転勤時は自宅のマンションを賃貸に出すべき?注意点や貸す際の手順についても詳しく解説

転勤が決まり、自宅のマンションを賃貸に出すか、売却するか検討されている方には、家賃収入で不労所得を得られる点や転勤から復帰した際の自宅という点から賃貸物件として貸すことをおすすめします。この記事では賃貸物件として自宅を貸すメリットや貸す際の手順、押さえておくべき注意点について解説します。

目次
  1. 転勤中の自宅マンションは賃貸に出すべき?
  2. 転勤中にマンションを賃貸に出すメリット
  3. 転勤時にマンションの賃貸借契約を行う手順
  4. 転勤でマンションを賃貸に出すときの注意点
  5. 転勤時にマンションを賃貸に出すならプロに相談
記事カテゴリ 賃貸
2024.02.16

転勤中の自宅マンションは賃貸に出すべき?

転勤が決まった人のなかには、転勤中に自宅のマンションをどうするか、困っている方もいるのではないでしょうか?結論からいうと、転勤の際は自宅を賃貸に出すこと(リロケーション)がおすすめです。リロケーションとは、転勤や海外赴任などで自宅を長期間不在にする場合、不在の期間中に自宅を賃貸住宅として貸し出すことを指します。

転勤中に自宅を賃貸に出すことをおすすめする理由として、人が住んでいない空き家は家が傷みやすいことや犯罪の被害に遭うリスクがあること、家賃収入によって住宅ローンの返済や転勤先の賃料負担を減らせること、そして、転勤から戻ってきた際に再び自宅として住めることなどが挙げられます。

この記事では、転勤が決まった方や、転勤を予定されている方に向けて、転勤中に自宅のマンションを賃貸に出すメリットや手順、注意点について解説します。

●リロケーションの流れや契約方法に関する記事はこちら
リロケーションとは?契約の方法や必要な費用、注意点などを詳しく解説!

転勤時に賃貸に出す自宅マンションの一室

転勤中にマンションを賃貸に出すメリット

転勤中に自宅を賃貸に出す主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

・室内劣化対策・防犯対策になる
・賃料が収入となる
・転勤後に再び住める

室内劣化対策・防犯対策になる

転勤中にマンションを賃貸に出すメリットとして、室内劣化対策になることと防犯対策になることが挙げられます。人が住んでいない空き家は、十分な換気がされず、湿気がたまり、カビやダニが発生しやすくなったり、室内の劣化を加速させたりします。また、空き家では水道の利用が止まることから、水道管の水が蒸発して臭いや虫が室内に入りやすくなったりすることもあるでしょう。

家は人が住むことを前提として造られているため、必要なメンテナンスをせず、空き家の状態で長期間放置すると傷んでしまいますが、賃貸住宅として貸し出せば、借主(入居者)が換気や掃除を行うため、自宅が傷むのを防ぐことができます。また、借主(入居者)が住むことで空き家に侵入されたり、詐欺犯罪などに利用されたりするリスクを減らすこともできます。

賃料が収入となる

賃料が収入となることも、転勤中に自宅を賃貸に出す大きなメリットです。住宅ローンの返済が残っている場合、転勤中も返済を行わなければなりません。また、固定資産税やマンションの管理費、修繕積立金も継続して支払う必要があります。それらに加えて、もし転勤先で家賃も支払わなければならない場合、二重の負担がかかります。

しかし、転勤中に自宅を賃貸住宅として貸し出し、家賃収入を得られれば、転勤中の金銭的な負担を大きく減らすことができます

自宅のマンションを貸し出し家賃収入を得ている女性

転勤後に再び住める

転勤後に自宅に再び住めることも、マンションを賃貸に出すメリットです。転勤をきっかけにマンションを売却すると、転勤から戻ってきたときに新たな住まいを探さなければなりませんが、転勤期間中にマンションを賃貸に出せば、所有者は自分のままなので、借主(入居者)が退去した後、再び自宅に住むことが可能です。

再び自宅に住みたい場合には、契約期間(貸し出し期間)経過後に退去することが借主に義務付けられた「定期賃貸借契約」を結ぶことをおすすめします。なぜなら、借主が希望すれば基本的に住み続けられる「普通賃貸借契約」だと、いつまでたっても自宅に戻れなくなる可能性があるためです。転勤終了時期が決まっている場合は、そのタイミングに合わせて「定期賃貸借契約」の契約期間を設定することでスムーズに自宅へ戻ってくることができるでしょう。

もし転勤終了時期が不明な場合は、契約期間を4~5年など長めに設定することをおすすめします。たとえば、5年間の定期賃貸借契約を結び、3年後に転勤から戻ってきて借主がまだ住んでいるようなケースでも、ほかの賃貸物件や親族の家などに住んで借主が退去するタイミングを待てば、再び自宅に住むことができます。

