実家を売却する手順は?発生する税金や相続後の家を売る際のポイントについて解説

空き家や相続した実家は、使用せずとも所有しているだけで固定資産税や管理費が発生し続けるため、早めに売却するのがおすすめです。この記事では、実家を売る際の手順や税金、相続した家を売る際のポイントなどを解説します。

目次
  1. 住んでいない実家は売却したほうがよい?
  2. 実家を売却する際の流れ
  3. 実家の相続と売却にかかる税金は?
  4. 実家を売却する際の注意点
  5. 相続した実家を売却する際に使える特例
  6. 売却以外の方法
  7. 実家を売却するなら不動産査定を受けよう
2024.11.29

住んでいない実家は売却したほうがよい?

実家を相続した方のなかには、使用せずに所有しているだけだったり、空き家として長い間放置していたりする方もいるのではないでしょうか?住んでいない実家を放置することにはリスクが伴うため、売却の検討をおすすめします。

住んでいなくても不動産には固定資産税がかかり、経年劣化による修繕費や、火災保険料といった管理費が発生することもあります。また、結果的に売却するにしても、時間の経過とともに不動産の価値は下落してしまいます。加えて、建物の状態が悪く売却時にリフォームや修繕が必要になると、さらなる出費がかかるでしょう。このように、住んでいない実家は、放置すればするほど不利益が大きくなるので、実家の売却を決めたら早めに動くのがおすすめです。

ただし、家を売却する際にはさまざまな手続きがあるため、あらかじめ知識を持っておくことが重要です。この記事では、実家を売る際の手順や発生する税金、相続した家を売却する際のポイントなどについてお伝えします。

売却予定の家

実家を売却する際の流れ

まずは実家を売る際の手順を解説します。主に6つのステップがあるので、以下でそれぞれ見ていきましょう。

1.相続登記を行う

相続した実家を売るには、まず相続登記を行います。相続登記とは、亡くなった人の名義で登記されていた不動産を相続人の名義に変更することです。なお、相続登記の申請は、2024年(令和6年)4月1日から義務化されました。それまでは、相続登記の期限や申請しなかった際の罰則は設けられていなかったため、相続手続きを終えた実家を所有している場合は、相続登記が済んでいるか確認しましょう。

相続登記をしないと、不動産の権利におけるトラブルが発生した際に不動産の所有権を主張できなくなります。そのため、相続登記は早めに済ませておくようにしましょう。

2.査定を受ける

次に実家がどのくらいの価格で売却できるか、売却相場を把握するために不動産査定を受けます。査定は不動産会社に依頼すると無料で受けることが可能です。不動産査定には、オンラインで手軽に受けられる「AI査定」と「簡易査定」、不動産会社の営業担当者が物件を訪れて査定額を算出する「訪問査定」があります。不動産査定は種類によって特徴が異なるので、ご自身の状況に合うものを選択するのがおすすめです。

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3.不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定を受けたら、実家の売却を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を結びます。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの種類があります。それぞれの特徴を理解して自分の条件に合うものを選びましょう。

●媒介契約の違いに関する記事はこちら

売却活動中は、不動産会社の営業担当者とかかわることが多くあるため、信頼できる不動産会社を見極めることが大切です。訪問査定は、不動産会社の営業担当者と直接話せるので、相談や質問をして、売却に関する知識が十分にあるか、対応は誠実かといった点を確認しましょう。

4.販売活動を行う

媒介契約を結んだら、いよいよ不動産会社が販売活動を開始します。主に、広告活動や販売営業、内覧の準備などを行います。基本的に販売活動は不動産会社が行いますが、売主自身でも販売活動の状況を把握しておくことが大切です。また、購入希望者が現れた場合には内覧を実施するため、準備が必要になります。直前になって慌てないように、前もって住まいの整理整頓や掃除をしておくのがおすすめです。

5.買主と売買契約を結ぶ

購入希望者から「購入申込書」を受け取ったら、売主と買主で契約条件の確認を行い、物件の買い手が決まったら売買契約を結びます。重要事項説明についての質疑応答などを行い、双方が納得すれば契約書に署名・捺印をします。この際、売主には買主から「手付金」として売買代金の一部が支払われるのが一般的です。

6.物件の引渡しと登記を行う

売買契約が完了したら、不動産の売買代金を決済して、買主に物件の鍵を渡し、家の引渡しを行います。

家の引渡し

実家の相続と売却にかかる税金は?

続いて、実家を相続し、売却する際に発生する税金についてご紹介します。

相続税

相続税は人が亡くなったり、生前贈与を行ったりして資産の移転があった際に、資産を受け取った人に対して課税される税金です。相続税には基礎控除があり、控除しきれなかった分のみが課税対象となります。基礎控除額の計算方法は以下の通りです。

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

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印紙税

印紙税とは、契約書や受取書、証書などを作成する際に課税される税金です。印紙税は書面に記載された契約金額によって変動し、課税文書(不動産の譲渡契約書等)の作成者に納税の義務があります。課税文書を売主、買主、それぞれ共同で作成した場合は、連帯して納税する義務があるため、契約時に確認しましょう。

登録免許税

登録免許税は、主に「不動産の登記をする際」「不動産の名義を変更する際」「不動産の所有権を移転させる際」にかかる税金です。実家を売る際は、売主から買主に所有権を移転させるときに発生します。

譲渡所得にかかる税金

不動産の売却によって発生した利益は譲渡所得と呼ばれ、譲渡所得は「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の課税対象となります。これらの税金は「譲渡所得税」と呼ばれることもあります。

また、譲渡所得にかかる税金の税率は、不動産の所有期間5年を境目に、短期譲渡所得と長期譲渡所得に区別され、税率が異なります。なお、譲渡所得がマイナスになる場合は課税されません。詳しくは関連記事をご覧ください。

