持ち家を賃貸する方法とは?賃貸経営のメリットや注意点を解説

持ち家を賃貸に出すことで、家賃収入を得られる、再び同じ家に住めるといったメリットがあります。賃貸経営の基礎知識や手順に加えて、持ち家を賃貸することのメリットや注意点、住宅ローンを返済中の家を貸し出す方法までご紹介します。

目次
  1. 持ち家を賃貸に出すには?
  2. 持ち家を賃貸に出すメリット
  3. 持ち家を賃貸する方法
  4. 持ち家を賃貸する際の注意点
  5. 住宅ローンが残っている持ち家を賃貸する場合
  6. 持ち家を賃貸に出して有効的に管理しよう
記事カテゴリ 賃貸
2024.03.28

持ち家を賃貸に出すには?

「転勤のため今住んでいるマンションに住まなくなる」「親と同居するので今住んでいるマンションが空く」などのライフスタイルの変化によって、持ち家を賃貸に出すか売却するか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか?一時的に離れる持ち家を売却せず、賃貸に出すことで、家賃収入を得られる、将来再び同じ家に住むことができるなどのメリットがあります。

この記事では、持ち家を賃貸に出すメリットや押さえておくべき注意点、賃貸経営を始めるまでの手順について基礎知識から詳しく解説します。賃貸物件の契約・管理に関して、「自分にもできるのだろうか」「何から始めればよいのだろう」と不安に感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。まずは持ち家を賃貸に出す3つのメリットについて、一緒に見ていきましょう。

持ち家のマンション

持ち家を賃貸に出すメリット

持ち家を賃貸に出すメリットは以下の3つです。

・家賃収入を得られる
・再び同じ家に住める
・節税効果がある

1つずつ詳しく解説していきます。

家賃収入を得られる

持ち家を貸し出すことで、入居者がいる限り定期的に家賃収入を得ることができます。特に分譲マンションであれば、一棟賃貸のマンションやアパートと比較して標準設備含めグレードが高い傾向にあるため、高い賃料で貸し出せる場合があります。持ち家を貸し出せば、利益の一部で税金を支払ったり、老後資金の足しにしたりすることも可能です。

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再び同じ家に住める

転勤などにより一時的に使用していない持ち家を賃貸することで、再び同じ家に戻ることができます。再び持ち家に住む可能性がある場合には、定期賃貸借契約を結びましょう。

定期賃貸借契約は、貸主が定めた年数の契約期間が満了すると更新なく契約が終了する形式であるため、将来的な物件の利用計画を立てやすく、貸主にとってメリットが大きいといえます。たとえば、定期賃貸借契約の期間を転勤から戻ってくるタイミングに合わせることで、帰任の際に新しい家を探す手間を省くことが可能です。

また、室内や設備の劣化を防げることも、持ち家を貸し出すメリットの1つです。長期間、室内や設備を利用せず、また掃除もしなかった場合、換気ができないことでカビが発生したり、給排水管がさびたりと劣化が進みやすくなります。そのため、自分が使用しない間は誰かに住んでもらい、空き家の期間をつくらないことで、物件の劣化を防ぎ資産価値を保つことができるのです。また、入居者がいることで空き巣の侵入や犯罪の発生を防ぐ効果も期待できます。

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節税効果がある

賃貸経営には節税効果が期待できます。持ち家を貸し出すことで物件の取得費が減価償却の対象になるだけでなく、賃貸経営で必要となる管理費や修繕費、登記費用などが経費として計上されて所得が軽減されるためです。所得が抑えられると所得税や住民税が軽減でき節税につながります。

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持ち家のミニチュアと貯金箱を持つ男性

持ち家を賃貸する方法

ここからは、持ち家を賃貸にする際の流れを見ていきましょう。流れは以下の通りです。

[ 1 ] 委託する不動産会社を探す
[ 2 ] 賃貸借契約の種類を決める
[ 3 ] 賃料を設定する
[ 4 ] 入居者を募集する
[ 5 ] 賃貸借契約を結ぶ
[ 6 ] 引渡し

[ 1 ] 委託する不動産会社を探す

持ち家を賃貸する際は、まず仲介や管理を依頼する不動産会社を探しましょう。仲介は借主が入居するまでの内見希望者の案内や契約手続き、引渡し手続きなどを指します。

賃貸管理業務は、入居して以降の家賃の集金や管理、更新手続き、トラブル時の対応、設備のメンテナンスなど行うべきことが多岐にわたります。こういった業務は、賃貸仲介業務や賃貸管理業務を任せられる不動産会社を探して委託することが一般的です。三井のリハウスでは、入居者募集から管理運営まで、賃貸にかかわる一連の煩雑な業務をサポートしておりますので、お気軽にご連絡ください。

