
海外赴任中の持ち家はどうする?賃貸に出すメリットや確定申告も解説
海外赴任をする際の持ち家の主な対処法には、賃貸として貸す、売却して手放す、空き家のままにするという3つが挙げられます。この記事では、3つの対処法のメリットや注意点などについて分かりやすく解説します。
目次
海外赴任をする際、持ち家は賃貸に出すべき?
海外赴任をする場合には、必要な準備がいくつかあります。その準備の1つに引越しがあり、これまで住んでいた持ち家をどうするかが問題になるでしょう。持ち家の対処法としては主に3つの選択肢がありますが、それぞれにメリットや注意点があります。今回は、海外赴任をする際の持ち家の対処法や疑問について解説します。
【海外赴任中の持ち家の対処法】賃貸として貸す
海外赴任中の持ち家の対処法として挙げられるものの1つは、持ち家を賃貸物件として貸し出すことです。賃貸物件として貸す際には、借主と締結する賃貸借契約が必要となり、賃貸借契約の種類は、主に「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」が挙げられます。それぞれの特徴は以下の通りです。
特徴 | 普通賃貸借契約 | 定期賃貸借契約 |
---|---|---|
賃貸借期間 | 一般的には2年間 | 制限なし |
更新の有無 | 更新が前提 ※貸主は正当事由がない限り、更新を拒否できない | 更新なし ※借主との合意により再契約できる |
貸主からの解約 | ・正当事由が必要 ・借主の同意が得られない場合、貸主からの一方的な解約は難しい | ・貸主からの中途解約はできない ・期間満了により契約終了する ・終了時期の1年から6か月前までの間に借主へ書面での通知が必要 |
リロケーションもおすすめ
海外赴任で持ち家を賃貸に出す場合は、契約期間をある程度自由に決められる定期賃貸借契約がおすすめです。また、定期賃貸借契約を用いた貸し出し方法として特におすすめなのが、リロケーションです。リロケーションとは、持ち主が不在の期間だけ賃貸として貸し出す形式になります。
●リロケーションに必要な費用や注意点に関する記事はこちら
メリット
海外赴任の際に、持ち家を賃貸物件として貸し出すメリットには以下のようなものが挙げられます。
・家賃収入が得られる
・経年劣化を抑えられる
・帰国することになった場合、住居を探さなくてよい
賃貸として貸し出したうえで借主が見つかった場合、毎月家賃収入を得られます。家賃収入があれば、本職の収入に加えて副収入を得られるほか、住宅ローンの支払いが終わっていない場合は、毎月の家賃収入を返済に充てられるでしょう。ただし、住宅ローンでは家を賃貸利用とすることが認められていません。そのため、賃貸に出す際は、住宅ローンから賃貸利用向けの不動産投資ローンへの借り換えが必要な場合があるので注意しましょう。
上記のほか、借主(入居者)が住むことにより空き家にならないというのもメリットの1つです。日常生活による換気や掃除、メンテナンスが行われるおかげで、経年劣化を抑えられます。さらに、リロケーションの場合、日本に帰国する際には持ち家に住み直せるのもメリットです。ただし、事前の解約予告が必要であったり、契約の最短期間が決まっていたりするので、急な帰国には対応できません。
注意点
海外赴任に伴い、持ち家を賃貸物件として貸し出す場合の注意点は以下の通りです。
・入居者探しが難航する場合がある
・破損や汚れなどによるトラブルのリスクがある
立地や賃料などがネックになり、借主がなかなか決まらない場合があります。また、借主が家を丁寧に使わなかった場合はもちろん、丁寧に使っていたとしても破損や汚れの発生は避けられません。さらに、それらのトラブルが発生した際に自身では状況を確認しにくく、すぐに対応できない可能性があることにも注意しておきましょう。
