賃貸物件の退去が決まったら?流れや必要な手続きを詳しく解説

賃貸物件からの退去が決まったらやるべきことが数多くあります。管理会社(貸主)への連絡から始まり、退去の手続き、立ち会いなど多岐にわたります。本記事では、賃貸物件を退去する際の流れや手続き、注意点などを解説します。

目次
  1. 賃貸物件から退去するときの流れ
  2. 賃貸物件からの退去をスムーズに進めるには?
  3. 賃貸物件から退去する際の注意点
  4. 賃貸物件からの退去は計画的に進めよう
記事カテゴリ 賃貸
2023.04.13

賃貸物件から退去するときの流れ

賃貸物件から退去する際に行うべきことを事前に知っておくことで、スムーズに作業を進めることができます。しかし賃貸物件からの退去が決まった際に、どういった手続きを行えばよいのか分からないという人も多いのではないでしょうか?

退去時の手続きに抜け漏れがあると、住み替えがスムーズに行えない恐れが生じてしまいます。このリスクを避けるには、退去前後の流れを押さえたうえで、行うべき手続きを1つずつ確実にこなしていくよう心がけるとよいでしょう。そこで本記事では、そんな賃貸物件から退去する際の主な流れと必要な手続きを順序に沿ってお伝えします。

[ 1 ] 管理会社(貸主)への連絡

賃貸物件からの退去が決まった時点で、物件を管理している不動産会社か、物件の貸主へ連絡を取り、解約する旨と希望する解約日を伝えましょう。連絡手段は書面またはWebページからの申請など管理会社によって異なるため確認しましょう。電話連絡のみでは解約受付とならないケースがありますのでお気を付けください。

賃貸借契約では、基本的に管理会社に退去の意思を予告する期限である解約予告期間が決まっています。期限は解約日の1~2か月前の場合が多いですが、契約によって異なります。自分が借りている物件では、いつまでに退去を伝えなければならないのか、賃貸借契約書での確認が必要です。

たとえば解約予告期間が1か月で、4/1に解約届を提出する場合に、解約日は1か月後の5/1以降で設定しなければなりません。このとき4/15に退去したい場合でも、残り半月分ほどは日割り賃料を支払わなければならないため、注意が必要です。

無駄な出費が発生しないよう、退去をしようと決めたら、なるべく早く解約届を提出し、解約日と退去日の間が長くならないように調整しましょう。また、解約月に支払う賃料は日割り賃料でよいのか、月割りなのかなどは賃貸借契約書に記載されているため、確認が必要です。

家の模型とカレンダー

[ 2 ] 退去の手続き

管理会社または貸主への連絡が終わったら、次に退去に関連する各種の手続きを行います。必要な手続きは多いため、計画的に進めるとよいでしょう。主な手続きは以下の通りです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

解約届の提出
解約届を物件の管理会社または貸主に提出します。賃貸物件の退去時には、解約届の提出が求められることがほとんどであるため、忘れずに提出しましょう。解約届は入居時にもらった書類に入っている場合が多く、退去する物件情報や解約理由、転居先の住所などを記入します。近年はWebページでも手続きができる場合があります。

電気・水道・ガスの解約
電気・水道・ガスなどの解約または転居手続きを行います。電話やインターネットのサイトを利用しての手続きも可能です。退去の約1週間前までに行っておくとよいでしょう。なお、物件によってはガスの停止に伴って立ち会いが必要な場合もあるため早めの確認をおすすめします。

駐車場の解約
駐車場を借りている場合は解約が必要です。解約予告期間が物件と異なるケースがあるため、注意しておきましょう。管理会社の窓口で手続きを行うか、解約書類を郵送することにより解約可能です。

契約を結ぶ男女

住民票の転出届の提出
住民票は個々の住民に関する記録を公にする書類で、引越しの際に異動させる必要があります。退去前に住んでいる家の管轄の役所に転出届を提出しましょう。転出届の提出時にもらえる「転出証明書」は、転入届を転居先の役所に提出するときに必要です。なお、転入届の手続きは引越しから14日以内に行わなければならないため注意しておきましょう。

