分譲マンションの売却・手続きの流れや高く売るコツ、かかる費用を解説

分譲マンションを売却するには査定や売却活動、契約などいくつかのステップがあります。この記事では、売却の流れや、物件を高く売るポイントをご紹介します。

目次
  1. 分譲マンションの売却を成功させよう
  2. 分譲マンション売却の流れ
  3. 分譲マンションを高く売却するポイント
  4. 分譲マンションを早く売却する方法
  5. 分譲マンション売却にかかる費用
  6. 分譲マンションの売却はパートナー選びが大切
記事カテゴリ 売却 費用 税金 マンション
2023.10.11

分譲マンションの売却を成功させよう

近年、リモートワークや、二拠点生活といった新しいライフスタイルが注目を集めていることもあり、現在所有している分譲マンションを売却しようと考えている方もいるのではないでしょうか?

東日本不動産流通機構の2022年における発表※によると、東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県といった首都圏での中古マンションの成約価格や成約物件㎡単価は上昇傾向にあり、分譲マンションを売却するにはよいタイミングといえるでしょう。しかし実際に分譲マンションの売却を検討する方のなかには、初めての売却のため「売却の流れが分からない」「費用や税金はいくらかかるのか」といった不安を感じている方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、分譲マンションを売却する際の流れや高く売るためのポイント、売却時にかかる費用について分かりやすく解説します。

FORSALEの文字とマンションの模型

分譲マンション売却の流れ

まず、分譲マンションを売却する際の流れを順に見ていきましょう。

[ 1 ] 事前準備

売却をスムーズに行うために、以下の書類を準備します。

・本人証明ができる書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・マンションの管理規約
・間取りが分かるマンションのパンフレット
・権利証(登記識別情報通知書)
・登記簿謄本
・固定資産評価証明書
・写しの建築確認済証
・購入時の売買契約書
・長期優良住宅をはじめとした住宅の性能を証明する書類

なかでも、権利証(登記識別情報通知書)は最も重要です。これらの書類は、取り寄せるのに時間がかかる場合がありますので早めに準備しておきましょう。

●不動産売却時に必要な書類についてはこちら
不動産の売却に必要な書類は?種類と取得方法をご紹介!

書類の準備に加え、マネープランや売却のスケジュールを立てておく必要があります。住み替えやマンション売却でかかる費用や、住宅ローンの返済状況を確認し、あらかじめ把握しておくことが重要です。マンション売却時に発生する費用については後ほど解説します。

マンションを売却するには一般的に3〜6か月かかります。いつまでに売却したいかを決めておくとスケジュールや資金計画が立てやすいでしょう。また、共有名義で所有しているマンションの場合は、売却にあたって名義人全員の意思確認が必要になるため、事前の意思確認も必要になります。

●住宅ローン返済中の家を売却する方法に関してはこちら
住宅ローン返済中の家を売るには?不動産の売却方法やケース別の注意点を解説!

[ 2 ] 査定

実際に売却に向けて動き出すときは、まず不動産会社にマンションの査定を依頼します。査定とは、不動産会社が過去の売却実績や市場の状況から、物件の売り出し価格を見積もることです。査定には大きく「簡易査定」と「訪問査定」があり、どちらも無料で依頼することが可能です。

●簡易査定と訪問査定についてはこちら
家の無料査定はどこに依頼する?査定時の注意点やポイント、不動産会社の選び方を解説

査定を受けたら、信頼できそうな不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産会社に売買の仲介を依頼する契約です。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの種類があります。もちろん不動産仲介会社を介さずに個人間で売却をすることもできますが、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。理由としては、不動産売買は専門的な知識や手間を要することが挙げられます。

●媒介契約の種類に関して詳しくはこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

マンションの模型と虫眼鏡

[ 3 ] 売却活動

不動産会社と媒介契約を結んだら、売却活動の開始です。内覧の準備や対応、物件写真の撮影が必要になります。

売却活動中は、媒介契約を結んだ不動産会社の営業担当者から報告を受けながら進めます。不動産会社との契約の種類によって報告頻度は異なりますが、報告内容を繰り返し確認できるように、郵送またはメールで報告されることが一般的です。

