
不動産投資の初心者が知っておきたい、よい投資物件選びのポイント
不動産投資を成功させるには、物件選びが重要です。どういう物件を購入すればよいのか分からない投資初心者の人向けに、よい物件を見極めるポイントや注意点を解説します。
不動産投資は物件選びが重要!
不動産投資において、物件選びは最も重要といってもよい要素です。物件選びさえうまくいけば、安定した収入を見込めるうえ、空室や修繕費負担といった不動産投資を行ううえで発生するリスクも回避しやすくなります。しかし、不動産投資をしたことがない人や初心者にとっては物件選びも難しく感じるかもしれません。
そこで、これから投資用の物件を選ぼうとしている投資初心者の人に向けて、よい物件を見極めるポイントや注意点を解説します。ここでお伝えする情報を参考に、物件選びをしてみてはいかがでしょうか?
投資用物件の種類
不動産投資用の物件を選ぶ際は、まず物件の種類から選ぶことになります。対象となる投資物件の種類と合わせてそれぞれの特徴を見ていきましょう。
マンション
マンションには、部屋の大きさや間取りといった観点から、ワンルームマンションのような単身者向けの物件や、3LDKのようなファミリー向けの物件などがあります。
投資用として選ぶには、物件の立地からニーズを把握し、それに合った物件を選ぶとよいでしょう。駅までの距離や都心へのアクセスのよさ、周辺環境などから、どの層に需要がある立地なのかを認識することが大切です。
また、マンション投資は1部屋単位で購入する区分投資と、1棟まるごと購入する1棟投資に分けられます。これらのうち、少ないリスクで始めやすいのは区分投資です。1部屋単位で物件を購入するため、1棟を購入するよりも初期費用が安く済むことや、流通量が多いので選択肢が豊富にあること、売却時も買い手を見つけやすいことがメリットです。
複数戸のマンションを投資用として所有する場合も、異なる建物の区分マンションを複数所持していれば、1棟を所持する場合と比較してリスクが分散できるといえるでしょう。しかし、1棟投資に比べると低額で始められる分、リターンも少ない傾向にあります。
対して、初期費用の負担は大きいものの、リターンも大きいのは1棟投資です。区分投資よりも部屋数が多いため、収益が大きく、空室のリスクも分散できることがメリットといえます。複数戸のマンションを区分所有するのに比べると、1棟のマンションのみで多くの部屋を所有できるため、管理費や修繕費が複数戸分かかることなく投資できます。ただし、売却のしにくさや維持費の高さなどの注意点もあるため、物件購入は慎重に検討しましょう。
アパート
アパートの場合は区分単位ではなく、1棟単位で売買されます。マンションに比べて1戸当たりの価格が安く、条件によってはマンション1戸と同じ価格でアパート1棟が購入できることもあり、投資用物件を検討する際に区分マンションと比較されることがあります。
一戸建て
不動産投資というと集合住宅のイメージを持つ人もいるかもしれませんが、一戸建てを「借家」として賃貸に出す場合もあります。しかし、一戸建て投資では転勤が決まって住まなくなった家や、相続して自分は住む予定がない家など、居住用として所有していた物件を貸し出す場合が多いようです。よって、最初から投資目的で一戸建てを購入する人は少ないと考えられます。
初心者に向いている物件とは?
