媒介とは?仲介との違いや契約種類をわかりやすく解説

不動産売買でよく聞く「媒介(ばいかい)」とは、売主と買主、貸主と借主などとの間を取り持ち、取引を成立させることを意味します。不動産の売買や賃貸などの仲介を不動産会社に依頼する際に不動産会社と交わす「媒介契約」には3種類あり、自分に合ったものを選ぶことが大切です。今回は、仲介との違いやその種類について解説します。

目次
  1. 媒介とは?
  2. 媒介と仲介の違い
  3. 媒介契約は3種類
  4. 媒介契約で迷ったらどうすればいい?
  5. 媒介契約後の費用
  6. 【体験談あり】媒介契約で押さえるべきこと
  7. 契約は信頼できる不動産会社としよう
記事カテゴリ 売却
2024.09.13

媒介とは?

不動産売買を検討していると、「媒介(ばいかい)」や「仲介」など慣れない不動産用語に出会うことがあります。

一般的に媒介とは、両者の間に入って仲立ち(なかだち)をすることです。そのなかでも、不動産取引においての媒介とは、「不動産を売りたい売主や、貸したい貸主」と、「不動産を買いたい買主や、借りたい借主」の間に入り、売買契約や賃貸借契約を成立させることを意味します。

不動産業界において、「媒介」という言葉は、宅建業法(宅地建物取引業法)で定められた媒介契約や媒介の種類を示す取引態様を表すときに使用します。媒介契約とは、不動産の売却や賃貸を希望する際、売主や貸主が仲介を依頼するときに不動産会社と結ぶ契約のことです。媒介契約には3種類あり、それぞれにメリットや注意点があるため、自分の状況に合った契約方法を選ぶことが大切です。

媒介契約の種類

そこで今回は、不動産売買を検討している方に向けて、媒介についての基礎知識や、媒介契約の選び方などについて解説していきます。

売買契約の場で握手する営業担当者

媒介と仲介の違い

不動産取引において仲介とは、売主と買主や、貸主と借主の間に立って手続きや契約をきちんと成立させ、取引を最後まで完了させることです。調査や手続きといった行為を含む点に媒介との意味の違いがあります。不動産仲介会社は、こうした売買や賃貸に関連するやりとりをサポートする存在です。なお、媒介契約を結び契約が成立した場合に発生する成功報酬のことは、「媒介手数料」ではなく、「仲介手数料」といいます。

マンションや一戸建て、土地などの不動産を売却したいときは、売主は買主を探してもらうため、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。このときに不動産会社と取り交わす契約が先ほどご紹介した「媒介契約」となります。

不動産会社に仲介を依頼せず(媒介契約を結ばず)、個人間で取引を行うことも可能です。また媒介契約を締結した場合でも契約の種類によっては、売主が自ら買主を見つけて売買契約を結ぶ「自己発見取引」ができます。しかし、不動産の専門知識のない一般個人間で取引を行うのはリスクが伴うものです。必要な確認や告知事項、条件などに不備があると、買主とトラブルにつながる恐れもあるため、媒介契約を結び、不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

家を媒介契約で売買する男性

媒介契約は3種類

媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。売主が、売却の仲介を不動産会社に依頼する際、3種類のなかから自分に合った媒介契約を選択します。

項目一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
自己発見取引できるできるできない
不動産会社との媒介契約複数可1社のみ1社のみ
契約の有効期間指定なし最長3か月最長3か月
レインズ(指定流通機構)への登録任意媒介契約締結日の翌日から7営業日以内媒介契約締結日の翌日から5営業日以内
業務の報告義務任意2週間に1回以上1週間に1回以上

レインズとは、登録した宅地建物取引業者だけが利用できる、不動産取引の対象物件情報を交換するためのネットワークシステムのことです。物件情報がレインズに登録されると、登録している全国の宅地建物取引業者に物件情報を共有できます。レインズには、募集中の物件情報のほかに、成約情報といった過去の取引情報や登録業者情報なども掲載されています。

