
【2024年】家賃相場の推移の状況は?首都圏の賃料を中心に読み解く!
2024年第2四半期における首都圏の家賃相場は、前年同期に比べ上昇傾向にあり、特に東京23区は前年同期比で3.45、横浜・川崎市では同2.86上昇しています。この記事では、首都圏を中心に最近のマンションの賃料推移を解説します。
目次
「マンション賃料インデックス」で読み解く家賃相場の動向
近年、上昇傾向にあるといわれるマンションの家賃相場が気になる人もいるのではないでしょうか?この記事では、2024年9月に公開されたデータ「マンション賃料インデックス」を参考に、家賃相場の推移から動向を解説します。
「マンション賃料インデックス」は、アットホーム株式会社と株式会社三井住友トラスト基礎研究所が、共同で開発した賃料データです。不動産ポータルサイトのアットホームが蓄積しているマンションの成約事例にもとづき、その成約賃料をヘドニックアプローチという統計的手法で品質調整し、四半期ごとの指数として算出しています。これをアットホームラボ株式会社が編集協力し、アットホームにて公開しております。なお、ここでは2009年第1四半期を基点とした連鎖型のインデックスを掲載しています。
この連鎖型インデックスでは、前期や前々期と比べて家賃相場がどれくらい上下したかを指数として見ることができます。この指数は、景気動向指数に関係していると考えられており、 GDP (国内総生産)等の国の統計データにも採用されています。
【2024年最新版】首都圏エリアの家賃相場の全体概況
首都圏エリアの家賃相場は、エリアやマンションのタイプによって違いはあるものの、全体的には年々上昇傾向にあります。
<首都圏 エリア別インデックス推移>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
前年の同時期と比べて軒並み上昇
首都圏(東京23区・東京都下・横浜市・川崎市・千葉西部・埼玉東南部)では、前年の同時期に比べると全てのエリアで賃料が上昇しています。特に、千葉西部は5.97の上昇となっており、千葉県の上昇率は徐々に高くなってきています。また、横浜・川崎市や埼玉東南部にも千葉県ほどではないものの同様の傾向が見られます。
この背景として考えられるのは、東京23区や都下の賃料が高くなったことで、比較的賃料が安い周辺へと需要が流れている可能性です。これにともなって、東京都の周辺地域の賃料も上昇していると考えられます。
また、件数で見ると、2024年第1四半期から2024年第2四半期にかけて、23区のマンション取引件数は8,132件(※1)(30.6%)減少となっています。件数からも、賃料が高止まりしている23区内のマンションから周辺地域へ流れている可能性が伺えます。
前々年の同時期と比べると上昇傾向の強さが鮮明に
さらに前々年の同時期と比べると、首都圏全ての地域で賃料が上昇していることが分かり、上記のグラフからも見受けられるように、継続的な上昇傾向があります。また、特に23区は2020年第3四半期を皮切りに賃料の上昇率が停滞していたようですが、1年半ほどかけて上昇傾向に戻っています。インデックスを経済指標として見れば、23区とほかの地域との乖離が大きくなり過ぎ、ほかの地域の賃料水準が23区の上昇水準に追いつくまで一時的に停滞していたとも考えられます。
この点を家賃相場の推移から考えると、コロナ禍において23区の新規賃貸住宅の供給が需要に追いつかず、23区の賃料が上昇したことがあります。一方で、急激な賃料の上昇に予算が合わない層が周辺へ流れ、結果的に周辺地域の賃料が上昇し、その間に23区の新規供給が回復したといった見方もできます。
前期(2024.Q2)と比べると上昇傾向が一部鈍化
前年同期や前々年同期と比べると、顕著な上昇傾向が見られ、前期(2024.Q2)と比べると、千葉西部では2.83、埼玉東南部で1.77と上昇傾向が続いています。しかし、横浜・川崎市では1.14、東京23区で0.61、東京都下では-0.34となっており、一部に上昇傾向の鈍化が見られます。比較対象の第2四半期が4月~6月、第3四半期が7月~9月という時期的な違いもありますが、第1四半期の1月~3月と比べれば、第2四半期と第3四半期ではそれほど需要動向に差がないと思われるため、上昇傾向の鈍化には意味があるのではないでしょうか?