売却活動中の売主の大きな役割は、購入希望者への内覧の対応です。内覧時に既に新居に引越している場合もあれば、まだ居住している状態で案内することもあります。居住中はどうしても生活感が出てしまいますが、購入希望者に好印象を持ってもらうため、清潔感を意識して整理整頓を心がけましょう。

[ 4 ] 売買契約

物件の買い手が決まったら、購入希望者から購入申込書を受け取り、内容に問題がなければ売買契約を結びます。購入申込書には、次のようなことが記載されています。

購入価格
相手側からの希望購入価格になります。希望の成約価格と比べてみましょう。

支払い条件
手付金、内金の内訳を記載します。希望購入価格から手付金と内金を差し引いたものが残代金として記載されています。

手付金とは、不動産の売買契約を結ぶ際に買主が売主に預ける保証金のことで、売買代金に充当されます。一般的に買主は手付金を放棄することで契約解除ができ、売主は手付金の倍額支払うことで契約を解除することが可能です。内金は、売買代金の一部である前払金で、「中間金」とも呼ばれます。

スケジュール
契約日、決済日、引渡し日の希望です。決済日は、代金の支払いができる期日を指します。

引渡し状態
どのような状態で物件の引渡しを希望するかが記載されている欄です。現況のまま渡す「現況有姿渡し」、内装工事をしてから渡す「リフォーム渡し」があります。

融資の利用予定
融資(住宅ローン)を利用するかどうかや、利用する場合の利用金額が記載されています。これらの条件に納得できない場合は、購入希望者側と交渉することになり、双方が合意したら売買契約を結びます。売買契約には以下の書類が必要です。

・登記関係書類(権利証または登記識別情報通知書)の写し
・印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)
・住民票
・本人証明ができる書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・固定資産税納税通知書

上記の書類のほか、実印や収入印紙が必要になる場合があるため、営業担当者に必要なものを確認しておきましょう。またこの時点で、仲介手数料の半額を不動産会社に報酬として支払うことが一般的です。

[ 5 ] 決済・引渡し

決済とは、手付金や内金を差し引いた売買代金の残金、分譲マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税などの清算をすることです。決済と同時に物件を引渡すため、引渡し日までに買主に渡す登記申請の書類や分譲マンションに関する書類を用意したり、引越しを済ませたりする必要があります。

引渡し当日、関係書類と鍵を買主に渡したら、鍵の受領と引渡し完了書を取り交わして引渡し完了です。一般的に、このタイミングで不動産会社に対して仲介手数料の残りや諸費用を支払います。不動産会社によって支払い時期が異なることもあるので、営業担当者に確認しましょう。

なお、売主に住宅ローンが残っている場合には、決済日までに完済依頼を済ませ、決済と同時に完済をして抵当権の抹消手続きを行わなければなりません。完済依頼とは、住宅ローンの残債を一括返済する旨を金融機関に申し入れすることです。基本的には決済日の2週間前までに行う必要があります。ただし、完済依頼の期日は金融機関によって異なるため、前もって確認しておくとよいでしょう。

[ 6 ] 確定申告

確定申告は原則、分譲マンションを売却した翌年の2月16日〜3月15日の間に行います。売却によって譲渡益が出た場合、その譲渡所得に対して所得税や住民税などの税金がかかります。確定申告をしていないと、延滞税や無申告税、重加算税といった課税が発生する場合があるため注意が必要です。

反対に、譲渡損失が出た場合は控除や特例を受けられることがあるため、こういった優遇を受けるためにも忘れず確定申告をしましょう。

書類とペンと印鑑

分譲マンションを高く売却するポイント

次は分譲マンションをできるだけ高く売るために知っておきたいポイントをご紹介します。

高く売れる時期を見極める

分譲マンションの売却は、需要が高いタイミングを見極めることで高値で売りやすくなるでしょう。特に、新生活に向けて新しい物件を探す人が多くなる2~3月や、マンションの大規模修繕を行った後や近隣に新しい施設ができたなど住環境の利便性が上がったタイミングは、需要が高くなる傾向にあります。

