不動産売却にはコツがある!納得できる売却のための6つのポイント

不動産売却を上手に進めるためには、「査定」「不動産会社選び」「媒介契約方法」「売り出し価格設定」「売却スケジュール」「内覧」に関してそれぞれコツがあります。今回は、不動産売却を行ううえで知っておきたい6つのポイントについてお伝えします。

目次
  1. 不動産売却で押さえるべき6つのポイント
  2. [ポイント1] 複数の不動産会社に査定を依頼する
  3. [ポイント2] 信頼できる不動産会社を選ぶ
  4. [ポイント3] 自分に合った媒介契約にする
  5. [ポイント4] 適切な価格設定にする
  6. [ポイント5] 余裕のある売却スケジュールにする
  7. [ポイント6] 内覧の際はできるだけきれいにしておく
  8. 不動産売却は慎重に行い、後悔のないように!
記事カテゴリ 売却
2022.04.04

不動産売却で押さえるべき6つのポイント

不動産売却を検討している人のなかには「具体的にどんなことに気をつければよいのだろうか?」と悩みを抱いている人もいるのではないでしょうか?
不動産を売却することは人生に何度もあることではないので、売却活動を進めるには不安がつきものですよね。

そこで今回は、不動産売却の際の不安解消に役に立つ6つのポイントをご紹介します。
ポイントとしては以下の6つが考えられます。

・複数の不動産会社に査定を依頼する
・信頼できる不動産会社を選ぶ
・自分に合った媒介契約にする
・適切な価格設定にする
・余裕のある売却スケジュールにする
・内覧の際はできるだけきれいにしておく

それぞれのポイントについて具体的に見ていく前に、不動産売却の大まかな流れを知っておくことが大切です。実際に不動産を売却する際は、以下のような流れで進めていきます。

・事前準備
・査定、媒介契約
・販売活動
・売買契約
・決算・引渡し
・確定申告

●売却の流れについて詳しくはこちら
【三井のリハウス】売却の流れ

家の模型と握手する手

[ポイント1] 複数の不動産会社に査定を依頼する

売却したい不動産がどのくらいの価格で売れそうなのか、不動産会社に査定を依頼する際は1社のみにお願いするのではなく、複数の不動産会社に依頼しましょう。複数の不動産会社に査定してもらうことで、物件のおおむねの相場を把握することができます。

同じ物件でも、依頼する不動産会社によって査定額に差が出てきます。そのため、複数の不動産会社から適正な査定額を提案してくれた会社のなかから絞ることで、より納得のできる売却につながる可能性も高くなるでしょう。

また、複数の不動産会社に査定を依頼することで、各不動産会社の特色や担当者の対応の違いなどを比較することができるため、さまざまな角度から不動産会社を判断することができます。

加えて、不動産会社に査定を依頼する前に自分であらかじめ相場を調べておくこともおすすめします。自分で相場を調べておくことで、不動産会社に提示された査定額を見た際も、適正な数値のかどうかを判断しやすくなるため、より安心といえるでしょう。

物件の相場を知るには、「土地総合情報システム」や「レインズマーケットインフォメーション」などのサイトを用いて調べることができます。

土地総合情報システムは、国土交通省が発表している不動産の取引情報サイトです。一方のレインズマーケットインフォメーションとは、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営している相場を調べることができるサービスです。ほかにも不動産ポータルサイトを見て、売りたい不動産と似た物件から相場を知ることもできます。

●不動産の相場を把握したい人はこちら
【三井のリハウス】不動産売却・査定・相談

査定には、簡易査定(机上査定)と訪問査定の2種類があります。ここからは、2つの査定のそれぞれの特徴を見ていきましょう。

不動産査定

簡易査定(机上査定)

簡易査定は机上査定とも呼ばれ、ネットや電話で依頼して、立地や築年数、取引事例などの不動産情報を基に机上で査定額を出す方法です。簡易査定のメリットとしては、訪問査定と比較すると、すぐに査定結果が分かるため、手軽に情報を知ることができるという点があります。