郵便物の転送届の提出
転送届は、郵便物を新しい住所宛てに転送してもらえるようにするための郵便局に提出する書類です。転送届を提出しないと、退去後に自分の郵便物が旧住所に送られ続けてしまう恐れがあるため注意が必要です。転送してもらえる期間は引越しから最大で1年間になります。この期間中に届いた郵便物のうち、通販やクレジットカードなどの各種会員や会社で登録している住所といった重要なものについては、住所の更新を行うようにしましょう。

[ 3 ] 部屋の掃除

退去する前に部屋の掃除は丁寧に行っておきましょう。家具を動かすことで掃除がしやすくなり、隠れていた汚れが見つかることもあります。掃除をせずに退去してしまうと、通常以上の清掃費用を請求される場合があるため気を付けましょう。

退去する際は私物を全て持ち帰る必要があります。不要になったものでも残置することは、原則としてできません。この際、室内だけでなくベランダといった屋外部分にも私物を残していないか念入りにチェックしましょう。不要になってしまった大きな家具は処分に時間がかかる場合があります。計画的に掃除・処分するとよいでしょう。また、私物を残したまま退去してしまった場合、撤去費用を請求される可能性がございますのでご注意ください。

梱包を行う男性

[ 4 ] 退去の立ち会い

引越しが終わったら、不動産会社のスタッフや貸主の立ち会いのもと、部屋の状態のチェックが行われます。立ち会いでは、設備の不具合がないか、部屋の汚れや傷の有無が確かめられます。所要時間は30分~1時間程度です。

立ち会いは、修繕箇所があった場合、貸主と借主のどちらが修繕費用を負担するかを明確にするために行います。基本的には、入居前からあった汚れや傷は貸主、入居後に借主が付けてしまった汚れや傷は借主負担となります。

ただし、設備や壁紙などは経過年数によって負担割合が変わる場合があるため、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認しておきましょう。入居時から付いていた傷である場合は、その旨をきちんと不動産会社に伝えることが重要です。退去時の原状回復義務・修繕費用などについては以下の記事の中で説明しています。ご参照ください。

●賃貸の退去費用に関する記事はこちら
賃貸の退去費用の相場は?原状回復義務や解約日までの家賃についても解説

部屋の確認が終わったら、鍵を返して退去します。立ち会い時に家具が残っていると処分費用がかかることがあるため注意が必要です。

[ 5 ] 敷金を精算

立ち会い結果をもとに原状回復にかかる費用を算出し、貸主と借主がそれぞれ負担する割合を計算することで敷金の精算が行われます。精算の見積もりは後日郵送され、敷金が残った場合はその残高が口座に振り込まれます。逆に、リフォーム代が必要な場合や修繕費用が高くなってしまい、敷金を超過してしまった場合は、不足分を請求されることになります。敷金が精算できたら、退去の手続きは終了です。

青空とマンション

賃貸物件からの退去をスムーズに進めるには?

ここからは、賃貸物件からの退去をスムーズに進めるためのポイントをお伝えします。事前に進められる準備項目については、早めに用意しておくことで退去に手間取るリスクを軽減することができるでしょう。前もって何を用意する必要があるのか確認しておきましょう。

返却するものを用意する

鍵や備品など、退去時に返却するものは事前に準備しておくとよいでしょう。鍵がいくつかある場合には全て返却しなければなりません。また、エアコンや給湯器、システムキッチンなどが部屋に備わっていた場合には、取扱説明書やリモコンなども返却する必要があるため準備しておきましょう。

入居時の部屋の写真を用意する

入居時に部屋を撮影した写真があれば、立ち会い前に用意しておくとよいでしょう。立ち会いで部屋の不具合が見つかった場合、その修繕費用を貸主と借主のどちら側の負担とするかを決める際に役立つためです。入居直後に傷・汚れの箇所の申請や写真の提出を管理会社・貸主から求められるケースもありますが、自身でも写真はスマホなどに保存しておくことが望ましいです。

引越しの準備をしっかりする

引越しは計画的に進め、業者の手配は早めに行っておきましょう。引越しの多い時期であると、予約が取りにくい場合もあります。特に年度末は新生活に向けた準備を始める人が多く、9月頃は人事異動や転職が盛んで引越しをする人が多いため注意が必要です。

引越しで発生したごみを捨てるスケジュールについても、事前に考えておく必要があります。引越しを進める日取りとごみの収集日のタイミングが合わない場合もあるため、収集日以外にごみを処分する方法があるかどうか、自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

●引越しに関する記事はこちら
引越しのときにやることは?スムーズに引越すための手順を解説

●引越しの費用に関する記事はこちら
引越しにかかる費用は?人数別の相場や安く抑えるコツを解説!

