Column / 2021 07,02

一般媒介を選ぶ前に知っておくべき、不動産売却の基本知識を紹介!

売り主が納得のいく価格で少しでも早く売るためには、実は不動産会社と結ぶ媒介契約選びが大切です。ここでは、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」それぞれの特徴や違い、一般媒介契約のメリットについてご紹介します。

村田洋一

さくら事務所 不動産コンサルタント。宅地建物取引士、行政書士。消費者にとっての最良の不動産取引を目指し、多岐にわたる不動産トラブルの相談を受ける。
https://www.sakurajimusyo.com/

不動産売却を考えるなら、媒介契約について知ろう!

不動産会社に仲介を依頼するときには、「媒介契約」を結びます。
媒介契約の種類には以下の表のように3種類あります。売主は、自分の希望や物件の状況に合った契約を選べますよ。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
自分で買主を見つけて直接売買 できる できる できない
複数の不動産業者との媒介契約 できる 1社のみ 1社のみ
媒介契約の有効期間 指定なし 3ヶ月 3ヶ月
レインズ(指定流通機構)※への登録義務 任意 媒介契約締結日から7営業日以内 媒介契約締結日から5営業日以内
業務処理の報告義務 任意 2週間に1回以上 1週間に1回以上

※レインズ(指定流通機構)とは、全国の不動産業者のみが利用できる、不動産取引の対象物件情報を交換するためのネットワークシステムのことです。レインズに物件情報が登録されると、全国の不動産会社に物件を周知することができます。レインズには募集中の物件情報のほかに、成約情報といった過去の取引情報のほか、登録業者情報なども掲載されています。

3種類の媒介契約には、それぞれ特徴があります。一般媒介契約は複数の不動産会社と媒介契約でき、自分で買主と直接売買もできます。対して専属専任媒介契約では不動産会社を1社に絞り、売主が自分で買主を見つけて売買をすると違約金が発生します。両者の要素を混合したのが専任媒介契約です。専任媒介契約は、不動産会社は1社のみとの契約ですが、自分で見つけてきた買主にも売買することができます。

売却する物件に向いている媒介契約を選ぶことで、よりよい形で売却活動を進められますよ。今回は、3つの媒介契約のうちで一般媒介契約について詳しくお伝えします。

テーブルに置かれた家の模型

一般媒介契約とは複数の不動産会社と結べる仲介契約のこと

一般媒介契約は媒介契約のなかでも制限が少なく、ほかの2つの媒介契約に比べて売主の自由度が高いのがポイントです。

一般媒介契約の特徴

一般契約を選ぶと、どのようなことができるのでしょうか?

●複数の仲介会社と契約を結ぶことができる
一般媒介契約は媒介契約のなかで唯一、複数の仲介会社と契約できます。専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、1社としか契約を結べません。そのため、複数の会社と契約してしまうと違約金が発生することがあります。

●契約期限は原則なしだが、標準約款では3か月の指導がある
一般媒介契約の有効期限は法律上、定められていません。しかし、多くの不動産会社では、一般媒介契約でも契約期間は3か月としているのです。

また契約更新は、売主の希望が無ければ契約の更新はありません。一般媒介契約で自動更新を希望するときは、契約時に特約を付けてもらうように不動産会社にお願いしましょう。

●レインズへの物件登録や業務処理の報告義務はなし
一般媒介契約は、不動産会社がレインズへの登録や業務処理の報告を行う義務はありません。一方で、専任媒介契約と専属専任媒介契約は、不動産会社はレインズに物件を登録し、業務処理の報告をすることが定められています。

ただし、一般媒介契約はあくまで義務がないだけです。契約時に売主が希望すれば、不動産会社にレインズへの物件登録や業務処理の報告をお願いすることができます。

シニア夫婦と販売員

●仲介手数料の上限額は売買価格の3%+6万円
媒介契約の内容によって仲介手数料は違いますが、一般媒介契約の仲介手数料の上限額は、速算式で求められます。たとえば、物件の売却価格が400万円以上の場合だと「売買価格の3%+6万円」で算出することが可能です。これは宅地建物取引業法で定められたもので、上限を超える価格を不動産会社が売主に求める場合は法令違反にあたります。

また一般媒介契約は複数社と契約できるため、「それぞれの会社から仲介手数料を請求されるのでは…?」と不安に思うかもしれませんね。しかし仲介手数料が発生するのは、どの媒介契約でも不動産売却が成立したときのみです。売却が成立しなければ、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はないので安心してください。

