マンション査定の注意点とは?損をしないために知っておきたいこと

マンション売却を検討するうえで欠かせないのが「査定」です。今回は、査定を依頼する際に知っておきたい注意点や査定のポイントについてお伝えします。査定を受ける際の参考にお役立てください。

目次
  1. マンション査定の前に注意点を知ろう
  2. マンション査定とは?
  3. 査定を受ける際の注意点
  4. 査定を受けた後の注意点
  5. 査定が下がってしまうポイント
  6. 不動産会社にも注意!
  7. 査定は早めに受けるのがおすすめ
記事カテゴリ 売却 マンション
2022.09.08

マンション査定の前に注意点を知ろう

マンションの売却を検討している人にとって、売却価格がいくらになるのかは、最も大きな関心事の1つですよね。不動産売買で動くお金は非常に高額ですし、マンションがいくらで売れるかによって、売却による損益も大きく変わってくるため、失敗は避けたいところです。

「マンション査定」は、売却価格に影響を及ぼす基準となります。一般的に不動産売買においては、査定額をもとに価格を決めて市場に売りに出されます。購入希望者との交渉次第で、査定額と最終的な売却価格が異なることもあるものの、売却開始時点での価格の判断材料となります。そのため、マンション売却で損をしないために、まずは査定を成功させることが望ましいといえます。

本記事では、「住み替えのために今のマイホームを売却したい」「相続で取得したマンションを売りたい」などと考えている人に向けて、マンション査定で失敗しないための注意点を解説していきます。不動産売却を満足のできるものにするため、ぜひ参考にしてくださいね。

ビルの模型と看板

マンション査定とは?

査定の注意点を見ていく前に、そもそも査定とはどのようなものなのか、その種類や流れを押さえておきましょう。

物件の市場価値をはかるもの

不動産の査定とは、家の売却にあたって、その物件が「いくらで売れそうか」を不動産会社に算出してもらう手続きを指します。売主は、算出された査定価格を参考に、マンションの売り出し価格を決定することになります。

また、査定は以下の2種類に大別されます。

簡易査定(机上査定)
物件を実際に見るのではなく、立地や土地面積、築年数などの情報をもとに、周辺相場や過去の取引事例を参考としながら、売却価格の概算を出す方法です。簡易査定のなかには、同時に複数社に査定を依頼できる「一括査定」もあります。また、簡易査定とは別にAIの計算から素早く査定額が分かる「AI査定」や、匿名で査定を依頼できる「匿名査定」といった種類もあります。

簡易査定は、特別に準備をしておかなくても気軽に受けられる査定であるため、売却を検討段階の人や、売却を急いでいない人が、「マンションの価値をざっくりと知りたい」という場合に有効な査定といえます。

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リハウスAI査定

訪問査定
不動産会社のスタッフが実際に家を見て、正確な査定額を出すものを「訪問査定」と呼びます。簡易査定では考慮されない、経年劣化の状態や周辺環境を時間をかけてチェックしていくため、より精度の高い査定となっています。

訪問査定は、マンション売却を本格的に進めていて、より精度の高い査定額を知りたい人に向いています。

虫眼鏡とビルの模型

マンション査定の流れ

マンションを売却する際の査定の流れは、次のような手順で進められることが一般的です。

[ 1 ] 簡易査定を依頼する(省略してもよい)
[ 2 ] 不動産会社を絞って訪問査定を依頼する
[ 3 ] 現地調査をする
[ 4 ] 査定結果をもらう

査定を受けるにあたって必要な書類は特にありませんが、家の売却に必要となる書類を前もって準備できていることが望ましいでしょう。特に、物件の価値を上げる可能性がある書類は、そろえておきたいところです。たとえば、快適な暮らしを実現する「高性能住宅」は査定額が高くなることから、査定を受ける際に「住宅性能評価書」があれば有利です。

マンション査定の流れや評価項目など、より詳細な情報については、以下の記事で詳しく解説しています。

●査定の基礎知識や必要となる準備に関する記事はこちら
マンションの査定の基礎知識や仲介契約までの流れなどを解説!

査定を受ける際の注意点

マンション査定では、可能な限り高い査定額を出してもらえるよう努めることはもちろん、後日不動産会社や買主との間でトラブルが起きないように気を付ける必要があります。査定を受ける際の注意点を詳しく見ていきましょう。

事前に済ませたい対策

査定を受ける前にしておくべき準備や対策として、以下のことに心掛けましょう。

相場を把握しておく
査定額が妥当なものであるかを判断するため、売却価格の相場を知っておくことが大切です。査定は、簡易査定、訪問査定という順番で進めることもありますが、簡易査定の段階で信頼できる不動産会社かどうかを見極められれば、訪問査定を依頼する会社の候補を絞り込むことができます。ただし、簡易査定は必須ではないため、いきなり訪問査定を依頼しても問題はありません。

査定額の相場感覚は、実際の取引価格や過去の売却価格を見ることでつかめます。具体的には、周辺マンションの売り出し情報のなかから、自分の物件と似たような条件のものの価格を調べてみるほか、「レインズ」を利用するのもおすすめです。レインズとは、国土交通大臣の承認のもと、過去の不動産取引のデータを検索できるサービスです。