昨今の人口の減少に加え、物価上昇に対して実質賃金が下がっている状況では、一般家計の支払える賃料には限界があり、いずれ賃料上昇も鈍ってくるのはやむを得ないものと考えられます。従って、この先、ゆっくりと賃料が頭打ちを迎えるのか、今後の動向を注視する必要があるでしょう。
東京23区・東京都下の家賃相場の推移をマンションタイプ別に見る
東京都において、マンションタイプ別の家賃相場はそれぞれどのように推移しているのかを見ていきましょう。マンションタイプは、以下のように床面積に応じてシングルタイプ、コンパクトタイプ、ファミリータイプに分けられています。
タイプ | 面積 |
---|---|
シングルタイプ | 18㎡~30㎡未満 |
コンパクトタイプ | 30㎡~60㎡未満 |
ファミリータイプ | 60㎡~100㎡未満 |
<東京23区 タイプ別インデックス>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<東京23区 タイプ別インデックス推移>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<東京都下 タイプ別インデックス>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<東京都下 タイプ別インデックス推移>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
シングルタイプでは東京都下で上昇傾向に陰り?
冒頭の全体(総合)と比べると、東京23区は前々年同期や前年同期比、前期比でやや上昇率が高く、東京都下については、前々年同期比、前年同期比、前期比いずれも上昇率が全体よりも明らかに低くなっています。特に、都下の前期比においては、-2.14と下落傾向が見られることが特徴的です。以上から、シングルタイプでは、東京23区は引き続き衰えなく上昇傾向が見られるものの、東京都下では賃料の頭打ちが近づいている印象があります。
コンパクトタイプでは両エリアとも上昇傾向が続く
同様に全体(総合)と比べると、東京23区は前々年同期比ではやや高い上昇率ですが、前年同期比と前期比ではほぼ全体と変わらない上昇率となっています。また、東京都下では、前々年同期比、前年同期比、前期比いずれも全体よりも上昇率が高くなっています。こうしたことから、コンパクトタイプでは、東京23区、東京都下のいずれも引き続き上昇傾向が続く可能性があると思われます。
ファミリータイプでは23区で上昇傾向に陰り?
同様に全体(総合)と比べると、東京23区では前々年同期比、前年同期比、前期比のいずれもファミリータイプの上昇率が低くなっています。特に、前期比では-1.37と下落傾向が見られ、シングルタイプ同様、賃料の頭打ちが近い印象があります。一方、東京都下では、前々年同期比では全体より高い上昇率となっており、前年同期比、前期比でも全体よりやや高い上昇率を示しています。以上より、高騰している23区では賃料上昇は続いているものの、予算が合わない層が23区と比べてまだ賃料が低い都下や他県へ流れている可能性があります。
エリアの傾向まとめ:タイプによって賃料の動向に差
全体(総合)では見えなかった傾向が、タイプ別に分けることで見えてきます。東京23区では、全体的には上昇傾向が続いているように見えますが、シングルタイプは引き続き堅調な上昇率を示しています。ファミリータイプの上昇率は意外と低く、直近の前期比では下落(-1.37)傾向が見られます。物価上昇に伴いファミリータイプを求める家族世帯の家計負担は大きく、賃料の予算にも限界があるため、上昇傾向に歯止め(高い賃料では借り手がつかない)がかかりつつある可能性があるかもしれません。
一方、東京都下は、23区とは逆に前年同期比ではコンパクトタイプとファミリータイプが大きく上昇しているものの、シングルタイプは前々年同期比、前年同期比でも上昇率が低く、特に前期比では下落傾向が見られます。都下のこうした傾向は、シングルタイプの供給過多か、予算に合わない層の需要が東京都以外の地域へ移った可能性が考えられます。
東京23区内の区で見る家賃相場の傾向は
公益財団法人東日本不動産流通機構では、東京23区におけるマンションの成約平均賃料の動向を四半期ごとに公表しています。ここでは2024年7月~9月、2023年7月~9月、2022年7月~9月のデータを比較して賃料の動向を見てみましょう。
