
賃貸物件のエアコン交換義務は誰にある?何年で取り替える?
賃貸物件のエアコンを交換してほしいといわれた際、古いだけの場合と故障した場合で対応の仕方が異なります。この記事では、エアコンの交換義務の対象者や新しい設備を導入するタイミング、注意点を詳しく解説します。
目次
賃貸物件のエアコンの交換義務は貸主にある?
賃貸物件のエアコンは、「壊れておらず単にエアコンが古い場合」と「エアコンが故障した場合」によって、貸主の交換義務の有無が変わります。
状況 | 交換義務の有無 |
---|---|
単に古い場合(通常の使用ができる) | 貸主に交換義務はない |
故障した場合(通常の使用ができない) | 貸主に交換義務がある |
なお、借主から賃貸物件のエアコンに不具合が発生したといわれた場合、まずは賃貸借契約書や重要事項説明書を確認しましょう。これらの書類には、故障やクリーニングなどに関する借主、貸主の負担区分が明記されています。エアコンが重要事項説明書の「建物の設備」に記載されている場合は、貸主に修繕・交換義務があります。
以下では、ケース別にエアコンの交換義務について解説していきます。
単に古い場合(通常の使用ができる)
賃貸物件のエアコンが単に古いだけで、通常の使用ができる場合は、貸主に交換義務はありません。賃貸物件の賃料は、立地や築年数だけでなく、内装や設備のグレードも加味されて設定されています。借主も、内見時に室内の内装や設備を確認したうえで契約を結んでいるため、エアコン交換の要求に応じなくても問題はありません。ただし、エアコンが古過ぎると、借主の退去や入居申し込みの辞退につながる可能性があるため、借主との関係を考えて慎重に判断しましょう。
故障した場合(通常の使用ができない)
賃貸物件のエアコンが故障した場合の交換義務は貸主にあります。民法第606条では、賃貸物件に住んだり、賃貸経営をしたりするうえで必要なエアコンや給湯器といった設備の修繕・交換義務は、借主に原因がない限り、原則として貸主にあると明記されています。エアコン付き物件として貸し出した場合、賃貸借契約書や重要事項説明書に物件の設備として記載されているのが一般的です。この場合の交換義務は貸主にあることを押さえておきましょう。
●アパートの給湯器が故障した場合についてはこちら
賃貸物件に設置されたエアコン交換のタイミング
賃貸物件のエアコンを交換するおすすめのタイミングとして、「設置から10年」「不具合が生じたとき」の2つが挙げられます。それぞれのタイミングについて、以下で詳しく説明します。
設置から10年
賃貸物件のエアコンは、管理状態によって異なりますが、設置から10年を交換の目安にするのがおすすめです。メーカーによっては、10年をすぎると部品がなくて修理できない場合もあります。10年以上のエアコンを所有している方は、交換を考えてみてもよいでしょう。
不具合が生じたとき
賃貸物件のエアコンは、故障する前に交換するのがおすすめです。ただ古いだけでは貸主に交換義務は生じませんが、古いエアコンを放置し故障した場合は借主に不便をかけるだけでなく、賃料の減額につながる恐れもあります。また、エアコンが使用できない期間のホテル宿泊費の負担を要求されるトラブルに発展することもあります。借主からエアコンの不具合に関する相談があったときは、故障する前に交換に応じるのがよいでしょう。
賃貸物件のエアコンを交換しない場合のリスク
賃貸物件のエアコンが上記で述べた交換のタイミングであるにもかかわらず、交換しないことで起こり得るリスクとして、以下の4つが挙げられます。
・借主に不便をかける
・借主の退去につながる
・借り手が見つからない
・賃料が減額される
特にエアコンをよく使う夏や冬に故障すると借主は冷暖房を利用できず、生活に困ってしまいます。借主に不便や不満を感じさせるだけでなく、エアコンが使用できない期間のホテル宿泊費の負担など、交換タイミングで対応していれば通常かかることのなかった費用の負担が発生するかもしれません。
さらに、古いエアコンは新たな借り手にマイナスな印象を与える可能性があるため、内見前に新しい製品に交換するのがおすすめです。
賃貸物件に新しいエアコンを導入する際の注意点
賃貸物件に新しいエアコンを導入する際の注意点は、主に以下の3つが考えられます。
・新しい製品を選ぶ
・設置交換には費用がかかる
・交換費用の経費計上を忘れない
それぞれの注意点について、詳しく見ていきます。
新しい製品を選ぶ
借主からの申し出によりエアコンを交換する場合には、最新の製品を選ぶようにするとよいでしょう。最新の製品であれば、設置後数年たって不具合が生じても修理の部品がない状況は防げます。最新のエアコンには省エネや自動掃除などさまざまな機能がついていますが、必ずしも最新技術が搭載されているものに交換する必要はありません。
設置交換には費用がかかる
賃貸物件のエアコンを交換する際には、購入や設置の費用に加えて、古いエアコンの撤去費用もかかる点に注意が必要です。室外機をベランダに置けない場合やエアコン専用のコンセントがない場合など、一般的な取り付け工事で設置できないときは追加料金も発生します。取り外しと設置をまとめて行ってくれる業者であれば、費用は安くなる可能性があります。ご自身の物件状態を確認したうえで取り付け工事を依頼しましょう。
交換費用の経費計上を忘れない
故障したエアコンを交換した費用は、経費計上できます。本体費用と取り付け工事費が10万円未満の場合は「消耗品費」、20万円未満の場合は「修繕費」です。また、30万円未満の場合は「少額減価償却資産の特例」として、その年で一括計上できます。ただし、計上するには一定の条件があるため、対象条件を事前に確認しておきましょう。30万円以上になると、資本的支出として耐用年数で減価償却し、減価償却費を計上する必要があります。
●少額減価償却資産の特例についてはこちら
エアコン交換の対応に迷ったら賃貸管理会社に確認しよう
賃貸物件のエアコン交換義務は、古いだけの場合と故障した場合で異なります。借主から単にエアコンが古いのを理由に交換の要求を受けても、必ずしも応じる必要はありません。一方、エアコンが故障した場合は貸主に交換義務があります。また、エアコンは購入して10年が交換時期の目安です。古いエアコンを新製品に交換することで、借主とのトラブルが未然に防げるでしょう。エアコン交換の対応が不安なら、まず賃貸管理会社に相談してみるのがおすすめです。
三井のリハウスは、豊富な取引実績にもとづく賃貸管理サービスを提供しています。さらに、賃貸中に発生した設備の修理・交換について、1か所1工事5万5,000円(税込)までの費用を回数に制限なく、三井のリハウスが負担する「フリーメンテナンスサービス」があります。エアコンも修理や交換のサポート対象です。
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よくある質問
ここからは、賃貸物件のエアコン交換に関するよくある質問について回答していきます。
「エアコンが古くて交換してほしい」と借主にいわれたら?
借主からエアコンが古くて交換してほしいといわれた場合、まずはエアコンの状態を確認しましょう。たとえば、故障もなく、適切な期間での取り替えやクリーニングをしている場合は、交換しなくてよい可能性が高くなります。詳しくはこちらをご参照ください。
交換が必要ないケースは?
すぐにエアコンを交換する必要がないケースとして、以下の2つが挙げられます。
・エアコンからカビの悪臭がする
・リモコンが故障した
エアコンがカビ臭い場合は、フィルター掃除といったクリーニングから対応しましょう。定期的にフィルター掃除をすることで、臭いやカビを防げるだけでなく、エアコンの効きもよくなります。また、リモコンが故障した場合は、エアコン自体を交換する必要はなく、リモコンの交換だけで問題ありません。