グラフと家の模型

複数の不動産会社に依頼する
マンションの査定額は、依頼する不動産会社によって異なる結果を得られることが一般的です。査定額を参考にマンションの売り出し価格を決めていくのですが、マンションの売り出し価格は、高過ぎたら売れませんし、低過ぎても適切とはいえません。

ですから、妥当な査定額を出してくれる、信頼のおける不動産会社かどうかを見極めるために、複数の不動産会社の査定を受けてみることが大切です。

最低限の清掃はしておく
家の劣化や汚れの状態は、査定額を決めるうえでの指標となります。水回りを中心に清掃を行い、家の状態をよく見せることで、不動産会社の印象はよくなります。ただし、掃除の有無は査定額には大きく影響を与えるものではありません。

清掃は、自分でできる程度のもので問題ありません。業者に依頼するハウスクリーニングは出費が大きいので、本格的に売却活動を始めるタイミングで行うとよいでしょう。

故障部分を確認しておく
劣化の激しい箇所や破損した設備があるかを確認し、必要に応じて修繕を検討しましょう。ただし、自己判断で無理に修繕したり、リフォームを行ったりせず、必ず不動産会社に相談するようにしましょう。

三井のリハウスでは、物件の修繕を手助けする「360°サポート」というサービスを実施しています。査定にあたって修繕が必要かどうか分からない場合は、ぜひ利用を検討してくださいね。

●360°サービスはこちらから
360°サポート

不具合をまとめておく
設備の不調や破損など、見つかった不具合箇所については、メモにまとめておきましょう。訪問査定では、不動産会社から不具合についてのヒアリングが行われます。複数社の査定を受けるとき、毎回詳細な質疑を繰り返すのは、とても手間がかかってしまいます。

査定時のNG行動

訪問査定当日は、「瑕疵(かし)を必ず伝える」ようにしましょう。瑕疵とは、取引される家の不具合のことです。不動産売買を行った後に土地や建物に瑕疵が見つかれば、売主側に責任があるとされ、最悪の場合、売却後に契約解除などの責任が追及される恐れもあります。

チェックリストと家と虫眼鏡

査定を受けた後の注意点

査定を受ける前の準備と、査定当日に心掛けるポイントについては、先ほど説明した通りですが、査定を終えて査定額を提示された後も、本格的なマンション売却に向けて注意すべきことがあります。具体的に見ていきましょう。

査定の根拠を聞く

査定額はマンションの売り出し価格の基準となるため、適正価格より高過ぎても買い手が見つかりませんし、安過ぎると適切ではなくなってしまいます。ですから、査定額が想定していた価格と大きく異なっていたとしても、一喜一憂するのではなく、根拠を尋ねてみることが大切です。

「なぜほかの会社より高いのか」「なぜ過去の取引事例より大幅に安いのか」といった質問をスタッフに投げ掛け、明確な説明が返ってくるなら、その会社は信頼できる不動産会社といえるでしょう。

ローン残債と照らし合わせる

マンションを売却する際は、あらかじめ住宅ローンを完済しておくか、または売却時に売却代金によってローンを完済する必要があります。そのため、査定段階で住宅ローンを完済できていない場合は、ローンの残債と査定額を比較してみましょう。

査定額が残債よりも高ければ、マンションの売却代金のみでローンを完済できる見込みが大きいといえます。ですが、売却代金が残債よりも安い「オーバーローン」の場合は、売却を見送る判断も求められるでしょう。オーバーローンとなってしまうと、前述の通りローン残債と売却代金の差額を埋めるため、預貯金を切り崩したり、住宅ローンより金利が高い住み替えローンを利用したりする必要があるためです。

LOANと小銭

売り出し価格を上げ過ぎない

何度か触れてきたように、マンションを市場に売り出す際の価格は、査定額をもとに決められます。このとき、周辺の売り出し状況や売却希望価格などを考慮し、売り出し価格が査定額から変更されることもありますが、基本的には査定価格そのままで売るという進め方で構いません。

中古マンションの売買においては、戸建て住宅の場合とは異なり、値引きされることが少ないため、値引き分を見積もって売り出し価格を高めに設定する必要性は低いといえます。相場に対して価格が高過ぎると、マンションがいつまでも売れない状況を招く恐れがあるため、売り出し価格は不必要に上げ過ぎないようにしましょう。

査定が下がってしまうポイント

査定でチェックされる項目は、以下の3点に大別されます。

評価項目内容
建物の状態築年数、耐震性能、外観や外壁から認められる管理状態など
部屋の状態建物内の位置、間取り、設備の状態など
環境交通アクセスや生活の利便性、周辺の治安など

評価項目については、別の記事で詳しく解説しているので、気になる人はぜひ参考にしてくださいね。

●マンションの査定方法や高く売るポイントに関する記事はこちら
中古マンション売却!査定の方法から高く売るポイントまでを解説!

