引越しにかかる費用は?人数別の相場や安く抑えるコツを解説!

引越しの際にかかる費用は、「基本運賃」「実費」「オプションサービス料金」「割増料金」の4つの要素によって決まります。今回は、それぞれの要素でどのように費用が決まるのか、実際にかかる費用はどれくらいになるのかなどをご紹介します。

目次
  1. 引越しにかかる費用はどれくらい?
  2. 人数別の引越し費用
  3. 引越し費用を安く抑えるには?
  4. 引越しの初期費用を払えない場合は?
  5. 費用を抑えて上手に引越しをしよう
記事カテゴリ 売却 購入 費用 住み替え
2022.05.10

引越しにかかる費用はどれくらい?

引越しの際に、費用がいくらかかるのかは気になる点です。新生活のスタートには、新居を契約する際にかかる敷金礼金や、家具・家電の購入にかかる費用なども必要となるため、少しでも引越しにかかる費用は抑えたいところでしょう。

そこで今回は、引越し費用の相場や、安く抑えるためのポイント、引越し費用を払えない場合の対処法についてご紹介します。

まず、引越しの費用を考える際には、引越し価格の決め方について知っておくとよいでしょう。引越し価格はさまざまな条件によって変わり、主に「基本運賃」「実費」「オプションサービス料金」「割増料金」という4つの項目によって総額が決まります。それぞれの項目についてご説明します。

引越し作業をする家族

基本運賃

基本運賃は、引越しで移動する距離、作業時間や作業の量、トラックの積載量によって決まる価格です。国土交通省が定めた基準によって金額が決定されるため、引越し業者によって大幅に価格が変わることはありません。基本運賃を決める際は、以下の2つのどちらかの方式が用いられます。

時間制運賃

・引越しにかかる作業時間をもとにして料金を決定
・運搬距離が100km以内の場合に適用
・「4時間制」と「8時間制」の2つの基本時間が設定されており、1時間超過するごとに追加料金が発生

距離制運賃

・トラックで運搬する距離をもとにして料金を決定
・運搬距離が100kmを超える場合に適用
・「100km」の基本距離が設定されており、超過した距離に応じて追加料金が発生

これらの方式に加え、トラックの積載量によって基本運賃が決まります。引越しトラックは1トン車から4トン車まであり、引越し先の広さや、運搬する荷物の量によってトラックの大きさも決まります。

作業時間や作業の量は、一戸建てなのか、アパートやマンションなどの集合住宅なのかで大きく変わります。ほかにも、部屋の階数や、エレベーターの有無なども価格に影響を及ぼすでしょう。

引越し業者は、このような建物タイプを知ることで、作業時間と作業の量を予測します。
作業時間は「部屋からトラックまでの運搬時間×部屋とトラックの往復回数」によって決まります。そのため、階数が高く、搬入経路の長い部屋ほど、作業時間が長くなり、引越し価格も高くなる傾向にあるということです。エレベーターがない場合は、より長い作業時間がかかるでしょう。
また、搬入経路が長いほど、養生する範囲が増えるため、作業の量が増えてしまいます。

実費

実費は、引越し作業の際に必要な人件費や、ダンボールや緩衝材などの梱包資材費、トラックの交通費にかかる費用です。遠方への引越しの場合は、有料道路の利用料金も実費としてかかります。家が広く、荷物が多く、運搬距離が長いほど、実費は高くなるでしょう。

オプションサービス料金

オプションサービス料金は、荷物を運ぶ以外の作業にかかる料金です。具体的には、エアコンや洗濯機の取り外しや、バイクやピアノ、絵画などの特殊な荷物の輸送がオプションサービスの対象となります。オプションサービス料金は引越し業者によって料金設定が大きく異なるため、オプションサービスを多く利用する可能性がある場合は、よく確認しましょう。

割増料金

割増料金は、引越しする時期や曜日、時間帯によって追加される料金です。繁忙期や土日祝、深夜早朝に発生することが多いです。雪の降る地域では、冬期の引越しに割増料金がかかる場合もあります。割増料金の目安としては、休日は2割値上げ、深夜早朝は3割値上げ、雪が降る地域の冬期は2割値上げとなっています。繁忙期となると、閑散期と比べて2倍以上に跳ね上がることもあるでしょう。

人数別の引越し費用

引越し料金の決め方をご説明しましたが、具体的にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?引越しをする人数によって、大まかな費用の目安が分かります。人数別の引越し費用の目安について、通常期と繁忙期に分けてご説明します。

梱包作業中の男性

単身の場合

進学や就職などで一人暮らしをする際は、基本的に荷物が少なく、新居もそこまで広くないことが多いでしょう。そのような人は、「単身パック」を利用するのがおすすめです。単身パックは、決められた大きさのボックスに入るだけの荷物を運んでくれるサービスであり、通常の引越しに比べて費用を抑えることができます。また、学生の場合は学割を利用できる業者もあるため、調べておきましょう。