そこで、トラブルがあった際に誰が責任を取るのか、どのように責任を取るのかなどをあらかじめ決めておき、自分の代わりに手続きをしてもらえる管理会社を立てておくと安心です。三井のリハウスでは、持ち家を賃貸に出す場合の管理受託プランや転貸プランといった、それぞれのお客さまに合った管理サービスをご用意しています。豊富な実績をもとにお客さまの賃貸借契約をサポートさせていただきますので、持ち家を賃貸として貸し出すことを検討されている方は、ぜひご相談ください。
●三井のリハウスの賃貸に関するご相談はこちら
●転勤中の自宅を賃貸に出す注意点や手順に関する記事はこちら
【海外赴任中の持ち家の対処法】売却する
海外赴任後に今の持ち家に住み直す可能性が低い場合、売却するという選択肢もあります。売却の方法には仲介や買取などが挙げられ、それぞれ特徴があります。家の売却についての詳しい方法や注意点は以下のサイトで解説しているので、ぜひご覧ください。
●家の売却に関する詳しい記事はこちら
メリット
海外赴任の際に家を売却するメリットとしては、主に以下のものが挙げられます。
・まとまったお金を得られる
・管理についての手間や費用の負担がない
持ち家を売却する場合、買い手が見つかれば一度に大きなお金を得ることが可能です。海外赴任中まで住宅ローンの返済を引きずりたくない場合や、赴任先でまとまったお金が必要な場合は、持ち家の売却が完了すると成約額のうち手元に残ったお金を自由に利用できます。また、持ち家を売却すれば、家を管理するための労力や費用、家を所有していると課せられる税金が不要になります。
注意点
海外赴任を機に持ち家を売却する際に、気を付ける必要のある点は以下の通りです。
・住宅ローンを完済できない場合は、売却できない
・買い手が決まらない場合もある
・日本に帰国した際、住居を探す必要がある
住宅ローン返済中の場合、売却して得たお金や自己資金を使ってローン残額を完済できない場合は、売却できません。売却後、手元に残るお金がローン完済に足りるかどうか確認しましょう。また、確実に買い手が決まるとは限らないのも注意点の1つです。家の状態や立地などによっては、買い手が見つからないこともあります。さらに、空き家や賃貸として貸す場合とは異なり、売却すると家の所有者は自分ではなくなります。よって、再び日本で生活することになった際は、家を探さなければなりません。
このように、売却はほかの選択肢に比べて懸念点が多く、慎重な判断が必要です。売却を考えている場合は、後悔のない決断をするためにもプロと一緒に検討することをおすすめします。三井のリハウスでは、持ち家を売却したいお客さまのお悩みに真摯に向き合い、丁寧なサポートをご提供します。売却をご検討の際は、ぜひ三井のリハウスにご相談ください。
●三井のリハウスの売却に関するご相談はこちら
【海外赴任中の持ち家の対処法】空き家にする
3つ目の対処法は、空き家にする方法です。空き家にすると、海外赴任中は誰も持ち家に住みません。いくつかメリットがある一方で、注意しておかなければならないこともあります。これらに関して、以下で詳しく解説していきます。
メリット
海外赴任中に持ち家を空き家にするメリットとしては、主に2つ挙げられます。
・帰国した際、生活する場所に困らない
・赴任先に持っていきたくない荷物を置いておける
空き家にしておくと、一時的に帰国する場合や突然帰国することになった場合でもスムーズに日本での生活へ移行できます。また、必要な荷物だけを赴任先に移動させ、それ以外は持ち家に残すことで、引越しの手間を省けたり転勤先で大量の荷物を抱えたりせずに済むでしょう。
注意点
メリットがある一方で、空き家には以下のような注意点もあります。
・継続的な管理をしなければ、劣化が進む
・犯罪の被害に遭うリスクがある
持ち家は、定期的な管理をしなければ劣化が急速に進んでしまいます。家に戻った際に、激しい劣化のため、室内に不快感を覚えたり、もはや住めない状態になっていたりすることもあるでしょう。また、最悪の場合、悪臭や家の破損などにより、周りの建物や住人に悪影響を及ぼしてしまう恐れもあります。
そうならないため、空き家管理サービスを利用することで劣化を抑えることはできますが、それだけの費用がかかってしまいます。また、海外赴任中長期にわたって家を空け、人が住んでいない状態が続くと、不審者による不法侵入や盗難被害、放火など犯罪に巻き込まれる危険性があります。
