築20年のマンションの資産価値は?売却の相場や購入時の注意点について解説

築20年のマンションは、購入時と比較して価値が大きく下がっておらず、売りやすい点がメリットの1つです。今回は、築20年のマンションを売却する際の注意点や、購入する際でのチェックポイントについて解説していきます。

目次
  1. 築20年のマンションの資産価値はどのくらい?
  2. 築20年のマンションはいつまで住める?
  3. 築20年のマンションを売却するメリット
  4. 築20年のマンションを購入するメリット
  5. 築20年のマンションを売却・購入する際の注意点
  6. メリットを生かして早めの売却を心がけよう
記事カテゴリ 売却 購入 マンション
2024.03.28

築20年のマンションの資産価値はどのくらい?

築20年のマンションは、売却時に資産価値が大きく下がらないのが大きな特長です。以下は、東日本不動産流通機構が2024年に発表した、「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」※1における、中古マンションの築年帯別平均価格を示したグラフです。

中古マンションの築年帯別平均価格

※1

このグラフを見てみると、築26~30年以降の成約価格は、それ以前と比べると大きく下がっており、価値の減少の具合が大きいことが分かります。従って、築20年程度のマンションを保有し、売却を検討している売主にとっては、まさに今が売り時といえるでしょう。

このように、築20年のマンションは資産としての価値が残っており、好条件で売却できる可能性が高いといえます。とはいえ、ある程度の築年数が経過しているため、売却の際にはポイントを押さえる必要があることもまた事実です。

そこで今回の記事では、築20年のマンションが持つ資産価値に加えて、築20年のマンションを売却・購入する際のメリットや注意点、ポイントなども併せてお伝えします。

築20年のマンションはいつまで住める?

早稲田大学理工学部 教授 小松幸夫氏の「建物の寿命と耐用年数」※2によると、2011年の調査では、鉄筋コンクリート造(RC造)である家屋の平均寿命は約68年であるとされています。これは築20年のマンションの場合、残り約50年間住めることを意味し、ライフステージによっては十分な期間であるといえるでしょう。

しかし、68年という寿命は決してマンションの物理的な寿命ではありません。というのも、小松幸夫氏によると、もともとアルカリ性である鉄筋コンクリートは、空気中の二酸化炭素によって中性化していくことで劣化が進行しますが、こうした劣化は補修して回復させることが可能であるためです。

つまり、マンションにいつまで住めるかは、施工段階での技術にもよりますが、機能性を維持するメンテナンスを日頃からどれだけ行っているかに左右されるといえます。

築20年のマンション

築20年のマンションを売却するメリット

築20年のマンションを売却するメリットは主に以下の2つです。

・十分な需要が見込まれる
・大規模修繕前に売却できる

十分な需要が見込まれる

東日本不動産流通機構によると、2023年1~12月における首都圏の中古マンションの対新規登録成約率は、築16~20年の場合、24.8%であるとしています。※1

対新規登録成約率とは、1年間で成約された物件数を新規登録された物件数で割ったもので、最も売れ行きがよい築6~10年のマンションの成約率が32.1%であることを考えると、まだまだ売り時といえるでしょう。

また、首都圏における中古マンションの成約価格は、築25年までとそれ以降では、後者のほうが価格の下がり幅が大きくなる特徴があります。設備の劣化といった築年数の経過に伴うメリットの減少が主な原因ですので、築20年前後のマンションを売却したいと考えている方は早めの売却をおすすめします。

大規模修繕前に売却できる

大規模修繕はおよそ12年に1回行われるのが一般的です。築20年のマンションの場合は、築24年目頃の大規模修繕がそろそろ視野に入るため、修繕にかかる費用を賄うために修繕積立金が増加する可能性があります。

実際、国土交通省による「平成30年度マンション総合調査」によれば、平成30年度のアンケートに回答した管理組合のうち、段階的に修繕積立金を増額する方式を採用した管理組合は43.4%となっています。※3