上記の一覧をもとに、それぞれの媒介契約の特徴を見ていきましょう。

家の模型

一般媒介契約

一般媒介契約は、媒介(仲介)の依頼先や自己発見取引、契約期間に制限がなく、売主の自由度が高い一方で、レインズへの登録や不動産会社からの売主への進捗報告も任意であることが特徴です。

また、一般媒介では、売主が「明示型」と「非明示型」のどちらかを選択できます。その違いは、不動産会社と媒介契約を結ぶ際、ほかの不動産会社との媒介契約の有無を知らせるか知らせないかにあります。明示型のほうが不動産会社からのサポートが得られやすく、売買の取引がスムーズに進む可能性が高まるため、知らせたくない理由が特にないという方は明示型を選択しましょう。

メリット・複数の不動産会社へ媒介(仲介)を依頼できる
・広く物件の情報を公開でき、人気物件であればより早く、希望に近い条件で売却できる可能性がある
・レインズへの登録義務がないため、逆に物件情報を公開しないようにすることも可能
注意点・複数の不動産会社へ依頼した場合、進捗状況の整理や依頼先への伝達については、自身で管理しなければならない
・レインズへの掲載義務がないため、実際に物件が公開されているかどうか分からない
・報告義務がないため、進捗状況について聞かないと分からない
向いている人・売却活動を1社に任せるのが不安
・信頼できる特定の不動産会社を見つけられていない
・売却活動を自分でコントロールしたい
・事情があって広く物件情報を公開したくない
・自己発見取引の可能性がある

なお、レインズへの登録は任意となっていますが、登録したほうが広く物件情報が流通して商談の機会が増えるため、特段の事情がなければ一般媒介契約であってもレインズへの登録を不動産会社にお願いするほうがよいでしょう。また、一般媒介契約でしばらく買主が決まらなかった場合や、一般媒介契約を依頼した先で「ここに任せたい」という会社が見つかった場合、専任媒介契約や専属専任媒介契約へ切り替えることもできます。

●一般媒介契約について詳しくはこちら

不動産の前に立つ男女

専任媒介契約

専任媒介契約は、不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約方法であり、自己発見取引が可能という特徴があります。

メリット・レインズへの物件情報登録が義務付けられているため、不動産会社を介してより多くの購入検討者に紹介される可能性がある
・不動産会社に2週間に1回以上の業務活動報告義務があり、きちんと進捗報告を受けられる
・依頼先は1社のみであるため、自身で進捗を管理する必要がなく、手間がかからない
・自己発見取引も可能である
注意点・依頼先が1社と限られているため、期待する売却活動等をしてもらえない場合でも、契約期間中は他社に依頼できない
向いている人・売却活動にかかる手間を少なくしたい
・信頼できる特定の不動産会社が決まっている
・活動報告をきちんと受けたい
・自分で買主を見つけられる可能性がある

なお、専任媒介契約で依頼して、最長3か月経過しても売却できなかった場合、他社へ依頼先を変えたり、一般媒介契約へ変更したりすることが可能です。

●専任媒介契約について詳しくはこちら

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、売主の自己発見取引ができない分、専任媒介契約と比べても不動産会社への依存度がより高い媒介契約といえます。従って、仮に自分で買主を探すことができたとしても直接取引はできず、不動産会社を通さなければなりません。

メリット・レインズへの物件情報登録が義務付けられているため、不動産会社を介してより多くの購入検討者に紹介される可能性がある
・業務活動報告の義務が1週間に1回以上で、活動状況をこまめに把握でき、安心できる
・依頼先は1社のみであるため、自身で進捗を管理する必要がなく、手間がかからない
注意点・依頼先が1社と限られているため、期待する売却活動等をしてもらえない場合でも、契約期間中は他社に依頼できない
・依頼した不動産会社と他社の営業活動が比較できないので、活動内容が適切なのかが分かりにくい
・自己発見取引ができない
向いている人・売却活動にかかる手間を少なくしたい
・信頼できる特定の不動産会社が決まっている
・高い頻度で活動報告をしてほしい
・自己発見取引の予定がない

専属専任媒介も依頼後、最長3か月経過しても売却できなかった場合には、他社へ依頼先を変えたり、専任媒介、一般媒介契約へ変更したりすることができます。

媒介契約について話す様子

媒介契約で迷ったらどうすればいい?