上記のポイントに対して、査定額を下げてしまうケースは下表のようになります。

査定額を下げる要因内容
築年数が古い築25年を超える古い物件
建物全体の状況がよくない管理が悪い、耐震性が低いなど
室内の汚損がひどい壁に穴が空いている、ドアが閉まらないなど
出入りに不便エレベーター付きで下層階の物件、 階段のみで上層階にある物件 など
間取りが特殊一般的な間取りのほうが需要は高い
駅から遠い駅に近いほうが需要は高い

先ほど解説したように、中古マンションの売却の場面では、査定額はそのまま売り出し価格になることが多いため、査定額が低いと、売れた場合に見込まれる利益も少なくなってしまいます。表の要因のうち、建物全体の状態や立地にかかわる項目は、個人レベルで変更・改善できないものがほとんどですが、室内の汚損のように自力で改善できる部分だけでも、対策を行うことが大切です。

マンションの査定額を下げないためにできることとしては、壁紙や床に付着した汚れを落としたり、破損部分を修理したりといった対策が挙げられます。また、住んでいるからこそ分かるようなマンションの魅力をまとめ、査定を行うスタッフに伝えることも有効でしょう。

ビルの模型と砂時計

不動産会社にも注意!

マンションの査定が終わり、売却の仲介をしてもらう不動産会社を選ぶ際にも注意点があります。単に査定額だけを比較するのではなく、不動産売買の実力や実績などを含め、総合的に信頼できる会社に売却の仲介を依頼すれば、売却のなかでの不安材料も減らせます。
それでは、どんなポイントから不動産会社を絞り込めばよいか、具体的に見ていきましょう。

査定額が平均的か

マンションの売却を成功させるためには、適正な売り出し価格が設定されているかが非常に重要です。何度もお伝えしていますが、売り出し価格が高くなるほど、売却できる確率は下がり、買い手が見つかるまで時間もかかる傾向にあります。

「査定額が一番高いから」と、単純に価格だけで会社を選ばないよう心掛けましょう。査定額が相場より極端に高かったり低かったりする場合は、根拠を聞いてみることをおすすめします。

販売戦略は具体的か

不動産会社選びでは、不動産売買の販売力を見極める姿勢も大切です。広告に記載する物件情報や、チラシをまく範囲や頻度を聞き、戦略的に販売を行う会社かどうかをチェックしましょう。狭い範囲に集中的にまく会社のほうが比較的戦略性は高いです。チラシのサンプルも見せてもらうとよいかもしれません。

また、売りに出す前にハウスクリーニングやリフォームを行うべきか質問してみましょう。物件の状態によっては、内覧が行われる前にハウスクリーニングやリフォームを行うことで、購入希望者からの印象がよくなり、結果的に契約につながりやすくなることがあります。

ハウスクリーニングやリフォームが必要かどうかは、修繕や清掃にかかる費用と、売却による利益を比較しながら決めることになります。そのため、根拠を持って具体的なアドバイスをくれる不動産会社であれば、信頼できるといえるでしょう。

販売実績は豊富か

不動産会社ごとに、販売実績が豊富な地域や物件のタイプは異なります。会社の得意とする地域であれば、どうすれば売れやすいかを経験上熟知しているため、マンションの売却がスムーズに進むことが期待できます。過去に同じマンションや周辺で販売実績があるかを確認してみるとよいでしょう。

担当者の対応は誠実か

売却や交渉を担当するスタッフの対応を見て、誠実で信頼できるかどうかを見極めましょう。こちらの要望に寄り添ってくれ、質問にも分かりやすく答えてくれるスタッフが担当していれば、納得のいく形で売却を進めやすいといえます。

担当者の対応を判断するうえでは、メールのやり取りのみでなく、直接会って話を聞くことも大切です。マンションの販売活動には時間がかかり、何か月もかかわっていくことになるため、自分と相性がよく信頼できるスタッフでないと、不安やストレスを抱え続ける恐れもあります。何より、直接会話をして相談や手続きを進めたほうが、文面でのやり取りよりも多くの情報が交換できるというメリットがあります。

白手袋とスーツの女性

査定は早めに受けるのがおすすめ

査定を受けるうえでの注意点を中心に解説してきましたが、マンション売却の一連の流れにおいて、査定は最初の第一歩に過ぎません。簡易査定や訪問査定が終わってから買主が決まるまでの販売期間は、一般的には3か月を要し、売買契約を結んでから引渡しまでは1~2か月かかるとされています。
このように、マンションの売却には約半年間かかることが一般的なため、余裕を持って売却活動を進める必要があります。希望金額で売却するためにも、早めに査定を受けてみましょう。

ビルの模型と小銭と札束

また、中古マンションは、築20年~25年あたりが売り時とされています。築年数が古いと売却に不利と思われることもありますが、住宅ローンの返済が進んでいるため、逆に手元に残る現金が多くなることもあるのです。ただし、これ以上築年数が増えてしまうと、経年劣化が大きくなることで、査定額が下がる傾向にあるため、注意が必要です。

マンションの売却時期や金額の希望が具体的に決まっているのなら、早めに査定を受けることがおすすめです。余裕を持ったスケジュールで査定を受け、マンションの売却を成功させましょう!

不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/