賃料査定の方法とは?不動産会社の選び方まで詳しく解説!

賃料査定とは、その物件がいくらほどの賃料で貸し出せるか査定してもらうことです。賃貸経営を始めたい人向けに、査定の方法や、査定を通して不動産会社の信頼度を見極めるポイントを解説します。

目次
  1. 賃料査定は重要!
  2. 賃料査定の方法は?
  3. 「貸し方」も賃料査定に影響する
  4. 不動産会社の選び方
  5. 賃料査定を受けてみよう!
記事カテゴリ 賃貸
2023.02.10

賃料査定は重要!

不動産投資や賃貸経営をする人にとって、「賃料査定」は重要なプロセスの1つです。賃料査定とは、その物件がいくらほどの賃料で貸し出しできそうか、不動産会社に依頼して査定してもらうことをいいます。

物件の貸主は、その査定を参考に賃料を設定することになりますが、賃料はその後の賃貸経営を大きく左右するので、貸主にとっては悩みどころです。もし賃料の設定が低過ぎると、貸主は損をしてしまいますし、かといって高過ぎると入居者がなかなか集まらず、空室期間が長くなってしまうでしょう。

また、将来その物件を売却する場合にも、賃料は大きなカギとなります。投資用物件の売却査定は「収益還元法」という、賃料収入をベースにした計算方法で行われるためです。このように、賃貸経営を成功させ、また将来の売却を有利に進めるためにも、適正な賃料の判断材料となる賃料査定は重要です。

そこで今回は、賃貸経営を始めたいと考えている人に向けて、不動産会社が行う賃料査定の内容や、査定を通して不動産会社の信頼度を見極めるポイントを、詳しくお伝えしましょう。

ビル模型と虫眼鏡とグラフ

賃料査定の方法は?

賃料査定は、机上査定にて行われることが多いですが、不動産会社の営業担当者が実際に現地を訪問して行う場合もあります。物件の間取りや眺望、設備やリフォーム状況などを目視でチェックし、細かに調べたうえで査定を行うため、精度の高い査定結果が得られます。賃貸経営を検討している人には、資金計画を立てるうえでも参考になるでしょう。

また、三井のリハウスでは、Web上での簡易査定も受け付けています。物件の所在地や専有面積などの必要情報を入力して問い合わせを行うと、営業担当者から査定結果が資料とともに連絡されます。ただし、訪問査定と違って室内状況を鑑みない大まかな査定額である点は、理解しておきましょう。

では、これらの査定は、具体的にはどのように行われているのでしょうか?主な3つの方法は次の通りです。

PCの前でスマホを持つ男性の手元

類似物件との比較

賃料査定の基準となる要素の1つが「類似物件」です。類似物件とは、その名の通り条件が似ている物件を指します。具体的には、同じエリアに建っている物件のなかで築年数、広さ、駅からの距離、建物の構造などが似ているもの、またマンションであれば同じ棟内で過去に取引された部屋、あるいは入居者募集中の部屋などがそれにあたります。

賃料査定では、こうした類似物件の賃料がいくらなのか、不動産情報サイトや不動産業者のデータベース「レインズマーケットインフォメーション」などを使って、なるべく多くのデータを集めます。不動産情報サイトは個人でも見ることができますが、サイトに掲載されている賃料は物件オーナーの希望価格であり、相場よりも高く設定されていることが多い点に注意しましょう。データが集まったら、物件それぞれの坪単価から平均値を求め、「平均坪単価×査定を行う物件の面積」を計算して、おおよその賃料を求めます。

物件のエリアにおける需要を分析

賃料査定においては、その物件の需要の高さも基準となります。具体的には、物件が建っているエリアには何歳くらいの人が多く住んでいるか、単身世帯が多いのかファミリーが多いのか、またその人たちのライフスタイルについても調べ、物件に求められる条件を分析します。

たとえば、一人暮らしの女性が多いエリアでは、オートロックやモニター付きインターホンを備えている物件のほうが有利でしょう。また、子育て世代のファミリーが多いエリアでは、子どもが遊んでいる声や物音が伝わりにくい、遮音性の高い物件に人気が集まると考えられます。

このように、物件が建っているエリアの需要と現況を照らし合わせ、さらにエリア内の類似物件とも比較したうえで、賃料を算出します。

レントロールを参考にする

主にアパートや一棟マンションの場合は、過去に入居者がいた中古物件の賃料査定で「レントロール」を参考にすることもあります。レントロールとは、その物件の家賃や敷金、契約期間などの賃貸借条件を一覧表にしたもののことです。

賃借人の氏名や年齢、職業なども併せて記録されていることも多く、今までにどのような人がいくらの家賃でその物件を借りていたのかを参考にしながら、賃料を算出します。賃料査定において、これら3つの方法をどのように使うかは物件の種類や不動産会社によって異なります。

「貸し方」も賃料査定に影響する

賃料査定額は、ここまでにご紹介したような査定方法に加えて「どのように貸すか」という賃貸借契約の方法によっても差が出る場合があります。ここでは、「普通賃貸借契約(普通借家契約)」「定期賃貸借契約(定期借家契約)」「サブリース」という3つの契約方法について、賃料がどのように変わるかを比較しながらご紹介します。