ただし、定期賃貸借契約は物件・契約期間・募集時期などによっては相場よりも安い賃料で貸し出すこととなる可能性があります。また、契約期間(転勤年数)満了時より数か月~数年早く借主が退去する場合もあり、その際は再度借主を募集する必要が生じたり、空室の期間が生じたりする可能性があるためご注意ください。

●賃貸借契約の種類と特徴に関してはこちら
賃貸借契約とは?手続きの流れや契約内容のチェックポイントを解説

転勤時にマンションの賃貸借契約を行う手順

転勤時にマンションを賃貸に出す際の賃貸借契約までの手順は以下の通りです。

・依頼する不動産会社を決める
・金融機関や管理組合に報告する
・募集条件を決める
・入居者を探す
・賃貸借契約を結ぶ

それぞれの手順について、具体的に説明しましょう。

依頼する不動産会社を決める

転勤中にマンションを貸し出すための賃貸借契約を結ぶ第一歩として、まず依頼する不動産会社を決めましょう。

マンションの賃貸借契約に関して、不動産会社の事業領域は大きく分けて「仲介」と「賃貸管理」の2つがあります。「仲介」は物件の募集を行って入居希望者を案内し、貸主・借主の契約・引渡しを仲介することで、「賃貸管理」は引渡し後の賃貸中物件の管理業務を対応することです。

賃貸管理業務は多岐にわたりますが、代表例としては以下の通りです。

・賃料の入送金管理
・借主からのトラブル・クレームや室内設備の不具合などの受付と対応
・退去時の原状回復工事の手配・敷金等の精算

なお、マンションを貸す際は仲介と賃貸管理のどちらも対応ができる会社に依頼するとスムーズに募集から管理まで依頼ができるためおすすめです。転勤中の賃貸管理に専門的な知識・ノウハウがあり、実績のある不動産会社を選ぶとよいでしょう。詳しくは以下のページも併せてご覧ください。

●賃貸管理業務の内容や不動産会社に依頼するメリットについてはこちら
賃貸管理とは?業務の内容や管理形態、不動産会社に依頼するメリットを解説!

●不動産会社との管理に関する契約・費用についてはこちら
不動産管理会社とは?業務内容や契約の種類、会社の選び方などについて解説

三井のリハウスでは、入居者の募集や賃貸借契約のほか、不具合の受付・対応や退去時の手続きなど賃貸中の管理業務もサポートしています。お気軽にご相談ください。

●転勤中の賃貸募集・管理について相談したい方はこちら

金融機関や管理組合に報告する

住宅ローンを返済中の自宅を貸し出す場合、金融機関に報告・相談する必要があります。住宅ローンは、一般的に契約者本人が住むための家を購入するために金利が低く設定されており、投資目的と判断された場合、金利が異なるほかのローンへの変更を求められることがあるからです。ただし、転勤のためやむを得ず賃貸する事情を説明して理解が得られれば、金利に変動がない場合もあるため、事前に相談しておきましょう。

また、自宅を賃貸に出すことを分譲マンションの管理組合に届け出る必要もあります。賃貸に出した後も、分譲マンションの区分所有者は自身のまま変わらないので、総会の委任状や決議内容の報告書類といった管理組合からの書類が、転勤先の家に送られてくるように手続きしておきましょう。

募集条件を決める

次に、契約条件を決めましょう。契約前に決めなければならないポイントは以下の2点です。

・賃料や敷金・礼金などの金額設定、ペット飼育の可否など募集にあたっての条件
・契約の種類や期間

前述したように、契約方法には大きく分けて「普通賃貸借契約(普通借家契約)」と「定期賃貸借契約(定期借家契約)」の2つがありますが、転勤で家を貸し出す場合には「定期賃貸借契約(定期借家契約)」で契約することをおすすめします。

「普通賃貸借契約(普通借家契約)」は1年以上の賃貸借期間が設定され、借主(入居者)側の意向で契約の更新がなされる契約で、貸主の意向で解約や更新の拒絶、期間の設定をすることができません。

一方、「定期賃貸借契約(定期借家契約)」は賃貸借契約時に契約の期間を設定する契約で、契約期間が満了すると、貸主と借主の合意がない限り、更新せずに契約が終了となります。転勤で家を貸し出す場合には、契約期間終了時に借主が退去する定期賃貸借契約(定期借家契約)を結べば、転勤後に安心して自宅に戻ることができるでしょう。

●賃料査定の方法についてはこちら
賃料査定の方法とは?不動産会社の選び方まで詳しく解説!

