実家を売却する手順は?発生する税金や相続した家を売る際のポイントについて解説

空き家や相続した実家を使用せずに所有していると、固定資産税が課税されたり、管理費が発生したりするなど、費用がかかるため早めに売却するのがおすすめです。この記事では実家を売る際の手順や発生する税金、相続した家を売る際のポイントなどを解説します。

目次
  1. 住んでいない実家は売却したほうがよい?
  2. 実家を売却する際の流れ
  3. 実家の売却にかかる税金は?
  4. これから相続する実家の場合
  5. 相続した実家を売却する際に使える特例
  6. 売却以外の方法
  7. 実家を売却するなら不動産査定を受けよう
2023.07.07

住んでいない実家は売却したほうがよい?

実家を相続した方のなかには、活用せずに所有しているだけだったり、空き家として長い間放置していたりする方もいるのではないでしょうか?住んでいない家を放置してしまうとリスクが伴うため、売却を検討してみるのも1つの選択です。

たとえば、住んでいない実家を放置すると、固定資産税や、経年劣化による修繕費がかかったり、遠方に住んでいて、実家の手入れができない場合には管理費も発生したりすることがあります。また、結果的に売却するにしても時間の経過により不動産の価値が下落してしまうため、売却を行う際、リフォームや修繕が必要になると余計な出費がかかります。このように放置すればするほど不利益が大きくなるので、実家の売却を決めたら早めに動くのがおすすめです。

ただし、家を売却する際にはさまざまな手順があり、税金も発生するため知識を持っておくことが重要です。この記事では、実家を売却する際の手順や発生する税金、相続した家を売却する際のポイントなどについてお伝えします。家の売却に関する知識を得て、実家の売却活動に生かしてくださいね。

家

実家を売却する際の流れ

まずは実家を売却する際の手順を解説します。主に6つのステップがあるので、以下でそれぞれ見ていきましょう。

[ 1 ] 相続登記を行う

相続した実家を売却するには、まず相続登記を行います。相続登記とは、不動産所有者の名義を相続人の名義に変更することです。相続登記そのものには期限や行わなかった場合の罰則はないため、相続手続きが終わっている実家でも登記を済ませていないことがあります。ただし、令和6年4月1日からは、相続登記の申請が義務化されるので注意しましょう。

相続登記をしないと不動産の権利におけるトラブルが発生した際に、「この不動産は私のものです」と主張することができなくなります。そのため、相続登記は最初に済ませておくことをおすすめします。

[ 2 ] 査定を受ける

次に実家がどのくらいの価格で売却できるか、売却相場を把握するために不動産査定を受けます。不動産会社に依頼すると無料で受けることが可能です。不動産査定には、オンラインで手軽に受けられる「AI査定」と「簡易査定」、不動産会社の営業担当者が物件を訪れて査定額を算出する「訪問査定」があります。不動産査定は種類によって異なる特徴があるため、自分の状況に合うものを選択するのがおすすめです。

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●不動産査定に関する記事はこちら
不動産査定とは?方法や流れについて、不動産売却を成功させるポイントと併せて解説

[ 3 ] 不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定を受けたら、不動産の売却を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を結びます。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの種類があります。それぞれの異なる特徴を理解して自分の条件に合うものを選びましょう。

●媒介契約に関する記事はこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

売却活動中は、不動産会社の営業担当者とかかわることが多くあるため、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。訪問査定では、不動産会社の営業担当者と直接話す機会があるため、相談や質問をして、売却に関する知識が十分にあるか、誠実な対応かなどを確認しましょう。

[ 4 ] 販売活動を行う

媒介契約を結んだら、いよいよ不動産会社が販売活動を開始します。主に、広告活動や販売営業、内覧の準備などを行います。基本的に販売活動は不動産会社が行いますが、売主自身でも販売活動の状況を把握しておくことが大切です。また、購入希望者が現れた場合には内覧を実施するため、準備が必要になります。直前になって慌てないように、売却すると決めたら住まいの整理整頓や掃除をしておくのがおすすめです。

[ 5 ] 買主と売買契約を結ぶ

物件の買い手が決まり、不動産会社から「購入申込書」を受け取ったら売買契約を結びます。買主と売主で契約条件の確認や、重要事項説明書についての質疑応答などを行い、双方が納得すれば契約書に署名・捺印をします。この際、売主には買主から「手付金」として売買代金の一部が支払われるのが一般的です。

[ 6 ] 物件の引渡しと登記を行う

契約が完了したら、不動産の売買代金を決済して、買主に物件の鍵を渡し、家の引渡しを行います。まだ住宅ローンを完済していない場合は、買主からの支払いで住宅ローンの残債を返済し、住宅ローンに設定されている抵当権の抹消登記が必要です。なお、住宅ローンを返済し終えていても手続きを行わなければ抵当権は抹消できない点に注意しましょう。

●抵当権抹消手続きに関する記事はこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

家の引渡し

実家の売却にかかる税金は?

