一般媒介契約のメリットとは?専任媒介との違いや注意点を分かりやすく解説!

一般媒介契約とは、不動産会社に仲介を依頼して不動産を売却する際に結ぶ契約方法の1つで、「物件情報を幅広く周知できる」「売主自身でも買主を見つけられる」といったメリットがあります。この記事では、一般媒介契約の特徴やほかの契約方法との違いについて解説していきます。

目次
  1. 一般媒介契約とは?
  2. 一般媒介契約の特徴
  3. 一般媒介契約を利用するメリット
  4. 一般媒介契約を利用する際の注意点
  5. 一般媒介契約とほかの方法との違い
  6. 一般媒介契約はどんな人におすすめ?
  7. 一般媒介契約は自分に合っているのかよく検討しよう!
記事カテゴリ 売却
2023.12.12

一般媒介契約とは?

一般媒介契約とは、不動産を売却する際に、仲介を依頼する不動産会社と契約書を取り交わして結ぶ媒介契約の1つです。媒介契約には、一般媒介契約のほかにも「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」がありますが、一般媒介契約は制限が少なく、最も自由度の高い契約方法といえます。

不動産売却を検討している方のなかには「一般媒介契約とほかの方法の違いは?」「一般媒介契約を利用する際の注意点は?」など、疑問を感じている方がいるのではないでしょうか?この記事では一般媒介契約の特徴やほかの契約との違い、一般媒介契約の利用が適している条件についてご紹介していきます。

一般媒介契約を検討する夫婦と家の模型

一般媒介契約の特徴

一般媒介契約は3つの媒介契約のなかで最も自由度が高いとお伝えしました。では具体的にどのような特徴があるのかを見ていきましょう。

複数の不動産仲介会社と契約を結べる

一般媒介契約は媒介契約のなかで唯一、複数の不動産仲介会社と契約が可能です。後ほどご紹介する専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、複数の会社と契約してしまうと違約金が発生することもあります。一般媒介契約であればそういった制約はなく、複数の不動産会社に売却したい不動産の売却活動を依頼することが可能です。

契約期間の目安は3か月

一般媒介契約の契約期限は法律上定められていませんが、3か月の期間を目安としている不動産会社が多いでしょう。ただし不動産会社によって契約期間は異なるため、確認する必要があるほか、売主の希望があれば契約更新が可能という特徴があります。

基本的に契約期間終了後の自動更新はされないため、書面で申し出をする必要があります。また、解約したい場合は電話、店舗にて口頭で伝える、FAXやメールなどの書面に残る形で解約を伝えるとよいでしょう。

なお、一般媒介契約の解約には費用がかからない場合が多いですが、違約金の特約が設定されていることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

レインズへの物件登録や報告義務がない

後ほどご紹介する専任媒介契約や専属専任媒介契約では、不動産会社はレインズへの物件登録や、売主へ業務処理の報告をする義務がありますが、一般媒介契約はそれらを行う義務はありません。

レインズ(指定流通機構)とは、全国の不動産業者のみが利用可能な不動産取引のネットワークシステムのことです。レインズには募集中の物件や過去の取引などさまざまな情報が掲載されているため、レインズに売却物件を掲載することで売り手としては全国の不動産会社に物件を周知できるメリットがあります。

レインズへ物件登録する様子

仲介手数料の上限額は成約価格によって異なる

一般媒介契約を利用した際の手数料は成約価格によって異なり、その上限額の詳細は以下の通りです。

・400万円超:「成約価格(税抜) × 3% + 6万円 」 + 消費税
・200万円超:~400万円「成約価格(税抜) × 4% + 2万円」 + 消費税
・200万円以下:「成約価格(税抜) × 5%」 + 消費税

なお、手数料の上限額は宅地建物取引業法で定められたもので、不動産会社が上限を超える価格を売主に求めることはありません。また、一般媒介契約で複数社と契約した場合でも、仲介手数料を支払うのは、実際に売却を仲介した1社のみですのでご安心ください。

●仲介手数料に関する記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?計算の仕方や負担を抑える方法を解説!