媒介契約には3種類あるため、どれを選べばよいのか分からない方もいるのではないでしょうか?そのような方に向けて、今回はリアルな実態を三井のリハウス社員に聞いてみました!気になる疑問について、不動産売却のプロの見解をご紹介します。

不動産の媒介契約はどれがおすすめ?

やりとりが大変でもよいのでとにかく早く売りたい方や仲介会社を競わせたい方は一般媒介契約がよいでしょう。一方で、やりとりは最小限に抑えたいという方は専任媒介契約、専属専任媒介契約がおすすめです。

一般媒介契約と専任媒介契約・専属専任媒介契約の一番の違いは、売却活動のやりとりを複数社とするか1社とするかです。一般媒介契約の場合、複数社とやりとりする必要があり、特に大変なのが内覧(内見)でしょう。内覧の数が多いのはよいことではありますが、その分、日時のやりとりや希望時間がかぶったときの調整が大変です。また、複数の会社・複数の買主さまから内覧の希望をいただいた場合、優先順位を付けにくいという難点もあります。一方で、専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、1社とやりとりすればよいので、コミュニケーションが煩雑にならずに済みます。

一般媒介契約のメリットは、各社のポータルサイトに物件が掲載されるので情報の広がりが早く、購入はA社からしかしないという各社お抱えの買主さまにも目に入るという点です。これまでの経験だと、7~8割くらいの売主さまが専任・専属でご契約されますが、A社と専任・専属で契約したものの売れず一般媒介契約に切り替えるパターンもありますね。

査定結果がすごく高い会社と低い会社、どっちがいいの?

査定結果では、まず査定額が提示されたうえで、売り出し価格が提案されます。査定額は、不動産会社各社が基本的には同じ方法(査定額原価法・取引事例比較法・収益還元法)で算出するので大きく変わることはありません。一方で、売り出し提案価格は各社の販売戦略や営業担当者によって異なります。

たとえば、現在の不動産市況であれば、査定価格が5,000万円の物件の場合、下記のような具合です。

A社:売り出し提案価格 5,480~5,680万円
B社:売り出し提案価格 5,580~5,880万円
C社:売り出し提案価格 5,980~6,280万円

極端に高い売り出し提案価格を参考に売り出し価格を決めても、買い手が見つからなければ売り出し価格を下げることになるので、単純に提案価格が高いというだけで媒介契約を結ぶ会社を選ぶのは禁物です。高値に惑わされず、金額の根拠を説明できる会社を選ぶのがおすすめです。

媒介契約後の費用

媒介契約後、不動産会社に販売活動してもらう場合でも活動中に費用は発生しません。ただし、売却活動中に売主が特別な広告を依頼した場合の費用は、依頼者の負担になります。また、上記3種類の媒介いずれの場合も、不動産会社経由で売買(取引)が成立した場合には、仲介手数料が請求されます。なお、仲介手数料は成功報酬であるため、成約しなければ不動産会社への支払いは発生しません。

仲介手数料の金額は、どの媒介契約であっても、宅建業法(宅地建物取引業法)により定められている上限までになります。具体的には以下の計算式で上限金額の算出が可能です。

成約価格(税抜)仲介手数料の計算式
400万円超「成約価格(税抜) × 3% + 6万円 」+ 消費税
200万円超~400万円以下「成約価格(税抜) × 4% + 2万円」 + 消費税
~200万円以下「成約価格(税抜) × 5%」 + 消費税

仲介手数料がこの上限額を超えると、法令違反にあたります。なお、仲介もサービスの提供にあたるため、別途消費税が必要です。仲介手数料の詳しい計算方法については下記の記事でご紹介しています。

●仲介手数料に関する記事はこちら

媒介契約の仲介手数料と書かれたブロック

【体験談あり】媒介契約で押さえるべきこと

不動産売却において、どの不動産会社と、どの媒介契約をするか迷っている方もいるでしょう。そんなときは、実際に売却を経験した方の体験談を参考にするのがおすすめです。今回は、三井のリハウスで媒介契約をし、不動産売却を経験された方のリアルな体験談を一部抜粋してご紹介します。

