不動産売却の仲介手数料はいくら?そのほかの売却費用を抑える方法についても解説

家や土地などの不動産を売買するときには、仲介手数料や税金などさまざまな手数料がかかります。今回は、仲介手数料の意味や相場価格、売却時にかかるそのほかの費用についても解説していきます。

目次
  1. 不動産売却には仲介手数料がかかる!
  2. 仲介手数料とは?
  3. 仲介手数料の相場は?
  4. 仲介手数料は安いほうがいいの?
  5. 仲介手数料以外にかかる費用
  6. 不動産売却にかかる税金を軽減する方法
  7. 不動産売却は頼れる不動産会社へ
記事カテゴリ 売却 費用 税金
2023.07.07

不動産売却には仲介手数料がかかる!

家や土地などの不動産を売却するときには、さまざまな費用がかかります。そのなかでも大きいものが不動産会社に仲介を依頼し、売却する際にかかる仲介手数料です。金額は物件の売却価格によって変わり、場合によっては高額になることもあります。

納得のいく不動産取引を行うためには、こうした売却時にかかる費用についてもあらかじめしっかり理解しておくことが必要です。

そこで今回は、不動産売却をする際にかかる仲介手数料についてお伝えします。相場や計算方法に加え、仲介手数料以外にかかる費用もご紹介します。

家の模型と電卓

仲介手数料とは?

仲介手数料とは、不動産会社に販売活動をしてもらい、無事に不動産が売れたときの「成功報酬」として支払う費用を指します。晴れて売買が成立すれば、不動産会社には仲介手数料を請求する権利が発生するということです。逆に、物件の売買契約が成立しなかった場合は、仲介手数料を請求されることはありません。

不動産イメージ

●媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

仲介手数料の内訳

不動産を売却する際には、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。このときに売主と不動産会社は媒介契約を結びます。契約を結んだ後、不動産会社はチラシを配布したり、情報サイトを介して物件情報を公開したりと、売主の売却活動をサポートします。

一般的に仲介手数料に含まれるのは、販売活動の過程で発生した物件情報サイトへの情報掲載料や、購入検討者の見学といった営業活動費、人件費などです。また、不動産会社は営業活動だけでなく、売主と買主の間に入って契約条件を調整したり、契約書類を作成したり、契約から引渡しまでの事務手続きなども行います。こうした各種手続きに対する代行費用も、仲介手数料には含まれています。

一方で、上記のような業務以外にも、通常行わない種類の測量や売主の要望によって追加で広告を出したときには、最終的に仲介手数料とは別で費用を請求されることがあります。

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料を支払うタイミングは、買い手が見つかり売買契約を締結した後です。不動産会社にもよりますが、契約時に50%、引渡し時に残りの50%を支払うのが一般的です。売買契約を結ぶ際に、不動産会社から支払いのタイミングに関する説明があります。

ちなみに、仲介手数料は成功報酬ですが、次のような場合は売却がキャンセルになっても支払う必要があります。

・不動産売買契約を締結した後に、売主が売却をやめた
・不動産売買契約を締結した後に、買主が代金を支払わなかった

このように、売主・買主いずれかの故意もしくは過失によって債務不履行が発生したときには、仲介手数料の支払い義務は免れません。直前で契約解除することにならないよう、スケジュール管理や資金計画などは、あらかじめよく検討するようにしましょう。

電卓と家の模型を持つ女性

仲介手数料の相場は?

仲介手数料は、不動産の売却価格によっては大きな金額になる可能性があります。ここでは、「実際いくらぐらいかかるのか」「相場はあるのか」といった、仲介手数料の金額に関する疑問を見ていきましょう。自分で金額を把握できる計算方法もご紹介します。

家の置物とお金

仲介手数料には上限がある

実は、不動産会社が受け取る仲介手数料には「相場」というものはありません。代わりに、宅地建物取引業法により定められた上限額があります。不動産会社は、この上限額を超えて仲介手数料を請求することはできませんが、上限額以内であれば、自由に金額を決めることができるようになっています。

仲介手数料の上限額は以下の通りです。

不動産の売買価格(税抜)仲介手数料の上限
200万円以下建物の売買価格(税抜) × 5% + 消費税
200万円超~400万円以下建物の売買価格(税抜) × 4% + 2万円 + 消費税
400万円超建物の売買価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税

