【初心者向け】不動産所得の確定申告!やり方と必要書類を分かりやすく解説

不動産所得が年間20万円を超える場合には、確定申告が必要です。この記事では、賃貸経営で収入を得る際の確定申告の種類や手順、用意すべき書類について基本的な知識を解説します。

目次
  1. そもそも不動産所得とは?
  2. 不動産所得の確定申告が不要なケース・必要なケース
  3. 不動産所得の確定申告の方法は2種類ある
  4. 確定申告時に不動産所得から差し引かれる経費
  5. 不動産所得の確定申告の方法と必要書類
  6. よくある質問
  7. 正しく確定申告を行い、損のない賃貸経営をしよう!
記事カテゴリ 賃貸 費用 税金
2026.08.19

そもそも不動産所得とは?

所得とは、給与をはじめとした収入から必要経費を差し引いた金額であり、なかでも土地や建物などを賃貸したことによって得る所得を「不動産所得」といいます。また、そもそも確定申告とは、1月1日~12月31日までに取得した総所得を計算し、かかる税金の金額を国に申告することを指すものであるため、不動産所得も確定申告の対象になることが一般的です。

不動産所得は、以下の計算式に沿って、不動産収入(家賃収入)から必要経費を引くことで算出できます。

不動産収入(家賃収入)-必要経費=不動産所得

不動産所得の金額は確定申告をするうえで重要な基準になるため、きちんと把握しておきましょう。

不動産所得の確定申告が不要なケース・必要なケース

不動産所得が生じた場合、いくつか条件がありますが、基本的には給与以外の所得の合計額によって確定申告が必要か不要かが決まります。また、所得の金額が基準を超えていない場合でも確定申告をすることで支払う税金を減らせる場合があります。ここでは、それぞれのケースについて詳しく説明していきます。

確定申告が必要か計算をする人

不要なケース

給与収入がある会社員で、勤務先で年末調整を受けている場合、不動産所得といった給与以外の所得の合計が年間で20万円以下であれば確定申告は不要です。また、ほかに給与所得がない専業大家や個人事業主の場合は、年間利益95万円まで申告が不要です。令和7年度(2025年度)税制改正以前は48万円まででしたが、基礎控除額の拡大に伴い、2025年12月1日以降は95万円まで確定申告が不要になりました。

必要なケース

確定申告が必要なケースは、不動産所得が20万円を超える場合です。ただし、不動産所得が20万円以下の場合でも、給与所得が2,000万円を超える会社員は、企業の年末調整の対象から外されるため、確定申告の対象になります。

不要だが申告をしたほうがよいケース

不動産所得が20万円を超えない場合でも、確定申告をすることで節税対策になることもあります。たとえば、不動産所得がマイナスになってしまった場合、「損益通算」という仕組みを利用することでほかの所得を少なく申告することが可能です。損益通算とは、不動産所得をはじめとした特定の種類の所得において赤字が出た場合に、総所得金額から赤字分の金額を差し引いて計上する制度です。損益通算を利用することで、課税対象となる所得金額が少なくなるため、節税につながります。

たとえば、給与所得が1,200万円で、不動産収入が100万円の損失だったとしましょう。この場合、課税対象となる所得は1,200万円ですが、確定申告を行うと、損失額の100万円を引いた1,100万円が課税対象となり、納税額を減らすことができます。

これらのメリットを踏まえても、不動産所得がある場合は、基本的に確定申告を行ったほうがよいでしょう。

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不動産所得の確定申告の方法は2種類ある

ひとくちに確定申告といっても、個人で行う確定申告は「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。青色申告は白色申告に比べて複雑で手間がかかりますが、税制上の優遇措置が受けられるというメリットがあります。それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

白色申告と青色申告

白色申告

白色申告とは、納税者を対象とした、基本的な申告方法です。白色申告の大きなメリットは、手続きの簡単さです。単式簿記といって簡易的な簿記による記帳で手続きが済むため、もう1つの方法である青色申告と比較すると手続きのハードルが低くなります。しかし、白色申告の場合は、青色申告で受けられるような税制上の優遇措置を受けることができません。

青色申告

不動産所得や事業所得、山林所得がある人は、青色申告の制度を利用することで、税金の控除を受けることができます。青色申告は、複式簿記による記帳が必要になるため、白色申告よりも帳簿の数が増え申告方法が複雑になりますが、利用することで青色申告特別控除が適用されます。

青色申告をする場合は、事前に「青色申告承認申請書」を期日までに提出する必要があります。申告期限はその年の3月15日までが基本ですが、1月16日以降に事業(不動産投資)を始めた場合は、事業開始日から2か月以内が申告期限になります。期限をすぎてしまったり、申請をしていなかったりした場合は、その年の青色申告はできないので注意してください。