「明示型」と「非明示型」の2種類から選べる

一般媒介契約は、契約する形態を「明示型」「非明示型」の2種類から選べます。明示型では、契約している不動産会社に、ほかの不動産会社との契約の有無を通知する義務があり、非明示型は通知する義務がない形態です。

売主からすれば通知義務のない非明示型は楽かもしれませんが、ほかの不動産会社との契約の有無を伝える明示型のほうが、不動産会社にとっては競争原理が働きます。これにより不動産会社が売却に向けて親身に対応してくれる可能性が高くなるため、特に理由がなければ明示型にすることがおすすめです。

家の模型とノート

一般媒介契約を利用するメリット

ここからは一般媒介契約を選んだ場合のメリットを見ていきます。

物件情報を幅広く周知できる

一般媒介契約では複数の不動産会社と契約できる分、複数社から広告が出る可能性が高いため、物件情報を幅広く周知できるでしょう。

自己発見取引ができる

自己発見取引とは、売主自らが買主を見つけた場合、不動産会社を仲介せずに直接交渉する取引を指します。一般媒介契約は自己発見取引ができる契約方法の1つで、この場合、不動産会社の仲介手数料が発生しないため、売却にかかる経費を抑えられる可能性があります。

しかし、自己発見取引は不動産会社を通さない分、法律関係や契約内容など売主と買主の間で想定していなかったトラブルが起こるかもしれません。買主が知り合いの場合でも、不動産売却について不安な方は、不動産会社に仲介を依頼するほうが安心でしょう。

好条件で売れる可能性がある

一般媒介契約では複数の不動産会社をが競いながら取引が進むので、人気物件であれば、よりよい条件で売れる可能性があります。また、依頼した不動産会社の売却活動が芳しくないと不安に感じた場合でも、追加でほかの不動産会社にも依頼できるため、不動産会社選びを失敗しにくくなる点もメリットでしょう。

媒介契約の種類について考える男性

一般媒介契約を利用する際の注意点

メリットも多い一般媒介契約ですが、注意点もあります。以下で具体的に見ていきましょう。

手間が発生する

複数の不動産会社と契約した場合、売主はそれぞれの不動産会社へ活動状況を確認する必要があるほか、明示型で新たな不動産会社と契約した場合にはその旨を共有する必要があります。

また、同じタイミングで内覧依頼があると、日程調整を売主自身で行わなければならず、仕事や家事・子育てなどで忙しい方は負担になってしまうこともあるため注意が必要でしょう。

サポート・サービスが受けられないことがある

不動産会社は売却をスムーズに進めるために、ハウスクリーニングや不動産を引渡した後の保証など、さまざまなサポートやサービスを提供しているケースが一般的です。しかし、これらのサポートは一般媒介契約では対応していない不動産会社もあります。一般媒介契約を利用する場合は、事前にそれらのサービスやサポートを受けられるかチェックすると安心でしょう。

三井のリハウスがご提供する「360°サポート」は、一般媒介契約を承ったお客さまでもご利用いただけます。契約の種類を問わず、安心できるサポート体制をご用意しておりますので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?

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一般媒介契約とほかの方法との違い

ここまでは、一般媒介契約についてお伝えしてきました。ここからは専任媒介契約と専属専任媒介契約について簡単にご紹介します。

不動産会社と一般媒介契約を結ぶ夫婦

専任媒介契約との違い

専任媒介契約とは不動産会社を1社に絞って3か月間、契約する方法で、一般媒介契約と同様に自己発見取引が可能です。専任媒介契約では、不動産会社は媒介契約締結日から7営業日以内に物件をレインズに登録し、2週間に1回以上の売主に対する業務処理の報告義務が発生します。

自己発見取引が可能なことに加え、媒介契約を1社のみに絞る分、上記のような義務が不動産会社に発生するので、より売却活動に向けてきめ細かく対応してもらえる効果が期待できます

