不動産の購入には多額な資金が必要になります。その中でも「どれぐらいの自己資金を用意すればよいのか」、「不動産購入のために、まずは頭金を貯めよう」ということについて考えたことのある人は多いのではないでしょうか?

この記事では、頭金とは何であるのかということから、不動産を購入する際に頭金を払うメリットやデメリットについてまとめています。また、どのような人が「頭金ゼロ」でも不動産購入可能なのか、ということも考えてみたいと思います。

頭金ゼロでも不動産は購入可能?

頭金ゼロでも不動産は購入可能?

結論から言えば可能です。
2016年1月に日銀のマイナス金利政策により、長期金利の利回りが低下しました。
それにより金融機関が住宅ローンの金利を下げ、頭金ゼロでの不動産購入が増加しました。

参考URL:
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160129a.pdf
2019/09/20時点

頭金とは、住宅ローン以外のお金

頭金とは、住宅ローン以外のお金

頭金とは、不動産価格から住宅ローン借入額を引いた部分の金額を指します。たとえば、4000万円の不動産を住宅ローン3500万円借りて買う場合の頭金は500万円です。つまり頭金とは、不動産価格のうち、自己資金など住宅ローン借り入れ以外の方法で手配するお金になります。

頭金っていくら必要?

不動産購入時には頭金だけでなく、住宅ローン手数料や登記費用、不動産取得税に加え、仲介手数料もかかります。なので、諸費用として約5%~8%、頭金を20%とし、合計で物件価格の約30%程度の現金を用意するのが理想的です。

支払いはいつ?手付金って?

頭金は、売買契約から引き渡しまでの間に支払います。なお、頭金と似た言葉に手付金というものがありますが、これは契約時に支払い、頭金の一部をあてるのが一般的です。手付金は契約を保証するためのお金で、契約後に買い主がキャンセルする場合は手付金を放棄することになります。手付金は購入代金の5〜10%程度です。

頭金ゼロで得る2つのメリット

頭金ゼロで得る2つのメリット

頭金がなくても不動産の購入ができることや、頭金の意味や手付金との違いなどが分かったところで、実際に「頭金ゼロ」で不動産を取得するメリットについて説明していきましょう。

低金利の今は負担が軽くなる

現在のような低金利の時代は利息が少ないため、貯蓄してもあまり増えず期待が持てません。逆をいえば、お金を借りる場合は大きなメリットになることもあります。頭金を貯めてから不動産を購入するよりも、将来、金利が上がるリスクを考えると、低金利の今、頭金ゼロで購入したほうが軽い負担で済む場合もあるからです。

万が一に備えて現金を残せる

また、頭金ゼロのもう1つのメリットとして、現金を手元に残しておけることが挙げられます。事故や天災など万が一のことを想定すると、可能な限り手元に現金を残しておくほうが安心です。不動産を購入するのに自己資金でまかなえたとしても、それらをすべて投入することで、毎月のやりくりに余裕がなくなってしまうこともあります。

何が不利?頭金ゼロのデメリット

ここまで頭金ゼロのメリットを見てきましたが、頭金ゼロということは、住宅価格の100%を住宅ローンでまかなうということです。ほとんどの住宅ローンは価格の全額を借りることができますが、金融機関が認める住宅価値の100%という意味なので、物件によっては全て借りられないケースもあります。ほかにも、頭金ゼロの場合のデメリットを2つ挙げてみましょう。

住宅ローンの金利が高くなる

頭金がなければ当然、住宅ローンの借入額が増えます。住宅ローンは借りた後で長期にわたって返済し続けることになるので、借りた人のリスクを減らすことが頭金の大きな役割です。頭金が10~20%程度あるかどうかで、住宅ローンの金利が変わる商品がありますが、金融機関は返済リスクが高い人には金利を上げることになります。

売却後ローンが残る可能性も

さらに頭金ゼロだと、将来その不動産が値下がりしたときのリスクが大きくなります。例えば、住宅ローンを支払っている最中に、何らかの事情で不動産を手放す必要が出てくるかもしれません。しかし、その不動産が値下がりしてしまった場合は売却によって得られる資金だけではローンの残高を返しきれず、支払いが残ってしまう可能性があります。

頭金ゼロで不動産購入はできるのか

頭金ゼロで不動産購入はできるのか

頭金ゼロでも、すなわち住宅価格全額を住宅ローンで借りても、返済に無理がなければ不動産を購入できますが、実際にはどんな人が向いているのでしょうか?

金融機関公認の返済能力がある人

不動産価格の全額まで借りられる住宅ローンですが、誰でも可能かと言えばそうではありません。金融機関は借りる人の返済能力などで判断するからです。借りる人の年収に対して、年間返済額が何割になるかという利率を示す、「返済負担率」などがチェックされますが、その際、自動車ローンやクレジットカードのキャッシング枠も対象となります。

6か月〜1年分の貯蓄がある人

さらに、不動産購入後に手元に貯蓄がゼロになってしまうと、高額の消費が発生した時や、突然の病気などの出費に備えることができません。一般的に最低でも生活費の6か月〜1年分の貯蓄が必要と言われています。頭金ゼロでも住宅ローンは組めますが、貯蓄がゼロでは不動産は購入できないと言えるでしょう。

まとめ

今回は不動産における頭金の意味から、不動産を購入する際に頭金をゼロにするメリットやデメリットについて、さらに、どんな人が「頭金ゼロ」でも不動産購入に向いているのか、ということを解説してきました。

頭金ゼロでは返済額が増えるなどのデメリットもありますが、金利上昇リスクを考慮すると頭金を貯めることが必ずしも最適とは言えないことがわかりました。

ただし、それは貯蓄がなくても不動産を購入しても大丈夫という意味ではありません。低金利だからといって、返済能力を超えて借入額を大きくしないことや、希望する物件に届かなければ、資金をある程度用意してから購入するなど、賢明な判断で行動することが大切です。

参考サイト:
・住宅購入の頭金はいくら必要?みんなの平均額公開|SUUMO 家とお金の相談
https://www.suumocounter.jp/fp/article/home/initial-cost.html