●三井のリハウスへの賃貸管理のご相談はこちら

●賃貸管理会社の業務内容や委託契約の種類、会社選びのポイントに関してはこちら
不動産管理会社とは?業務内容や契約の種類、会社の選び方などについて解説

[ 2 ] 賃貸借契約の種類を決める

賃貸借契約の種類は2つあります。「普通賃貸借契約(普通借家契約)」と「定期賃貸借契約(定期借家契約)」です。

普通賃貸借契約とは、賃貸借期間が1年以上(一般的には2年)と定められていて、更新が可能な契約方法であり、相場通りの条件や賃料を設定できる、借りたい人が集まりやすいといった特徴があります。これは一般的に貸主の都合による解約が困難であること、賃貸借期間に期限がないことから、借主にとって有利な契約形態のためです。正当な事由がない限り、貸主側からの中途解約や更新の拒絶はできません。

先ほどご紹介した通り、定期賃貸借契約とは、あらかじめ決められた賃貸借期間が満了したら契約が終了する契約方法であり、転勤などで一定期間使用しない家があるという人に向いています。ただし、居住期間を限定しているため普通賃貸借契約と比べて入居希望者が減ってしまう傾向にあります。

上述したほかにもそれぞれのメリット・デメリットがあるため、それらも踏まえて自分の状況に合った契約の種類を見極めることが重要です。2つの賃貸借契約における、貸主から見たメリットや注意点については以下の記事をご覧ください。

●賃貸借契約の種類や契約の流れに関する記事はこちら
賃貸借契約とは?契約の種類や流れ、必要書類までわかりやすく解説

[ 3 ] 賃料を設定する

賃貸借契約の種類を決めたら、賃料を決めましょう。賃料を設定する際に、高く設定し過ぎると入居希望者が現れにくくなる恐れがある一方で、安過ぎても得られる家賃収入が少なく、赤字になるリスクがあります。適切な賃料設定を行うために考慮したいポイントは主に以下の通りです。

・周辺の成約物件・募集中物件の賃料
・駅からの距離
・立地
・築年数
・階数
・間取り
・構造
・設備(リフォームや交換の有無も含む)
・賃貸借契約の種類

不動産会社には賃料査定を依頼することができます。基本的に査定は、自身の持ち家と周辺の類似物件を、上述したポイントを含めた複数の観点から比較して行い、類似物件の成約時の賃料と比較結果を参考にして賃料額を算出します。

賃料は持ち家の条件や契約方法によって変化し、たとえば2~3年だけの定期賃貸借契約の場合は、高い賃料だと入居を検討してもらえない可能性があります。数多くの成約事例を持っている実績が豊富な不動産会社に査定を依頼することで、より精度の高い査定結果が得られるでしょう

●賃料査定の方法・不動産会社の選び方に関する記事はこちら
賃料査定の方法とは?不動産会社の選び方まで詳しく解説!

[ 4 ] 入居者を募集する

賃料まで決定したら、入居者の募集を始めます。仲介会社に募集活動を依頼している場合、仲介会社の担当者が物件の宣伝や募集活動、入居希望者の内見への対応などを行います。内見時によい印象を持ってもらうために、仲介会社と相談してクロス張り替えや設備の修理・交換など室内のリフォーム・清掃を行っておくとよいでしょう。

[ 5 ] 賃貸借契約を結ぶ

入居者が決まったら、いよいよ賃貸借契約を結びます。契約書の作成・契約手続き・引渡しなどは不動産会社に委託することができます。賃貸借契約を結ぶ際には、借主に対して、重要事項説明と賃貸借契約書の確認を行います。このとき、契約後のトラブルを防ぐためにも、書面の内容と貸主である自身の希望・認識が異なっていないかよく確認することが重要です。

各種確認を終えて借主が合意したら、書類に署名と捺印をしてもらい、契約が成立します。契約締結後、引渡し日に鍵を受け渡して、物件の引渡しは完了です。

●賃貸借契約の種類や契約の流れに関する記事はこちら
賃貸借契約とは?契約の種類や流れ、必要書類までわかりやすく解説

●マンションを貸す際のコツや収入・支出に関する記事はこちら
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持ち家の契約が成立して受け渡す様子

持ち家を賃貸する際の注意点

ここまで、持ち家を賃貸に出すメリットや流れについて解説してきました。一方、持ち家を賃貸に出す際は、リスクや注意点を把握しておくことも重要です。注意点は以下の通りです。

・入居者がすぐに見つからない場合がある
・トラブルが発生する可能性がある
・管理に手間がかかる
・確定申告が必要になる

1つずつ分かりやすく解説していきます。

入居者がすぐに見つからない場合がある

入居者が見つからなければ、収入を得ることができません。収入がなくてもマンション管理費や修繕積立金などの支払いは発生するため、空室が長く続いてしまうと、経営が赤字になるリスクがあります。そのため空室の期間が長引かないようにするには、募集条件や賃料を想定されるニーズや相場に合わせて設定する必要があります。ニーズや相場に合った賃料を設定するには、実績の多い不動産会社に賃料査定を依頼しましょう。