【体験談の集計概要】
三井のリハウスが独自に集計した体験談を掲載しています。
募集期間:2024年3月1日~2024年3月31日
対象者:三井のリハウスで不動産売買をしたことがある方
回答人数:14,281人
調査方法:Webでのアンケート

専任媒介契約は不動産会社選びが重要

専任媒介契約は、1社のみとの契約になるため、どの不動産会社と契約するかが売却の成功を左右するでしょう。専任媒介契約の有効期間は最長3か月であるため、買い手が見つからない場合は契約を更新せずに他社に切り替えるのも1つの手です。

【60代・自宅を売却した方の体験談】
私の場合、契約して1週間もたたないうちに購入申し込みがあり、室内の写真掲載が間に合わない時点で即売却ができました。これには驚いております。さすが三井の集客力!三井という安心のブランドと信頼です。手数料を支払う価値ありです。今度の引越し先のマンションも三井一択です。

【30代・不動産会社を変更してマンションを売却した方の体験談】
マンションの売却は当初ハウスメーカーの不動産部門に任せていました。しかし、思うように販売が進まなかったため、専任媒介契約を解除してリハウスさんに依頼したところ、無事に希望条件範囲内で物件を売却することができました。広範囲な販売ネットワークと地域密着の両立、また内見希望に対して迅速丁寧に対応いただけたことが結果に結びついたように感じました。ありがとうございました。

一般媒介契約は、担当者の対応をよく確認する積極性が重要

一般媒介契約は、契約期間に制限がなく、不動産会社から売主への進捗報告も任意です。そのため、積極的に売却活動をサポートしてくれる会社がある一方で、不動産会社によっては担当者から連絡がほとんど来ないということも考えられます。だからこそ、一般媒介契約で売却活動をする場合は、不動産会社に任せきりにせず、各社の担当者の動きを見て積極的にかかわることが重要です。もし、連絡がなかったり、対応に不安があったりする場合は、売主側から担当者に進捗を確認したり、要望を伝えたりしましょう。

【70代・相続した不動産を売却した方の体験談】
誠実さを感じ任せられると判断して媒介契約を締結したのが2023年11月、そして12月には売買契約を交わし2024年3月には譲渡完了しました。短い期間で売却できたのは、タイムリーに情報提供いただき、課題に対応いただいた担当者のおかげと感謝しています。

【50代・土地を売却した方の体験談】
土地の売却を一般媒介契約でお願いしました。大変失礼ながら、当初はあまり期待せずに「数打ちゃ当たる」と複数取引社の1つとして考えておりました。ところが、三井のリハウスのご担当者の動きが最も誠意を感じました。結果としても満足のいく取引価格で成約することができ、感謝してもしきれません。

【50代・自宅を売却した方の体験談】
チーム制で手厚い対応でした。初めから三井さんに専任でお願いしていれば、もう少し早く、かつ高く売却していただけたのではと思っています。

契約は信頼できる不動産会社としよう

不動産会社に仲介を依頼して不動産を売却する場合、まずは媒介契約の種類によって何が違うのか、自分に合った媒介契約はどの契約なのか、ご紹介した内容を踏まえて検討しましょう。そのうえで、所有する不動産が納得いく形で売却できるよう、信頼できる不動産会社と自分に合った媒介契約を結んでくださいね。

不動産会社が自分に合っているか、信頼できるかどうかは、不動産査定の際に担当者の対応で見極めましょう。根拠のある査定額を提示してくれるか、担当者の対応は丁寧か、自分の質問や疑問に対して納得のいく回答が得られるかといった観点から判断できます。

三井のリハウスでは、100万件を超える累計取扱件数と三井不動産グループの総合力を生かして、精度の高い無料査定を行っています。各地域に密着して展開しているため、それぞれのニーズや特性を考慮し、お客さまに合った不動産取引のご提案が可能です。ぜひ一度ご活用ください。

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秋津智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。