
新築マンションを購入する際、敷地内に駐車場が設置されているか否かを重要視するという方も多いのではないでしょうか。
2006年と少し古いデータですが、一般社団法人日本住宅建設産業協会の調査では、新築マンションの購入者の58%がマイカーを保有しているという結果も出ています。
同調査では、新築戸建て購入者の90%がマイカーを保有しているという結果が出ていますので、それと比較をするとやや少ない印象を受けるかもしれませんが、それでも6割近くがマイカー保有者ということは、新築マンション選びの重要な要素だといってもさしつかえないでしょう。
新築マンションに設置される駐車場といえば、最もポピュラーなのが平面式でしょう。とくに大きな維持費もかかりませんし、バリアフリーの観点からも導入が進んでいます。一方で、敷地内のスペース的に平面式が難しい場合は、機械式駐車場が設置されるマンションも多いです。
このように、新築マンションには必要不可欠のように見える「駐車場」ですが、それぞれの地域ごとの特色を見てみると、必ずしもそうとは言い難い現実が見えてきます。
車社会となっている地方や中京では、大半の物件に駐車場が設置されていますが、その一方で、首都圏や近畿エリアなどのいわゆる都市部の新築マンションでは、駐車場が設置されていない、もしくは設置されていたとしても平面式がわずかにあるだけで、極端に駐車場スペースが小さいというケースも散見されるのです。
そのなかで、全国にみても新築マンションの駐車場が少ないのが、東京です。
実際、2015年に、不動産情報を扱う東京カンテイの調査では、全国都道府県の新築マンションの駐車場設置率を調査したところ24.5%しかないことがわかりました。
周辺の千葉、神奈川、埼玉が50~60%の設置率ということを考えても、ドーナツ化現象といえるほど、著しくマンションの駐車場が少なくなっているのです。
「駐車場設置率」と「マイカー保有率」と「住宅ローン」の三角関係
なぜ、東京の新築マンションだけが極端に駐車場設置率が低くなるのでしょうか。
これには主に3つの理由が考えられます。ひとつには、東京では自動車の維持費のなかのひとつである駐車場料金が、他地域と比較して非常に高いため、そもそもマイカー保有率が高くないということです。
一般財団法人自動車検査登録情報協会の「自家用車乗用車の世帯当たり普及台数」(平成26年3月末現在)では東京は0.461台。全国で最も低い普及率です。
先ほどの一般社団法人日本住宅建設産業協会の調査でも、神奈川、千葉、埼玉の新築マンション購入者と新築戸建て購入者のマイカー保有率は、いずれも90%台と高い水準にあるにもかかわらず、東京都区部になると57%とガクンと保有率が下がっています。
そもそも、東京で新築マンションを購入しようという方のなかでも、マイカーを持っている方が少なく、そのために駐車場の設置も少ないということが考えられるのです。
2つ目の理由は、住宅ローン返済の負担になるということです。
東京都内の月極駐車場代の相場は3万~5万円と全国的にもかなり高額です。マンション敷地内に設置されている平面駐車場も当然、それに近い駐車場の費用が発生します。
ローンに毎月それだけの費用が上乗せされるということは、裏を返せば、車を処分して3万~5万円をローンに回せば、より高価な新築マンションが購入できるということです。事実、東京都内に新築マンションを購入することを機に、マイカーを手放すという人もいます。
そして最後の理由は、東京ならではという特殊事情ですが、「自動車がなくても生活が困らない」ということがあります。
東京は全国でも最も公共交通機関が整備をされていますので、駅近の新築マンションを購入してしまえば、マイカーがなくとも出勤などの移動にまったく不便はありません。
最近の新築タワーマンションのなかでも「駅直結型」は非常に人気がありますし、中古マンション市場でも、駅近物件は価値が下がりにくいといわれています。
つまり、東京の新築マンションの購入者にとっては、駐車場が設置されているか否かよりも、駅からどれほど近いのかということの方が重要なポイントなのです。
新築マンションを購入する際には、ぜひ自分がどのようなライフスタイルであるのかを考えたうえで、住むエリアを考えてみてはいかがでしょうか。