●賃貸借契約に関する記事はこちら
賃貸借契約とは?手続きの流れや契約内容のチェックポイントを解説

書類と印鑑

普通賃貸借契約(普通借家契約) 

賃貸借契約のなかでは一般的な契約方法であり、賃料査定の算出にも主に使われているのが「普通賃貸借契約」です。普通賃貸借契約とは、契約期間は決まっているものの契約更新が可能な契約方法のことです。

契約期間は一般的に2年間ですが、入居者が契約更新を希望した場合、貸主は特別な理由がない限り契約を更新する必要があります。貸主から解約をする場合は正当事由が必要となり、正当事由が認められることはかなり難しいので注意が必要です。そのため、賃貸を長期間続ける意思があるオーナーに向いており、3つの契約方法のなかでは最も賃料を高く設定しやすいのが特長です。

定期賃貸借契約(定期借家契約) 

普通賃貸借契約が契約更新できるのに対して、「定期賃貸借契約」は契約期間が終わったら物件を明け渡す必要がある契約方法です。貸主の都合で契約期間を決められるので、短期間だけ賃貸を行いたい人、転勤や海外出張などの一定期間だけ住まいを貸したいといった人には、定期賃貸借契約のほうがおすすめです。

ただし、2~3年ほどの短期間だけの貸し出しの場合には、普通賃貸借契約に比べると入居者のニーズが狭く、その分賃料も安く設定される傾向があります。

●留守宅を貸し出す「リロケーション」に関する記事はこちらから
賃貸借契約とは?手続きの流れや契約内容のチェックポイントを解説

サブリース

「サブリース」とは、入居者ではなく不動産会社に物件を貸し出し、不動産会社が入居者と賃貸借契約を結ぶという契約方法で、「借り上げ」といわれることもあります。上記に挙げた、普通賃貸借契約や定期賃貸借契約と併用することも可能です。

サブリースでは、不動産会社がその物件を借り上げることになり、滞納のリスクは不動産会社が負い、空室保証がついたプランでは、空室時の賃料が保証されるのがメリットです。また、入居者募集や契約更新手続きといった管理事務も、全て不動産会社に任せられます。

ただし、入居者の支払う家賃(賃料に管理費や共益費を足した金額)のうち、10~20%は手数料として不動産会社に支払うことになるので、収益性は下がる点に注意が必要です。そのため、高い収益を追求するよりも、空室リスクを避けながら安定的な賃貸経営をしたい人におすすめの方法といえます。

●サブリース契約に関する記事はこちら
サブリースとはどんな契約?メリットや注意点を解説

以上が、3つの契約方法の特徴です。賃貸経営をどのくらいの期間続けるのか、また収益性を追求するか安全を取るかといった自分の希望に基づいて、最適な契約方法を選ぶとよいでしょう。

不動産会社の選び方

賃料査定は、その後仲介や賃貸管理を任せられる不動産会社かどうかを見極める機会にもなります。そのため、賃料査定は担当した不動産会社の査定結果や対応を比較しながら信頼できる会社を絞り込んでいくとよいでしょう。

絞り込む基準の1つは、過去の実績です。実績豊富な不動産会社ほど、多くのデータを持っているということになります。それらのデータに基づいて、より精度の高い賃料査定を行ってもらえるでしょう。

また、担当者の対応や提案内容も重要です。仲介や賃貸管理には相談事が多いので、親身になって対応してくれるかどうかを査定報告の際など募集開始前の早い段階でチェックしておきましょう。
具体的には、査定結果についてなぜこうなったのか明確な根拠を説明してくれる担当者であれば、信頼度は高いといえます。加えて、物件の価値を高め、貸し出ししやすくなる提案やアドバイスをしてもらえれば理想的です。

そして、賃貸に強い不動産会社であるかどうかも忘れず確認しましょう。不動産業には売却や購入、土地活用などさまざまな分野があり、そのうちどの分野が得意かは会社によって異なります。なるべく賃貸についての専門性が高い会社に任せたほうが、何事もスムーズでしょう。

接客する女性

賃料査定を受けてみよう!

賃料査定は、不動産会社それぞれが持っているデータに基づいて算出するため、会社によって査定結果が異なる場合があります。もしも複数の不動産会社に査定を依頼した場合は、査定額のみで判断するのではなく、各社の強みや担当者の対応など幅広い観点から仲介や賃貸管理を行ってくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。賃貸経営においては賃料も大切ですが、最も重要なのは「よい借主に入居してもらうこと」です。賃貸経営をするうえで心がけておくとよいでしょう。

また、不動産会社から提示される査定結果は、あくまで目安です。自分でも情報を集め、賃料相場を把握しておきましょう。実際に賃料を設定する際には、物件の立地や設備の充実度など、相場に影響する要素を考慮することも大切です。

もし賃料についての疑問や不安点があれば、担当者に相談することもできるので、やはりまずは不動産会社へ賃料査定を依頼してみるとよいでしょう。三井のリハウスでも無料賃料査定を受け付けていますので、ぜひご利用くださいね。

スーツの女性とミドル夫婦

アユカワタカヲ

株式会社タカプランニングジャパン代表取締役。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーなどの資格を保有。
会社員時代に不動産投資をスタートさせ、今では幅広く不動産賃貸業を営む。
メディア出演や著作の出版、セミナーなどでも活躍。
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