●譲渡所得にかかる税金に関する記事はこちら

消費税

消費税は、売買契約が締結した後、不動産仲介会社に支払う仲介手数料に課せられます。なお仲介手数料の上限額は、法律で決められています。

不動産仲介会社の担当者と売り手

実家を売却する際の注意点

ここからは実家を売るときの注意点について解説していきます。以下の点に気を付けて、納得のいく売却を目指しましょう。

適切な売却のタイミングを検討する

実家を売却する適切なタイミングは大きく分けて「相続する前」「相続した後」の2つがあります。それぞれについて詳しく見ていきます。

相続する前の場合
親が介護施設に入所することになったときは、実家売却を検討する1つのタイミングといえます。親が健康なうちに売却することで、資産が現金化され、相続の手間やトラブルを避けられるメリットがあります。設備が整ったシニア向けの施設は入所費用が高いところも多いため、実家の売却代金を充てられるのもメリットです。また、子が独立して親だけになり、老後の住まいを検討するタイミングで実家売却を選ぶというケースもあるでしょう。

ただし相続前に実家を売ることで、相続税が増える可能性があることに注意しましょう。実家を相続した後に売却を行う場合、課税対象は相続した土地や建物ですが、相続前に実家を売ると、課税対象は売却によって得られた現金となります。一般的には、土地や建物といった不動産の相続税評価額は、時価より低くなりやすいため、売却は、実家を相続してからの方が相続税を抑えられる可能性が高いでしょう。

相続した後の場合
実家を相続することになった場合、最初に遺言書があるかどうかを確認しましょう。遺言書がある場合、その内容に従って遺産分割を行うことが基本です。遺言書をもとに実家の所有者が誰になるのか、売却が最善策なのか、といったことを検討します。

遺言書には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、証人の有無や保管方法などがそれぞれ異なります。一般的に使われている遺言書とは、公正証書遺言と自筆証書遺言です。公正証書遺言は、法律の専門家が作成し公証役場で保管されます。一方の自筆証書遺言は、遺言を残す本人が書き、自身で保管します。

遺言書

きれいな状態にする

家の引渡し時は、何もない状態にしておく必要があります。実家に家族の荷物が残っている場合、遺品整理や片付けは後回しにせず早めに行いましょう。

また実家は築年数が古く、老朽化しているケースもあります。相続してから日数が経過し、誰も住んでいない場合は、ほこりや汚れがたまりやすいので、定期的に手入れするとよいでしょう。

さらに、売却の際には買主によい印象を与えることが大事です。内覧時に好印象を持ってもらうために、なるべく清潔な状態にしておきましょう。

相続した実家を売却する際に使える特例

ここでは、相続した実家を売る際に使える特例をご紹介します。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」は、相続をはじめとする理由で取得した実家を売却した際、譲渡所得の金額から最高3,000万円までを控除できる特例です(相続人の数が3人以上である場合は2,000万円まで)。なお、こちらの控除を利用するには「譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること」「売却代金が1億円以下であること」などの要件を満たさなければなりません。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」とは、被相続人の自宅を含めた土地の330㎡までの相続税評価額が最大で80%減税される特例のことで、相続税の大きな減税が見込めます。

相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」は課税金額を軽減できる特例です。相続税の一部を取得費として加算し、譲渡所得を減らすことで課税金額を抑えることが可能になります。ただし、小規模宅地等の特例と併用すると、取得費加算の特例を計算する際に小規模宅地等の特例で算出された額が基準となるため、取得費加算の特例のメリットが減る場合があります。特例を利用する際は、2つの特例を併用すべきか、どちらか1つの特例のみを利用すべきか、事前に計算してから判断するのがおすすめです。

家と控除と税

売却以外の方法

相続した実家を活用するには、売却以外の方法もあります。

実家に引越す

相続した実家を処分してしまうのが寂しいという方も、なかにはいるのではないでしょうか?実家のほうが、今住んでいる家よりも立地がよかったり、生活がしやすかったりする場合には、実家に引越すという選択肢もあります。築年数が古い家でも、リフォームやリノベーションを行えば快適に暮らせるでしょう。また、建物を壊して更地にし、建て替える方法もあります。建物は変わってしまいますが、なじみのある場所で引き続き暮らせます。

賃貸にする

実家を活用して賃貸経営を行うのも1つの方法です。家を建て替えたり、リフォームしたりする場合は初期費用が必要ですが、入居者が見つかれば家賃収入が得られます。ただし、入居者を確保できないと赤字になってしまうため、立地や周辺環境などを調べて、入居者の確保が見込めるかどうかを踏まえて検討しましょう。

土地活用する

賃貸経営のほかにも、駐車場やトランクルームにするなど、さまざまな活用方法があります。駐車場やトランクルームは初期費用が抑えられるため、賃貸経営に比べて始めやすいでしょう。その土地の周辺環境を見て、需要の見込める方法で活用することがおすすめです。たとえば、駐車場として活用する場合には「車を利用する人が多いエリアか」「周辺に競合となる駐車場はないか」などを事前にチェックするとよいでしょう。

駐車場

実家を売却するなら不動産査定を受けよう

ここまで、実家を売却する際の手順や発生する税金、相続した家を売るポイントなどを解説してきました。実家は、所有しているだけで固定資産税を支払う必要があり、経年劣化による修繕費がかさむリスクもあるため、早めに売却するか、活用方法を考えるのがおすすめです。売却を検討する場合は、不動産査定を受けて実家の価値を知ることから始めましょう。

三井のリハウスでは、無料で不動産査定を行っています。実家の売却を検討している方は、まず査定を受けてみるのがおすすめです。ぜひ三井のリハウスの不動産査定をご活用ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。