ここまで投資用物件の種類をご紹介してきましたが、不動産投資を初めて行う場合「不動産投資のことはまだよく分からないので、なるべくリスクの少ない物件を選びたい」と思っているのではないでしょうか?そうした人に向いているのが、区分マンションやアパートといった物件です。ここから詳しくご紹介します。
区分マンションのポイント
区分マンションは1棟買いより初期費用を抑えやすいことを上記でお伝えしましたが、なかでも、新築より中古の区分マンションが狙い目です。新築は取得価格が高くなりやすく、流通量が少ないのに対し、中古物件は流通量が多いため、立地や間取りなどの面で条件がよい物件を新築よりも安く見つけやすいのです。
また、部屋の種類としても1LDKやワンルームなどの単身者向けマンションと、3LDKや4LDKなどのファミリー向けマンションではそれぞれ異なる特長があります。
単身者向けマンションは賃貸需要が高く、空室が出てもすぐに次が決まりやすいというメリットがあります。さらに物件の面積が小さいので、修繕やハウスクリーニングなどの維持費も抑えられる点は、投資初心者にとって扱いやすいポイントとなるでしょう。
ファミリー向けマンションは家族で長期にわたって住む場合が多く、入居を検討される時間も長くなりやすい傾向です。しかし、一度入居してもらえれば長期的に居住する可能性が高く、安定した収入を見込めるので、エリアの需要に応じて検討するとよいでしょう。単身者向けマンションと比較すると賃料の設定も高くなる傾向があるので、単身者向けのマンションよりも大きな収益が期待できるというメリットもあります。
アパートのポイント
アパートはマンションより低額で取得できるというポイントがあります。ただし、アパートは2階建てかつ木造または軽量鉄骨造りの建物である場合が多いので、3階建て以上かつ鉄筋コンクリート造りのマンションと比較すると、強度や気密性といった機能は低くなる傾向にあります。加えて耐用年数も短いといった要素があるため、購入する際には注意が必要です。
そういった機能性から、家賃相場が安く、リターンも低くなる場合があります。アパートを選ぶなら、東京23区といった人口が多く賃貸需要も多いエリアで、かつ立地条件がよい場合におすすめです。
よい投資用物件のポイント
理想的な投資用物件は、需要が高く空室になりにくい物件です。そのような物件かどうかを判断するには、ここに挙げるポイントを満たしているかどうかをチェックしてみましょう。
立地がニーズに合っている
入居対象者のニーズと物件の立地が合っているかどうかは物件選びにおいて重要といえるでしょう。大学の近隣や都心部といったエリアは単身者からのニーズが高いです。一方で、家族で住みやすいような閑静な住宅地はファミリー層から選ばれやすいといえます。
また、安全性が高いと女性の入居希望者も選んでくれやすくなります。オートロックがついているか、駅からの帰り道は明るいか、駅から遠くないかなどを確認しておくとよいでしょう。立地に関する情報は、自ら現地に足を運んで確認すると、より利用者の身になって物件を選ぶことができます。
周辺に農地が多く見られる場合は注意が必要です。2022年から、それまで農地のみの用途で使われていた生産緑地が、農地以外の用途で利用できるようになりました。これは「生産緑地の2022年問題」と呼ばれています。このことにより、多くの農地が宅地へと変わり、競合となるようなマンションやアパートが建つ恐れがあります。そして工場や線路が近くにある場合も、騒音や悪臭といった公害の問題があるため、注意しましょう。
利便性が高い
交通アクセスがよい、駅からの距離が近いなど、利便性の高い物件は需要も高い傾向にあります。特に単身者の場合、通勤や通学のしやすさが重視されるため、単身者向けマンションやアパートの購入を考えている人は、状況をチェックしておくとよいでしょう。
不動産は一度購入したらその場から動かすことはできません。駅からの距離が近いことや、交通アクセスがよいことは、その物件の不変的な価値につながり、安定的な収益が期待できるため重要なポイントです。しかし、そういった物件は購入価格も高いことから、自分自身の経済状況も考えて選ぶとよいでしょう。都心部でなくとも、主要駅に電車1本で行くことができたり、電車の本数が多かったりすると、入居者も集まりやすい傾向にあります。
また、生活に必要な施設が近隣にあるかということも大切です。コンビニやスーパー、学校、病院、公園など、立地から見たニーズと合わせて確認しましょう。
適切に管理されている
中古物件の場合、建物の老朽化や劣化に応じてメンテナンスがきちんと行われているかを確認しておきましょう。一見問題がなさそうでも、外から見えないような部分に不具合や故障が見つかる場合もあります。建物の外部だけでなく、内部もきちんと確認しておくと安心でしょう。
万が一設備に不具合や故障があった場合には、修繕費がかかってしまいます。そうすると、予定していた資金計画にない追加の費用が必要になってしまうため、なるべく避けたいものです。共用部が清潔でない物件は、管理がきちんと行われていない恐れがあるため、チェックしておくと物件選びの参考になりますよ。
新耐震基準に適合している
物件選びの際は、新耐震基準に適合している建物であるかどうかを確認しましょう。建築基準法による建物の耐震基準は、1981年に改正・強化されているため、それ以前に建築された建物は、耐震強度が弱いものが多く見られます。
旧耐震基準では震度5強の地震が起こっても、建物が倒壊せず、破損したとしても修理を行うことで生活できるという構造基準でした。しかし、新耐震基準では、震度6強~7の地震が起こっても建物が倒壊しないように建てられる必要があります。
