賃貸物件の相続の流れとは?相続するメリットや注意点なども解説

賃貸中のマンションやアパートなどを相続する場合は、空室の住宅を相続する場合とは異なる手続きが必要です。この記事では、賃貸物件を相続する際の流れや、相続のメリット、注意点などについて分かりやすく解説します。

目次
  1. 相続時の賃貸物件はどのように引き継がれる?
  2. 賃貸物件を相続する流れ
  3. 賃貸物件の相続税評価額はどうなる?
  4. 賃貸物件を相続するメリット
  5. 賃貸物件を相続したときの注意点
  6. 相続時の賃貸物件の扱いに困ったら不動産会社に相談しよう
記事カテゴリ 賃貸
2024.03.28

相続時の賃貸物件はどのように引き継がれる?

「マンションの一室を賃貸用に持っていた」「アパートを一棟所有していた」など、親族が賃貸物件の貸主で、その物件を相続することになった場合、どのような手続きが必要なのかが分からず不安に思う方もいるのではないでしょうか?

実際に、賃貸物件の相続は居住用物件の相続といくつかの点で異なるため、注意が必要です。
また賃貸物件を相続する方のなかには賃貸にそのまま出し続けるか、売却してしまうか悩むという方も多いでしょう。この記事では、賃貸物件の相続について悩みを抱える方に向けて、賃貸物件の相続手続きと併せて、相続することのメリットや注意点などについて詳しく解説していきます。

マンションの模型と電卓

賃貸物件を相続する流れ

まずは、賃貸物件を相続する際の手順をご説明します。

・賃貸物件の収支を確認する
・賃貸物件の管理や修繕状況などを確認する
・賃貸物件の相続人を確定させる
・相続登記を行う
・管理会社や保険会社、借主に報告・連絡する

賃貸物件の収支を確認する

まずは賃貸物件の収支状況を確認しましょう。特にローン(債務)が残っているかどうかが重要です。ローンが残っている場合は、基本的に相続人が完済しなければならないため、まずは借入先の金融機関や毎月の支払額などの確認を行います。

物件の収支・管理の状況次第では、相続放棄を検討したほうがよい場合もあります。ただし、賃貸の管理会社・管理プランを見直すことで収支を改善したり、売却して完済したりといった方法もあるため、相続放棄を検討していても、まずは不動産会社に相談するのがおすすめです。

家の模型と電卓とお金のイメージ

賃貸物件の管理や修繕状況などを確認する

収支やローンの確認と併せて、賃貸管理会社や現在の管理状況、大規模修繕の有無などについても確認しましょう。入居者の管理を賃貸管理会社に委託している場合、毎月の固定費として管理手数料が発生します。大規模修繕がある場合は、所有者が一時金を拠出する場合もあるため、早めに賃貸物件の状況を把握することが大切です。

賃貸物件の相続人を確定させる

賃貸物件の状況が把握できたら、次に相続人の確定を行いましょう。相続人についての遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。相続の方法には大きく4つあり、現物分割、代償分割、換価分割、共有名義のいずれかの方法で相続するのが一般的です。物件の種別と状況、相続人の人数・状況に合わせてベストな方法を選びましょう。

●不動産相続の方法について詳しくはこちら
不動産を相続する際の流れとは?遺産分割や評価の方法についても解説!

家の模型と相続について悩む男性

相続登記を行う

続いて行わなければならないのが、相続登記です。相続登記とは、土地や建物といった不動産の所有者が亡くなった場合、その不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。また、2024年4月からは相続登記の義務化がされます。

義務化されると、相続により所有権を得ると認知した日から3年以内に登記しなければなりません。なお、改正日前に取得した不動産も登記の対象です。正当な理由もなく期間内に相続登記を行わなかった場合は、10万円以下の過料が求められます。遺産分割協議書の準備ができたら、忘れないうちになるべく早く相続登記を行うようにしましょう。

相続登記に必要な書類は、被相続人・相続人の戸籍謄本、相続人の住民票などのほかにもさまざまです。詳細は法務局の案内をご覧ください。

管理会社や保険会社、借主に報告・連絡する

賃貸物件を所有している場合、管理会社や保険会社と契約していることが多くあります。相続人が決定し、登記などの手続きも一通り終わったら、管理会社や保険会社、借主に対して、貸主(所有者)が相続により変わったことを報告しましょう。加えて、管理会社や保険会社で登録している貸主の名義を被相続人から変更しましょう。賃料の振込先についても早めに変更しないと、払い戻しなどの手続きが必要になる可能性もあります。

また、相続により貸主が変更されたことについては、覚書(おぼえがき)に残しておくとよいでしょう。覚書とは、締結済みの契約に関して追加・変更する事項があった場合に変更内容を記載し、その内容に契約者の双方が合意したことを証明する書面のことです。

三井のリハウスの賃貸管理サービスでは、書類作成や覚書の締結をはじめとした煩雑な業務を貸主さまに代わって対応し、貸主さま、相続人さまを万全にサポートいたします。ご親族に相続財産を残すことをご検討されている場合や、相続が発生したオーナーさまのご家族の方はぜひご相談ください。

●相続した住宅の賃貸経営・賃貸管理に関するご相談・お問い合わせはこちら

家の模型と会議をする人

賃貸物件の相続税評価額はどうなる?

