不動産売買の仲介手数料は消費税がかかる?計算方法や費用を抑えるコツなどを解説

不動産会社に支払う仲介手数料には消費税が課税されます。不動産売買の際には、かかる費用について正しく把握し、資金計画を立てる必要があるでしょう。この記事では不動産売買での仲介手数料にかかる消費税の計算方法や、そのほかの諸費用について解説します。

目次
  1. 不動産売買の仲介手数料に消費税がかかる理由は?
  2. 仲介手数料と消費税の計算方法
  3. 仲介手数料にかかる消費税額をシミュレーションしよう
  4. 仲介手数料は抑えられる?
  5. 不動産売買で仲介手数料以外に消費税がかかるものは?
  6. 不動産売買には資金計画が重要!
記事カテゴリ 売却 購入 費用 税金
2023.10.02

不動産売買の仲介手数料に消費税がかかる理由は?

不動産売買には、不動産に関する法律や業界の知識と、売り手と買い手を満足のいく形でマッチングさせるスキルが必要です。そのため、プロである不動産会社に仲介を依頼する方が多いのではないでしょうか?仲介を依頼した場合によく耳にするのが、仲介手数料という用語です。

仲介手数料とは、不動産売買の仲介を依頼した不動産会社に支払う成功報酬のことを指します。この仲介手数料には、10%の消費税が課税されることになりますが、「なぜ仲介手数料にも消費税がかかるの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?

そもそも消費税とは、所得や財産によって物やサービスを消費した場合のうち、基本的には以下のような条件を満たす取引に課税されます。

・事業者(個人事業主、法人)が事業として行うもの
・対価を得て行うもの(反対給付)
・資産の譲渡・貸付けまたは役務(労務、サービス)の提供であるもの
・国内において行うもの

事業者である不動産会社は、国内において対価(手数料)を得て仲介というサービスを提供しているので、仲介手数料には消費税が課税されます。また、消費税は物やサービスを消費する側に課税されるので仲介手数料の消費税は依頼者が負担することになります。

家の模型と電卓

仲介手数料は不動産売買にかかる初期費用のなかでも大きな割合を占めます。そのため、不動産売買を検討している方のなかには、「仲介手数料がいくらかかるのか気になる」という方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、不動産売買の仲介手数料にかかる消費税の計算方法や、仲介手数料を抑えることはできるのかという疑問、また仲介手数料以外の費用と消費税の関係についても解説します。

仲介手数料と消費税の計算方法

不動産会社に支払う仲介手数料には、宅地建物取引業法(宅建業法)に基づいて国土交通大臣の定めた上限があります。しかし、全ての不動産売買において一律に上限を定めているわけではなく、実際の取引額となる不動産の売買価格によって上限額が変わります。

上限額の計算方法は、以下の速算式の通りです。

売買価格仲介手数料の上限額
200万円以下不動産の売買価格(税抜)×5%
200万円超~400万円以下不動産の売買価格(税抜)×4% + 2万円
400万円超不動産の売買価格(税抜) × 3% + 6万円

仲介手数料にかかる消費税は、算出した仲介手数料に0.1(消費税率10%)をかけることで算出できます。なお仲介手数料を上記の式で求める場合は、不動産の売買価格は税抜で計算するようにしましょう。

電卓を叩く人

仲介手数料にかかる消費税額をシミュレーションしよう

先ほどご紹介した速算式をもとに、以下の例で不動産売買の仲介手数料にかかる消費税を計算してみましょう。

・売買価格が2,000万円の建物の場合
(2,000万円 × 3% + 6万円) = 66万円
66万円 × 10% = 6万6,000円

売買金額が2,000万円の物件にかかる仲介手数料は66万円となり、かかる消費税は6万6,000円となります。つまり、総負担額は72万6,000円となります。

家の模型の連なり

仲介手数料は抑えられる?

不動産売買では事務手数料や印紙税など、さまざまな初期費用がかかります。そのなかでも大きな割合を占める仲介手数料を安く済ませたいと考える方は多いのではないでしょうか?

