設などさまざまな建物を建てることができる地域であれば、用途の多様性が高いため、土地の評価も上がる傾向があります。

周辺環境

建物や土地だけでなく、周辺環境も重要な評価項目の1つです。プラスになるポイントには建物から最寄り駅までの距離や、近くに商業施設があるかどうかなどが挙げられます。

一方でマイナス評価を受けやすいポイントもあります。たとえば最寄り駅に停車する列車の本数が少なかったり、夜間でも交通量の多い大きな道路が近かったりするケースです。また周辺施設も評価に影響を与えることがあり、騒音や安全面でマイナスの印象が付きやすい繁華街や、産業廃棄物処理場、墓地、下水処理場などの嫌悪施設が近くにあると、評価が下がりやすくなります。

一戸建ての模型

一戸建て査定を受ける際の注意点

実際に一戸建ての査定を受ける際には、次に挙げる2点に注意しましょう。注意点を把握したうえで査定を受けることはトラブルを防ぐことができ、スムーズな売却活動につながります。

瑕疵や不都合な情報を隠さずに伝える

シロアリ被害や雨漏りなど建物に関する瑕疵が見つかった場合は、隠さずに不動産会社の営業担当者に報告しましょう。

瑕疵とは建物や土地の欠陥や不具合のことです。物件の引渡し後に契約内容とは異なる瑕疵が見つかった場合、修繕の請求や損害賠償、契約解除など、売主責任を追及される恐れがあります。

●瑕疵担保責任に関する記事はこちら
瑕疵担保責任とは?不動産売買前に知りたい情報を解説

中古物件の売却を検討している方のなかには、「念入りに確認しても売却後に瑕疵が見つかって責任を問われないか不安」と感じる方もいるのではないでしょうか?そのような方は「インスペクション(住宅診断)」を利用することがおすすめです。インスペクションを行うことは買主にとっても安心材料となるため、売却がしやすくなる可能性もあります。

●インスペクションに関する記事はこちら
インスペクションとは?メリットや依頼先の選び方をご紹介

三井のリハウスで実施している不動産取引の安心サービス「360°サポート」では、売買契約前の設備チェックを行っています。建物の状態について事前に知りたい方は、気軽にお問い合わせください。

●360°サポートについてはこちらから

査定額の根拠を聞く

不動産会社から査定額を提示されたら、その根拠を具体的に聞いてみましょう。根拠を聞くことで、提示された査定額が適切かどうか判断できます。また可能な範囲で取引事例を見せてもらうとよいでしょう。

先述の通り、売り出し価格は査定額を参考に設定します。売り出し価格が高過ぎると家が売れ残ってしまったり、低過ぎると相場よりも低い価格で売却し、損をしてしまったりすることもあるため、注意が必要です。

また不動産会社の営業担当者とは売却活動を行ううえでかかわる機会が多くなります。訪問査定の際には直接会話ができるため、信頼できるか、相談しやすいかなどを確認しておくとよいでしょう。

不動産契約時の握手

一戸建ての売却を検討中ならまず査定を依頼しよう

ここまで一戸建ての査定の概要や受ける際の流れ、査定で見られるポイントなどについて解説してきました。

査定は一戸建てを売る際の最初のステップとなります。家の売却を成功させるには、査定結果をもとに資金計画を行うことが重要です。住宅ローンの残債がある場合は売却で得た資金で完済できるか、次の家に住み替えるための資金は十分か、売却時に発生する税金は支払えるかなど、事前に検討しておきましょう。

査定は取引実績が豊富な不動産会社に依頼するのがおすすめです。豊富なデータに基づく精度の高い査定を行ってもらえるほか、売却に関するさまざまな不安や疑問も相談できます。不動産会社については企業のサイトや口コミなどでも調べられるため、さまざまな情報を踏まえて信頼できる不動産会社を選んでくださいね。

売買仲介取扱件数が100万件を超える三井のリハウスでも無料査定を受け付けているので、一戸建ての売却を検討中の方はぜひ一度ご相談ください。

●無料査定のご依頼はこちらから

●一戸建ての売却に関して詳しく知りたい方はこちら

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/