仲介手数料の計算例

では、実際に仲介手数料を計算してみましょう。

仮に不動産を4,000万円で売買した場合、不動産の売買価格(税抜)が400万円を超えているので、上記の式に当てはめると仲介手数料は以下のようになります。

4,000万円 × 3% + 6万円 = 126万円(税抜)

上記の仲介手数料には、消費税が課税されます。消費税は、事業者が提供するサービスや商品に課せられるもので、不動産仲介も不動産会社が行うサービスにあたるためです。

消費税(10%)を加算すると、仲介手数料は以下の通りです。

126万円 + 10%(12万6,000円) = 138万6,000円(税込)

●詳しい仲介手数料の計算方法に関する記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?計算の仕方や負担を抑える方法を解説!

電卓

仲介手数料は安いほうがいいの?

仲介手数料は、不動産会社の報酬に直結するため、安い仲介手数料を提示する不動産会社と安易に契約してしまうと、積極的な販売活動をしてくれないケースがあります。そのため、仲介手数料の安さだけで、不動産会社を決めるのは控えましょう。特に中古物件では、不動産の売り方次第で売却価格が100万単位で変わることもあります。

適切な不動産会社を選ぶには、仲介手数料の安さだけにとらわれず、「物件をスムーズに高く売ってくれる」会社を選ぶようにしましょう。その際に役立つ指標として、実績があるかを見るのがおすすめです。実績の多さは不動産売却についての知識や経験が豊富であることを示すため、その不動産会社が信頼できるかどうかの指標となるでしょう。

積み上げられた小銭と家の模型

仲介手数料以外にかかる費用

不動産売却をする際には、仲介手数料以外にもさまざまな費用がかかります。どのような費用がかかるのか、1つずつ見ていきましょう。

税金

不動産を売却するときには、次のような複数の税金が発生します。

印紙税
印紙税は、売買契約書の作成時にかかる税金です。契約書に収入印紙を貼り付けることで納税することができます。納税額は、契約書に記載される取引金額によって異なります。

印紙税は、不動産売買契約書にあたっては、売主と買主が平等に負担するのが一般的です。また、不動産会社が不動産を売却した場合は領収書にも収入印紙が必要ですが、個人が売主となってマイホームを売却した場合、領収書に収入印紙は必要ありません。

不動産売買契約書の印紙税額は以下の通りです。

記載金額印紙税額(本則)印紙税額(軽減措置)
50万円以下のもの400円200円
100万円以下のもの1,000円500円
500万円以下のもの2,000円1,000円
1,000万円以下のもの1万円5,000円
5,000万円以下のもの2万円1万円
1億円以下のもの6万円3万円

なお、不動産売買契約書の印紙税額は軽減措置により、2024年3月31日まで本則の半額の税額が適用されます。

登録免許税
登録免許税とは、不動産の登記手続きを行う際に納める税金です。不動産売却に際しては、金融機関から借りていた住宅ローンを完済し、不動産に設定されていた抵当権を抹消するときにかかる税金のことを指します。抵当権付きの不動産を売却することは難しいため、不動産を売却する際には、住宅ローンを完済して、抵当権を抹消するようにしましょう。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1つにつき一律1,000円かかります。また、司法書士に依頼するときは、別途報酬として、1~2万円の費用が発生します。

●抵当権抹消に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

譲渡所得にかかる税金
不動産を売却したときに得られる利益を譲渡所得といい、譲渡所得にかかる所得税と住民税を合わせて譲渡所得税と呼ぶこともあります。これらの税金は、実際には所得税と住民税として徴収されます(2037年までは復興特別所得税として、所得税の2.1%を併せて納付)。売却時の譲渡所得の計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 不動産の売却価格 – 取得費用 – 譲渡費用

また、譲渡所得にかかる税率は、不動産の所有期間によって異なります。所有期間5年を基準に、5年超と以下のそれぞれで、次のような税率になります。

所有期間税率(所得税 + 住民税 + 復興特別所得税)
5年以下の土地・建物(短期譲渡所得)39.63%
5年超の土地・建物(長期譲渡所得)20.315%

不動産

そのほかの諸費用

仲介手数料や税金以外にも、不動産売却には以下のような費用がかかります。

住宅ローン返済手数料
売却する不動産に住宅ローンが残っている場合は、一括返済するために、金融機関の事務手数料がかかります。手数料は金融機関ごとに異なるほか、窓口、電話、オンラインといった手続きの仕方によっても異なるので注意しましょう。

