賃貸借契約におけるトラブルを防ぐにはどうすればいい?必要な契約書類も解説

賃貸借契約は、物件の貸し借りをする際に貸主・借主間で締結する契約です。契約書を用いて、貸主と借主双方で契約内容や期間、解約方法などの定めを確認します。今回は、賃貸借契約の種類と特徴や流れ、チェックポイントについて詳しく解説します。

目次
  1. 賃貸借契約とは
  2. 賃貸借契約の種類
  3. 建物賃貸借契約と土地賃貸借契約
  4. 賃貸借契約の流れとチェックポイント
  5. 賃貸借契約で起こり得るトラブルと対策
  6. 賃貸借契約における必要書類
  7. よくある質問
記事カテゴリ 賃貸 マンション
2026.02.15

賃貸借契約とは

不動産における賃貸借契約とは、「一方が物件の使用および収益を相手方にさせるという約束を行い、これに対して相手方が賃料を支払うことで効力が生じる契約」を意味します。賃貸借契約を交わすとき、物件を貸す人を「貸主」「賃貸人」、借りる人を「借主」「賃借人」のように呼ぶのが一般的です。

賃貸借契約は、住まいやオフィスの貸し借りを行ううえで必要不可欠な契約です。契約内容に不備があったり、貸主と借主の間で認識のずれがあったりすると、後々トラブルに発展する恐れがあります。

不動産の賃貸借契約については、民法(債権法)や借地借家法消費者契約法に詳しく規定されています。民法の改正では、2020年4月1日から、不動産の賃貸借中の修繕に関する要件や、賃貸借契約終了時における原状回復・収去義務、敷金、契約書にかかわる部分など不動産賃貸のルールに変更が加えられています。

賃貸借契約を結ぶ握手

賃貸借契約の種類

建物の賃貸借契約には、「普通賃貸借契約(普通借家契約)」と「定期賃貸借契約(定期借家契約)」の2種類があり、契約期間や更新方法などが異なります。

普通賃貸借契約の特徴

普通賃貸借契約とは、賃貸借の期間が1年以上(一般的には2年)あり、貸主・借主ともに解約意思の通知がない限りは、賃料をはじめとした諸条件に双方が合意のうえで更新され続ける契約方法をいいます。

契約を解消するには、貸主または借主のどちらかが、事前に申し入れる必要があります。解約の申し入れは、借主からは希望日の1か月前または2か月前までに行うのが一般的な規約であるのに対し、貸主からは6か月前までに行わなければなりません。また、貸主からの自己都合での解約は困難であり、借主の同意を得られなければ契約解消ができない点に注意が必要です。

普通賃貸借契約のメリットと注意点を、以下の一覧表にまとめたので参考にしてください。

特徴メリット注意点
貸主借りたい人が集まりやすい契約内容の変更や更新の拒絶などに借主の同意が必要
借主更新すれば継続して入居し続けられる定期賃貸借契約の物件に比べて賃料が高い傾向がある

上記のメリットや注意点を踏まえると、普通賃貸借契約は、長い期間同じ借主に貸したい貸主や、同じ物件に長く住み続けたい借主におすすめです。また、一般的に普及している契約形態なので、「できるだけ早く借主を見つけたい」という貸主や、幅広い条件で賃貸物件を探している借主にも向いているといえます。

賃貸借契約書類にサインする手

定期賃貸借契約の特徴

定期賃貸借契約(定期借家契約)は、設定されている契約期間の満了時点で契約終了となり、退去が必要になる契約です。同じ物件で賃貸借を続けたい場合には、貸主と借主双方の合意のもとで、再度契約を結ばなければなりません。また、借主に転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情が生じた場合には、契約期間中であっても中途解約できます。

定期賃貸借契約のメリットと注意点を、以下の一覧表にまとめました。

特徴メリット注意点
貸主契約期間が事前に定められているため、利用計画や売却の計画が立てやすい貸し出す年数によっては普通賃貸借契約の相場よりも賃料を下げる必要がある
借主相場よりも安い賃料で借りられる可能性があることに加えて、更新料が発生しない契約期間満了後に住み続けるため再契約をしたくても、貸主に再契約の意思がなければ契約は終了する

上記のメリットや注意点を踏まえると、定期賃貸借契約は期間を限定して物件を貸したい貸主や、短い期間だけ安く借りたい借主におすすめといえます。自身の状況とメリット、注意点をそれぞれ踏まえたうえで、普通賃貸借契約または定期賃貸借契約のどちらを選ぶか検討してみましょう。