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引越しで必要な手続きとは?時系列順に解説

引越しの準備をしている女性

賃貸物件から退去する際の注意点

賃貸物件からの退去を行う際、かかる費用を抑えるために注意すべき点がいくつか存在します。以下のポイントを事前に確認して、円滑に退去を進めていきましょう。

短期間での退去はできるだけ避ける

入居後1年未満といった短期間での退去は、違約金が発生する場合があります。事前に違約金が発生しなくなるタイミングを賃貸借契約書で確認し、できる限り出費が発生しないようにしましょう。条件次第では、解約日は違約金が発生する場合の期間後に設定したうえで、先に引越しを済ませておいたほうが違約金が発生しないため、節約になることもあります。

あらかじめ家賃の計算方法を確認しておく

家賃の計算方法は物件によって異なります。主に「日割り」「半月割り」「月割り」などがあり、それぞれ契約書に記載されているため、自分の物件の家賃はどの計算方法なのか確認しておくとよいでしょう。退去と解約のタイミングが合わないと、半月割りは15日まで、月割りは月末までの家賃を余分に払わなければならないということも考えられるため、注意が必要です。

原状回復について貸主との齟齬をなくす

退去時の原状回復義務について正しく理解しておくことが大切です。賃貸物件から退去する際、入居時の状態に戻すことを「原状回復」といい、原状回復にかかる費用の一部は借主が負担する場合があります。

一般的に、入居前からあった汚れや傷は貸主、入居後に借主が付けてしまった汚れや傷は借主が負担します。ただし、設備や壁紙などは経過年数によって負担割合が変わる場合があるため、注意が必要です。

原状回復をめぐってトラブルが起きてしまうことがあるため、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が定められています。トラブルを未然に防ぐために目を通しておくとよいでしょう。

借主が付けた汚れや傷がない場合は、貸主がハウスクリーニング代を負担します。ただし、契約時に特約条項としてハウスクリーニング代は借主負担と決められている場合もあるため、契約書を確認しておきましょう。

立ち会いで新しく見つかった不具合は借主負担となってしまう恐れがあります。自分が付けたものではない汚れ・傷の修繕費用を負担させられることがないよう、入居時の写真といった証拠を準備したうえで、原状回復の責任の所在について十分に話し合うことが大切です。

●ハウスクリーニングの相場に関する記事はこちら
ハウスクリーニングの相場を知りたい!依頼条件から料金の目安を解説!

段ボールが多くある部屋

賃貸物件からの退去は計画的に進めよう

ここまで賃貸物件から退去する際の流れや手続き、注意点について解説してきました。退去の際にやるべきことは多いため、直前に焦ることがないよう、計画的に進めることが重要です。本記事で解説してきた退去の流れや注意点を理解しておくことで、退去時のトラブルも防げる可能性が高まります。

賃貸物件からの退去では、タイミングを工夫したり、原状回復の責任の所在を明確にしたりすることも大切になります。貸主・借主間のトラブル防止のため、立ち会いでは不動産会社に自分の意思をしっかりと伝えなければなりません。賃貸物件からの退去にかかわる注意点を押さえ、よりスムーズに住み替えを行いましょう。

これから退去する予定があり不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?三井のリハウスの管理物件であれば、借主専用の問い合わせ窓口があり、入居中から退去時までのさまざまなご相談に対応しています。住み替えを検討中の場合はぜひ一度、HPで物件をご覧ください。

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アユカワタカヲ

株式会社タカプランニングジャパン代表取締役。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーなどの資格を保有。
会社員時代に不動産投資をスタートさせ、今では幅広く不動産賃貸業を営む。
メディア出演や著作の出版、セミナーなどでも活躍。
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