賃貸借契約の流れは?手続きに必要な書類や注意点について徹底解説

賃貸借契約をスムーズに進めるためには、手順や手続き、必要な書類を把握することが重要です。この記事では、お部屋探しから入居までの流れと必要書類、注意点などを、初めて賃貸借契約をする方にも分かりやすく解説します。

目次
  1. 賃貸借契約の流れや期間を知っておこう
  2. 賃貸借契約から入居までの流れ
  3. 賃貸借契約で必要な書類と費用
  4. 賃貸借契約における注意点とチェックポイント
  5. 賃貸借契約の流れを理解してスムーズに物件を見つけよう!
記事カテゴリ 賃貸
2024.02.16

賃貸借契約の流れや期間を知っておこう

進学や就職、転勤など新生活を始めるにあたって、賃貸物件を探している方も多いのではないでしょうか?

賃貸借契約は、物件探しから入居までの流れを知っておくことでスムーズに進めることができます 。繁忙期となる1~3月は借り手が多く、希望の物件に申し込みが重なって契約ができなかったり、インフラや引越しの手続きに時間がかかったりする可能性が高くなるため、人気の物件を借りるためには早めの行動が必要です。

今回は、賃貸借契約の流れや初期費用入金のタイミング、契約手続きに必要な書類について解説します。賃貸借契約の流れを理解して、契約までスムーズに進められるようにしましょう。

賃貸借契約の流れについて検索する女性

賃貸借契約から入居までの流れ

まずは賃貸借契約の流れを見ていきましょう。物件探しから入居までのおおまかな流れは以下の通りです。

[ 1 ] 部屋の希望条件を考えて物件を探す
[ 2 ] 不動産会社へ問い合わせ、内見(内覧)をする
[ 3 ] 入居申し込みを行い、入居審査を受ける
[ 4 ] 賃貸借契約を結ぶ
[ 5 ] 物件の引渡しを受ける

それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

[ 1 ] 部屋の希望条件を考えて物件を探す

まず、物件探しを始める前に、自分にとってどのような条件の物件が理想的なのか考えましょう。住みたい物件の条件が決まっていると、物件探しをよりスムーズに進められます。考えておきたい物件の条件は、「立地」「部屋の広さ・間取り」「家賃(賃料)と予算」「物件の設備」の4つです。ここからは、それぞれのポイントを解説します。

立地
物件を探すにあたり、通勤・通学のアクセスや周辺環境、生活利便性など、希望する立地条件や優先したい条件を決めておくとよいでしょう。

最寄りの駅やバス停などの交通機関から物件までの距離や所要時間は、通勤や通学など、日々の生活のしやすさに直結します。また、近い将来の家族構成やライフステージを考慮して、周辺環境が自分にとって利便性が高いかどうかも大切なポイントです。

候補の物件をある程度絞り込めたら、街を歩いて、周辺の環境や街の雰囲気、住んでいる人の様子などを可能な限り確認するのがおすすめです。たとえば、以下のような視点で様子をしっかりチェックするとよいでしょう。

・最寄り駅まで歩いてどれくらい時間がかかるか
・治安に心配はないか(人通りの多さや街灯の有無など)
・スーパーやコンビニが近くにあるか(自分の生活リズムに合う営業時間か)
・子どもがいる場合は保育園や小児科、公園などがあるか

ただし、希望する条件にこだわり過ぎると、物件の数が限られ、想定する家賃を超えてしまったり、物件が見つからなかったりする恐れがあります。物件を探す際は、条件に優先順位を付けておくとともに、立地以外の条件とのバランスを考慮して検討するようにしましょう。

住宅街

部屋の広さ・間取り
国土交通省の住宅市場動向調査によると、物件選びにおいて、部屋の数や間取りは多くの方が重要視するポイントです。

人数別の部屋の広さの目安は以下の通りです。

人数間取り広さ
1人暮らし1R~1LDK20~35㎡
2人暮らし1LDK~2LDK30~45㎡
3人以上2LDK以上40㎡以上

ただし、必要となる広さや間取りは、居住者それぞれのライフスタイルによって異なります。
たとえば、リモートワークをするなら書斎でもう1部屋あるいはデスクを置くためのスペースが必要となります。子どもがいる場合には、その人数・年齢・性別なども考慮する必要があるでしょう。