2022年から2024年までの同期の平均賃料の比較では、23区全体で賃料は上昇しており、特に都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)は2024年7月~9月期には単価ベースで4,000円/㎡を超え、なかでも港区は5,000円/㎡(平均建物面積39.55㎡、平均賃料198,000円)を突破しています。(※1)平均賃料が上昇を続けているなかでも、成約件数は2022年~2024年で比較してもおおむね減っていないことから、都心部の賃貸需要は安定しているといえます。
また、都心部の賃料高騰の影響か、江東、荒川、板橋の各区で賃料上昇は続いているものの、いずれの区でも成約件数が大幅に増加しており、23区内でも都心部からその外へ賃貸需要が流れている傾向が見られます。
横浜・川崎エリアの家賃相場の推移をマンションタイプ別に見る
<横浜・川崎 タイプ別インデックス>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<横浜・川崎 タイプ別インデックス推移>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
シングルタイプは上昇ペースが鈍化か
シングルタイプの賃料は、上昇が続いているものの、前年同期比や前々年同期比と比べると上昇率が明らかに鈍っています。特に前々年同期比は総合が6.05であるのに対して、1.57と、ほかのタイプと比べて昨年からそれほど賃料が上昇していないことが分かります。
コンパクトタイプでは上昇が緩やかになりつつある
コンパクトタイプの賃料は、前々年同期比と比べると7.88と急激な上昇率となっていますが、前年同期比2.99、前期比0.43と徐々に上昇率が落ち着いてきている印象があります。今後、このまま賃料の上昇は落ち着く可能性があります。
ファミリータイプもコンパクトタイプと同様の緩やかな上昇傾向
ファミリータイプは前々年同期比6.60、前年同期比1.88、前期比0.20と賃料上昇が落ち着いてきた印象があり、コンパクトタイプ同様、このまま賃料上昇が落ち着く可能性があるように思われます。
エリアの傾向まとめ:全体的に賃料上昇に落ち着きが見られる
横浜・川崎エリアは、全てのタイプで、賃料の上昇傾向が緩やかになってきています。特にシングルタイプは前々年同期比でも上昇率はそれほど高くなく、今後このエリアでは賃料上昇がどこまで続くのか注視する必要があるようです。
千葉・埼玉エリアの家賃相場の推移をマンションタイプ別に見る
<千葉西部 タイプ別インデックス>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<千葉西部 タイプ別インデックス推移>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<埼玉東南部 タイプ別インデックス>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<埼玉東南部 タイプ別インデックス推移>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
シングルタイプは千葉西部では上昇傾向が落ち着くが、埼玉東南部では上昇傾向が続く
シングルタイプでは、前々年・前年同期比で千葉西部は高い上昇率を示しているものの、前期比では0.93と上昇率が緩やかになり、一昨年からの急な上昇に対して、今後、やや賃料上昇が落ち着く可能性があります。一方、埼玉東南部は、前々年同期比、前年同期比、前期比いずれも中程度の上昇率で推移しており、引き続き賃料上昇傾向が続く可能性が高いように思われます。
コンパクトタイプは千葉西部では引き続き上昇傾向、埼玉東南部は上昇傾向が緩やかに
コンパクトタイプは、千葉西部では前々年同期比、前年同期比、前期比いずれも高い上昇率を示しており、引き続き賃料上昇が続く可能性が高いようです。一方、埼玉東南部では、前々年同期比より前年同期比の上昇率が高かったものの、前期比がほぼ横ばいとなっており、今後の動向には注意が必要です。千葉西部と埼玉東南部では、コンパクトタイプの賃料の動向に差が出ており、埼玉東南部のコンパクトタイプの賃料上昇は鈍化する傾向があるでしょう。
ファミリータイプでは千葉西部、埼玉東南部とも賃料上昇傾向が鈍化
ファミリータイプは、千葉西部では前々年同期比で9.96と非常に高い上昇率を示していましたが、前年同期比で4.90、前期比で0.63と上昇に鈍化が見られます。さらに、千葉西部のインデックス値は125.55とほかのタイプと比べてもこの15年の上昇率が非常に高く、特に一昨年と比べて急激に上昇しています。一方、埼玉東南部では、前期比で-1.29と下落傾向が見られるため、賃料の上昇に陰りが見えるといえるでしょう。次の四半期のインデックスを注視する必要があります。
