マンション投資を成功させるコツは?メリットと注意点を解説

マンション投資で利益を得る方法は、家賃収入のように長期的に利益を得る「インカムゲイン」と、売却によって利益を得る「キャピタルゲイン」という2種類があります。ここでは、インカムゲインの話を中心に、投資を成功させるポイントをご紹介します。

目次
  1. マンション投資の仕組みとは?
  2. マンション投資のメリット
  3. マンション投資の注意点
  4. マンション投資を成功させるポイント
  5. コツを押さえてマンション投資を成功させよう!
記事カテゴリ 賃貸
2022.12.01

マンション投資の仕組みとは?

投資に興味があって調べ始めている人のなかには、「マンション投資」という言葉を目にしたことのある人もいるでしょう。マンション投資と聞いても、何となくイメージはできるものの、具体的に何をどうすることなのか分からない人も多いのではないでしょうか?

マンション投資とは、マンションを購入して行う投資方法のことです。マンション投資で利益を得る方法は2つあります。1つは「インカムゲイン」といい、マンションを保有しながら得られる利益を指します。具体的には、マンションを貸し出して賃貸経営をすることで、家賃や入居時の礼金、長期入居時の更新料などを得ることです。

もう1つは「キャピタルゲイン」といい、マンションを売却することで得られる利益です。キャピタルゲインは必ず得られるというものではなく、売却する際に、購入した額よりも安い価格でしか売れずに、結果的に損失となる場合もあります。この損失を「キャピタルロス」と呼びます。

本記事では、インカムゲインを中心に、マンション投資のメリットと注意点、投資を成功させるためのコツなどをご紹介します。

マンション模型と電卓

マンション投資のメリット

まずはマンション投資のメリットをお伝えします。マンション投資は、株やFXと違って有形の不動産に対する投資となります。具体的に見ていきましょう。

長期的に安定した収入が得られる

賃貸経営の場合、貸し出したマンションに入居者がいる限り、安定的で長期的な収入を得ることができます。そのため、たとえば定年退職後でも、マンションを貸し出していれば、年金に加えて毎月安定的に家賃収入を得ることができるのです。

リスクが小さい

マンション投資は、株式や外国為替(FX)といった金融商品の投資に比べてリスクが小さいといえます。なぜなら、マンション投資は不動産という「現物」を対象とした投資方法であるからです。マンションという資産が現物として手元にあるため、売却をしない限りそれがなくなることはありません。また、インフレの際に、現金のように実質的な価値が下がることもありません。

さらに、金融商品と比較して価格変動が緩やかなため対策が取りやすく、物件の条件がよければ、投資した金額を利益が下回る「元本割れ」のリスクも低いといえます。

お金を積み立てていくイメージ

節税につながる

賃貸経営は、節税につながることがあります。なぜなら、所得税や住民税が課税される際、課税対象となる所得から、必要経費分の金額を差し引くことができるからです。経費としてカウントできるものは、登記費用やローンの金利、管理費や修繕費、減価償却費などが含まれます。

減価償却費とは、長期的に利用するものにおける初期投資費用を、会計上の処理としては一定期間内で分配して計上していく費用のことです。たとえば年収700万円の人が6000万円のマンションを購入した場合、その年だけで計上すると赤字になってしまいます。しかし、実際は長期にわたって保有するものであるため、会計上は複数年にわたって少しずつ計上していくことになるということです。

確定申告時には、マンション購入金額を「減価償却費」という名目で、マンションの管理費や維持費とともに、必要経費として申請できます。

そのほか、遺産を相続する際にも、現金よりも不動産の状態で相続したほうが節税となる可能性があります。なぜなら、同額の現金と不動産を比較したときに、不動産のほうが相続税の課税対象額が低くなるからです。現金の場合はそのままの金額が相続税評価額となりますが、不動産の場合は市場価格よりも7~8割の金額で評価されることになります。

さらに、故人が居住や賃貸経営をしていた不動産は、相続税の課税対象金額を軽減する税制措置もあります。

税金イメージ

自己資金が少なくても始められる

マンション投資は自己資金が少なくても始められます。なぜなら、マンション購入にあたって、不動産投資ローンを利用できるからです。不動産を購入するためにローンを組む際に、金融機関は対象となる不動産自体を担保にします。そのため、大きな金額でも比較的容易に借り入れられるのです。

このように少ない自己資金で多額の資産が形成できることを「レバレッジ効果」と呼びます。

手間がかからない

賃貸経営は、株式や外国為替の投資に比べて手間がかからないこともメリットに挙げられるでしょう。その根拠は主に2つあります。

1つは、不動産市場の変動が比較的小さいこと。市場価格の変動が小さい不動産市場は、こまめな情報収集や投資のテクニックを必要とする株式やFXに比べて精神的な負荷も小さくなるといえます。

もう1つは、管理業務を委任できること。賃貸経営をする場合は、入居者の家賃の入金確認や部屋のメンテナンスなどの管理業務が発生します。そういった管理業務は、不動産会社に委任すれば、メンテナンスにかかる手間を省けます。委任には一定の費用はかかりますが、本業が別にある人にとっては、副業として賃貸経営がしやすくなるでしょう。