また、一人暮らしの間取り選びで特に意識しておきたいのは、「1R」と「1K」の違いです。1Rとは、部屋に仕切りがなく、キッチンと居室が区別されていない間取りのことです。一方、1Kはキッチンと居室が区別されていて、別の部屋にある間取りを指し、一般的に4.5畳未満のキッチンスペースがあります。

面積の表記が同じであっても、1Rの場合はキッチンと居室を合わせた部屋の広さ、1Kの場合は居室のみの広さを指しているケースもあるため、家具を置けるスペースが大きく異なる可能性がある点を押さえておきましょう。

家賃と予算
家賃の相場は一般的に手取り収入の3分の1とされ、収入額は入居審査においても判断されるポイントの1つとなっています。物件選びでは、手取り収入の3分の1を家賃の上限額の目安として、予算内に収まっているかどうかを意識するよう心がけましょう。予算内の物件で希望条件が当てはまらない場合には、築年数の古い物件や駅から距離のある物件などを探してみるのも1つの手段です。

賃貸物件を内見する夫婦と不動産会社の担当者

物件の設備
物件探しでは、「自分が住むときにどのような設備が必要か」という観点も重要なポイントです。たとえば、「駐車場や駐輪場があるか」「収納場所やキッチンコンロの数は十分か」「洗濯機置き場が部屋の中にあるか外にあるか」「インターネット環境はどうか」など、入居した後の生活をイメージして、必要な設備が十分に備わっているかを確認するとよいでしょう。

また、玄関・部屋の広さや、部屋にあるコンセントの数・位置によっては、大きな家具家電の搬入が難しかったり、家具を置きたい場所に置けなかったりする可能性があります。そのような状況を防ぐためにも、必要な設備を洗い出し、室内をチェックしておきましょう。

実際に物件を探す際は、希望条件に優先順位を付け、設備以外の条件とのバランスを考慮して検討することをおすすめします。条件を細かく設定して気になる物件が見つからない場合は、譲ってもよい条件を緩和しながら、自分にとって住みやすい物件を探してみてください。

[ 2 ] 不動産会社へ問い合わせ、内見(内覧)をする

賃貸物件検索サイトで物件を探した後は、掲載している不動産会社に連絡します。不動産会社の担当者からより詳細な情報を聞き出し、気に入った物件の内見を予約しましょう。物件検索サイトの情報で気になる点があれば、予約するときに質問して確認するとよいでしょう。

内見をした後、気に入った物件があれば、なるべく早く入居申し込みをしましょう。特に人気のある物件は、契約の申し込みが遅れてしまうとすぐにほかの入居者希望で契約が決まってしまう場合もあります。

賃貸で契約するマンションの部屋

[ 3 ] 入居申し込みを行い、入居審査を受ける

住みたい物件が決まったら不動産会社を通じて貸主に入居申し込みを行い、入居審査を受けます。

入居申し込みでは、入居申込書に以下の情報を記入し、提出します。入居申込書以外の必要書類に関しては後ほどご説明します。

・氏名
・住所
・生年月日
・連絡先
・勤務先情報
・収入
・勤続年数
・緊急連絡先や連帯保証人の情報

近年では家賃の滞納が発生してしまった際に、借主に代わって家賃を支払う「家賃保証会社」を利用するケースが多くなっており、連帯保証人を立てる必要がない場合もあります。

また、入居申込書とは別に、入居審査のために契約者本人(と連帯保証人)の年収を示す収入証明書類の提出が必要です。申し込みをスムーズに行えるように事前準備をしっかりと行いましょう。

入居審査では、入居申込書やそのほかの書類をもとに貸主の判断と保証会社の審査によって入居の可否が決まります。入居審査にかかる期間はおおよそ3~7日とされていて、職業や家族構成、入居理由、収入、勤務形態を踏まえた家賃の支払い能力などについて総合的に判断されます。

