マンション経営の始め方・かかる費用、メリットとリスクなど知りたいポイントを解説

マンション経営は、副収入を得たい人、節税したい人などに注目されている不動産投資の方法の1つです。この記事では「始め方が分からない」「経営知識がないので不安」といった初心者の方に向けて、マンション経営のメリットとリスク、成功のポイントなどを解説します。

目次
  1. マンション経営の始め方とは?
  2. マンション経営に必要な基礎知識
  3. マンション経営にかかる費用
  4. マンション経営のメリット
  5. マンション経営のリスク
  6. マンションの賢い選び方
  7. マンション経営のコツは?
  8. 初めてのマンション経営はプロに相談
記事カテゴリ 賃貸
2023.09.04

マンション経営の始め方とは?

マンションを所有してそれを賃貸に出す「マンション経営」は、不動産投資の方法の1つです。サラリーマンの方の副業、また親から不動産を相続した場合の活用方法として人気があります。しかし、初めての方にとっては分からないことや不安が多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、マンション経営に興味がある不動産投資初心者の方に向けて、始める前に知っておきたい基礎知識や経営のコツを詳しく解説します。

マンションの模型

マンション経営に必要な基礎知識

マンション経営を始める前には、まず経営の基礎知識を身に付けておくことがおすすめです。ここでは特に大切な「マンション経営の仕組み」「利回り」「マンション経営開始の流れ」についてご紹介します。

仕組みを知る

マンション経営のパターンは、一棟マンションを購入または建設して各部屋を賃貸するものと、区分所有してその部屋を賃貸するものに分けられますが、一般的なのは後者です。

マンション経営では、毎月の家賃収入に加えて、礼金や更新料といった不定期な収入もあり、これらの収入から経費を差し引いたものは、一般的に「利益」と呼びます。しかし、最初に初期費用がかかるため、利益を得られるのは初期費用を回収してからと考えておきましょう。

利回りを知る

利回りとは、物件購入価格に対する1年間の家賃収入の割合を示した数値を指します。投資物件を選ぶ際の重要な指標の1つであり、マンション経営には欠かせない基礎知識です。

利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があります。表面利回りとは、税金や管理費などの経費を含めずに収益割合を算出したもので、実質利回りとは、表面利回りに購入費用や固定資産税などの経費を加味して収益割合を算出したものです。

表面利回りはおおまかな収益性が把握できるのに対して、実質利回りはより正確な収益性が分かるため、不動産投資では実質利回りのほうが重視される傾向があります。

●不動産投資と利回りに関する詳しい記事はこちら

マンションの模型と虫眼鏡

流れを知る

区分所有でマンション経営する場合の一般的な流れは以下の通りとなります。

[ 1 ] 不動産会社に相談し、物件情報を集める
[ 2 ] 内覧を行う
[ 3 ] 購入申込書を提出する
[ 4 ] 売買契約を締結する
[ 5 ] 金融機関とローン契約を結ぶ
[ 6 ] 決済・登記・引渡しを行う
[ 7 ] 賃貸条件の設定(賃貸借契約の種類・賃料設定・ペットや楽器の利用可否など)
[ 8 ] 借主(入居者)の募集
[ 9 ] 賃貸借契約を締結する
[ 10 ] 物件の引渡し(賃貸スタート)

賃貸借契約は、基本的に借主が希望すれば契約更新できる普通借家契約と、貸主の都合で契約期間を決められる定期借家契約の2種類です。既に入居者がいる賃貸中の物件を購入した場合(オーナーチェンジ物件)は、賃貸借契約を旧所有者(物件の売主)から引き継ぐことで、[ 7 ] 以降は省略できます。ただし[ 2 ] の内覧はできないため、室内・設備の様子や細かい修繕履歴などは全て把握できない場合がある点に注意が必要です。

また必要書類の用意や、ローン審査には時間がかかるのでスケジュールに余裕を持って行動するようにしましょう。

お金を計算する女性

マンション経営にかかる費用

ここからは、マンション経営にかかるおおよその費用を見ていきましょう。マンション経営にかかる費用は、マンション1部屋を区分所有する場合とマンション一棟を購入する場合で異なります。その違いも含めて、経営を始める際にかかる初期費用と、経営を開始した後にかかる維持費用に分けてご紹介します。