しかし、簡易査定は実際に物件を見て査定を行うわけではなく、限られた情報から判断して出された査定のため、訪問査定に比べると正確さに欠けるということがいえます。

訪問査定

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地調査を行って査定価格を算出する方法です。簡易査定で集めた情報に加え、物件を実際にプロの目で見て確認したうえで査定額を出すので、適正価格に近い査定額を把握することができます。

また、訪問査定を行う場合は担当者に直接会って話しながら確認することができるので、その時点で不動産会社ごとの対応のよさを把握できるでしょう。不動産会社の対応のよしあしが分かると、実際に仲介を依頼する際の会社の判断基準になります。

より丁寧な不動産会社の場合は、査定以外にも法務局や役所での調査を行い、不動産の権利関係を調べてくれるケースもあります。

訪問査定の場合は、訪問日を決めるために、事前に電話でのやり取りが必要になったり、訪問査定当日は担当者が家に来る前に掃除しておいたりと訪問までの手間が増えるといえます。また、査定結果は、一般的に1週間から10日かかるため、すぐには査定額が分からないということも注意しましょう。

●家の査定に関する記事はこちら
家の査定とは?スムーズな売却のために知っておきたい基礎知識

住宅の模型とルーペ

[ポイント2] 信頼できる不動産会社を選ぶ

複数の不動産会社に査定を行ってもらい、そのなかから売却の仲介を行ってもらう不動産会社を選びますが、この不動産会社選びも重要です。依頼する不動産会社が違うだけで、今後の売却活動がスムーズに行えるかどうかが変わってきます。

そのため、不動産会社を決める際は、しっかりと丁寧に最後まで、こちらの要望に合わせながら、進めてくれる不動産会社かどうかを見極めることが必要です。ここからは、どういった点に注意して不動産会社を決めるべきかをご紹介します。

査定結果をしっかりと説明できる

査定結果をしっかりと説明できるかどうか確認してみましょう。なぜその査定価格にしたのか、明確な理由を説明できない場合は、今後の売却活動を安心して任せることができるとはいえません。最近の市場動向を踏まえて、分かりやすく納得感のある説明ができる担当者であれば、信頼度が高いといえるでしょう。

充実したサポート内容がある

売却活動は数か月にわたって行っていくものです。そのため、不安に思ったり、疑問があったりする際に、丁寧にサポートしてくれる不動産会社であれば、円滑に売却活動を進められるでしょう。基本的な法律に関する相談や、売却後の困りごとへのサポートをしてくれるかどうかも確認しておきましょう。

具体的な売却活動を示せる

どういった方法で販売活動を行っていくのかを具体的に確認しましょう。納得のいく査定価格を提示されたからといって、販売活動の方法や計画が明確に決まっていないと、うまく売却活動を進めていくことはできません。どういった広告手法で不動産を売っていくのか、売却までをどういった計画で進めていくのかを確認するようにしましょう。

住宅模型とビジネスパーソンの模型

見込み客を抱えている

依頼した不動産会社の顧客のなかに既に購入希望者がいる場合、早い売却につながる可能性があります。自分と同じエリアで同じような物件を、探している購入希望者がいるかどうかを確認してみましょう

囲い込みをしない

囲い込みとは、後述する「専任媒介」や「専属専任媒介」と呼ばれる契約をしている際に、売主から依頼された物件をほかの不動産会社に買主を見つけさせないことを指します。不動産会社が囲い込みを行う背景には、自社が抱えている顧客間で売買してもらうことで、売手と買手の双方から手数料を得られることが挙げられます。

囲い込みをされてしまうと、他社の不動産会社から購入希望者の報告があったとしても、紹介を断られてしまいます。そのため、売手側はかなり不利な立場になってしまうので、囲い込みが行われていないかチェックしましょう。