賃貸借契約を結ぶ人

[ 4 ] 賃貸借契約を結ぶ

入居審査を通過したら、重要事項説明書と賃貸借契約書を確認し、賃貸借契約を結びます。手続きは一般的に不動産会社で行われ、契約前に宅地建物取引士から「重要事項説明書」をもとに説明を受けます。以下は、重要事項説明書に記載されている内容の一例です。

・家賃や共益費(家賃とは別に支払う運営維持費)の支払日・支払い方法
・設備不具合時の連絡先
・契約更新方法と更新料
・解約時の予告期限
・契約期間内に退去した場合の違約金
・退去時の修繕費用
・退去時の敷金や保証金返還の有無

重要事項説明書の内容は、契約後のトラブルを防ぐために、しっかりと確認しましょう。不明な点や疑問があれば、遠慮せずに質問し、内容を十分に理解することが重要です。1人で説明を受けることに不安を感じる場合は、同居者や連帯保証人に内容を共有し、共に確認するとよいでしょう。

重要事項説明書の内容に納得し問題がなければ、契約当日までに初期費用(敷金や礼金、前家賃、保険料など)を入金することが一般的です。初期費用を支払い、賃貸借契約書に署名、捺印をすれば契約が成立します。

また、設備に不具合があった場合の連絡先の説明もあります。入居後に困りごとがあった際はそちらへ問い合わせることになりますので、連絡先を控えておくとよいでしょう。

[ 5 ] 物件の引渡しを受ける

契約が完了したら、物件の引渡しを受け、お部屋の鍵を受け取ります。引越しまでに、「転出届」の提出やライフラインの手続きを行う必要があるため、時間に余裕を持って準備しましょう。可能であれば、引越し前にもう一度物件を見ておくと家具の購入やレイアウトを考えるうえで役立ちます。

引渡し前と後で行う作業や手続きについて、主なものは以下の通りです。

引渡し前から当日にやることリスト
・引越し業者の手配(引越し日が決まったらできるだけ早めに)

・駐車場・駐輪場の解約
・掃除・不用品の処分
・新居で必要なものの手配
・転出届を提出
・転校・転園の手続き
・インターネット・ライフラインの引越し手続き
・郵便局へ転居届の申し込み
・冷蔵庫・洗濯機の水抜き
・引越し前の家のガス閉栓・新居のガス開栓

なお、郵便局への転居届の申し込みについては、「e転居」という無料サービスを使ってオンラインで申し込むこともできます。

引渡し後にやることリスト
・転入届・転居届を提出
・マイナンバー・運転免許証・パスポートなどの住所変更
・転校・転園の手続き
・勤務先への申請
・車やバイクの登録変更
・ペットの登録変更
・通販サイト・携帯会社・クリーニングなど各種会員情報の住所変更

引渡し前と後で行うべきことは、子どもやペットの有無などによって必要な手続きの数は異なります。必要な作業や手続きを事前に確認し、余裕を持って行いましょう。

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賃貸契約に必要なパソコンと書類と筆記用具

賃貸借契約で必要な書類と費用

賃貸借契約では、複数の書類を用意する必要があります。直前になって焦ることがないようにあらかじめ準備しておきましょう。ここでは、各ステップにおける必要書類をご紹介していきます。

入居申込時

入居申し込みで必要な書類は以下の通りです。

書類内容・入手方法
申込書氏名、生年月日、現住所、電話番号、勤務先の情報、業種、年収、勤続年数など
身分証明証運転免許証、パスポート、健康保険証
収入を証明できる書類会社員の場合は源泉徴収票、自営業またはフリーランスの場合は、確定申告書または納税証明書
(源泉徴収票は勤務先、納税証明書は税務署で入手可能)

契約時

賃貸借契約を結ぶ際に必要となり得る書類は以下の通りです。いずれもマイナンバーの記載があると、個人情報保護の観点から、不動産会社が受け取れないため注意しましょう。

書類内容・入手方法
住民票3か月以内に発行された物件に住む全員分の住民票
(市区町村役場で入手可能)
印鑑証明書印鑑登録をして、印鑑証明書を現在の居住地の自治体に発行してもらう
(市区町村役場で入手可能)
連帯保証人に関する書類連帯保証人の住民票、印鑑証明書、収入証明など