初期費用

マンション経営にはいくらかの初期費用がかかります。ただし、区分所有でローンを利用する場合は、マンションを一棟購入するよりも初期費用を抑えることができます。具体的な内訳は以下の通りです。

●物件取得費用
物件取得費用とは、マンション本体を取得するためにかかる費用のことです。既に建っているマンションを購入する場合は購入費用や仲介手数料など、新築する場合は建設費用がかかります。ちなみに新築する場合で土地を所有していない方は、土地の取得費もかかる点に注意しましょう。
物件取得費用はエリアや広さによって異なりますが、数百万〜数億円になります。ただし、前述したようにマンション1部屋を区分所有する場合は、マンション一棟まるごと購入する場合に比べて物件取得費用を抑えることができます。

●頭金
マンションを購入する場合、ローンを利用するのが一般的です。その際に頭金を準備できれば、ローン借入金は少なく済ませられます。頭金の金額は、一般的に物件価格の1〜2割程度が目安です。

●ローン諸費用
ローンの借り入れには、事務手数料や保証料がかかります。借入額の1~3%が目安となりますが、具体的な金額は金融機関によって異なるため、条件のよい金融機関を選ぶようにしましょう。

●不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得したときに課せられる税金のことです。2024(令和6)年までに取得した不動産の場合、建物(住宅)と土地の税率は3%とされています。なお、宅地及び宅地評価された土地の場合の課税標準額(土地の取得価格)は1/2となります。

●登記費用
登記とは、不動産の権利関係を公式に示す手続きのことをいいます。マンションを購入する場合には、所有権移転登記や抵当権設定登記、マンションを新築する場合には、建物表題登記と所有権保存登記が必要です。いずれも司法書士へ依頼するのが一般的なので、登記手数料に加えて司法書士への報酬を支払うことになります。

●印紙税
印紙税とは、所定の契約書や領収書を作成する際に課せられる税金のことです。主にマンションの売買契約書、マンション建設の際の工事請負契約書やローン契約書などが対象です。納税額は、書面に記載されている契約金額によって異なるため、よく確認しましょう。

●保険料
マンション経営を始める際には、火災保険や地震保険に加入するのが一般的です。保険料は毎年支払う方法のほか、一定期間分をまとめて払う方法もあり、まとめて払うほうが総額的にはお得になります。ただし一定期間分をまとめて払う場合、補償内容の見直しをするタイミングが減る点には注意が必要です。

●火災保険に関する詳しい記事はこちら

●不動産に関する各種税金についてはこちら

木の雑貨と小銭

維持費用

マンション経営が始まった後は、ランニングコストとして以下のような費用がかかります。

●設備等修繕費
設備等修繕費とは、物件に設置されているエアコンやガスコンロ、給湯器などの設備に不具合があった場合の修繕費用のことです。築年数が経過することで、不具合や故障が起こりやすくなるため、これらの費用も含めた資金計画を立てましょう。

●ローン返済金
ローンを利用してマンション購入した場合、借り入れした金額と利息を毎月返済していく必要があります。家賃収入に対してローン返済金の割合が多いと、負担になってしまうこともあるため、よく検討して購入する物件を決定しましょう。

●管理手数料(管理委託料)
物件の管理は管理会社に委託するのが一般的で、その場合は手数料が発生します。管理会社では設備等の修繕、賃料や敷金等の回収・管理、トラブルや設備の不具合への対応などをオーナー(貸主)の代わりに行ってもらえます。

●建物管理費・修繕積立金
マンションを区分所有する場合、共有部分の管理は管理組合に委託することになるので、毎月管理費が発生します。また、建物の老朽化に伴う大規模修繕に備えて、修繕積立金も必要です。

●固定資産税
固定資産税とは、不動産を所有している人に課せられる税金で、建物と土地にそれぞれかかります。このうち建物は、経年にともなって価値が下がるので納税額も下がっていくことが一般的です。

●固定資産税に関する詳しい記事はこちら

●そのほか不動産に関する各種税金についてはこちら

●都市計画税
都市計画税とは、都市計画事業のために徴収される税金です。所有するマンションのエリアが対象地域に含まれる場合には、納める必要があります。税率は自治体によって異なるため、問い合わせてみるとよいでしょう。