さまざまな契約形態

建物賃貸借契約と土地賃貸借契約

賃貸借契約の種類は、普通賃貸借契約と定期賃貸借契約という分類のほかに、「建物賃貸借契約」と「土地賃貸借契約」という分類もあります。前の2つが契約期間を対象としているのに対して、建物賃貸借契約は建物を対象とし、土地賃貸借契約は土地を対象としています。

それぞれの特徴を以下で紹介していきます。

建物賃貸借契約

建物賃貸借契約とは、居住用のマンションや事業用のオフィスビルなどを契約する際に締結される契約で「借家契約」とも呼ばれます。契約更新の有無により、「普通建物賃貸借契約」と「定期建物賃貸借契約」に分けられます。

●持ち家を賃貸する方法はこちら

土地賃貸借契約

土地賃貸借契約は「借地契約」とも呼ばれ、土地を貸し借りする際に結ぶ契約です。この契約では、借主は土地所有者に対して「地代」と呼ばれる、土地の利用に対する対価を支払わなければなりません。なお、土地賃貸借契約も契約更新の有無により、「普通土地賃貸借契約」と「定期土地賃貸借契約」に分けられます。

●借地権についてはこちら

賃貸借契約の流れとチェックポイント

実際に賃貸借契約が結ばれる際には、借主に対して契約内容の重要事項説明が行われます。その後、賃貸借契約の内容を確認し、契約書に署名・捺印を行えば契約は完了です。ここでは、賃貸借契約において大事なポイントとなる「重要事項説明」と「賃貸借契約書の確認」の2つの手順について、詳しく見ていきましょう。

賃貸借契約のチェックポイントを説明する人

重要事項説明

重要事項説明とは、不動産の賃貸借や売買を行うにあたり、宅地建物取引士が借主(買主)に対して、契約上重要な条項を説明することです。重要事項説明は、不動産取引を専門としない一般の消費者であっても、契約成立後に予期せぬ形で不利益を被ることがないように、権利関係や取引条件の認識をすり合わせる目的で行われます。

賃貸物件の重要事項説明は、賃貸借契約締結前に必ず行われます。借主に説明されるポイントの一部は、以下の通りです。

・賃料等契約条件の概要
・各種設備の整備の状況
・建物の管理・連絡先に関する事項

これらの項目について、貸主と借主の間で認識の食い違いがあると、契約成立後や入居後、退去時のトラブルに発展する恐れがあります。そのため、重要事項説明を受けて疑問が残る場合は必ず質問し、解決したうえで契約に進みましょう。疑問点が解決しない場合は、借主から賃貸借契約を断ることができます。

また、貸主は、物件の不具合や劣化などの瑕疵(かし)がある場合、あらかじめ入居者募集をする前に不動産会社に伝え、可能であれば修繕・交換したうえで貸し出すようにしましょう。賃貸借契約を結んだ後に瑕疵が発覚してしまうと、借主から「契約不適合責任」を問われ、損害賠償や賃料の減額、契約の解除などを求められる恐れがあるため、注意が必要です。

重要事項説明が終わったら、借主が重要事項説明書に署名します。重要事項説明書は、宅地建物取引業者から説明を受けた旨を証明する書類で、不動産会社から交付されます。

重要事項説明書に署名をする人

賃貸借契約書の確認

重要事項説明の後に、賃貸借契約書を確認して署名をすると、契約成立です。賃貸借契約書は貸主と借主双方が署名・捺印のうえ、当事者同士が原本を保管します。

契約の最終段階であるため、確認漏れがないように注意しましょう。賃貸借契約書で借主がチェックすべきポイントは以下の通りです。

・賃貸借の対象となるもの(物件の名称・所在地・構造)
・契約期間
・賃料・敷金・共益費の金額や支払い先
・貸主および管理業者
・借主および同居人
・家賃債務保証業者または連帯保証人
・解約の申し入れ期間や違約金の有無
・明け渡し時の原状回復の取り決め
・入居中の修繕負担区分
・禁止行為
・特約事項 など