入居申込時や契約時に必要な書類が不足していると手続きを行うことができません。さらに、契約時には認印や実印、銀行印や通帳、クレジットカードなども必要となる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

虫眼鏡と賃貸マンションの模型

費用

賃貸借契約時に費用はいくら必要か事前に確認し、準備しておきましょう。主な初期費用には以下のようなものが挙げられます。

必要なお金内容
敷金家賃の未払いや借主が部屋を損傷させた場合の原状回復費用の担保となるお金。相場は家賃の1~2か月分で、原状回復費用を差し引いた額が退去時に返金される。
礼金部屋を貸してもらったお礼として貸主に対して支払うお金で相場は家賃の1~2か月分。退去時に返金されない。
仲介手数料不動産会社に報酬として支払うお金で、上限は借主・貸主合わせて家賃の1か月分 + 消費税。(一般的には借主が貸主の分と合わせて1か月分+消費税を支払う)
前家賃入居月(日割り家賃)とその翌月の家賃。翌月の家賃を入居月の家賃と一緒に支払う。
保険料損害保険などの加入時に保険会社に支払うお金。
保証料保証会社を利用するためのお金。保証会社は借主が家賃を滞納した場合に、立て替えて支払う。

賃貸借契約における注意点とチェックポイント

ここからは賃貸借契約での注意点やチェックすべきポイントについてお伝えします。よくあるトラブルを把握しておき、未然に防ぎましょう。

更新料の確認

賃貸借契約の更新に際して発生する費用を「更新料」といいます。更新料の相場は家賃の1か月分とされていますが、これより多い場合や更新料がかからないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

退去時の事前申告期間の確認

物件を解約し退去したい場合は、貸主に予告する必要があります。一般的に申告期間は退去する1~2か月前までとされていますが、いつまでに予告する必要があるのかを前もって不動産会社に確認し、把握しておきましょう。

申告期間をすぎてしまうと、希望する退去日までに引越しができなかったり、家賃を予定よりも余分に支払わなければいけなくなったりする恐れが生じます。

違約金の確認

違約金とは、解約日をすぎても物件を明け渡さないといったように、契約内容に違反する行為があった場合に発生する費用のことです。違約金に関する事項は、重要事項説明書へ必ず記載されておりますので、予想外の出費が発生することがないよう、契約内容を今一度確かめておきましょう。

マンションの模型とお金

特約の確認

特約とは、その物件のみに課された特別な条件のことです。「特約事項」として契約書に書かれている場合が多く、上記で説明した違約金や退去時の修繕費用などの負担が貸主と借主どちら側にあるのかも記載されている場合があるため、特約事項の有無とその内容について念入りにチェックしておきましょう。

設備故障時の対応の確認

物件で設備が故障した場合、その修繕費を家主が負担してくれるかどうかも確認しましょう。なかには前に住んでいた人が使っていた設備が残っているケースも考えられます。家主の設備だと思っていたものが前の借主の残置物であった場合、修繕・買い替えの費用をめぐってトラブルになる可能性があるため可能であれば申し込み前の内見時の段階から確認しておきましょう。

また、設備が故障をした際の対応窓口についてもチェックすることをおすすめします。物件によって、貸主と直接やり取りを行って対応しなければならないのか、不動産会社が間に入って対応するのかが異なります。

賃貸物件に引越すため、整理整頓をする女性

賃貸借契約の流れを理解してスムーズに物件を見つけよう!

ここまで賃貸借契約の流れと必要書類、注意点について解説してきました。物件探しから契約、入居までには複数の手続きを行う必要があり、その過程で必要となる書類は多くあるため、早めに書類の準備を始めることがおすすめです。理想の物件と巡り合い、新しい生活をスムーズに始められるよう、契約の流れをしっかりと押さえておきましょう。

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