借家人賠償責任保険とは?金額の決め方や補償についても解説

賃貸住宅では火災保険に加入するのが一般的です。このとき、火災保険とセットで加入することが多いのが借家人賠償責任保険です。この記事では、賃貸住宅の補償内容や、保険金額の決め方などについて解説します。

目次
  1. 借家人賠償責任保険とは?
  2. 借家人賠償責任保険の補償内容
  3. 借家人賠償責任保険は火災保険とセットで契約することが多い
  4. 借家人賠償責任保険への加入はなぜ必要?
  5. 借家人賠償責任保険の金額の決め方
  6. 保険料と保険金額はいくらが相場?
  7. 保険料を抑えるには?
  8. 借家人賠償責任保険の金額は慎重に決めよう
記事カテゴリ 賃貸 マンション
2024.09.08

借家人賠償責任保険とは?

借家人賠償責任保険とは、賃貸住宅の賃借人(居住者)の、賃貸人(大家さん)に対する法律上の損害賠償責任をカバーする保険のことです。賃貸借契約の際、火災保険の書類で目にするものですが、「聞いたことがない」「自分が加入しているかどうか分からない」という方もいるのではないでしょうか?

この記事では、借家人賠償責任保険の特徴や補償内容、保険料の相場などを詳しく説明します。

契約の説明

借家人賠償責任保険の補償内容

借家人賠償責任保険は、賃貸住宅を借りる際に必要となる賠償保険です。補償されるのは、住んでいる賃貸マンションや賃貸アパートなどで起きた火事・破裂・爆発・水濡れなどの偶発的な事故です。これらの事故によって、賃借人が賃貸人から借りている物件に損害を与えてしまったとき、修理費用や損害賠償金などが保険会社から支払われます。

具体的な補償範囲としては、以下のような事例があります。

・電気ストーブやタバコの不始末で火事が起きた
・配管の破裂や家電製品の故障で部屋が水浸しになった
・ガスボンベの爆発で壁面が焼けた

一方、補償対象外の例としては、子どもがお部屋の壁紙をはがしてしまったり、自分の不注意で窓ガラスを割ったりした場合など、居住者の故意や過失による損害があります。なお、補償されるのは物件を契約している期間で、退去後に見つかった破損は費用補償の対象外となるので注意が必要です。

保険の相談

借家人賠償責任保険は火災保険とセットで契約することが多い

火災保険には賃貸人用と賃借人用があり、賃貸人は建物、賃借人は家財の損害をカバーする保険に入ります。そのため、賃借人が入る火災保険は「家財保険」ともいわれ、借家人賠償責任保険があらかじめセットされていることが一般的です。

なお、賃借人用の火災保険(家財保険)は、主に以下の3つから成り立っています。

・家財保険
・借家人賠償責任保険
・個人賠償責任保険(補償特約)

家財保険は、家の中にある家具や電化製品への損害を補償するもので、火災保険に基本補償として付帯されています。借家人賠償責任保険は、先述の通り、物件の「賃貸人」への損害賠償を補償するものです。一方、個人賠償責任保険は、隣や階下などの「他人」に対する損害賠償を補償するものです。たとえば、日常生活で自転車に乗っていて他人にケガをさせたり、洗濯機のホースが外れて水漏れし、階下の住人に迷惑をかけてしまったりすることが挙げられ、借家人賠償責任保険とは補償対象が異なります。なお、これら2つの保険は単独では契約できず、家財保険とセットで加入する必要があります。

自分が借家人賠償責任保険に入っているかどうか分からない方は、保険証券(保険の契約内容が書かれた証書)で確認してみましょう。

札束と家の模型と電卓

借家人賠償責任保険への加入はなぜ必要?

