
住宅ローンを残したままの家は賃貸に出せる?バレたらどうなるの?
住宅ローン返済中の家を賃貸住宅として貸し出すことは、原則不可能です。仮に、貸し出しが発覚した場合は、住宅ローンの一括支払いを求められることがあります。この記事では、住宅ローンを残したまま家を貸すことによる影響について解説します。
目次
住宅ローンの返済中に自宅を賃貸に出すのは原則不可能
海外赴任や転勤などで自宅をしばらく空ける際、無人のまま放置しておきたくないと思う方もいるのではないでしょうか?家を放置していると、居住しているときよりも劣化が進みやすいため、換気や清掃といった定期的なメンテナンスが必要です。
そこで考えられる対応の1つが、賃貸住宅として貸し出すことです。留守の間に人に住んでもらえれば家の劣化を防げますし、不動産収入も得られて一挙両得ではないかと考える方も多いでしょう。しかし、住宅ローンで購入した家を、ローン未完済の状態で賃貸に出すことは、原則として認められていません。住宅ローンは、その不動産に名義人が住むことを前提としているため、名義人が不在のまま第三者に貸し出すことはできないのです。
また、賃貸として不動産を貸す場合は、不動産投資ローンを組む必要があります。以下の表から分かるように、そもそも住宅ローンと不動産投資ローンでは、返済原資や金利など異なる部分が多くあります。
住宅ローンと不動産投資ローンの違い | ||
---|---|---|
比較項目 | 住宅ローン | 不動産投資ローン |
借入目的 | 住宅の購入・増改築 | 不動産投資 |
返済原資 | 給与・事業収入 | 家賃収入 |
融資金額 | 年収の5倍~7倍 | 年収の7倍~10倍 |
金利 | 0.5%~2.0%程度 | 1.5%~4.0%程度 |
融資審査の内容 | 個人の属性 | 個人の属性+物件の属性 |
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住宅ローンで購入した家を賃貸に出したことがバレたらどうなる?
住宅ローンの借入残高がある状態で持ち家を賃貸に出していることが、銀行をはじめとする金融機関に発覚した場合、住宅ローン残債の一括支払いを求められたり、不動産投資ローンへの借り換えを要求されたりするリスクがあります。住宅ローンは、契約者の居住が条件であり、賃貸に出すのは契約違反となるためです。
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賃貸に出したことがどうしてバレる?
住宅ローンで購入した家を、賃貸に出していることが発覚する大きなきっかけは郵便物です。金融機関から住宅ローン契約者宛てに書類が送られた際、郵便物の宛名と居住者の名前が異なると、送り主である金融機関に返還されます。その結果、金融機関は、不動産の居住者が住宅ローンの契約者でないと気付くことになります。
住宅ローンの不正利用は、場合によっては法的措置が取られる行為のため、バレない裏ワザなるものは存在しません。
住宅ローンで購入した物件を賃貸に出す例
ここで、住宅ローンで契約した物件を偽装して賃貸に出し、問題になるような例をご紹介しましょう。
Aさんはこだわりのマイホームを購入しましたが、突然の海外赴任により一家で海外に引越すことになりました。最低でも5年は帰国できず、新築の一戸建てには年に1回帰れるかどうかという状況です。すると、友人から「不在の間、お金を払うから住まわせてくれないか?」と提案されました。
Aさんは住宅ローンが残った家を賃貸に出すことが契約違反であることを知っていましたが、銀行に相談せずに家賃を直接振り込んでもらえばバレないだろうと、軽い気持ちで承諾してしまいました。しかし、友人が自分の名前で表札を出し、住宅ローンの書類が金融機関に返還されたことから契約違反が発覚してしまいます。銀行は住宅ローンの一括返済を求めるもAさんは支払えず、不動産投資ローンへ借り換えをすることに。不動産投資ローンは、住宅ローンよりも金利が高いため、友人から支払われる家賃よりも支払額が多くなり、毎月赤字状態になってしまいました。
住宅ローンで契約した物件を勝手に賃貸に出すと、高確率で金融機関にバレます。すると、一括返済であれローンの借り換えであれ、かなりの金銭的負担がのしかかることになるのです。
住宅ローンが残っているが賃貸に出したい場合はどうする?
住宅ローンが残っていても、購入した自宅を賃貸に出すことが許可される場合もあります。自宅を賃貸に出すことを考えている場合は、まず金融機関に相談しましょう。理由によっては、さまざまな状況を踏まえたうえで賃貸に出すことが認められるかもしれません。
また、不動産投資ローンに借り換えることで賃貸に出せるケースもあります。しかし、不動産投資ローンは住宅ローンに比べて金利が高くなる傾向があり、住宅ローン控除も受けられない点に注意が必要です。借り換える際には、以下のような費用もかかります。
・事務手数料
・保証料
・印紙税
・抵当権の設定費用・抹消費用
・繰り上げ返済手数料など
ローンを借り換える際は、どれくらいの資金が必要になるか事前に確認しておきましょう。
住宅ローンで購入した家を賃貸に出す以外にできること
家をしばらく使わなくなる場合、賃貸に出す以外にもいくつかの方法が考えられます。
・売却する
・空き家にする
・セカンドハウスにする
売却する
その家に再び住む可能性が低い方には、売却がおすすめです。売却の方法には、主に仲介と買取の2種類があります。家を売却するとまとまった資金が得られるため、貯金や生活費、金融投資などに活用できます。また、家にかかる税金がなくなるため、経済的・心理的な負担を減らせることもメリットです。
ただし、家を売却するには住宅ローンの完済が必要です。売却代金を充てるか、もしくは売却代金と自己資金を合わせて完済できなければ売却できないことに注意しましょう。
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空き家にする
住宅ローンが残っていて、かつ自宅を手放したくない場合には、空き家にするという選択肢も考えられます。ただし空き家は、長期間全く手を付けずに放置しておくと劣化が早くなり、住めない状態になったり、荒廃によって近隣住民に被害を及ぼしたりする恐れがあります。知人や親族に定期的なメンテナンスを依頼するか、空き家管理サービスを利用しましょう。
セカンドハウスにする
しばらく使わない家を、セカンドハウスとして所有するのも選択肢の1つです。この場合、元の家も所有した状態で、転勤先や移住先でも住居を持つことになります。しかし、居住していた家をセカンドハウスとする場合、住宅ローンの契約は続けられず、セカンドハウスローンへ借り換える必要があります。セカンドハウスローンは、住宅ローンと比較して審査条件が厳しく、金利が高い傾向にあるため注意が必要です。また、セカンドハウスにする場合でも、家で生活していない期間のメンテナンスは定期的に行うようにしましょう。
長期間家を不在にするなら三井のリハウスへ相談を
この記事では、海外赴任や他地域への転勤などにより長期間自宅を不在にする際、住宅ローンが残ったまま自宅を賃貸に出すことが可能かどうかについて解説してきました。結論として、住宅ローンを残したままの自宅は原則賃貸には出せず、無許可で賃貸に出した場合、住宅ローンの一括返済や法的措置を求められる恐れが高くなります。住宅ローンが残っている自宅を賃貸に出したい場合は、一度金融機関に相談しましょう。
また、正当な理由なしに賃貸に出している場合は、不動産投資ローンへ借り換えて正しく賃貸経営を行いましょう。不動産投資ローンへの借り換えが難しい方には、売却という選択肢もあります。三井のリハウスでは、豊富な取引実績と三井不動産グループのネットワークを生かして、売却を含めたさまざまなサポートを行っています。長期間家を不在にする予定があり、賃貸に出すか、売却するかでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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