エリアの傾向まとめ:千葉西部は引き続き賃料上昇傾向・埼玉東南部はコンパクトタイプとファミリータイプに上昇の一服感か
千葉西部は、全てのタイプの賃料で上昇傾向が見られ、引き続き賃料上昇が続く可能性が高いと思われます。特に、千葉西部のファミリータイプはインデックス値が125.55となっており、2009年以降ではほかのタイプと比べて非常に高い数値を示しています。相対的に最も賃料が上昇しているため、今後の推移が気になります。
一方、埼玉東南部は、シングルタイプに関しては上昇傾向が続いており、引き続き賃料上昇の可能性が高いものの、コンパクトタイプとファミリータイプでは、前期比でやや下落傾向が見られるため、今後は著しく上昇する可能性が低いという見方ができます。
首都圏以外の主要都市の家賃相場の推移をマンションタイプ別に見る
続いて、首都圏以外の札幌市、仙台市、京都市、大阪市、名古屋市、福岡市の推移を見てみましょう。
シングルタイプは地域によって賃料の動向に大きな差がある
<地方都市タイプ別インデックス シングルタイプ>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<地方都市タイプ別インデックス推移 シングルタイプ>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
名古屋市と大阪市は、前々年同期比、前年同期比、前期比のいずれも下落傾向が続いており、特に前々年同期比の水準を下回っていることから、今後も賃料下落の傾向が続く可能性があります。また、大阪広域も大阪市と似たような動向を示しており、賃料の下落傾向があります。
一方、仙台市は前々年同期比、前年同期比、前期比のいずれも堅調に上昇傾向が続いており、今後もしばらくこの傾向が続く可能性が高いと思われます。
ほかの札幌市や京都市、福岡市では、前々年同期比と前年同期比では上昇傾向があるものの、前期比ではやや下落傾向が見られ、今後の動向に注視する必要があるようです。特に福岡市ではインデックス値が123.00まで上昇しており、下落傾向が顕著に出ているわけではありませんが、今後の動向が気になります。
コンパクトタイプはすべての地域で引き続き上昇傾向が見られる
<地方都市タイプ別インデックス コンパクトタイプ>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<地方都市タイプ別インデックス推移 コンパクトタイプ>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
コンパクトタイプは、全地域で前々年同期比が上昇しており、特に京都市、大阪市、大阪広域では10以上の上昇傾向を示しています。前年同期比と前期比でも全地域で上昇傾向を示しており、引き続き全地域で上昇傾向が継続する可能性もあるでしょう。ただし、前期比ではやや上昇傾向に落ち着きがあるように思われます。
さらに、インデックス値を見ると、大阪市と京都市では既にそれぞれ139.45、134.28と高い水準にあり、今後どこまで上昇するのか注視する必要があります。一方、名古屋市のインデックス値は2009年第1四半期の水準よりやや下回っており、ここ15年賃料としてはほぼ変わっておらず、上昇傾向があるとはいえないようです。
ファミリータイプでは上昇傾向の地域と下落傾向の地域があり、賃料動向の差が大きい
<地方都市タイプ別インデックス ファミリータイプ>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
<地方都市タイプ別インデックス推移 ファミリータイプ>
出所:マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
ファミリータイプは、シングルタイプ以上に地域ごとの賃料動向に差があります。大阪市と札幌市は、インデックス値が140を超えており、この15年で賃料が大きく上昇しました。特に、大阪市は、前々年同期比で20以上、前年同期比で15以上の上昇となっているうえ、前期比でも6以上の上昇と賃料上昇が顕著で、今後も上昇傾向が続く可能性が高いでしょう。
札幌市は、前年同期比ではやや下がっているものの、前期比で8以上上昇しており、大阪市同様今後も賃料上昇の可能性があります。仙台市はゆっくりですが着実に上昇しており、福岡市は前々年同期比で20以上の上昇と急激な上昇となっています。賃料上昇の過程に違いがあるものの、いずれの地域もインデックス値が135以上と上昇傾向が続くのか、やや落ち着くのか今後の動向を注視したいところです。