[ポイント3] 自分に合った媒介契約にする

納得のいく売却にするためには、媒介契約の形態も重要な要素になってきます。媒介契約とは、不動産の売買を行う際に不動産会社と結ぶ契約です。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあり、ここでは、それぞれの特徴と注意点を紹介します。

●媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?媒介契約の種類や選び方を紹介

一般媒介契約

一般媒介契約とは、3つの媒介契約のなかで最も売主の自由度が高い契約です。一般媒介契約は、同時に複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができて、売主は不動産会社が仲介してくれた購入希望者以外にも、売主自身が探してきた買主と直接契約を交わすこともできます。1社の不動産会社に売却活動を任せるのが不安という人は一般媒介契約が向いているかもしれません。

一般媒介契約には、明示型と非明示型があります。明示型は、不動産会社と媒介契約を結ぶ際、ほかの不動産会社にも、媒介契約を結ぶ旨を伝える必要があります。一方の、非明示型の場合は、ほかの不動産会社との媒介契約を各不動産会社に伝える必要がありません。

また一般媒介契約は、レインズへの登録義務がありません。レインズとは、全国の物件情報が登録されているネットワークシステムを指します。加えて、一般媒介契約には、不動産会社が行う活動状況の報告義務がありません。そのため、一般媒介契約を結ぶ場合は、定期的に連絡を行ってほしいと不動産会社に伝え、売主からも定期的に進捗確認を兼ねた連絡をとると、早い売却につながるといえるでしょう。

なお、一般媒介契約の場合、不動産会社のなかには、積極的に売却活動を行ってくれないことがあります。なぜなら複数の会社と契約できる形態であるため、頑張っても他社に先を越されてしまい、報酬としての仲介手数料を得られない可能性があるからです。

加えて、不動産会社が独自に提供するサービスを受けられない場合があります。不動産会社のなかには、専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んだ売主に対して、ハウスクリーニングや建物調査を無料で行うなどのサービス提供を行っていることもあります。

提供サービスの内容も踏まえて一般媒介契約とそのほかの契約の内容を比較し、検討しましょう。

不動産会社の担当者と売主

専任媒介契約

専任媒介契約は、3つの媒介契約のなかで、ほかの2つの媒介契約の特徴をそれぞれ持った契約です。専任媒介契約では、1社の不動産会社のみと媒介契約を結び、一般媒介契約と同様に自分で買主を探すことができます。

専任媒介契約は、媒介契約の締結の日から7日以内にレインズへの登録が義務付けられています。レインズへの登録が行われると、多くの不動産会社に物件情報が公開されるため、より売却できる可能性も広がります。

また、不動産会社には、2週間に1回以上の活動報告の義務があります。そのため、一般媒介契約と比べて定期的に売却状況を把握しやすいという点はメリットといえるでしょう。
また、契約できるのが1社のみのため、一般媒介契約と比較して積極的な販売活動を行ってもらいやすいという点もあります。

しかし逆をいえば、囲い込みをされてしまうと売却に時間がかかってしまう点には注意が必要です。また、1社の不動産会社の担当者と売却を進めていくので、担当者の腕次第で希望通りの売却が実現しない可能性があることも理解しておきましょう。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、3つの媒介契約のなかで最も売主の自由度が低い契約です。専属専任媒介契約では、1社の不動産会社のみと媒介契約を結び、自分で買主を見つけることも禁止されています。

専属専任媒介契約では、媒介契約の締結の日から5日以内にレインズへの登録が義務付けられています。また、不動産会社に対する売主への報告が1週間に1回以上と義務付けられています。ほかの2つの媒介契約と比較すると、売却状況を一番把握しやすく、より積極的な売却活動を期待できるといえるでしょう。