借家人賠償責任保険への加入は任意ですが、借家人賠償責任保険の加入は賃貸借契約の条件にされていることが一般的です。その理由は、火災や水漏れの修理費用は高額となることが多く、保険に加入していない場合、金銭的な負担が大きくなってしまうからです。

また、賃貸借契約において、賃借人は借りた部屋に対して原状回復義務を果たさなければなりません。賃貸住宅を返すときは、入居期間中に生じた傷や汚れを回復させる必要があり、火事や水漏れなどで部屋が原状回復できない場合は、賃貸人に対して債務不履行となってしまいます。家族と暮らしているか、一人暮らしかにかかわらず、万が一のことを考えて入っておいたほうが安心でしょう。

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借家人賠償責任保険の金額の決め方

借家人賠償責任保険の金額は、相場と賃借する部屋の特徴を踏まえて決めるとよいでしょう。たとえば、築年数の古いマンションは、設備の劣化により事故のリスクが高まるため、保険料も高い傾向にあります。また、部屋の面積が小さい場合は、被害も小さく済む可能性があり、保険料はその分、抑えて設定するという考え方もあります。

借家人賠償責任保険の相場については、以下で見ていきましょう。

計算している様子

保険料と保険金額はいくらが相場?

借家人賠償責任保険を含む火災保険料は、補償内容、世帯人数、部屋の広さ(専有面積)、建物の構造などによって異なります。保険会社によって金額はさまざまですが、目安となる相場がいくらか見ていきましょう。

保険料の相場

保険料とは、保険の契約者が保険会社に支払うお金のことです。借家人賠償責任保険を含めた保険料(掛け金)の相場は、2年間で1万~3万円くらいといわれます。賃貸借契約は、一般的に2年契約(2年ごとに契約更新)であるため、火災保険も2年契約となることが多いでしょう。

保険金額の相場

保険金額(補償額)とは、保険を契約する際に設定するもので、事故が発生した際に保険会社が支払う限度額のことをいいます。借家人賠償責任保険の保険金額の相場は、およそ1,000万~2,000万円になります。

保険金額は自らの暮らしに合った金額を設定することが大切です。保険金額を安く設定すると保険料は抑えられますが、有事の際に十分な補償を請求できなくなってしまうことがあるため、注意しましょう。

保険料を抑えるには?

ここからは火災保険料を抑えるコツをご紹介します。適切な補償が受けられる範囲内で、料金を抑えて利用しましょう。

保険会社を比較する

契約するときは、複数の保険会社をよく比較しましょう。補償の内容や金額は、保険会社によってさまざまです。また保険料は改定されることがあるため、更新する際には価格を確認する必要があります。

また、不動産会社が保険の代理店を兼ねていて、借家人賠償責任補償と家財保険がセットになった火災保険を勧めてくるケースも考えられます。補償内容や補償額は、保険会社や保険商品によって異なるため、すでにプランが決められた保険商品を提示された場合は、詳細を確認することが大切です。

不要な補償を外す

保険料は、余分な補償内容を外すことでも抑えることが可能です。たとえば、マンション上層階のように台風や大雨などによる浸水リスクが少ない場合は、水災に対する補償を外すといった契約内容の取捨選択をするとよいでしょう。

また、隣の物件との距離が離れている場合には「類焼損害」の補償が必要ないケースもあります。類焼損害とは、自分の家で火災が発生した際に、近隣住宅にも被害が及んでしまうことを指します。これらの補償については、物件の状況を踏まえて必要かどうかよく検討しましょう。

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マンション模型と虫眼鏡

借家人賠償責任保険の金額は慎重に決めよう

ここまで、賃貸住宅の契約で必要となる借家人賠償責任保険の補償内容や保険金額の決め方、保険料を抑える方法についてご案内してきました。

保険金額が安いと毎月支払う保険料の負担は軽くなりますが、事故が起きた際の損害が補償に含まれていないと、高額な修繕費を自分で負担することになります。そのため、自宅の状況に合った火災保険を選び、借家人賠償責任保険とセットで契約することが大切です。

また保険料は、補償の内容や支払い方法を工夫することで抑えられる可能性があります。この記事を参考に、保険料を抑える方法を検討してみてください。

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