大阪広域は、前々年同期比ではやや下回っているものの、前年同期比や前期比ではやや上昇しており、ゆっくりと上昇傾向が続いています。京都市は、インデックス値が102.70とここ数年はやや上昇傾向があるものの、15年間ではそれほど賃料は変化しておらず、比較的安定した賃料水準にあるといえます。名古屋市は、インデックス値が80.87と15年間で見ると、賃料水準は20近く下落しています。前々年同期比、前年同期比、前期比いずれも下落傾向を示しており、引き続き下落が続く可能性が高いでしょう。
地域的な賃料の動向は
札幌市は、全体的に賃料上昇の傾向がありますが、この25年のファミリータイプの上昇率が高く、シングルタイプについては賃料上昇が続く可能性は不確かです。コンパクトタイプとファミリータイプはしばらく上昇していく可能性が高いでしょう。
仙台市は、全タイプがゆっくりと上昇しており、引き続きゆっくりと上昇していく可能性が高いようです。名古屋市は、シングルタイプが15年前と比べてインデックス値がやや上回っているものの、コンパクトタイプとファミリータイプでは下回っており、特にファミリータイプでは20程度下がっていることから、今後もコンパクトタイプとファミリータイプは下落する可能性が高いと思われます。
京都市は、コンパクトタイプで上昇傾向が続いているものの、ほかのタイプでは上昇傾向が鈍化しています。特にファミリータイプはインデックス値が102.70と、15年前と比べてもそれほど上昇しておらず、賃料はおおむね安定していると思われます。
大阪市は、コンパクトタイプとファミリータイプで賃料の上昇率が大きく、今後もこの傾向が続きそうな気配があります。一方でシングルタイプは直近で下落傾向が見られ、今後の動向を注視する必要があるでしょう。大阪広域では、コンパクトタイプとファミリータイプに緩やかな上昇傾向が見られますが、シングルタイプにやや一服感があり、大阪市のシングルタイプの下落傾向があるため、その影響で需要が市内に向いた可能性があるようです。
福岡市は、全タイプで上昇傾向が続いており、特にファミリータイプは急激な上昇傾向となっているため、今後の動向に注意が必要です。
家賃相場の推移は定期的にリサーチしよう
マンションの家賃相場は、首都圏ではここ数年上昇が続いていますが、地方都市では上昇傾向が続く地域と、ゆっくりとではあるものの下落傾向が見られる地域もあります。
首都圏でもタイプによってやや傾向が異なり、たとえば、東京都下のコンパクトタイプのように15年前と比べてもそこまで賃料が上昇していないものや、千葉西部のファミリータイプのようにここ数年で高い上昇率となっているものもあります。
一方、地方都市では、当然ではあるものの、地域ごとに賃料の動向が大きく異なっています。たとえば、名古屋市のようにシングルタイプ以外で賃料が下落している地域もあれば、札幌市や大阪市のファミリータイプのように首都圏以上に上昇率の高い地域もあります。
賃料の変化は、さまざまな要因によるものなので、一概に要因を特定できません。ですが、たとえば、首都圏に隣接している地域では、東京23区の賃料が高くなり、需要層の予算を超えてくるとほかの地域へ需要が移動することや、マンション価格の上昇でこれまで購入していた層が賃貸需要層にとどまることなども賃料の動向に影響を与えるものといえます。
これから不動産投資を目指す方や、既に投資家(不動産オーナー)である方が、投資先の不動産の地域や間取り(タイプ)、賃料設定などを検討するうえでは、こうしたインデックスは有用な指標になります。今後も定期的に推移を見守り、気になるエリアの情報は積極的に調べることをおすすめします。
三井不動産リアルティでは有益な情報をご提供するとともに、マンションに関するご相談を受け付けています。より詳細な情報をお求めの方は、マーケットレポートを請求してみてはいかがでしょうか?ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
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※1出典:「首都圏賃貸居住用物件の取引動向」、公益財団法人東日本不動産流通機構
(最終確認:2025年1月14日)
参考:「マンション賃料インデックス公表資料 2024年第2四半期」、アットホーム株式会社・株式会社三井住友トラスト基礎研究所
(最終確認:2025年1月14日)


秋津智幸
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。