しかし、先述した通り、専属専任媒介契約の場合は、自分で買主を見つけることも禁止されており、売却活動のよしあしも担当者の手腕による点には注意が必要です。

ここまで3つの媒介契約についてご紹介してきました。それぞれにメリットと注意点があることを理解したうえで、自分にあった契約を選択するようにしましょう。

[ポイント4] 適切な価格設定にする

信頼できる不動産会社と媒介契約を結んだ後、いよいよ不動産の売り出し価格を設定しますが、売り出し価格が高ければよいというわけではありません。適切で確実に売れる価格設定にすることも、売却を進めていくうえでは重要な要素になってきます。そこで、適切な価格設定はどのように見極めればよいのかを、解説していきます。

まず、不動産を納得のゆく額で売却するために不動産会社と相談のうえ決めるのが売り出し価格です。売り出し価格は、高過ぎると購入希望者が見付かりづらくなり、安過ぎると納得のいく額での取引ができません。あくまでも相場に見合った適正な額を設定することが重要です。

なお、最終的に売買契約を交わし買い手が支払う額を成約価格といいます。成約価格は売り出し価格と必ずしも一致しません。一般的に実際の成約価格は、売り出し価格よりも下がるとされています。そのため、どの程度の価格なら妥協できるのか最低ラインを決めておき、可能な限りで、自分の納得できる価格を設定するようにしましょう。

契約を結ぶ女性

しかし、売り出し開始から3か月以上たっても、購入希望者が現れない場合は、設定価格が高過ぎる可能性があります。その場合は、不動産会社の担当者と相談しながら、値引きすることも検討したほうがよいかもしれません。

[ポイント5] 余裕のある売却スケジュールにする

理想的な売却を実現させるためには、余裕のあるスケジュールを組むことも大切です。不動産売却は平均して3か月~6か月かかるとされています。そのため、売却を決めたら早めに行動するようにしましょう。具体的にそれぞれの行程におよそどのくらい時間がかかるのか見ていきましょう。
大まかな行程と、目安の期間は以下の表の通りです。

行程目安の期間
不動産査定から媒介契約を結ぶまで2週間~1か月
売り出してから買主が決まるまで2~3か月(場合によっては6か月以上)
売買契約を結び、決算、引渡しまで2週間~1か月

立地や築年数などの不動産の条件や、売り出す季節によっては上記の表よりも長くかかる場合もあります。また、買主が住宅ローンを利用する場合は、審査にも時間がかかるため、さらに1か月前後の日数がかかってきます。加えて、古い家を取り壊して引渡す場合は、さらに時間がかかるので、不動産の売却を考え始めたら、早めに動き出すことをおすすめします。

ハウスクリーニングのスタッフ

[ポイント6] 内覧の際はできるだけきれいにしておく

購入希望者により「買いたい」と思ってもらうために、内覧の際にはできるだけきれいにしておきましょう。一戸建てやマンションなどの建物の場合、汚れが目立つと、購入希望者の物件に対する購買意欲を下げてしまう可能性があります。目立つ汚れをそのままにして引渡しすると、買主側から修繕費用がかかるとして価格の値引き交渉を求められることも考えられます。そうならないように、内覧前にはできるだけきれいな状態にしておきましょう。

特に、トイレやバスルームなどの自分で掃除する限界のある水回りは、ハウスクリーニングを依頼するのも1つの手です。ハウスクリーニングには、日常の掃除を代行する業者や、専門技術や特殊機器を使用した掃除を行っている業者などさまざまな種類があります。ハウスクリーニングを依頼する際は、どこをきれいにしたいのかを明確にしてそれに見合った専門業者を選ぶようにしましょう。

不動産売却は慎重に行い、後悔のないように!

ここまでご紹介してきたように不動産を売却するにはさまざまなコツがあります。なかでも大きなポイントとしては、頼れる不動産会社を選ぶことが挙げられます。納得のできる不動産売却を目指すには、不動産売却の実績があり、豊富な情報を持ち、親身になってくれる不動産会社を選びましょう。

そのような不動産会社の担当者であれば、分からないことや不安なことを相談しても、丁寧にアドバイスをしてくれるでしょう。信頼度の高い担当者と一緒に、より理想に近い売却を目指しましょう!

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/