一人暮らしの引越し料金の目安は以下の表の通りです。

通常期(5月~1月)の引越し料金目安

引越し先
全平均~15km~50km~200km~500km500km~
荷物量荷物小35000円

45000円
27000円

37000円
30000円

39000円
42000円

48000円
51000円

57000円
56000円

68000円
荷物大42000円

59000円
32000円

50000円
35000円

51000円
50000円

66000円
68000円

83000円
77000円

100000円

繁忙期(2月~4月)の引越し料金目安

引越し先
全平均~15km~50km~200km~500km500km~
荷物量荷物小52000円

54000円
36000円

43000円
40000円

48000円
50000円

61000円
52000円

90000円
60000円

100000円
荷物大70000円

78000円
44000円

60000円
50000円

64000円
59000円

85000円
75000円

115000円
82000円

140000円

2人で暮らす場合

結婚や同棲を機に引越しをして、2人で暮らし始める人は多いでしょう。そのような場合は、2人それぞれの旧居から荷物を積み、新居に運んでくれる「立ち寄りプラン」を利用するのがおすすめです。立ち寄りプランを利用すれば、2人それぞれが単身引越しするよりも安く済みますよ。また、2人暮らしでも荷物が少ない場合は、単身パックを利用できる可能性があるため、確認しておきましょう。

2人暮らしの引越し料金の目安は以下の表の通りです。

通常期(5月~1月)の引越し料金目安

引越し先
全平均~15km~50km~200km~500km500km~
70000円

77000円
60000円

67000円
66000円

72000円
76000円

97000円
108000円

140000円
114000円

180000円

繁忙期(2月~4月)の引越し料金目安

引越し先
全平均~15km~50km~200km~500km500km~
100000円

101000円
80000円

83000円
86000円

95000円
110000円

145000円
128000円

198000円
166000円

300000円

3人以上の家族の場合

3人以上の家族で引越しをする場合は、荷物の量や移動距離が増えることが多く、引越し費用も高くなる傾向にあります。家族の人数が増えるほど引越し料金の目安は上がり、特に繁忙期となると同市区町村内への引越しでも10万円を超えてしまう可能性が高いです。
3人以上の家族の引越し料金の目安は以下の表の通りです。

通常期(5月~1月)の引越し料金目安

引越し先
全平均~15km~50km~200km~500km500km~
人数3人家族76000円

95000円
70000円

83000円
79000円

92000円
94000円

107000円
127000円

160000円
135000円

220000円
4人家族80000円

118000円
73000円

101000円
96000円

121000円
100000円

136000円
127000円

182000円
155000円

241000円
5人家族81000円

167000円
80000円

143000円
109000円

156000円
110000円

198000円
131000円

243000円
152000円

347000円

繁忙期(2月~4月)の引越し料金目安

引越し先
全平均~15km~50km~200km~500km500km~
人数3人家族120000円

126000円
98000円

102000円
104000円

117000円
133000円

180000円
181000円

259000円
191000円

320000円
4人家族130000円

160000円
103000円

125000円
114000円

147000円
158000円

200000円
204000円

260000円
215000円

346000円
5人家族143000円

209000円
105000円

148000円
141000円

190000円
121000円

247000円
290000円

345000円
264000円

366000円

このように人数が増えたり、引越し先が遠かったりすると、引越し費用がかなり高額になることが分かります。次は、少しでも引越し費用を安く抑える方法についてご紹介します。

引越し費用を安く抑えるには?

ここでは、引越し費用を安く抑えるためのコツをご紹介します。これらのコツを実践するだけでも、引越し料金にかなりの差が出てきますよ。

引越し業者の男女

安い時期に引越しをする

既にお伝えしている通り、引越し料金は時期によって大きく変わります。それでは1年を通じて、引越し料金はどのように変化し、いつ引越しするのがおすすめなのでしょうか?

2月~4月
年度の変わり目である2~4月は、年間で一番の繁忙期であり、予約が取りにくく、料金も高くなります。特に3月は繁忙のピークを迎え、平日であろうと予約を取るのに苦労する可能性があるでしょう。費用のことを考えると、可能な限り避けたいシーズンといえます。

5月~7月
4月の下旬から徐々に繁忙は落ち着いていき、5月~7月は閑散期となります。引越しにおすすめのシーズンだといえますが、5月上旬のゴールデンウィークだけは料金が上がる傾向にあるので注意しましょう。

8月~9月
8月になるとお盆休みや夏休みを利用して引越しを行う人が増え、9月になると転勤や転職に伴う引越しが増えるため、再び繁忙期に突入します。2~4月ほどではありませんが、可能な限り避けたいシーズンといえます。

10月~1月
10月に入ると再び閑散期となり、空き物件の数も多い、引越しにおすすめのシーズンだといえます。春からの新生活に向けて、このタイミングで物件を探し始めるのもおすすめですよ。

