
分譲マンションには賃貸にはない魅力と注意点があります。
家具の配置から始まって、クロスの張替えや床の仕様まで“自分色”に染めて、“自分好み”にデザインできるのは、分譲マンションならではの醍醐味です。
また、高層マンションなどの場合は、風景をより一層楽しむために、ベランダまわりのケアにも気をつかうことでしょう。
ベランダは雨風などの影響を直接的に受けやすく、目につく汚れや、場合によってはヒビなどの破損をきたすこともあります。
そんなとき、簡単で単純なケアなら自分の判断で…と思いがちですが、ベランダ部分の修繕は、分譲マンションを購入した方でも好き勝手にできる場所ではないのです。
それには理由があります。意外にも知られていないことですが、ベランダなど部屋の外に出たスペースは、購入者の専有部分ではありません。ロビーの廊下などと同じ、「共有部分」なのです。
もっとも、非常時を除いて、マンションのベランダはその部屋の入居者しか使えないこともあり、つい自分のもの…という誤解をしがちです。
ベランダはあくまでも共有部分であって、それを自分が“ほぼ専有”して使用することができる、ということなのです。
このベランダが専有部分ではない大きな理由のひとつが、火事など不測の事態が起こったときにベランダが重要な避難経路になるからです。
いざというときのため、隣の部屋のベランダとの間を蹴破ることができる「切り板」があのは、その部分が避難路でとなっているからです。
つまり、ベランダが破損、あるいは劣化したからといって自費で修繕してしまった場合、共用スペースを勝手にいじったということになってしまうのです。
このように、つい勘違いしがちなベランダスペースの権利関係については、常日頃から頭の片隅に入れておくことが重要となります。
ベランダに置けるもの、置けないもの…事前にマンションの規約を確認
ただ、ベランダが共有部分だからといって、何も施せないわけではありません。その判断は各マンションによって異なります。
ベランダに夕涼み用の小さな椅子を置きたい、あるいはお気に入りの花の小鉢を飾りたいという入居者も多いでしょう。
また、実際にそのように行っている人は少なくないと思います。これについては、各マンションで規約という形である程度は明記されているはずです。
たとえば、小さな椅子はいいけれどソファーはNG…といったルールです。これもベランダが共用部分であるためですが、その基準には、“防災”が大きく関係します。
この規約については、各マンションの組合や入居者の総会などで、あらためて説明してもらうことできますし、自分から動議を出して規範を改定することも可能でしょう。
いずれにしても、ベランダが気になってつい気軽に修繕を行ってしまったら大きな問題となってしまうこともあるのです。
そのためには、自分が購入したマンションの規約をきちんと把握しておくことです。
つい面倒になりがちですが、マンションの総会などに顔を出すことも大切なことかもしれませんね。