海外赴任中に持ち家を賃貸に出す際は住宅ローンの借り換えが必要
海外赴任中の持ち家の対処法としては、継続的な収入を得ながら資産を保持できる賃貸がおすすめです。
ただし、住宅ローンを返済中の場合は、住宅ローンを不動産投資ローンへ借り換える必要があります。住宅ローンは契約者が住む家を購入するためのローンなので、購入した家を賃貸利用する場合は契約違反となってしまうからです。ただし、海外赴任のような理由の場合、金融機関に許可をもらうことで賃貸での利用が可能な場合もあるため、まずは金融機関に相談してみましょう。
また、海外赴任は住宅ローン控除の対象外となるため、不動産投資ローンへ借り換えを行う場合はもちろん、借り換えをしなくて済む場合でも控除を受けられなくなる恐れがあります。賃貸に出す際は、これらの注意点を踏まえておきましょう。
●家を貸すメリットや注意点、成功のポイントに関する記事はこちら
海外赴任中の持ち家を賃貸に出すときの確定申告
海外赴任中に自分の持ち家を賃貸として貸し出した場合、日本で収入を得ていることになるため、確定申告を行わなければなりません。確定申告の時期に日本に帰国することが難しい場合は、確定申告の書類提出や納付を代行してくれる納税管理人の選任が必要です。納税管理人はできる限り納税者の納税地を管轄する税務署の管轄区域内に、住所を有する人のなかから選任されることがすすめられています。※1しかし、基本的には手続きができる人(もしくは法人)であれば誰でも構いません。
また、海外勤務になった年の翌年以降も家賃収入が発生し、その所得の金額が基礎控除額を超えてしまう場合も、翌年の確定申告の時期に納税管理人を通じて確定申告をしなくてはなりません。不動産所得の金額は下記のように算出されます。
不動産所得 = 家賃収入 - 必要経費
なお、借主が個人かつ家が本人または親族の居住用として賃貸される場合、源泉徴収の対象にはなりません。ただし、借主が法人の場合は賃料の20.42%相当額の源泉徴収が必要になりますのでご注意ください。源泉徴収の手間が発生することにより、あえてそういった物件は避けるという法人もありますが、サブリース契約の場合は不動産会社が借主となるため、不動産会社が源泉所得税の対応を行います。その結果、サブリース契約をすることにより借主が見つかりやすくなるうえ、トラブル時でも不動産会社が対応するため安心して貸し出せるのです。
●賃貸経営の不動産所得についてはこちら
●海外赴任時の源泉徴収についてはこちら
●サブリース契約についてはこちら
海外赴任で持ち家を賃貸に出すなら三井のリハウスへ
この記事では、海外赴任をする際の持ち家の対処法について解説してきました。対処法には3つの選択肢が挙げられ、それぞれにメリットや注意点があるものの、なかでもおすすめなのは賃貸物件として貸し出す方法です。賃貸物件として貸し出すと、資産として不動産を保持しながらも、継続的な所得を得られるという特長があるためです。
持ち家を賃貸に利用する場合は、きちんと運営管理してもらえる会社のサポートがあると安心です。プロの不動産会社とともに判断することで、後悔のない選択をしましょう!三井のリハウスでは、賃貸運営や売却のご相談を承っております。お客さまの状況やご希望に合わせたサポートをいたしますので、海外赴任の際、持ち家の対処にお困りの場合はぜひ三井のリハウスにお問い合わせください。
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※1出典:「第117条関係 納税管理人」、国税庁
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tsusoku/09/01/117.htm#:~:text=%EF%BC%88-,%E7%B4%8D%E7%A8%8E%E7%AE%A1%E7%90%86%E4%BA%BA%E3%81%AE%E9%81%B8%E4%BB%BB,-%EF%BC%89
(最終確認:2024年5月29日)