また、青色申告を行うのに「開業届」の提出は必要ありません。収益を継続的に得ることができる事業を始めた場合、翌年の3月15日までに開業届を税務署に提出することが義務付けられていますが、未提出でも青色申告は可能です。ただし、開業届を提出することで企業名義の銀行口座やクレジットカードの作成といったことが可能になるため、青色申告承認申請書とともに提出するのがよいでしょう。

青色申告をすることで受けられる所得控除の金額は、申告の方法によって10万円、55万円、65万円の3つのケースに分かれます。それぞれの金額の条件を見ていきましょう。

10万円控除の場合
青色申告者のなかで、次に紹介する55万円と65万円の控除の要件に当てはまらない場合に利用できるのが10万円控除です。控除額が最も少ない10万円の控除の場合、簡易簿記での記帳が認められています。複式簿記に比べて記帳がかなり簡単といえるでしょう。

55万円控除の場合
55万円控除を受けるためには、不動産賃貸が事業的規模であることが条件になります。事業的規模といえる賃貸物件の基準は以下の通りです。

・マンションやアパートについて、貸与できる戸数がおおむね10戸以上であること
・独立家屋の場合、おおむね5棟以上であること

不動産所得、または事業所得を持つ人が、複式簿記で記帳をし、3月15日までに「貸借対照表」と「損益計算書」と共に確定申告書を提出した場合に、55万円が控除されます。

65万円控除
55万円控除の条件を満たし、かつe-Taxによる申告か、電子帳簿保存を行う場合に65万円控除が適用されます。e-Taxとは、インターネット上で確定申告や納税ができるシステムのことで、電子帳簿保存とは、帳簿を紙に出力せずに電子データで保存することです。電子帳簿保存は以前は3か月前までの事前承認申請が必要でしたが、現在は特別な手続きなく行えるようになりました。

ほかにも、青色申告を行うと、所得で赤字ができてしまった場合にも損益通算することで課税が軽減できたり、最長で3年間赤字を繰り越したりすることが可能です。なお、白色申告でも損益通算で課税を軽減できますが、赤字の繰り越しはできません。そのため本来確定申告が必要のない赤字が出た場合でも、税金対策として青色申告することをおすすめします。

確定申告時に不動産所得から差し引かれる経費

不動産所得は収入金額から必要経費を差し引いたものになるため、建物の購入費用や住宅保険料などといった経費計上できるものの把握が不可欠です。必要経費に何が含まれるのか、分かりやすくなるよう以下の一覧表でまとめました。

経費計上できるもの方法
不動産にかかる税金・不動産取得税、固定資産税、都市計画税、登録免許税、印紙税、事業税の経費計上が可能
建物の購入費用・購入費用を固定資産として減価償却可能
住宅ローンにかかる利子やその他費用 ・住宅ローン関連で発生した費用を経費計上できる
・元金は経費に含まれない点に注意
修繕費・経年劣化に伴うリフォーム費用や設備の検査・修理費用は経費計上可能
水道光熱費・賃貸物件の共用部の水道光熱費も経費計上可能
住宅保険料 ・火災保険や地震保険など不動産購入の際の加入が一般的な住宅保険
・実際に地震や火災が起きた際の保険金は非課税
専門家報酬費・不動産を購入時に、司法書士や税理士、弁護士などの専門家に相談または手続きの依頼をした場合の報酬費用
扶養家族に支払った給与・扶養家族への給与は事業専従者給与として経費計上可能
不動産所得を得る過程で発生したその他経費・会社との打ち合わせで発生した交際費や交通費に加え、情報収集に用いた書籍の代金やインターネットの通信料まで、広範囲のものが含まれる

扶養家族への給与を経費計上するためには、青色申告を行う必要があります。青色申告をすることで、扶養家族に支払った給与が青色事業専従者給与と見なされ、必要経費から差し引くことができます。

また、所得税や住民税、法人税といった税金が必要経費に含まれないのは、これらの税金が個人に課税されるものとして認識されているためです。

●家賃収入にかかる税金や計算方法についてはこちら

不動産収入から差し引く諸経費

不動産所得の確定申告の方法と必要書類

不動産所得の確定申告では、賃貸借契約書や送金明細表など複数の書類をもとに確定申告書類の作成・提出を行います。ここからは実際の申告や必要な書類について、手順に沿って解説していきます。

1.必要書類の用意と作成準備

確定申告を行うにあたって、まずは申告書類に加え、申告書類の作成に必要な書類を用意しましょう。白色申告なのか青色申告なのか、また控除額がいくらになるのかによって必要書類が異なります。事前に申告方法を決め、その方法に必要な書類を確認しましょう。