居住用物件と賃貸物件で大きく違うのは相続税評価額です。結論、賃貸物件のほうが現金による相続や居住用物件より相続税評価額が低く算出されるのが一般的です。

賃貸物件の相続税評価額は新築時の物件価格の約6~7割とされています。というのも、賃貸に出している分、相続人の都合やタイミングで自由に売却や修繕をすることができず、融通が利きにくいためです。そのため居住用物件と比較し相続税評価額が低く算出されます。

また、相続税評価額の計算方法は2024年1月1日以降に改正されました。これまでの計算方法だと、特にタワーマンションにおいて、相続税評価額と実勢価格との差に大きな乖離が生まれてしまうケースがあったためです。

そのため改正後は評価額が6割以上の場合には、今まで通りの算出額と変わりませんが、6割未満の場合は、市場価格の6割程度に補正されるようになりました。賃貸物件の相続税評価額がどのように算出されるかについて詳しくは以下の記事をご覧ください。

●相続税評価額の計算方法について詳しくはこちら
税務署 | 「居住用の区分所有財産(分譲マンション)」の評価が変わりました

税金と電卓のイメージ

賃貸物件を相続するメリット

賃貸物件を相続したとしても、管理が面倒だったり、うまく賃貸経営できるか不安だったりという方もいるでしょう。以下では、賃貸物件を相続するメリットをご紹介します。

相続税を抑えられる

上記で述べた通り、現金や居住用物件に比べて相続税を抑えられることが大きなメリットです。賃貸物件は居住用物件の相続税評価額の6~7割程度となるため、節税対策になります。加えて自分が相続した後、将来的に子や孫に相続してもらう際にも相続税を安く抑えられるため、将来世代にもメリットがあります。

ただし前述の通り、算出方法の改正により、相続税評価額が著しく低くなるとは限らない点には注意が必要です。

家賃収入を得られる

賃貸物件を所有し続けることで、家賃収入を得られることもメリットの1つです。勤労所得に加えて安定的に不労所得が得られると、生活の安心材料になるでしょう。賃貸管理会社に委託することで、手間をかけることなく経営が可能です。家賃収入や、賃貸管理会社への委託については、以下の記事をご覧ください。

●家賃収入にかかる税金や計算方法、控除についてはこちら
家賃収入にかかる税金はいくら?計算方法と節税ポイント、申告方法を分かりやすく解説

●賃貸管理の業務内容や不動産会社に委託するメリットについてはこちら
賃貸管理とは?業務の内容や管理形態、不動産会社に依頼するメリットを解説!

財布を持ってガッツポーズする女性

賃貸物件を相続したときの注意点

賃貸物件の相続には上記のようなメリットがありますが、気を付けたい注意点もあります。3つご紹介しましょう。

・空室リスクがある
・共有名義で相続するとトラブルにつながる可能性がある
・賃貸管理会社と良好な関係作りが必要

空室リスクがある

賃貸に出していても、空室の場合は家賃収入が得られません。立地や築年数、建物のメンテナンス状況によっては賃借人(借主)を探すのに時間を要する可能性があります。家賃収入がない状態で管理費・修繕積立金といったランニングコストがかかり続けると、赤字になる場合もあるため、空室リスクへの対策をしなければなりません。

賃貸経営は集客力が非常に重要です。そのため、賃貸管理会社に管理を任せる場合は、借主の募集や空室対策を効果的に行ってくれるかどうかも確認するようにしましょう。

大手の賃貸管理会社の場合、店舗数が多く、知名度が高い傾向があるため、広い範囲での広告活動が期待できます。このように不動産会社の特徴を踏まえて、委託する会社を決めましょう。

三井のリハウスは都市部の分譲マンションの賃貸管理実績が豊富であり、HPや大手ポータルサイトの掲載、グループ会社を含む独自のネットワークを生かした集客力が強みです。賃貸物件についてお悩みの場合はぜひお気軽にご相談ください。

●賃貸経営・賃貸管理に関するご相談はこちら

何もない空室

共有名義で相続するとトラブルにつながる可能性がある

ご紹介した相続方法の1つである共有名義で相続する場合はトラブルに発展する可能性があります。というのも共有名義で相続すると賃貸管理や売却にあたっての手続きが複雑になりやすいからです。

共有名義とは複数人で1つの不動産を所有することを指し、この相続方法だと、不動産の相続人を誰か1人に決めなくてよいというメリットがあるものの、賃貸借契約の締結時や将来的に不動産を売却するときなどに、共有名義者全員の同意が必要です。賃貸管理会社との連絡や契約手続きなどで対応が遅れると、借主・買主に迷惑をかけてしまう場合も考えられます。

このような事態を防ぐために、連絡や手続きを行う相続人の代表者はしっかりと話し合って決めておきましょう。話し合いがなかなかできないという場合でも、委任状などで済ませられるケースもあるため、代表者は決めておくことがおすすめです。

悩んでいるシニア夫婦

賃貸管理会社と良好な関係作りが必要

賃貸経営をうまく行うためには、賃貸管理会社との良好な関係作りも必要です。賃貸管理業務を委託しているとはいえ、不明点や不安なことがあれば管理会社へ確認し、自身で管理状況を把握するようにしましょう。

今後も賃貸物件の経営管理を依頼する場合、こまめにコミュニケーションをとり、管理状況や修繕工事の有無、管理費用などについて確認しておくことがおすすめです。

不動産会社社員と握手する人

相続時の賃貸物件の扱いに困ったら不動産会社に相談しよう

ここまで、相続した賃貸物件について解説してきました。賃貸物件の相続にはメリットも注意点もあり、お困りの方もいるでしょう。相続した賃貸物件をどうするか困ったら賃貸のプロである不動産会社に相談するのがおすすめです。

三井のリハウスでは賃貸と売却のW査定をご提案可能であり、ほかにも賃貸中の幅広い管理業務について貸主さまに代わり対応させていただいております。収支確認や契約・更新に関する手続きなどもWeb上でスムーズに完結。相続した物件の賃貸管理会社をお探しの方や、賃貸管理会社の変更を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

●物件の賃貸経営・賃貸管理に関して詳しくはこちら

●賃料査定のお問い合わせはこちら