
次世代住宅ポイント制度を活用して家事負担を軽減する方法
次世代住宅ポイント制度とは
次世代住宅ポイント制度とは、一定の基準を満たす住宅の新築やリフォームを行うと、さまざまな商品と交換できるポイントを受け取ることのできる制度です。2019年10月の消費税増税後の住宅新築、リフォームを支援する政策の柱であり国土交通省が管轄しています。
どんな商品と交換できるのか
獲得したポイントは生活家電や家具、寝具、子育て用品などさまざまなジャンルの商品と交換することができます。特に時短家電や省エネ家電、防災関連用品などはバリエーションも豊富で、制度を活用することで住まいの快適性を高めることが可能です。
次世代住宅ポイント制度の実施期間
ポイントの発行申請はすでに始まっており、2019年10月1日以降に引き渡される住宅が前提となります。また工事着手や契約締結の時期により対象となる住宅が定められています。
次世代住宅ポイントの対象となる住宅・工事
次世代住宅ポイントには新築・リフォームいずれの場合にも、対象となる住宅が定められています。まずは対象住宅の要件について説明します。
新築の場合 上限35万ポイント
対象となる住宅の要件は以下の通りです。いずれの場合も、 所有者が自分で住むために契約する物件に限られます。
対象となる住宅 | 要件 |
---|---|
注文住宅の新築 | 所有者が工事請負契約を締結した住宅 |
新築分譲住宅の購入 | 所有者が不動産売買契約を締結した分譲住宅 |
完成済みの新築分譲住宅の購入 | 所有者が不動産売買契約を締結した完成済みの分譲住宅 |
次世代住宅ポイントを受け取るために必要な性能
新築時に次世代住宅ポイントが発行されるためには、一定の性能を持った住宅である必要があります。
対象住宅 | 要件 | 付与されるポイント |
---|---|---|
断熱性やエネルギー消費効率に優れた「エコ住宅」 | 断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上 | 300,000ポイント |
長く住めるように作られた「頑丈住宅」 | 劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上 | |
地震対策された「耐震住宅」 | 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物 | |
高齢者が住みやすい「バリアフリー住宅」 | 高齢者等配慮対策等級3以上 |
さらに性能の高い住宅に対しては以下のポイントが発行されます。
要件 | 付与されるポイント |
---|---|
認定長期優良住宅 | 350,000ポイント |
認定低炭素住宅 | |
性能向上計画認定住宅 | |
ZEH |
このほかに、耐震性のない住宅を建て替えた場合や、家事を軽減する設備を設置した場合にもポイントの対象となります。
耐震性を有さない住宅の建替
要件 | 付与されるポイント |
---|---|
耐震性を有さない住宅の建替 | 150,000ポイント |
家事負担を軽減する設備
対象住宅 | 要件 | 付与されるポイント |
---|---|---|
家事負担軽減に資する設備を設置した住宅 | ビルトイン食器洗機 | 180,000ポイント |
掃除しやすいレンジフード | 9,000ポイント | |
ビルトイン自動調理対応コンロ | 12,000ポイント | |
浴室乾燥機 | 18,000ポイント | |
掃除しやすいトイレ | 18,000ポイント | |
宅配ボックス | 10,000ポイント |
新築住宅では350,000を上限にポイントを受け取ることが可能です。
中古住宅の購入+リフォームにも適用される
次世代住宅ポイントは既存住宅のリフォームにも適用されます。リフォームの場合、世帯属性によって上限が変わり、300,000〜600,000ポイントを上限に受け取ることが可能です。
若者世帯が中古住宅購入+リフォームで上限60万ポイント
次世代住宅ポイントをもっとも多く受け取れるのは、若者・子育て世帯が中古住宅を購入しリフォームした場合です。
「若者・子育て世帯」とは
次世代住宅ポイント制度でいうところの「若者世帯」「子育て世帯」とは、下記にあてはまる場合をいいます。
若者世帯:2018年12月21日(閣議決定)時点で40歳未満の世帯
子育て世帯:2018年12月21日(閣議決定日)時点で18歳未満の子を有する世帯、または申請時点で18歳未満の子を有する世帯
これらの世帯ではポイント上限が引き上げられ、新築する場合よりも多くのポイントを受け取ることも可能となります。リフォームの場合のポイント上限は以下の通りです。
若者世帯・子育て世帯のポイント上限
リフォームの種類 | 要件 | 付与されるポイント |
---|---|---|
中古住宅を購入してリフォームした場合 | 購入から3ヶ月以内に請負契約を締結 | 600,000ポイント |
自宅のリフォーム | 現在住んでいる家をリフォームする | 450,000ポイント |
また、若者世帯以外がリフォームする場合においても「安心R住宅」を購入してリフォームする場合は上限が変わります。
安心R住宅とは
耐震性があり、情報提供が整っていることなど、国土交通省が定めた基準を満たす中古住宅のことをいいます。
ポイント上限は以下の通りです。
若者世帯・子育て世帯以外の世帯のポイント上限
リフォームの種類 | 要件 | 付与されるポイント |
---|---|---|
安心R住宅を購入しリフォームを行う場合 | 購入から3ヶ月以内に請負契約を締結 | 450,000ポイント |