●所得税、住民税
所得税や住民税は、収入金額に応じてかかる税金のことをいいます。家賃収入が多いほど税額は高くなるので、税金対策のためには経費を漏れなくきちんと計上することが重要です。

マンション経営の経費として認められるものは、耐用年数に応じた減価償却費、購入時の仲介手数料、管理手数料、修繕積立金、上記の各種税金など多岐にわたります。詳しくは税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することがおすすめです。

マンション

マンション経営のメリット

不動産投資にはいろいろな方法がありますが、そのなかでもマンション経営にはどのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットは次の通りです。

安定収入を得やすい

周辺環境が激変したり、災害に見舞われたりしない限り、家賃が大きく下がることは少ないため、入居者がいれば長期にわたって安定的な家賃収入を得られます。

賃貸物件を新築する場合、マンションとアパートで迷う人も多いのですが、マンション経営のほうが効率的といえるでしょう。その理由は、マンションのほうが建設コストがかさみやすい一方、住宅性能が高いため家賃水準を高く設定しやすく、高層建築も可能となるためです。

また、家賃はエリアの相場を1つの要素として決める必要があります。周辺の類似物件をリサーチして適正な家賃を設定すれば、空室リスクも避けやすくなるため、周辺の相場賃料を調べておくとよいでしょう。

こちらから近隣の募集中物件を検索して相場を確認できます

節税効果を期待できる

マンション経営には、相続税や固定資産税などの納税額を抑えられる可能性があります。たとえば資産を相続する場合、現金で相続するよりも、土地に賃貸物件を建てて相続すると相続税を節税できます。というのも、土地の相続税評価額が下がるほか、自分が居住する建物よりも評価額が下がるためです。

また、更地を所有している場合、マンションを建てれば「住宅用地の特例措置」が適用されて固定資産税と都市計画税を節税できます。建物の取得費用の一部は、減価償却費用として毎年経費に計上でき、不動産所得を減額できるので、所得税の節税につながります。

●不動産投資と節税に関する詳しい記事はこちら

●不動産所得と確定申告に関する詳しい記事はこちら

資産になる

マンションを所有するということは、将来にわたって運用できる資産が手に入るということです。立地条件がよいマンションは一般的に資産価値が下がりにくく、市場や景気の状況とタイミングがよければ、高く売却できる可能性があります。また、建物の価値は築年数の経過に伴って下がることが一般的ですが、土地の価値は残るため、建物を解体して土地として売却したり、別の用途で再利用したりすることも可能です。

マンションの模型と電卓

マンション経営のリスク

マンション経営は大きな収入を得られる一方、リスクもあります。主なリスクは以下の通りです。

初期費用と維持費用がかかる

一棟マンションを建設した場合は初期費用が高くなるため、回収に長期間かかることに加えて、黒字化するまでにも時間が必要です。そのため、経営計画まで相談できる建設会社やハウスメーカーを選んで収支シミュレーションをしてもらうことがおすすめです。

一方で区分所有の場合は、初期費用の回収に数年も要することは、さほどありません。区分所有や、自分が住んでいた部屋を賃貸に出す場合には、信頼できる不動産会社に収支シミュレーションを依頼するとよいでしょう。

空室・家賃滞納リスクがある

マンション経営による収益は家賃収入であるため、入居者が見つからないと収入を得られません。空室リスクを避けるには、物件選びを慎重に行う、家賃設定を定期的に見直す、物件のメンテナンスを怠らないといった対策が必要です。

また入居者がいても、家賃を滞納されてしまう場合もあります。こうしたトラブルに個人で対応するのは難しいので、信頼できる管理会社と契約しておくことがおすすめです。

災害リスクがある

地震や火災、水災などの災害が起こると、マンションが大きな被害を受ける場合があります。万が一のために損害保険の加入を検討しましょう。火災保険はローンを利用した場合、必ず加入する必要がありますが、地震保険は任意となります。ただし地震保険は単独加入できず、火災保険とセットで契約する必要があるため、注意しましょう。