●仲介手数料に関する記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?上限と計算例、ポイントを解説
仲介手数料の相場はいくら?計算方法を早見表で解説

●明示型と非明示型の2種類から選べる
一般媒介契約は、契約する形態を「明示型」「非明示型」の2種類から選べます。明示型では、契約している不動産会社に、ほかにどの不動産会社と契約しているかを通知する義務があります。これに対し、非明示型にはその通知義務がありません。

売主にとっては通知義務のない非明示型がよいように思えますが、不動産会社にとっては、ライバルとなる不動産会社がどこか分からないため、販売戦略が立てづらくなってしまいます。また、売主から信頼されていないと感じる不動産会社もいるでしょう。

不動産売却を成功させるには、仲介する不動産会社の協力が不可欠です。特に理由が無ければ、明示型の一般媒介契約を選んだほうが、不動産会社と連携しやすいかもしれません。

家の模型とノート

一般媒介契約のメリットは?

一般媒介契約を選んだ場合のメリットをご紹介します。

●物件情報を幅広く周知できる
一般媒介契約では複数の不動産会社と契約できるため、物件情報を幅広く周知できます。複数社から広告が出る可能性が高いので、より人目に付きやすくなるでしょう。

●より高値で売れる可能性がある
一般媒介契約では複数の不動産会社を競わせながら取引を進められるので、人気物件であれば、より高値で売れる可能性がありますよ。

●自己発見取引ができる
一般媒介契約では、売主自らが買主を見つけた場合、不動産会社を仲介せずに直接交渉することができます。この場合は、不動産会社の仲介手数料が発生しないので、売却にかかる経費を大きく抑えられるかもしれません。親戚や近隣の住人など、購入見込みのある人がいる場合は、一般媒介のメリットを感じられることでしょう。

ただし、専門的な知識のない個人間での契約では、想定していなかったトラブルが起こるかもしれません。素人同士での契約は控えたほうが無難です。

抜き行為でトラブルにならないよう注意

一般媒介契約で注意したいのが不動産会社とのトラブルの原因になる「抜き行為」です。抜き行為とは、すでに不動産会社と契約をしている売主に対し、別の不動産会社が売主に直接アプローチや交渉をして媒介契約を結んでしまうことです。一見すると複数の会社と契約できる一般媒介契約ですから、売主には問題が無いように思えますがそうではありません。

一般媒介契約では、明示型と非明示型のどちらの種類でも、売買契約が決まったら、売りり主はほかの不動産会社に売買契約が交わされたことを通知し、契約を終了する義務があるのです。この報告を怠ると抜き行為とみなされる可能性があるのです。

もし、不動産会社に抜き行為にあたると判断された場合、販売活動にかかった費用を請求されることもあります。せっかく売買契約が成立しても、このような事態になれば、売主にとって大きな損失になります。思わぬトラブルにならないように不動産会社への報告はしっかり行いましょう。

複数の不動産会社に依頼できる一般媒介契約についてご紹介しましたが、どの媒介契約が選ぶとよいかは売主の希望や、物件の状況によって変わります。

売却時には、どの契約を選ぶのがおすすめ?

不動産をより高い価格でスムーズに売却するためには、どの媒介契約にするかが重要です。それぞれの契約内容を、売却する物件の条件や売却で重視したい点を踏まえてチェックしてみましょう!

パソコンの前で考える男性

1社に頼りたくないなら一般媒介がおすすめ

1社だけでなく複数の不動産会社と契約して、幅広く買主を探すなら「一般媒介契約」がおすすめです。複数の会社と契約することで物件情報を幅広く周知でき、多くの物件を探している人の目に触れることが期待できます。

売却する物件が人気物件の条件を満たしていれば、複数の不動産会社と契約して競い合わせることで、より高値で売却できる可能性が高くなりますよ。

物件が人気条件でないなら専属専任媒介も

売却する物件に買主が付くか分からない場合は、不動産会社のフォローやサービスが受けやすい「専属専任媒介契約」も視野に入れましょう。他社が入らず、不動産会社から手厚いフォローを受けやすいのは専任媒介契約も同じですが、異なる点があります。

それは、不動産会社が行う業務処理の報告やレインズへ登録する期日が3つの媒介契約のなかで最も短いことです。専属専任媒介契約では、不動産会社から売主への1週間ごとの業務処理の報告と、契約から5日以内にレインズへの登録の義務があります。

