
オリンピック開催が与える不動産への影
2020年に開催される東京オリンピックに向け盛り上がりを見せる日本ですが、オリンピック開催によって不動産への影響も予想されます。
オリンピック開催が不動産に与える要因はどのようなものか、今後マイホーム購入を検討している方は気になるのではないでしょうか。
本記事では、過去のオリンピック開催による不動産への影響、2020年の東京オリンピックをいかにマイホーム購入の判断材料とするかについて解説します。
過去のオリンピックの不動産への影響
過去のオリンピックの不動産への影響をみていきましょう。
まずは、住宅価格の変化です。
1996年アトランタオリンピック・2000年シドニーオリンピック・2004年アテネオリンピック・2012年ロンドンオリンピックの4大会において、開催後に住宅価格の下落は見られませんでした。
建築投資の変化も見ていきましょう。
2004年にギリシャで行われたアテネオリンピックでは、開催決定後に増加しオリンピック後に投資は減少しました。
オリンピック開催の費用が国家の財政を圧迫したことや債務問題から、財政危機にまで発展しています。
2008年北京オリンピックでは、開催決定後オリンピック後も投資額は上がり続けました。
2012年ロンドンオリンピック開催決定後、リーマンショックで投資額が減少していますが、オリンピック後は右肩上がりで増加しています。
また1964年東京オリンピックでは、開催決定後からオリンピック開催時期にかけて地価の大きな上昇がありました。
そしてオリンピック終了後、「昭和40年不況」と呼ばれる景気減退を経験しています。
この昭和40年不況は1年で底を打ち、日本経済は回復に転じました。
現在の日本とは状況が大きく異なっています。
当時の日本はインフラ整備が整っておらず政府による巨額の投資が行われたため、その反動が大きかったと考えられています。
オリンピックに向けた東京のまちづくり
次に、東京2020オリンピックに向けた東京のまちづくりについて見ていきましょう。
オリンピックでは、世界各国から選手や関係者、そして観光客が東京に集まってきます。
多くの人が安全に安心してオリンピックに参加できるように環境を整えなければなりません。
そこで東京 2020 オリンピック・パラリンピック招致委員会では「都市の中心で開催するコンパクトな大会」というコンセプトのもと、まちづくりに取り組んでいます。
東京ベイゾーン(臨海地区)には9つの恒久競技会場と選手村を、ヘリテージゾーンにはオリンピックスタジアムを新設。
新設された各競技場はオリンピック終了後も使用し、選手村に関しては大会後に賃貸・分譲の住宅として整備・販売される予定です。
特に選手村に関しては、緑の多い広場を設置し、水素エネルギー・省エネルギー技術を取り入れたインフラ整備が行われています。
オリンピック開催後のレガシーとなるような、環境先進都市のモデルとして開発が進められているのです。
競技場周囲だけでなく、首都圏空港の機能強化・首都圏3環状道路の整備など東京都全体における交通アクセスの改善行われています。
さらに、この東京2020オリンピック・パラリンピックを契機にバリアフリー化を進めています。
オリンピックが不動産価格へ与える影響
ここからはオリンピックが不動産価格へ与える影響について解説します。
オリンピックが不動産価格へ与える良い影響
宿泊施設需要
オリンピック開催時は、多くの人が集中するため宿泊施設の需要が高まっており、宿泊施設の新設などが相次いでいます。
また、政府は2030年には訪日外国人客数年間6000万人の目標を掲げ、オリンピック後もインバウンド需要の拡大が見込まれているため、今後も安定した宿泊施設の供給が求められています。
再開発やインフラ整備
オリンピック開催に向けて、現在も試合会場や選手村・道路が建築中で、各エリアの再開発が行われ、国内外の企業や観光客から注目が集まっています。
インフラが整備され、さまざまなサービスが整うことで、オリンピック後もその地域に多くの人やお金が集ってきます。
観光客の増加
東日本大震災以降、訪日外国人客数は右肩上がりに増え、2018年には過去最高の3,000万人を記録しました。
日本政府は、「明日の日本を支える観光ビジョン」において、2020年までに4,000万人、2030年までに6,000万人を目指しています。
訪日外国人客数が増えることで、宿泊施設やリゾートへの投資も増加し、不動産に影響を与えると予想されています。
経済全体の好景気
日経平均は右肩上がりで企業の純利益が増加しており、戦後最長の好景気といわれています。
日本経済の動きには、国内外の様々な要因が絡み合っているため、オリンピックが開催されるから好景気になっているとは言い切れません。
しかし、オリンピックが開催されることでさらに人・モノ・金が集まります。
不動産の価格は需要と供給で決まっていますので、欲しい人が多くなればその価値も上がります。
オリンピック後の不動産価格における懸念材料
海外投資家が一斉に日本の不動産を売却する可能性
現在、日本の不動産に多くの海外投資家が投資しています。
海外投資家がオリンピックで日本経済のピークが来ると予想した場合、一斉に日本の不動産を売却が行われる可能性もあります。
オリンピック後の人口減少、高齢化
少子高齢化は日本の大きな課題です。
オリンピック直後ではありませんが、長期的な目線では日本の人口は減少してくと予想されており、不動産の価格に影響を及ぼす可能性があります。
東京以外は影響を受けない
今回のオリンピック開催のコンセプトは「大都市の中心で、かつてないほどコンパクトな大会」ということを掲げています。
一部、北海道や東北で行われる競技があるものの、ほとんどが首都圏をはじめとする関東エリアで行われます。
オリンピックが開催されるとはいえ、影響があるのは首都圏だけで地方には影響は無いという見方もあります。
近年、地価や不動産価格が上昇していますが、これはオリンピック開催が決定したからという理由だけではありません。
アベノミクスによるマイナス金利などの金融政策や、海外投資家参入などが関係しており、不動産価格の変化はオリンピック以外の要因も関係しています。
このように不動産価格には、オリンピック開催だけでなくさまざまな要因が複雑に絡んでいるのです。
オリンピックの開催により、都市が再活性化された後が大切
これまで紹介してきたように、オリンピックの開催が決定してから都市の再開発や整備が行われています。
交通アクセスの改善や新たな商業施設・宿泊施設により、オリンピック後も都市が活性化され、日本がさらに観光しやすい国際都市になっていくという見方もあります。
インフラが整備されることで、今までアクセスの悪かった地域にも移動しやすくなり、観光だけでなく住みやすい街がより増えていくでしょう。
マイホーム購入を検討されている方は、不動産価格も気になるところだと思います。
しかし、価格だけでなくオリンピックにより地域がどのように再活性化されているのか、それによって住みやすさは変わっているのかなども購入の判断材料にしてみてはいかがでしょうか。
オリンピックが終了後、政府や企業そして住民の私たちは再開発された地域の不動産価値を見出し、いかに活用していくかが大切になります。
まとめ
オリンピックが不動産に与える影響についてお話ししました。
オリンピックによって、これから先も住みやすく滞在しやすいまちづくりが行われており、大きく変化を遂げている地域もあります。
住むとなれば、物件周辺の環境も重要です。
価格や物件も重要ですが、周囲の環境の変化などの情報収集を行い、物件購入の判断材料にしてみてください。