タワーマンション

マンションの賢い選び方

マンション経営においては、物件選びが重要なカギとなります。空室リスクが低く、収益を見込める物件を選ぶには以下のポイントをチェックするとよいでしょう。

立地条件

安定した家賃収入を確保するには、ニーズの高いエリアを選ぶことが大切です。特に人口の流入が多い都市部や、その近郊であれば空室リスクは低い傾向があります。さらに交通アクセスがよく、商業施設・病院・学校なども近い立地なら、利便性が高いので入居者を集めやすくなります。また、災害リスクを避けるため、ハザードマップもチェックしておくとよいでしょう。

マンションタイプ

マンションは、主に単身者向けのワンルームタイプとファミリータイプの2つに分けられます。たとえば、若年層が多いエリアならワンルームタイプ、子育て世帯が多いエリアならファミリータイプが適しているでしょう。

一方で収益性を考えた場合、単身世帯が増加している今はワンルームのほうが空室リスクを抑えられる可能性もありますが、賃料水準が高く、単身世帯と比べて長期間住む傾向があるのはファミリータイプのマンションとなります。

物件のエリア、マンション経営を行う期間など、さまざまな角度からどちらのほうが適しているのかを検討しましょう。

中古・新築

中古と新築のどちらを選ぶかも、マンション経営を行ううえで重要なポイントです。中古マンションは新築に比べて物件価格が安いので、初期費用を抑えやすくなります。一方で、新築は建物や設備の修繕費がかかりにくく、既存の中古物件よりも資産価値が落ちにくいという特長があります。

なるべく費用を抑えて効率的に経営を始めたい場合は中古マンションがおすすめですが、将来的に売却を考えている場合は、築浅の状態で売却できる新築がよいでしょう。

スマホで調べる女性

マンション経営のコツは?

ここからはマンション経営を安定的に行うためのコツをご紹介します。ポイントを押さえて、収益を得られるようにしましょう。

自己資金を十分に用意する

マンション経営を始める前には、自己資金を十分に用意しておくと安心です。自己資金が多いと融資を受けやすくなるほか、ローンの借入金を減らせるので早く返済を終えられます。また、修繕費が必要になったり、ローン金利が上昇したりといった急な支出にも余裕を持って対応できるでしょう。

利回りだけで判断しない

物件の利回りは経営を行ううえで重要なポイントですが、あくまで想定であり、確実に保証された数値ではないため、それだけで物件を選ばないようにしましょう。利回りのよい物件でも、周辺環境が変わったり建物が劣化したりすれば、家賃が下がる、空室期間が長くなるといったことが起こる場合があります。そのため、物件を選ぶ際は、周辺に眺望を阻害する建物が建つ可能性はないか、マンションの管理やメンテナンスは行き届いているか、マンションをいつまで所有・賃貸するか、といった点まで考慮することが大切です。

電卓で計算する人

出口戦略を考えておく

マンション経営を始める前には、そのマンションを売却する出口戦略まで考えておく必要があります。売却時に大きな損失を出さないよう、売却方法やタイミングを検討しておきましょう。

たとえば売却方法には、収益物件のまま売却する、次の空室時に売却するなどが挙げられます。また売却に適したタイミングは、減価償却期間が終わるときや、新築の場合なら長期譲渡に切り替わる6年目からなどが一般的ですが、市況も関係するため、経済の動向もチェックしておくことが大切です。

●長期譲渡所得に関する詳しい記事はこちら

信頼できる不動産会社を選ぶ

マンション経営において不動産会社は、物件選びや購入手続き、入居中の管理、更新、解約の手続きなどを一緒に行ってもらうパートナーとなります。信頼できる不動産会社を見つけられれば、マンション経営を安心して進められるでしょう。特にマンション経営初心者の場合は、購入物件の情報収集から売買契約、その後の賃貸募集・管理まで請け負ってくれる会社を選ぶとスムーズで不安も少ないでしょう。

不動産会社の営業担当者と話す男女

初めてのマンション経営はプロに相談

マンション経営を成功させるには、メリットとリスクの理解、物件選び、収支シミュレーションを立てるなどさまざまなプロセスが必要です。そのため、「1人で進めるのは難しい」と感じたら、賃貸経営のプロである不動産会社に相談しましょう。

三井のリハウスではマンション経営の無料相談を受け付けています。区分所有、一棟マンションのどちらにも最適な経営プランをご提案しますので、まずはこちらよりお気軽にお問い合わせください。

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