確定申告で必要な書類は以下の通りです。

必要書類入手先
確定申告書国税庁のWEBサイト、または税務署
収支内訳書(白色申告の場合)
青色申告決算書(青色申告の場合)
本人確認書類(マイナンバーカード等)市区町村

副業として不動産の賃貸経営を行っている場合は、家賃収入による不動産所得と本業での収入をそれぞれ計算し、1回の確定申告でまとめて申告する必要があります。また、確定申告書は申告方法によらず必要な書類ですが、収支内訳書は白色申告、青色申告決算書は青色申告の場合に提出が求められます。

確定申告書や収支内訳書、青色申告決算書の作成に必要な書類を以下に一覧表でまとめました。

使用用途必要書類入手先
収入の把握ができる書類送金明細表管理委任会社
源泉徴収票(損益通算が可能)勤め先企業(給与所得者の場合)
経費計算に必要な書類保険関係の支払いが分かる書類契約先の保険会社
管理費・修繕積立金などの領収書依頼先の業者
所得税の減価償却資産の償却法の届出書国税庁のWEBサイト、または税務署
固定資産税通知書市区町村
借入返済表借入先の金融機関
貸借期間や敷金など契約内容が分かる書類賃貸借契約書管理委任会社(貸主が契約書類を紛失している場合)

以上のように、収入や賃貸経営の契約内容、必要経費を把握できる書類を確定申請書類の作成前に準備しておきましょう。

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2.確定申告書類の作成

準備した書類をもとに、確定申告書類を作成します。収支内訳書や青色申告決算書など複雑な書類の書き方が分からない場合は、税務署で税務署員のアドバイスを受けながら作成するとよいでしょう。ほかにも国税庁のホームページに、パソコンを使って確定申告ができる「確定申告書等作成コーナー」というページがあります。こちらのページでは、必要事項への記載入力、書類の作成、提出、印刷までできます。

確定申告書類の記入

3.確定申告書類を提出する

確定申告書類の提出方法は、所轄税務署の窓口まで足を運ぶ、郵送する、e-Taxを使ってインターネットで申告をする、の3つがあります。e-Taxを使うと、65万円の所得控除を受けられる可能性があります。

4.納税または還付を受ける

確定申告書類の作成、税額計算を済ませた結果、納税が必要な場合は所轄税務署または所轄税務署管内の金融機関で手に入る納付書を使って納税します。納税期限は原則、確定申告書の提出期限の3月15日になるため、余裕を持って確定申告の準備を進めましょう。

また、税金の還付を受ける際は、口座に「国税還付金」として振り込まれます。e-Taxを使った電子申告だと、書面提出より早く還付金を受けられる場合があるためおすすめです。

よくある質問

事業的規模の登録を行うと何が変わる?

不動産賃貸が事業的規模と認められると、資産損益の繰り越しができたり青色申告控除の控除額が増加したりするのに加え、回収できなかった賃料や扶養家族に支払う給与の経費計上ができるようになります。特に、青色申告控除は事業的規模と認められることで、10万円の控除から65万円(e-Taxを使用しない場合は55万円)の控除になるため、申請を行うメリットが大きいです。

ただし、事業的規模といえる賃貸物件の基準は以下の通りで、副業等で小規模な賃貸経営を行っている人にはかなり厳しい条件といえます。

・マンションやアパートについて、貸与できる戸数がおおむね10戸以上であること
・独立家屋の場合、おおむね5棟以上であること

不動産所得をe-Taxで確定申告するメリットは?

e-Taxの最大のメリットは申請書類の印刷や税務署に行く手間を省くことができる点です。24時間いつでもスマホやPCで申告できるのに加え、マイナポータルとの連携で申告情報を一部自動入力することができます。また、手間の削減のほかにも、国税還付金をより早く受け取れたり、青色申告控除が65万円になったりといった制度上のメリットも複数存在します。

正しく確定申告を行い、損のない賃貸経営をしよう!

ここまで、不動産所得の確定申告について、申告の種類や手順、必要書類についてお伝えしてきました。確定申告をすることによって、税金控除を受けられるケースがあるため、不動産所得の確定申告はほぼ必須といえます。

賃貸経営を行う際は、自身の不動産所得について把握し、正しく確定申告を行うことが重要です。事前に申告方法の確認や、必要書類の準備などを行うようにして、正確な確定申告をするようにしましょう。

三井のリハウスでは、区分所有のマンションで賃貸経営を行う貸主さまへ向けて、賃料の入送金管理や設備故障の受け付け、修繕工事の手続きなど、さまざまな管理業務に対応して賃貸経営をサポートしております。不動産賃貸をこれから始める方も既に賃貸経営を行っている方もぜひご相談ください。

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