不動産を売却する際には、さまざまな税金がかかります。続いて、実家の売却で発生する税金についてご紹介しましょう。

印紙税

印紙税とは、契約書や受取書、通帳、証書などを作成する際に課税される税金です。不動産売却での収益の有無にかかわらず納税の義務があります。印紙税は書面に記載された契約金額によって変動し、課税文書(不動産の譲渡契約書等)の作成者に納税の義務があります。課税文書を売主、買主、それぞれ共同で作成した場合は、連帯して納税する義務があるため、契約時に確認しましょう。

登録免許税

登録免許税は、主に「不動産の登記をする際」「不動産の名義を変更する際」「不動産の所有権を移転させる際」にかかる税金です。実家の売却の際は、売主から買主に所有権を移転させるときに発生します。

譲渡所得にかかる税金

不動産の売却によって発生した利益は譲渡所得と呼ばれ、譲渡所得は「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の課税対象となります。これらの税金は「譲渡所得税」と呼ばれることもあります。

また、譲渡所得にかかる税金の税率は、不動産の所有期間が5年を境目に、短期譲渡所得と長期譲渡所得に区別され税率が変化します。なお、譲渡所得がマイナスになる場合は課税されません。詳しくは以下をご覧ください。

●譲渡所得にかかる税金に関する記事はこちら
不動産譲渡税とは?税金額の計算方法も併せて詳しく解説

相続税

相続税は人が亡くなったり、生前贈与を行ったりすることで資産の移転があった際に、資産を受け取った人に対して課税される税金です。不動産は資産ですので、当然相続税の対象に含まれます。

相続税には基礎控除があり、控除しきれなかった分のみが課税対象となります。基礎控除額の計算方法は以下の通りです。

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

●不動産相続に関する記事はこちら
不動産を相続することになったら?手続きの流れとよくある疑問を解説

消費税

消費税は、売買契約が締結した後に不動産仲介会社に支払う仲介手数料に課せられます。なお仲介手数料の上限額は、法律で決められています。

不動産仲介会社と売り手

これから相続する実家の場合

実家をこれから相続する場合、まずは遺言書の有無を確認しましょう。遺言書がある場合、遺言書の内容に従って遺産を分割することが一般的です。遺言書をもとに実家の所有者が誰になるのか、売却が最善策なのか、といったことを検討します。

遺言書には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、証人の有無や保管方法などがそれぞれ異なります。一般的に使われることの多い遺言書は、公正証書遺言と自筆証書遺言です。公正証書遺言は、法律の専門家が作成し公証役場で保管されます。一方で自筆証書遺言は、遺言を残す本人が書き、自身で保管する遺言書です。

遺言書

相続した実家を売却する際に使える特例

相続した実家を売却する際に、税額を減らすのに利用できる特例があります。

空き家に係る譲渡所得の特別控除

空き家に係る譲渡所得の特別控除は、相続をはじめとする理由で取得した実家を売却した際、一定の要件のもと、譲渡所得の金額から最高3,000万円までを控除することができる特例です。被相続人が一人暮らしをしていた場合に受けられる可能性があります。ほかにも「旧耐震基準である」「マンションやアパートでない」「売却金額が1億円以下である」などの控除を受けるための要件があります。

●3,000万円の特別控除に関する記事はこちら
居住用財産3000万円控除|不動産売却時に活用できる控除とは?

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人の自宅を含めた土地の330㎡までの相続税評価額が80%減税される特例のことで、相続税の大きな減税が期待できます。要件として、相続の直前まで相続人と被相続人が同居していたことが挙げられますが、同居していなかった場合でも受けられるケースがあります。

取得費加算の特例

取得費加算の特例は課税金額を軽減できる特例です。相続税の一部を取得費として加算し、譲渡所得を減らすことで課税金額を抑えることが可能になります。ただし、小規模宅地等の特例と併用すると、取得費加算の特例を計算する際に小規模宅地等の特例で算出された額が基準となるため、取得費加算の特例のメリットが減る場合があります。特例を利用する際は、2つの特例を併用すべきか、どちらか1つの特例のみを利用すべきか、事前に計算してから判断するのがおすすめです。

家と控除と税

売却以外の方法

空き家や相続した実家を手放すには、売却以外の方法もあります。

実家に引越す

なかには、実家を処分してしまうのが寂しいという方もいるのではないでしょうか?住んでいる家よりも立地がよかったり、生活がしやすかったりする場合には、実家に引越す方法もあります。築年数が古い家でもリフォームやリノベーションを行えば、快適に暮らせるでしょう。また、建物を壊して更地にし、建て替える方法もあります。建物は変わってしまいますが、馴染みのある場所で暮らすことができますよ。

賃貸にする

家を建て替えて賃貸経営を行うのも方法の1つです。家の建て替えに初期費用が必要ですが、入居者が見つかれば家賃収入が得られます。ただし、入居者が確保できないと収入がなくなってしまうため、立地や周辺環境などを調べて、入居者が見込めるかどうかを踏まえて検討しましょう。

土地活用する

賃貸住宅のほかにも、駐車場やトランクルームにするなど、さまざまな活用方法があります。駐車場やトランクルームは初期費用が抑えられるため、賃貸住宅に比べて始めやすいでしょう。その土地の周辺環境を見て、需要の見込める方法で活用することがおすすめです。たとえば、駐車場として活用する場合には「車を利用する人が多いか」「周辺に競合となる駐車場はないか」など事前にチェックするとよいでしょう。

駐車場

実家を売却するなら不動産査定を受けよう

ここまで実家を売却する際の手順や発生する税金、相続したい家を売るポイントなどを解説してきました。空き家を所有するだけで固定資産税を支払わなければならなかったり、経年劣化による修繕費がかさんだりするリスクがあるため、早めに売却をするのがおすすめです。

お伝えしたように、売却以外にも家を活用する方法はありますが、実家を売却したり、活用したりする際には悔いのない選択をしてくださいね。また、売却を検討する場合は、不動産査定を受けて実家の価値を知ることから始めましょう。

三井のリハウスでは無料で不動産査定を承っております。実家の売却を検討している方や、手放す方法を探している方はまず査定を受けてみるのがおすすめです。ぜひ三井のリハウスの不動産査定をご活用ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html