買主を探しにくい物件の場合は、こまめな連携と、いち早い不動産情報の公開をしてくれる専属専任媒介契約が適しているといえるでしょう。

迷ったら専任媒介契約がおすすめ

どの媒介契約にするか迷ったときは、不動産会社の手厚いフォローが受けやすく、制限が少ない「専任媒介契約」がおすすめです。1社としか契約できない専任媒介契約や専属専任媒介契約は、不動産会社にとって成約すれば必ず報酬が得られるメリットがあります。そのため、不動産会社が販売活動を熱心にする可能性が高いのです。

また専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、物件の修復やクリーニング代を負担するサービスを行っている不動産会社もあります。こういったサービス内容を踏まえて、媒介契約を選んでもよいでしょう。

さらに専属専任契約と違い、専任媒介契約なら買主への直接販売もできます。直接販売する場合は、もちろん不動産会社の仲介手数料はかかりません。このように専任媒介契約なら、状況によって売却にかかる費用を大きく抑えられる可能性があります。

ただし一般媒介同様、個人間での直接取引は、後々トラブルを引き起こすリスクがあります。知識がない場合は控えたほうがよいでしょう。

●専任媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?媒介契約の種類や選び方を紹介

内覧をする夫婦

売却プランによって考えるのも手

どのように売りたいかプランが決まっている場合は、それに合わせて契約を選ぶのもよいでしょう。自分の希望から媒介手段を選んでみましょう。

●早く売りたい場合
住まいの買い替えで転居予定が決まっている場合や相続対策などで売却を急ぎたい場合は、専任媒介契約か専属専任媒介契約がおすすめです。
専属専任媒介契約ならレインズへの物件登録の義務が、契約から5日以内と早い期日になっていますから、物件情報を早く公開できます。早く売りたい方にとっては嬉しいメリットですよね。

●早く適正価格で売却するためのコツやポイントに関する記事はこちら
不動産査定の価格をどう参考にする?早く高く住まいを売るコツ
【マンション見積り】早く高く売るためのポイントとは?

●急いでいないので、とにかく一番好条件で売りたい場合
売却を急いでおらず、とにかくよい条件で売りたい場合は一般媒介契約がおすすめです。一般媒介契約は、複数の不動産会社と取引できるので、物件情報を広く公開できます。また、人気物件ならば一般媒介契約なら不動産会社を競い合って販売活動をしてくれるので、より好条件で売れる可能性があります。

このように、まず手始めに売却する理由や売却したい期限などを洗い出してみると、媒介契約選びの参考になるでしょう。

また、買主の目線で「自分の物件がどう評価されるか」を考えてみることもよいでしょう。たとえば売却する物件が人気エリアや駅近などの土地にあり、すぐに買主が見つかりそうな物件であれば、一般媒介が適しているかもしれません。自分に合う媒介契約を選ぶためにも、買主の目線で考えることは有益なのです。

さらに、不動産会社にも得意分野があります。一戸建てが得意だったり、マンションを売るのに実績があったり、そもそも賃貸物件の管理会社としての側面も併せ持っていたりなど、仲介してもらう不動産会社各社の傾向をつかみましょう。媒介契約を結んだ後は販売状況を確認するため、担当者と定期的な連絡を取ることも大切です。

売却活動がどうしてもうまくいかない場合には、媒介契約の解約や変更を検討することもあるでしょう。万が一に備えて、契約書の内容は事前によく確認してくださいね。

後悔のない不動産売却にするために、物件や売却プランと相性の合う媒介契約を選んでくださいね!

この記事のポイント<Q&A>

  • Q媒介契約の違いによって売れる早さや価格は変わりますか? A媒介契約の違いによって、売れる早さや価格は大きく変わりません。ただし、媒介契約と物件には相性があります。物件に合った媒介契約・不動産会社を選ぶことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
  • Qどのくらいの期間で売却できますか? A媒介契約は概ね3か月となっています。そのため一般的に3か月を家の売却期間の目安と考えてよいでしょう。1か月以内で売却する仲介実績を誇る不動産会社もありますよ。
  • Q不動産会社によって売れる早さや価格は変わりますか? A不動産会社によって得意分野と不得意分野があります。そのため、売却したい物件と相性のよい不動産会社であれば早くよい価格で売りやすいでしょう。