どうしても仲介手数料を抑えたい場合は、仲介手数料無料や半額の不動産会社を選ぶという方法がありますが、不動産会社を仲介手数料の安さだけで選ぶことはおすすめできません。なぜなら不動産会社のサービス対価である仲介手数料が安いと、売却活動や販売活動などの質もそれだけ低くなる可能性があるためです。

さまざまな法律や市況を踏まえながら、双方にとって納得のいく価格で不動産売買を行うためには、仲介手数料の額ではなく、信頼できるかどうかや、実績などを見て不動産会社を選ぶようにしましょう。そうすることで、スムーズな売却や購入につながりますよ。

●売却にかかる仲介手数料の詳しい記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?計算の仕方や負担を抑える方法を解説!

●不動産会社の選び方に関する記事はこちら
不動産売却はどこがいい?大手不動産会社のメリットや選び方のコツを解説

不動産売買で仲介手数料以外に消費税がかかるものは?

不動産売買では仲介手数料のほかにも、消費税のかかる費用があります。ここでは消費税がかかる費用とかからない費用をそれぞれご紹介します。

間取りを相談する不動産屋

消費税がかかる費用

消費税は、基本的には記事の冒頭でお伝えした4つの条件に当てはまる場合に課税対象となります。消費税がかかる費用は以下の通りです。

・売主が事業者である物件本体価格
・司法書士への報酬
・住宅ローンの融資先への手数料
・リフォームや増築の工事費用

上記の項目にもあるように、事業者が売却する建物には消費税がかかる一方、個人がマンションや一戸建てなどの居住用物件を売却する場合、消費税はかかりません。ただし、個人が投資用の物件を売却する場合には消費税がかかるケースもあるため、注意しましょう。

物件紹介をする手元

消費税がかからない費用

先ほどもご紹介したように、消費税として課税される4つの条件を満たさなければ、基本的には消費税の課税対象にはなりません(不課税)。ですが、4つの条件を満たしていたとしても課税されない場合があります(非課税)。不動産売買に関係する不課税、非課税項目の例は以下の通りです。

・土地の代金(事業主も不課税)
・売主が個人の物件本体価格
・公的書類の手数料
・保険料
・住宅ローンの保証料
・税金

土地の代金や、売主が個人の不動産売買は不課税項目の対象であり、保険料や保証料、税金は消費税法の規定によって非課税となっています。非課税取引についての詳細は国税庁のサイトで確認できるので、気になる方はチェックしてみてください。

なお、消費税について、賃貸契約の場合、家賃や敷金・礼金などは非課税ですが、仲介手数料は不動産売買と同じく課税対象となります。この記事では不動産売買を行う際にかかる消費税についてお伝えしてきましたが、物件を賃貸に出すことを検討している方も参考にしてくださいね。

●非課税取引についてはこちら
国税庁「非課税となる取引」

電卓の上にある家の模型

不動産売買には資金計画が重要!

ここまで、不動産売買の仲介手数料にかかる消費税の計算方法や、課税の対象について解説してきました。不動産売買では大きなお金が動くため、消費税も含めた諸費用についても事前に把握しておくことが重要です。細かな費用まで知っておくことで、より現実的な資金計画を立てることができます。

複雑で大きな取引だからこそ、不動産売買時にはプロである不動産会社に仲介を依頼することが一般的です。先ほどもお伝えしましたが、仲介手数料の金額だけではなく、不動産売買の実績や信頼度など、さまざまな要素を踏まえて不動産会社を選ぶようにしましょう。

三井のリハウスでは、不動産を買いたい方・売りたい方それぞれのニーズにお応えするサポートを展開しております。買いたい方には、新築・中古マンションや一戸建て、また投資用物件など、豊富な物件情報をご用意しております。不動産の購入を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

●不動産を買いたい方はこちら

不動産を売りたい方も、三井のリハウスでは不動産売却の第一歩となる不動産査定をはじめ、売却活動、売却後のサポートまで一貫して承っております。不動産売却を検討している方は、ぜひ不動産査定を受けてみてくださいね。

●不動産を売りたい方はこちら

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/