日本においては震災が多いため、耐震強度が弱いと入居者に敬遠されるほか、実際に被害を受けた際に建物が損壊して運用できなくなるリスクもあるため注意が必要です。また、耐震強度が弱い物件は金融機関によって、ローンの利用ができない場合もあります。物件を選ぶ際は、必ず築年をチェックし、新耐震基準を満たしているかを確認しましょう。旧耐震基準で建てられた物件の場合は、耐震補強工事を実施しているか、耐震基準適合証明書を取得しているマンションかなども確認しておきましょう。
よい投資用物件を見極めるには、上記のポイントのほか、利回りについて把握することも不可欠です。利回りとは、物件価格に対して1年間でどれだけの金額を回収できるのかを表した割合のことをいいます。不動産投資における利回りは、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があり表面利回りの計算式は以下のように表されます。
・表面利回り = 想定される年間家賃収入 ÷ 物件の購入価格
これは満室経営であると想定された計算式であるのに加え、維持や管理にかかる諸経費も含まれていません。一方で、実質利回りは以下のように表されます。
・実質利回り = (想定される年間家賃収入 – 諸経費) ÷ (物件の購入価格 + 購入時の諸費用)
表面利回りよりも実質利回りのほうが諸経費の計算も含んでおり、より現実的なものになるため、計算をする際は、実質利回りで計算することをおすすめします。物件の収益性を判断してから購入を決めると、不動産運用が失敗してしまうリスクを減らすことができます。
●不動産投資の利回りに関する記事はこちら
不動産投資における「利回り」とは?基礎知識や相場、判断方法を知ろう
購入を避けたい要注意物件のポイント
物件のなかには、せっかく購入しても思うように収益を得られないようなリスクが高いものもあります。不動産投資をするのであれば、そういった物件は避けたいですよね。次のような注意点が当てはまる物件は、検討リストから外したほうがよいでしょう。
心理的瑕疵がある
心理的瑕疵とは、その不動産自体に問題はなくとも心理的に抵抗を催す欠陥のことをいいます。心理的瑕疵の具体的な例としては、火事、殺人事件、自殺などが挙げられ、こうしたことが過去に起きた物件は、一般に「事故物件」ともいわれます。
心理的瑕疵がある事故物件の場合、入居者に事前告知を行わなければならず、入居を避けられやすいのが注意点です。だからといって告知を怠ってしまうと、買主からの損害賠償請求や契約解除になる恐れもあります。心理的瑕疵は個人によって感じ方が違ってくるため、国土交通省が策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を参考に、告知をする必要があるか否かを判断するとよいでしょう。
ちなみに、事故物件であっても孤独死や自殺が起こった物件は、家賃を下げることで入居者が集まる場合もあります。しかし、心理的瑕疵を懸念材料と考える入居希望者は一定数いることも確かなので十分に確認することが必要です。
●心理的瑕疵に関する記事はこちら
心理的瑕疵とは?基準や告知義務を紹介
違法建築物である
建築基準法に違反している物件も避ける必要があります。建築基準法に適合していない建築物は「違法建築物(違反建築物)」と呼ばれます。違法建築物は銀行からの融資を受けられないことが多く、受けられた場合でも金利が高い傾向にあります。よって、将来売却する際、買い手が見つかりにくくなってしまうことがあることから、違法建築物である物件は避けたほうがよいでしょう。
建築基準法に適合しているかどうかは、「確認済証」または「検査済証」があるかどうかで確認することができます。確認済証とは、設計段階で建築基準法の基準を満たしていることを認められた際に交付される書類をいいます。
一方で検査済証とは、工事が完了したのち、設計段階で決められた図面と建物が同じように建てられたかを確認したうえで、建築基準法や関連法規の基準を満たしていると認められた場合に交付される書類のことをいいます。
確認済証に記載されている「建築確認番号」と「取得年月日」、または検査済証に記載されている「検査済証番号」と「取得年月日」によって違法建築物でないことが証明されます。しかし、検査済証は取得していない物件もあることに加え、どちらの書類も紛失されている場合、再発行ができません。そういった場合は、市町村が保管している建築確認台帳の記載事項証明書を交付してもらうことで確認が可能です。
物件探しは不動産会社へ相談を
ここまで、不動産投資の初心者向けの物件選びのポイントをお伝えしてきました。初心者が実際に投資用物件を探す際は、不動産会社に依頼することをおすすめします。物件情報サイトを自分で検索することもできますが、売主の意向やそのほかの事情でサイトに載らない物件もあり、自力で十分に情報収集するのは難しいこともあるためです。
不動産会社であれば豊富な物件情報を把握しており、希望する条件に合ったものをスピーディーに紹介してもらいやすいため、効率的で安心です。
三井のリハウスでも、投資用物件の情報を多数ご紹介しています。ホームページに掲載されない物件情報も個別にご紹介可能ですので、ぜひお問い合わせくださいね。
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アユカワタカヲ
株式会社タカプランニングジャパン代表取締役。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーなどの資格を保有。
会社員時代に不動産投資をスタートさせ、今では幅広く不動産賃貸業を営む。
メディア出演や著作の出版、セミナーなどでも活躍。
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