トラブルが発生する可能性がある

持ち家を貸し出すことで、賃貸中にトラブルが発生する可能性があります。貸主と借主間や、近隣住民を含む第三者とのトラブルを未然に防ぐには、貸主と借主との間で賃貸借契約を結ぶ際に、費用や諸条件含め細かい箇所まで確認・同意しておくことが大切です。賃貸経営を管理会社に委託する場合には、担当者の知識や対応の質、賃貸管理の実績やトラブルが起きた際に安心して任せられるかどうかを見極めておきましょう。

●不動産会社を選ぶ際のポイントに関する記事はこちら
不動産管理会社とは?業務内容や契約の種類、会社の選び方などについて解説

管理に手間がかかる

持ち家を貸し出す際は、管理業務に手間がかかることを把握しておく必要があります。管理業務として挙げられるのは、家賃の集金や管理、入居中の設備の不具合・トラブルなどへの対応、契約の更新・解約の手続きなどです。

管理業務は管理会社に委託することもできます。管理会社に賃料収納や連絡窓口などの管理業務を依頼する際には、管理手数料が毎月かかることが一般的です。相場は月額賃料 + 管理費等の5~9%ほどですが、管理会社やプラン内容によって金額が異なるため、事前に比較しておきましょう。

●賃貸管理の業務内容や管理形態に関する記事はこちら
賃貸管理とは?業務の内容や管理形態、不動産会社に依頼するメリットを解説!

確定申告が必要になる

賃貸経営による不動産所得が年間20万円以上ある場合、確定申告が必要になります。確定申告とは所得に対してかかる税金を計算し、納税するための手続きです。不動産所得とは、収入から必要経費を差し引いた額のことを指し、必要経費として差し引けるものは以下の通りです。

・税金
・収入印紙代
・交際費や交通費
・修繕費(資本的支出に該当するものは除く)
・賃貸管理会社への管理手数料
・損害保険料

税金には、固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税、事業税が含まれます。交際費や交通費とは、管理会社との打ち合わせにかかった費用です。確定申告は2月16日~3月15日が提出期間になるため、余裕を持って準備しましょう。

●不動産所得の確定申告の方法、必要な書類などに関する記事はこちら
不動産所得の確定申告はマスト?書き方や必要書類、経費まで分かりやすく解説

賃貸経営の書類管理に悩む女性

住宅ローンが残っている持ち家を賃貸する場合

住宅ローンを返済中の持ち家は、原則賃貸に出すことができません。これは住宅ローンを組む際、契約者本人が所有し、居住することを条件としているためです。しかし、金融機関によっては例外が認められる可能性があるため、住宅ローンが残っている家を賃貸に出したい場合には、まず金融機関に相談するとよいでしょう。転勤や親の介護による、やむを得ない事情であれば、住宅ローン返済中の貸し出しができるケースがあります

相続など、それ以外の理由で賃貸に出す場合は、賃貸用の不動産投資ローンに乗り換えれば持ち家を賃貸に出すことが可能です。ただし賃貸用のローンは、住宅用のローンと比べて金利が高い傾向にあり、住宅ローンの残債額によっては負担が大きくなるため注意が必要です。

また金融機関への相談なしに賃貸に出すと、金融機関から「金銭消費貸借契約違反」と見なされて残債の一括返済を求められたり、住宅ローン控除を受けられなくなったりする恐れがあるため、持ち家を賃貸に出すときには忘れずに金融機関に連絡するようにしましょう。

持ち家の賃貸について連絡・相談する女性

持ち家を賃貸に出して有効的に管理しよう

ここまで、持ち家を賃貸に出すことのメリットや方法、注意点についてお伝えしてきました。使用しない持ち家を賃貸に出すことで、家賃収入を得たり、空室になった際には家族の住居として生活したりすることが可能です。

一方で、持ち家を賃貸に出し、自主管理することは、設備の不具合や居住者と近隣住民の間でのトラブル発生時などに自分で対応しなければならないため、初心者にとっては難易度が高い可能性があります。そういった場合は経験豊富な賃貸管理会社に管理業務を任せることで、安心して資産運用を行うことができるでしょう。

三井のリハウスでは充実した賃貸管理サービスをご用意しており、豊富な経験と長年のノウハウで、お客さまのニーズに合わせて賃貸経営をサポートします。

トラブル発生時の対応のほか、Web上での収支確認や契約・更新手続きなども可能です。安心して持ち家を賃貸に出したい、一時的に持ち家から離れる予定があり悩んでいるという方は、ぜひ一度、三井のリハウスにお問い合わせください。

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