自宅のリフォーム | 現在住んでいる家をリフォームする | 300,000ポイント |
ポイントの対象となるリフォーム工事
リフォームにおけるポイントは、工事ごとに定められています。以下は次世代住宅ポイントの対象となるリフォーム工事の一覧です。
●開口部の断熱改修
●外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
●エコ住宅設備の設置
●バリアフリー改修
●耐震改修
●家事負担軽減に資する設備の設置
●リフォーム瑕疵保険への加入
●インスペクションの実施
それぞれに細かく条件があり、工事内容によって加算されるポイントが異なります。複数の工事を行った場合にも双方のポイントが加算されるので、必要な工事を選択してポイント上限に近づけることが制度活用の鍵です。
また、若者世帯が中古住宅をリフォームすると上記のほかに100,000ポイントが加算されます。さらに、中古住宅を購入するとポイントが2倍になる制度もあるため、条件に該当する場合はこれらのポイント加算を狙うと効果的です。
リフォームの種類 | 要件 | 付与されるポイント |
---|---|---|
若者・子育て世帯が中古住宅を購入してリフォーム | ・100万円以上のリフォーム工事 ・自ら居住する目的の場合に限る ・購入から3ヶ月以内に請負契約を締結 | 100,000ポイント |
既存住宅購入加算 | ・自ら居住する目的の場合に限る ・購入から3ヶ月以内に請負契約を締結 | リフォームによって発行されるポイントが2倍 |
家事負担軽減設備の設置リフォームもポイント対象
ここまで説明してきた通り、次世代住宅ポイントは中古住宅を購入する場合に心強い支援制度です。ポイント対象工事には家事負担軽減を目的とした設備も含まれるため、中古住宅の購入を検討していて、なおかつ家事の負担が課題になっている子育て世帯こそ注目すべき制度であるといえます。
参考に、家事負担軽減の対象工事とポイントを記載します。
工事内容(設置する機器) | ポイント数 | |
---|---|---|
ビルトイン食洗機 | 18,000ポイント | |
掃除しやすいレンジフード | 9,000ポイント | |
ビルトイン自動調理に対応したコンロ | 12,000ポイント | |
浴室乾燥機 | 18,000ポイント | |
掃除しやすいトイレ | 18,000ポイント | |
宅配ボックス | 住戸専用の場合 | 10,000ポイント |
住戸専用以外の場合 | 10,000ポイント |
ポイントは家事時短家電と交換できる
ポイントと交換できる商品には時短家電も含まれています。リフォーム工事によって獲得したポイントを時短家事と交換すれば、住み替えと同時に家事時短に特化した住宅を得ることができるのです。
家事時短に特化したリフォームの一例
たとえば以下のようなニーズをもつ家庭が住み替えと同時に次世代住宅ポイントを活用した場合を例に考えてみましょう。
●夫婦と未就学児2人の4人家族
●賃貸マンションから持ち家への住み替えを検討中
●予算的に新築より中古住宅を候補として考えている
●共働きのため、家事時短は大きな課題
●災害によるリスクを減らしたい
●家事負担軽減に資する設備の設置
●子どもには快適に過ごしてほしい
このご家庭にとって、予算内で実現できる理想の住まいは「家事時短機能に優れ、防災意識に基づいた中古住宅」ということになります。家事軽減工事は積極的に行い、お子さんが冬場も快適に過ごせるよう断熱工事も必要かもしれません。もしもの時に備えて耐震工事も検討候補です。
では実際に中古住宅を購入し、理想に近づけるためリフォームした場合、どれくらいのポイントが発行されるのでしょうか。
獲得ポイントの一例
※ポイント数などは2019年6月20日の次世代住宅ポイント事務局ホームページをもとにしています。
工事内容(設置する機器) | ポイント数 |
---|---|
1.ビルトイン食洗機 | 18,000ポイント |
2.掃除しやすいレンジフード | 9,000ポイント |
3.ビルトイン自動調理に対応したコンロ | 12,000ポイント |
4.浴室乾燥機 | 18,000ポイント |
5.掃除しやすいトイレ | 18,000ポイント |
6.宅配ボックス | 10,000ポイント |
7.開口部の断熱改修(1.4m²以上) | 7,000ポイント |
8.外壁の断熱改修 | 100,000ポイント |
9.床の断熱改修 | 60,000ポイント |
10.耐震改修 | 150,000ポイント |
11.リフォーム瑕疵保険への加入 | 7,000ポイント |
12.若者・子育て世帯が既存住宅を購入して行う一定規模以上のリフォーム | 100,000ポイント |
13.既存住宅購入加算 | 各リフォーム工事のポイントが2倍 |
仮に上記のリフォームをすべて行った場合900,000ポイント以上になるので、上限となる650,000ポイントを受け取れる計算となります。
制度活用で広がる住宅選びの可能性
次世代住宅ポイントは新築、リフォームの際に一定条件を満たすと、さまざまな商品と交換できるポイントが加算される制度です。とくに中古住宅購入を検討中の若年世帯、子育て世帯はこの制度を活用することで新居の快適性の向上を図れます。
リフォームを視野に入れることで、これまで家探しをしていて免震設備や断熱性を懸念して築年数により候補から外していた物件も選択肢に入ってくるかもしれません。予算を抑えるためにも、少し検討候補の幅を広げてみるのもひとつの戦略です。
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