また、東日本不動産流通機構の築年帯別平均価格データによると、築20年を境に成約価格は大きく下がっています。※そのため、マンション売却を検討している方は、築20年をすぎる前に不動産会社に相談しましょう。

不動産価値は世の中の景気にも左右されるため、普段から経済状況をチェックしておくことも大切です。一方で、同じエリア内や、同じ分譲マンション内に競合物件があるときは、値下げ競争になりやすいため注意しましょう。

スケジュールに余裕を持たせる

先述した通り、一般的にマンションの売却には売却活動開始から引渡しまで3〜6か月ほどかかるといわれています。そのため、少なくとも引越しをする3か月前には、売却活動をスタートしましょう。売却活動期間に余裕が持てない状態だと、焦ってしまって安易に値下げせざるを得ないことがあります。

適切な売り出し価格を設定する

売り出し価格は、不動産会社からの査定価格を参考に売り手が自由に決めることができます。できるだけ高く売却したい気持ちは分かりますが、相場価格から乖離し過ぎていると、なかなか買い手が付かなかったり、売却のタイミングを逃がしたりして、結果的に売却活動が長引き、値下げを余儀なくされる恐れがあります。

納得のいく価格で売るために、初めに適切な価格で売り出すことが重要です。そのためには、査定だけではなく自分自身でも情報収集して相場を把握する必要があります。売却したい分譲マンションと条件が似ている物件の売り出し価格を、物件情報サイトで調べてみるとよいでしょう。

●不動産の相場をサイトを利用して自分で調べる方法に関する記事はこちら
不動産の相場を知りたい!サイトを利用して自分で調べる方法

家の模型とグラフの資料

インスペクションを行う

インスペクション(既存建物状況調査)とは、建築士のような専門家が物件のコンディションを知るために客観的立場で行う調査のことを指します。築年数がたった中古マンションだと、欠陥や経年劣化を心配する買い手は多いため、インスペクションを行うことで買い手に安心感を与え、納得のいく価格での売却に近づくでしょう。

●インスペクションに関する記事はこちら
インスペクションとは?不動産売買でのメリットやかかる費用を解説

広告写真を充実させる

不動産購入において、大きな判断基準となるのが物件の写真です。購入希望者は、チラシ広告やインターネット広告に掲載された物件写真を見たときの印象で問い合わせをし、物件を絞り込んで内覧に進みます。十分な情報量を掲載しておくことで、購入希望者が集まりやすくなり、希望通りの売却に近づきます。

三井のリハウスでは、プロのフォトグラファーが売却物件の撮影を行う「ご売却物件イメージアップコンテンツ」を提供しています。広告に掲載する写真のクオリティが高まり、物件の魅力を伝わりやすくするサービスです。ご売却物件イメージアップコンテンツには、3Dウォークスルーやバーチャルステージングといったほかのサービスもあります。詳しくは以下のページをご確認ください。

●ご売却物件イメージアップコンテンツについて詳しくはこちら

値引きは慎重に検討する

売り出し価格の値下げは、物件が売れるための効果的な手段です。そのため物件がなかなか売れないと不動産会社から値下げを勧められる場合もあります。しかし、安易に値下げをしてしまうと損をすることもあるので注意が必要です。

もし、不動産会社に値引きを提案されたら、なぜ値引きをしたほうがよいのか根拠を聞くようにしましょう。そのときにどういった宣伝活動をしているのかも併せて聞いてみることをおすすめします。

マンションの模型

分譲マンションを早く売却する方法

焦らず時間をかけて希望価格で売るのが理想ですが、事情があり、どうしても早く売りたい場合には「買取」という方法があります。買取とは、不動産会社に物件を直接買い取ってもらう方法です。

買取のメリットは、売却活動の手間がかからないため媒介契約を結んだ場合に比べてかなりスピーディに売却できる点です。一方で、注意点として、成約価格が一般的な相場よりも下回ることが挙げられます。

●マンション買取に関する記事はこちら
マンション買取は得?詳しい売却方法を解説!