●賃貸借契約の種類や特徴についてはこちら
賃貸借契約とは?手続きの流れや契約内容のチェックポイントを解説

入居者を探す

募集条件を決めたら、入居者を探します。入居者を探すためには、募集活動を行い、入居希望者に内見(内覧)してもらうこととなります。

不動産会社に仲介を依頼すれば、入居者の募集活動を代わりに行ってくれます。入居希望者への内見を行う際、自身が立ち会う必要があるかは、不動産会社と事前に相談しておきましょう。

賃貸借契約を結ぶ

金融機関やマンションの管理組合への報告を終えて、条件に合う借主(入居希望者)が決まれば、いよいよ賃貸借契約を締結します。改めて契約条件をしっかり確認し、不明な点や不安なことがあれば不動産会社の担当者に質問して内容を十分に把握したうえで、契約を結びましょう。

賃貸借契約書

転勤でマンションを賃貸に出すときの注意点

賃貸借契約を結ぶとき、定期賃貸借契約(定期借家契約)での契約がおすすめであることをお伝えしましたが、それ以外にも注意すべき点があります。まとめると以下の3点です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

・金融機関に事前に相談する
・収支を確認する
・確定申告を行う

金融機関に事前に確認する

住宅ローンを返済中に賃貸借契約を結ぶ場合は、金融機関に事前に確認しましょう。前述したように、住宅ローンは契約者本人が住む家を購入するために金利が低く設定されており、投資目的と判断されるとより金利の高いローンに切り替わる可能性があります。

ただし、突然の転勤といったやむを得ない事情の場合、そのままの条件か、多少の変更のみで引き続き住宅ローンを利用できるケースもあるため、転勤の場合は金融機関にしっかりと事情を説明することをおすすめします。

「金融機関に報告しなくてもバレないだろう」と考える方もいるかもしれませんが、金融機関の許可なく無断で賃貸借契約を結ぶことは「金銭消費貸借契約違反」です。金融機関は借主に対して残債を一括返済するように求めたり、賃貸を開始した時期にさかのぼって金利の差額を請求されたりといったペナルティーが科されるケースがあるため、バレる・バレないではなく、金融機関に事前に報告し、相談しましょう。

収支を確認する

マイホームを賃貸に出すことによって、家賃収入を得ることができる一方で、家賃収入から経費を差し引いた所得には税金が発生します。具体的には、所得税・復興特別所得税(2037年12月31日まで)と住民税がかかるため、家賃収入と自身の給与所得を考慮して、税金がいくらかかるかを把握しておきましょう。

●所得税の税率についてはこちら
国税庁 | No.2260 所得税の税率

●賃貸収入にかかる税金について詳しくはこちら
家賃収入にかかる税金はいくら?計算方法と節税ポイント、申告方法を分かりやすく解説

なお、何らかの住宅ローン控除を受けている場合、賃貸として貸し出すと控除は受けられなくなるため、どのくらい税金の負担金額が増えるのか、確認しておくことも大切です。

●各種住宅ローン控除について詳しくはこちら
国税庁 | 土地・建物(住宅ローン控除等)

確定申告を行う

年間の家賃収入が20万円を超える場合、確定申告を行う必要があります。前述したように、家賃収入から経費を差し引いた所得には税金が発生します。経費に該当する具体的な項目や確定申告の流れについては、以下のページで詳しく書かれていますので、併せてご覧ください。

●不動産所得の確定申告について詳しくはこちら
不動産所得の確定申告はマスト?書き方や必要書類、経費まで分かりやすく解説

なお、売上に消費税が発生するケースでは、インボイス制度を導入しなければ税制上の優遇を受けることができなくなります。マンションのオーナーの場合、住宅の賃貸収入には消費税がかからないため、影響はないと考えられますが、敷地内の駐車場等を居室に付随して貸し出す際には影響が生じることもあります。

●インボイス制度と不動産賃貸に関する記事はこちら
インボイス制度とは?不動産の賃貸経営に役立つ情報や注意点を詳しく解説

 

転勤時にマンションを賃貸に出すならプロに相談

ここまで、転勤中に自宅マンションを賃貸に出すメリットや手順、注意点について解説してきました。自宅マンションを賃貸に出す際には、契約内容に注意したり、金融機関に事前に確認したりする必要がありますが、条件が整えば、転勤中には家賃収入を得ながら、転勤後に再び自宅に戻って生活できるというメリットがあります。

また、不動産会社に依頼する内容によっては、前述したように、借主の募集だけでなく、家賃の集金やクレーム対応といった賃貸中の管理業務を不動産会社に任せることもできます。注意点をしっかりと押さえたうえで、信頼できる賃貸管理のプロと契約することがおすすめです。

なお、三井のリハウスでは、転勤中でも安心してマンションを貸し出すことができるように、賃貸管理の実績・ノウハウと万全のサポート体制が整っています。書類の作成やトラブル対応に加えて、独自のネットワークを活用した強力な集客力で空室対策も万全です。転勤中のマンションを賃貸に出したいと考えている方はお気軽にお問い合わせください。

●転勤中の自宅の賃貸を検討している方はこちら