加えて、同調査に回答した全国1,529の管理組合のなかで、現在の修繕積立金残高が計画に比べて余剰があると答えた割合は33.8%しかないことからも、今後の修繕費負担は大きくなる可能性が高いといえます。※3

売却によって住み替えを検討しているなかで、追加の費用負担は避けたいところです。さらに大規模修繕が始まってしまうと、マンションの売却活動は進めにくくなります。そのため、築20年のマンションを所有していて売却を検討している場合は、できるだけ早めの売却を心がけましょう。

大規模修繕中のマンション

築20年のマンションを購入するメリット

築20年のマンションは、購入する側にもメリットがあります。主なメリットは以下の3つです。

・税金の負担が少ない
・新耐震基準に適合している
・物件の選択肢が増える

税金の負担が少ない

固定資産税は、家屋部分と土地部分それぞれの評価額(課税標準額)に自治体ごとの税率をかけて課税されます。家屋部分の評価額は、マンションを再建築した場合にかかる費用に経年減価補正率をかけて求めますが、築20年のマンションの経年減価補正率は0.5054となっています。

従って、築20年のマンションの建物評価額は新築時の約半分となり、結果として築浅のマンションに比べて固定資産税の負担が軽くなるのです。

新耐震基準に適合している

2024年現在に築20年であるマンションは、新耐震基準が制定された1981年6月以降に建築されていることになります。新耐震基準は旧耐震基準と比べ、震度6強~7程度の地震についても被害が軽減できるように対策を求めている点が大きく異なります。2014年から2024年までの10年間で、震度6強以上の地震は10回以上発生していることから、新耐震基準を満たしたマンションは、安心という観点で捉えても魅力が高いといえるでしょう。

新耐震基準を満たしたマンションは安全性が高いのはもちろんのこと、住宅ローン控除を受けるための要件を満たしていることも買い手にとって魅力的なポイントです。

●住宅ローン控除について詳しくはこちら
国土交通省 | 住宅ローン減税

さまざまな物件の選択肢

物件の選択肢が増える

中古のマンションは新築マンションよりも在庫数が多いほか、現在と比べマンション用地に余裕があったため、比較的好立地の物件を選べるといったメリットがあります。また、専有面積が近年縮小傾向にある新築分譲マンションに比べて、広い住まいに出会える可能性が高く、このように中古マンションを視野に入れると、物件の選択肢を広く持つことができます。

築20年のマンションを売却・購入する際の注意点

築20年のマンションを売却・購入する際は、住宅ローンの融資期間が短くなってしまう点に注意しましょう。住宅ローンの融資期間は金融機関の評価によっても異なりますが、原則「法定耐用年-築年数」で決まるため、その場合、法定耐用年数が47年である築20年のマンションを購入する際の借入期間は27年となります。

これは一般的な借入期間である30~35年よりも短いため、売り手としては早期の売却、買い手としては余裕を持たせた資金計画を意識することで、売却・購入のハードルを下げることができるでしょう。

マンション売却の注意点

メリットを生かして早めの売却を心がけよう

これまで、築20年の中古マンションの資産価値や、売却・購入時のメリット・注意点についてご紹介してきました。築20年のマンションを売却する際は、資産価値を維持し、買い手側のメリットを消失させないためにも、早めの売却が重要であるといえます。

築20年のマンションをスムーズに好条件で売却するためには、まず高精度な査定の依頼と、適切な売り出し価格の設定が必要です。三井のリハウスでは、豊富な取引実績と地域密着型の店舗展開を生かして、お客さまの売却・購入活動をサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

●マンション査定のお申し込みはこちら

●マンション売却をご検討中の方はこちら

●リハウスAI査定はこちら

※1出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年),東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2024年3月15日)

※2出典:建物の寿命と耐用年数,小松幸夫
https://www.f.waseda.jp/ykom/KO201603.pdf
(最終確認:2024年3月15日)

※3出典:「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」,国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001287570.pdf
(最終確認:2024年3月15日)

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html