貸主側は、契約期間や更新のルール、徴収する金額とその受け取り方、滞納時のルール、原状回復の範囲と内容などを特にチェックしておきましょう。

●賃貸借契約の流れについてはこちら

賃貸借契約書を確認する人

賃貸借契約で起こり得るトラブルと対策

賃貸借契約を締結するまでには、下記のようなトラブルが起こる可能性があります。

・契約内容に関するトラブル
・手続きに関するトラブル
・書類に関するトラブル

それぞれのトラブルとその対策について解説していきます。

契約内容に関するトラブル

まず、賃貸借契約の申し込み時には、「もっといい物件が見つかった」「転勤が取り消しになった」などの理由からキャンセルをめぐるトラブルが発生する恐れがあります。

原則として、賃貸借契約を締結した後に申し込みをキャンセルすることはできません。キャンセルする場合は解約扱いとなり、申し込み費用や初期費用は基本的に返還されないうえ、契約内容によっては短期違約金が発生するリスクもあります。つまり、借主にとって契約後の申し込み撤回は、どんな理由であっても簡単なことではありません。そのため、契約時にキャンセルする意思がなくても、締結の撤回に関する内容は十分に確認するようにしましょう。

手続きに関するトラブル

賃貸借契約の手続きを進めるうえでトラブルの原因となりやすいのは、確認の漏れです。たとえば、重要事項の説明が不足なく行われていたとしても、誤解していた部分が後から明らかになったり、手続きに必要な書類に不備が見つかったりするケースがあります。それによって賃貸借契約の進行が遅れると、借主の転居計画や貸主の資金計画に影響を及ぼし、さらなるトラブルに発展する恐れがあります。

賃貸借契約時の手続きに関するトラブルを防ぐためには、事前にお互いのスケジュールを把握し合い、疑問点に関する確認を怠らないことが重要です。不備が生じるリスクも考慮して、余裕を持ったスケジュールを計画しましょう。

書類に関するトラブル

賃貸借契約を交わすにあたり必要な書類は、仲介している不動産会社や、貸主によって異なりますが、借主側が準備しなければならない書類がいくつかあります。借主が必要書類を用意できず、入居が遅れるというトラブルも起こる可能性があるため注意が必要です。

賃貸借契約における必要書類

契約を円滑にするためにも、契約を結ぶ前に必要書類についてしっかりと確認しましょう。一般的に必要な書類は以下の通りです。

・収入証明書類
・本人確認書類(健康保険証、住民票、印鑑証明書など)
・保証人関連書類

1つずつ詳しく解説します。

収入証明書類

賃料における支払い能力を確認するために、「源泉徴収票」「納税証明書」「確定申告書」などの提出が必要です。これらの書類は申し込み時から求められることが一般的ですが、賃貸借契約時に必要になることもあるため、どのタイミングで必要かあらかじめチェックしておきましょう。

本人確認書類

運転免許証や健康保険証のような、本人確認ができる書類が必要です。また、続柄確認のために、住民票を提出することもあります。

保証人関連書類

連帯保証人は、借主に賃料が支払えなくなった際、代わりに支払いを求められます。保証人関連書類の多くは、保証人が用意しなければならず、郵送する手間が発生することもあるため、早めに依頼しましょう。

最近では、連帯保証人を立てる代わりに、入居者の賃料を貸主に保証する「賃貸保証会社」を利用することを必須条件としている物件が多くあります。保証料の相場は、初年度の契約時に支払うものとして賃料の0.5か月分~1か月分程度、2年目以降は年1万円~2万円程度となっています。ただし、保証料(保証委託料)や支払うタイミングは、賃貸保証会社によって異なるため、利用する会社に確認しましょう。

必要書類を確認する人

よくある質問

ここからは、賃貸借契約に関するよくある質問に答えていきます。

そもそも賃貸借契約書って何?

賃貸借契約書とは、賃貸借契約を結ぶ際に用いる契約書です。建物の名称や所在地、専有面積、設備といった物件の情報に加え、契約期間や賃料、管理費などが明記されています。

賃貸借契約書って自分で作れる?

賃貸借契約書は、自分で作ることも可能です。法律で定められた特別な形式などはなく、作成するための特別な資格や条件も不要です。国が作成した「賃貸住宅標準契約書」(賃貸借契約書のひな形)をダウンロードすることもできます。

しかし、トラブルを防ぐためにも、賃貸借契約書には詳細に契約内容を記載しておくことが大切であり、そのためには専門的な知識や経験が必要です。賃貸借契約書を自分で作るよりも、契約実績の豊富な不動産会社に依頼し、契約までサポートしてもらうことがおすすめです。

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