ハウスクリーニング費用
住宅はきれいなほうが売れやすいため、購入希望者の内見の前にハウスクリーニングをする人もいます。ハウスクリーニングは、部屋の大きさや間取り、居住しているかどうかによっても料金が異なります。

建物解体費用
マンションではなく一戸建てを売却するときは、必要に応じて建物を解体することがあります。建物の解体は不動産会社に依頼するか、自分で専門業者を探して依頼するようにしましょう。解体費用の目安は、木造で坪単価が2.5~5万円、鉄骨造が3.5~7万円、鉄骨コンクリート造が4.5~8万円となっています。ただし、重機が入りやすい土地か、隣人への配慮が必要かなど解体のしやすさによって、費用が変動することがあります。

また、解体業者は金額の安さだけでなく、サポート内容も加味して検討するようにしましょう。周りの住民に配慮して防塵シートや防音パネルで覆ったり、近隣住民に解体工事の日時を書面で事前に配布したりといった配慮をしてもらえるかどうかも確認してみてくださいね。このような配慮があることで、トラブルを防ぐことができますよ。

●解体費用に関する記事はこちら
家の解体費用の相場は?費用を左右するポイントや安く抑える方法について詳しく解説

引越し費用
不動産を売却した際、次に住む家へ引越すための費用もかかります。引越し費用は、引越しの時期や状況によって異なるため、事前に業者へ見積もりを依頼するのがおすすめです。

電卓をたたく女性

不動産売却にかかる税金を軽減する方法

不動産売却にかかる出費は、なるべく抑えたいものですね。といっても、不動産会社の成功報酬である仲介手数料をむやみに値引きしようとすることは得策とはいえません。その代わり不動産売却にかかる税金なら、条件を満たせば抑えられる場合もあります。ここでは、不動産売却時に利用できる税金の軽減措置についてご紹介していきます。

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除とは、居住用の不動産売却時に発生する譲渡所得のうち、3,000万円分の所得までの税金を控除できる制度のことです。利用には以下の条件を満たす必要があります。

・マイホームを、住まなくなってから3年以内に売る
・マイホームを売るまでに土地活用をして利益を得ていない
・売った年から3年前までこの特例を受けたことがない
・売主と買主に親子といった特別な関係がない など

詳しくは以下の記事をご覧ください。

●3,000万円特別控除に関する記事はこちら
居住用財産3000万円控除|不動産売却時に活用できる控除とは?

税金と控除

特定居住用財産の買い換えの特例

この特例は、買い換えを前提に不動産売却をする場合、居住用不動産を取得した際に活用できる特例です。譲渡利益の課税を繰り延べできるので、新居購入の資金を確保しながら、不動産売却を進められます。ただしあくまで繰り延べなので、税金がかからないということではありません。特定居住用財産の買い換えの特例を利用する場合は、以下の条件を満たす必要があります。

・新たに取得する住宅は築25年以内、もしくは耐震住宅
・床面積50㎡以上
・売却年の前年から翌年までの間に、新しい不動産を取得する
・新たに取得する土地面積が500㎡以下
・一定期間の居住を満たす など

詳しくは以下の記事をご覧ください。

●特定住用財産の買い換えの特例に関する記事はこちら
買い替え特例を利用してマイホームの買い替えを有利にしよう!

10年超所有軽減税率の特例

譲渡所得のうち、6,000万円以内の部分については、通常20.315%(長期譲渡所得)の税率が14.21%になる制度のことです。利用条件として、不動産の所有期間が10年以上なら利用できます。ただし、特定居住用財産の買い換えの特例との併用はできないため、注意が必要です。

不動産売却は頼れる不動産会社へ

不動産売却にかかる仲介手数料をはじめとした手数料についてご紹介しましたが、支払うお金のなかでも、仲介手数料は大きな割合を占めています。

ただ、仲介手数料の安さだけで不動産会社を選ぶと後悔することもあるため注意しましょう。不動産会社は不動産売却を納得した方向へと導くパートナーになります。だからこそ、信頼できる不動産会社を選んでいくことが大切です。

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宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けの節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/