分譲マンション売却にかかる費用

続いて、分譲マンションを売却する際にかかる費用をご紹介します。必要な費用は大きく分けて「諸費用」と「税金」の2つです。これらのお金も、資金計画に組み込んで事前に準備しておきましょう。

分譲マンション売却にかかる諸費用

諸費用としてかかるものは主に以下の3つがあります。

仲介手数料
不動産会社と媒介契約を結んで売却できた場合は、その報酬として仲介手数料がかかります。この費用には、広告費や人件費、契約書の作成費などが含まれています。

仲介手数料は、不動産会社に対する成功報酬のため、売却が決まらず契約が取り消しになった場合は、支払う必要がありません。また、売却にかかった期間が長引いても、仲介手数料が増えることはないことを覚えておきましょう。

仲介手数料の金額は不動産会社によって差がありますが、上限額が法律で決まっています。取引価格が400万円を超える場合の上限額の計算式は以下の通りです。

取引物件価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税

●仲介手数料に関する記事はこちら
仲介手数料の相場はいくら?決められた上限と計算方法を解説

抵当権抹消費用
売却するマンションに住宅ローンが残っている場合、売却する前にローンの残債を完済して抵当権を抹消しなければなりません。この手続きを「抵当権抹消登記」といい、登記には不動産1件につき、1,000円の登録免許税がかかります。

また、抵当権抹消登記は専門的な知識を必要とするため、司法書士のような専門家に依頼するのが一般的です。専門家に依頼した際には、報酬も必要になり、相場は1〜2万円程度といわれています。

●抵当権抹消手続きを自分で行う方法に関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

住宅ローン返済手数料
基本的に、住宅ローンを完済しなければマンションを売却することはできず、住宅ローンの一括返済時には手数料がかかります。この手数料は、金融機関や利用している住宅ローンの金利によって異なるので、問い合わせて確認してみましょう。

マンションの模型と電卓

分譲マンション売却にかかる税金

印紙税
印紙税とは、契約書や証書を作成する際に課税される税金です。課税される額は、契約書に記載されている金額によって異なります。金額に応じて購入した収入印紙を売買契約書に貼り付け、消印を押せば、納税ができます。電子契約の場合は、収入印紙の貼り付けが不要のため、印紙税を納める必要がありません。

不動産に関する契約書にかかる印紙税は、本則で1,000万円超〜5,000万円以下の場合は2万円、5,000万円超〜1億円以下の場合は6万円と決まっています。しかし2024年3月31日までに作成される不動産の譲渡に関する契約書に関しては、軽減措置が適用されます。

●印紙税の軽減措置についてはこちら
国税庁 | 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

譲渡所得に対する税金
分譲マンションを売却することによって発生する所得を「譲渡所得」といい、それに対して所得税や住民税が課税されます。譲渡所得となるのは、マンション売却によって得た金額から、その物件を取得したときの費用と売却時にかかった費用を差し引いたものです。なお、要件を満たせば、譲渡所得にかかる税金が軽減される場合があります。控除を受ける場合は、各特例の要件を満たすことと、確定申告が必要となることに注意しましょう。

●譲渡所得にかかる税金の計算方法や特別控除に関する記事はこちら
不動産譲渡税とは?税金額の計算方法も併せて詳しく解説

ご紹介した諸費用や税金のほかにも、状況に応じてハウスクリーニングやリフォームが必要な場合はその費用もかかります。

住宅の模型とTAXと書かれた模型

分譲マンションの売却はパートナー選びが大切

分譲マンションの売却は、実際に始めてみると思った通りに進まないことがよくあります。そのようなとき、不動産会社と信頼関係を築けていれば、納得のいく売却ができるでしょう。安心してマンション売却を任せるためにも慎重にパートナーにする会社を選んでくださいね。

また「売却に興味はあるけれど、まだ決めたわけではない」という方も、査定額を算出したからといって不動産会社で必ず売却しなければいけないというわけではないので、まずは査定を依頼してみるのがおすすめです。

三井のリハウスでは、積み重ねた知見を生かし、精度の高い査定を行っています。査定後は、売却のサポートも可能ですので、マンション売却を検討している方はぜひご利用ください。

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※出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場,東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2023年9月23日)

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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