作業服を着てマンションをチェックする男性

生命保険の代わりとなる

マンション投資をする際に、投資用の住宅購入時に利用できる不動産投資ローンを組んでマンションを購入すると、「団体信用生命保険」の加入を求められます。団体信用生命保険とは、ローン返済中に、ローンを返済する人が死亡もしくは高度障害などで返済が不可能になった場合に、金融機関にローンの返済を保証する保険のことです。

団体信用生命保険に加入していれば、保険金を残債の返済に充てられるので、家族に負債を残すリスクを減らせます。

マンション投資の注意点

マンション投資はあくまで投資であるため、リスクが存在します。ここでは、マンション投資で注意したいリスクをお伝えしましょう。

空室になると収入が得られない 

賃貸経営では、入居者がいない空室では家賃収入が得られず、赤字になってしまうリスクが高まります。また、不動産投資ローンを組んでいる場合は、月々の返済を家賃収入以外から充てなくてはなりません。空室になる原因には、物件や家賃などへの不満のほかに、隣人同士での騒音トラブルのような、こちらが管理しにくい、予期せぬ原因により空室ができてしまうこともあります。

空室のリスクを減らすためには
交通アクセスや周辺の生活環境など、条件のよい物件を選ぶことが重要です。また、空室になった際にも多くの優良顧客をスムーズに紹介してもらえるように、大手の不動産会社へ仲介を依頼するとよいでしょう。

空室時でも収入が得られる方法も
空室によって収入減が絶たれることへの対策としては、「サブリース契約」という方法があります。サブリース契約とは、マンションを不動産会社に貸し、不動産会社が別の人に又貸しする契約形態です。

サブリース契約は、空室になった場合でも、不動産会社から一定の賃料が支払われることになり、空室になった際のリスクヘッジとなります。また入居者とのやり取りも不動産会社に一任することができます。

サブリース契約は、不動産会社やプランによってかかる費用や家賃保証の範囲、サービス内容に違いがあります。そのため利用を検討する際は、事前の内容確認をしっかり行い、収入と支出のバランスを考えて検討しましょう。

誰も住んでいないマンション

老朽化により利益が減少しやすい

マンションの賃貸経営は、建物の築年数が増加するにつれて老朽化が進み、利益が減少しやすくなります。老朽化が進むと、メンテナンスや大規模修繕のための費用が大きくなり、また年数の経過に伴いに伴い相場よりも賃料が低くなる可能性があるためです。

●建築年代別の居住用マンション1坪あたりの平均賃料単価
以下の表は、三井不動産リアルティグループの2021年度仲介取引実績より算出した、建築年代別の居住用マンション1坪あたりの平均賃料単価をまとめたものです。以下の結果からも、築年数が増すごとに賃料が下がる傾向にあることが分かります。

建築年代別の居住用マンション1坪あたりの平均賃料単価表

※三井不動産リアルティグループの2021年度仲介取引実績より算出

設備のメンテナンスは費用だけでなく修繕工事の発注手続きの手間がかかります。入居中に修繕をする場合は入居者への連絡・工事の立ち会い依頼も必要になるため、空室の間に修繕をしたほうが手間が省けるでしょう。また、修繕時の対応を含めた管理業務は、不動産会社へ委任してしまえばさらに楽になるのでおすすめです。

●賃貸管理に関する記事はこちら
賃貸管理とは?分譲マンションを貸す際の基礎知識&管理会社の選び方

メンテナンスの頻度の高さや、区分所有者個人ではでは解決できない共用設備の不具合など、根本的な解決が必要な場合は、築年数が新しい物件へ買い替えるのが有効です。

赤字経営のリスクに気付きにくい

株式や外国為替は、投資してから結果が出るまでの期間が短く、必要経費が生じないために投資額と損益が分かりやすい投資方法です。一方、賃貸経営は、投資してから損益が明らかになるまでの期間が長く、管理費や修繕費などの必要経費が生じるために損益に気付きにくいといえます。

マンションを購入して間もないのに、期待したほど利回りが実現しなかったりマイナスであったりした場合、長期的に見ると大きな損失となる可能性があるでしょう。また、ローンを借り入れている場合は、金利が上昇することで月々のキャッシュフローが減少し、収支が赤字に転じる可能性もあります。

赤字

節税効果が低いこともある

マンション投資で大きな節税効果があるのは、「減価償却期間が短く、1年あたりの減価償却費が大きい物件」や、「所有者の所得税率が高い場合」です。大きな節税効果を見込んでマンション投資を始めても、期待値ほど効果が見込めない可能性があります。

減価償却期間が短く、1年あたりの減価償却費が大きい物件
先ほどお伝えしたように、所得税の計算をする際には、経費として減価償却費を一定期間に分割して計上することができますが、減価償却期間は、建物の「法定耐用年数」によって決まります。

法定耐用年数とは、法律で定められている、建物をはじめとした固定資産が使用できる年数のことです。法定耐用年数が長ければ長いほど、減価償却期間が長くなり、1年あたりに分割される金額が少なくなります。つまり、経費として計上できる金額が少なくなるということです。