専属専任媒介契約との違い

専属専任媒介契約とは、専任媒介契約と同様に仲介を依頼する不動産会社を1社に絞り、3か月間、契約するもので、ほかの2つの契約方法とは異なり自己発見取引ができない点が特徴です。専属専任媒介契約では、不動産会社は媒介契約締結日から5営業日以内に物件をレインズに登録し、売主に対する業務処理の報告は1週間に1回以上行う必要があります。

売主にとって制約が多い分、より不動産会社の義務も大きくなるので、しっかりと売却活動の進捗や成果を把握できる点がメリットです。

一般媒介契約は、複数社と契約が結べる点はメリットですが、不動産会社によっては積極的に売却活動を行ってもらえない可能性もあります。対して専任媒介契約や専属専任媒介契約は1社としか契約を結ばないため、一般媒介契約に比べて手厚いサポートが受けられるでしょう。

以上のように、3つの媒介契約には異なる特徴があり、売主の状況に応じて適切な契約方法は異なります。自分に合った契約方法を選ぶことで納得のいく不動産売却につなげましょう。

⚫︎専任媒介契約や専属専任媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

一般媒介契約はどんな人におすすめ?

不動産会社の仲介を利用して不動産売却を検討している方のなかには、「どの媒介方法がいいの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?一般媒介契約は、好条件の物件を所有している人におすすめといえます。

需要のある物件であれば、売れやすく不動産会社としては他社と競争するメリットが生まれます。従って一般媒介契約で結んだ複数の不動産会社が競い合うことで、より希望に合った条件で売却できる可能性が高まるでしょう。築年数や間取り、立地などが好条件の物件の売却を検討している方は、一般媒介契約を検討してみるとよいでしょう。

一般媒介契約を結んだ不動産会社と内覧をする夫婦

一般媒介契約は自分に合っているのかよく検討しよう!

ここまで一般媒介契約の特徴やほかの契約方法との違い、一般媒介契約の利用がおすすめのケースについて見てきました。売却の目的や優先事項などは売主によって多種多様です。媒介契約ごとの違いを正しく把握し、自分に最適な媒介契約を結びましょう。

不動産売却を検討している場合は、売却後の資金計画の見通しを立てるためにも、まず売却相場や所有する不動産の価値を調べてみることがおすすめです。不動産のおおまかな売却相場は「レインズマーケットインフォメーション」や「土地総合情報システム」で調べられるので、以下のサイトからチェックしてみてくださいね。

●レインズマーケットインフォメーションについて詳しくはこちら
成約価格を基にした不動産取引情報提供サイト REINS Market Information

●土地情報総合システムについて詳しくはこちら
国土交通省 | 土地情報総合システム

自身でおおまかな相場を把握したら、次は不動産会社に査定を依頼してみましょう。三井のリハウスでは、目的や用途に合わせた3種類の不動産無料査定をご用意しているほか、不動産売却を検討している方向けの相談窓口も設けております。豊富なノウハウと実績をもとに売却まで徹底サポートいたしますので、お気軽にご利用ください。

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この記事のポイント<Q&A>

  • Q媒介契約の違いによって売れる早さや価格は変わりますか? A媒介契約の違いによって、売れる早さや価格は大きく変わりません。ただし、媒介契約と物件には相性があります。物件に合った媒介契約・不動産会社を選ぶことが大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
  • Qどのくらいの期間で売却できますか? A媒介契約は概ね3か月となっています。そのため一般的に3か月を家の売却期間の目安と考えてよいでしょう。1か月以内で売却する仲介実績を誇る不動産会社もありますよ。
  • Q不動産会社によって売れる早さや価格は変わりますか? A不動産会社によって得意分野と不得意分野があります。そのため、売却したい物件と相性のよい不動産会社であれば早くよい価格で売りやすいでしょう。

村田洋一

らくだ不動産 不動産コンサルタント。宅地建物取引士、行政書士。消費者にとっての最良の不動産取引を目指し、多岐にわたる不動産トラブルの相談を受ける。
https://www.rakuda-f.com/