このように、引越し料金は時期によって変わるため、繁忙期を避けて引越しをすることで引越し料金を大幅に抑えられます。また、同じ時期でも以下のようなタイミングを避けることで、引越し料金をより抑えることができるでしょう。

・土日祝日
・月末・月初
・深夜・早朝

引越しのタイミングに融通が利く人は、これらの点を意識して準備を進めましょう。

引越し作業中の夫婦

可能な限り自分で準備する

引越し業者のサービスには、荷造りや荷ほどきも含めて全て行ってもらえるものもありますが、これらの作業を自分で行い、引越し業者は「運ぶだけ」の状態にすることで、引越し料金を抑えることが可能です。

多くの引越し業者はこのような「運ぶだけ」の格安プランを用意しているため、確認しておきましょう。しかし、当然ながら自分の作業量が大きく増えるため、余裕をもって引越しの計画を立てる必要があります。

可能な限り荷物を減らす

冒頭でご説明した通り、基本運賃はトラックの大きさによっても変わります。すなわち、不用品を処分し荷物を減らすことで、トラックの大きさをサイズダウンできれば、引越し価格を大幅に抑えることができるということです。

また、荷物を減らせば、2人以上の引越しでも単身パックで足りる可能性もあるでしょう。近いうちに引越しをする予定がある場合は、考えなしに大きな家具・家電を購入しないようにすることも大切です。新たに必要な家具・家電は、事前に購入しておくより、引越してから新居に届けてもらうようにしましょう。特に冷蔵庫や本棚などは場所を取りがちなので、効果的といえます。

一括見積もりサービスを使用する

引越し業者によって引越しの料金は異なるため、複数の引越し業者に見積もりを依頼し、比較することで自分に合った安いプランを見付けることが可能です。オプションサービスを多く利用する場合は、引越し業者による料金の差がより大きくなるでしょう。他社の見積もりを出すことで料金交渉で有利になることもありますよ。

引越しの初期費用を払えない場合は?

これまで説明してきた通り、引越しの際には多くの費用がかかるため、急な事情によって引越しをする場合、お金が足りなくなる可能性があるでしょう。どうしても引越しをしなければいけないのにお金を払えない場合、どうすればよいのでしょうか?代表的な3つの対処法をご紹介します。

家の模型と電卓

自治体の助成金を利用する

自治体によっては、引越し費用を援助する助成金制度を用意している場合があります。助成金の制度を利用できれば、用途に合わせて返済不要なお金を支給してもらえます
ただし、子育て世帯やひとり親家庭、高齢者など、一定の条件や審査があります。また、金額の上限や、期間、募集人数などが限定されている場合もあるので、自治体のホームページを確認して、自分が対象かどうかをチェックしておくことをおすすめします。

分割払いをする

引越しの初期費用は現金で一括払いするのが一般的ですが、不動産業者や管理会社によっては分割払いや後払いを認めている場合もあります。また、クレジットカード払いでもよいとされている場合は、クレジットカード会社の分割払いやリボ払いなどのサービスを利用することも可能です。これらのサービスを利用することで、一時的に金銭面の負担を減らすことができます。

ただし、分割払いやリボ払いには金利がかかり、最終的に支払う金額が一括払いよりも増えてしまう点に注意しましょう。

ローンを利用する

ローンや融資を利用することで、引越し費用を一時的に借りることができます。具体的には、クレジットカード会社のカードローンや、銀行のフリーローン、引越し用のローンなどがあります。ローンや融資を利用することで、まとまった貯金がない人でも引越しが可能となります。ただし、利用の際には審査に通過する必要があるうえ、分割払いと同様に金利がかかる点に注意しましょう。

費用を抑えて上手に引越しをしよう

引越しの際は、引越しの費用のみならず、新居の契約費用や、家具・家電の購入費用など、さまざまなお金がかかります。前述の通り、急な事情によって引越しをする際には、資金面で困ってしまうこともあるでしょう。

仕事の関係で引越しする可能性が高かったり、引越しをすることがあらかじめ分かっていたりする場合は、必要な費用を計算したうえで十分に貯金をしておくことをおすすめします。また、そのような場合は不要だったり大き過ぎたりする家具・家電を買わないでおくことも、引越しの費用を抑えるうえで大切でしょう。

新生活をなるべく豊かにするため、引越しの費用は少しでも抑えたいものです。そのために、今回紹介したポイントを押さえて、上手に引越しをしましょう!

●住み替えの流れに関してはこちら

河野真希

家事アドバイザー、一人暮らしアドバイザー、料理家。インテリアコーディネーター、食生活アドバイザーなどの資格を持つ。
延べ500人以上へのアンケート調査や取材から、分析・研究を行い、部屋探し、引越、防犯、家事、ライフスタイルなどの情報に通じる。
https://www.kawano-maki.net/