そのため、法定耐用年数が短い物件を選んだほうが、年間で大きな節税効果を見込むことができます。住宅用の法定耐用年数は、木造で22年、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造で47年となっています。

所有者の所得税率が高い場合
所得税率は所得が多い人ほど高くなるため、所得が多い人のほうが、経費を引いたことによる税金の減少額が多くなります。

一方、所得が低い場合は税率も低くなるため、節税にはなるものの、所得が多い人と比べると、経費を差し引くことによって減る税金の額は少なくなります。

自身の家計の状況や物件の状態を加味しながら、自分が望むほどの節税効果が見込めるかどうかを考えましょう。

電卓

マンション投資を成功させるポイント

ここまでマンション投資のメリットとリスクについてお伝えしてきました。ここでは、メリットと注意点を踏まえたうえで、マンション投資を成功させるポイントをお伝えします。

実質利回りを計算する

マンション投資を成功させる最大のポイントは、実質利回りを計算することです。利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。表面利回りとは、家賃収入をマンションの購入価格で割り出したもの、実質利回りは、実際にかかった必要経費も加味したうえで計算したものです。具体的な算出式は以下の通りです。

表面利回り
年間家賃収入÷マンション購入価格

実質利回り
(年間家賃収入+管理費、修繕費、広告費などの家賃収入につなげるための必要経費+固定資産税)÷(マンション購入価格+登記手数料、仲介手数料などマンションを購入するための必要経費)

表面利回りだけを計算すれば黒字となるものが、必要経費や固定資産税などを加え、実質利回りを計算すると、赤字となる場合があります。マンション投資を成功させるには、かかる費用を細かく出して、実質利回りを計算する必要があります。

目覚まし時計と札束

収益性が高い物件を選ぶ

マンション投資を成功させるには、実質利回りを計算したうえで、収益性が高い物件を選びましょう。収益性がより高いと考えられる傾向としては、ワンルームマンションよりもファミリー向けマンション、新築物件よりも中古物件が挙げられます。

ワンルームマンションよりもファミリー向けマンションのほうが収益性が高いと考えられる根拠には、空室になるリスクの低さがあります。特に子どもがいる家族の場合は、単身者よりも長く定住する可能性が高いため、長期的な家賃収入が見込めるといえるでしょう。

また、都心の1坪あたりの平均賃料単価を見ても、平米数が広いほうが賃料単価が高くなる傾向にあります。

都心の1坪あたりの平均賃料単価表

※三井不動産リアルティグループの2021年度仲介取引実績より算出(都心5区・文京区・品川区・目黒区)

ちなみに、単身者向けのマンションとファミリー向けのマンションの大まかな面積と特徴は以下の通りです。

面積

メリット

注意点

単身者向け

40㎡未満

・購入価格が割安

・賃料単価が低い ・ワンルーム・1LDK中心のため、高単価の都心部では入居者が限られてくる

ファミリー向け40~79㎡

・単身者向けよりも空室リスクが少ない
・流通量が多く、予算に合う物件が見つかりやすい
・ファミリー向けの広さ・間取りのため需給バランスがよい

・流通量が多い分、募集時に競合する物件も出てきやすい

80㎡~

・高い家賃収入が見込まれる
・流通量が少ないため物件としての希少性がある

・購入時に予算に合わない可能性が高い
・高額の賃料を支払える入居者が限られてくる

また、新築物件よりも中古物件の収益性が高いと考えられる根拠には、購入価格の安さにあります。賃料の観点で考えると、新築よりも中古のほうが安くなる可能性は高くなりますが、中古は購入価格が安い傾向にあるため、利回りが高まる可能性につながります。そのため、中古物件は収益性が高い傾向にあるといえるのです。

損益分岐、収支

ゆとりを持った資金計画を立てる

マンション投資を成功させるには、ゆとりのある資金計画を立てることが重要です。利回りの計算や収支のシミュレーションなどは厳しめに金額を設定して考えておくとよいでしょう。空室や自然災害など、予測が難しい部分についてもある程度見積もっておくことが必要です。

また、ローンの利用を考えている場合は、最初に支払う自己資金を多めに用意するのも1つの手です。自己資金が多いとその分借り入れ額を少なくできるため、返済計画が立てやすくなったり、返済期間を短くして利息の出費を抑えたりすることができます。

コツを押さえてマンション投資を成功させよう!

マンション投資は、ほかの金融商品の投資方法と比べて失敗のリスクが低く、長期収入が得られやすいというメリットがあります。一方で、収支のシミュレーションが甘いと大きな損失を出すリスクもあります。そのため、マンション投資を行う際には、家賃収入の変動や災害時の支出など長期的な視点での資金計画が必要です。

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虫メガネとマンションの模型

アユカワタカヲ

株式会社タカプランニングジャパン代表取締役。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーなどの資格を保有。
会社員時代に不動産投資をスタートさせ、今では幅広く不動産賃貸業を営む。
メディア出演や著作の出版、セミナーなどでも活躍。
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