住宅型有料老人ホームとは?介護の特徴や費用、ほかの施設との違いを解説

住宅型有料老人ホームとは、有料老人ホームの一種で、幅広い介護度の入居者を対象とした生活支援サービス付きの住居施設のことです。この記事では、居住形式の老人ホームならではの特徴や、かかる費用、ほかの施設との違いなどについて解説します。

目次
  1. 有料老人ホームとは?
  2. 住宅型有料老人ホームの特徴
  3. 住宅型有料老人ホームの入居条件
  4. 住宅型有料老人ホームの主なサービス
  5. 住宅型有料老人ホームにかかる費用は?
  6. ほかの施設とはどう違う?
  7. 住宅型有料老人ホームを利用する際の注意点
  8. ポイントを押さえて納得できる施設選びを!
2023.09.04

有料老人ホームとは?

老人ホームへの入居を検討している方や、その家族のなかには、「どのようにして施設を選べばよいの?」「施設にはどのような特徴があるの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか?有料老人ホームには「住宅型」「健康型」「介護付き」の3種類があり、これらは自立した人から要介護度の高い人まで幅広い方を対象とした施設です。

この記事では3種類の有料老人ホームのなかでも特に「住宅型」にスポットを当てて、特徴やかかる費用、ほかの施設との違いについて解説します。まずは3種類それぞれの有料老人ホームについて詳しく見ていきましょう。

住宅型

住宅型有料老人ホームとは、生活支援サービスが付いた高齢者向けの住居施設のことで、自立した人から要支援・要介護の人まで幅広い人を対象としています。

緑のある有料老人ホーム

健康型

健康型有料老人ホームは、食事や掃除、見守りなどのサービスが付いた高齢者向けの住居施設を指します。こちらの施設の対象は、自立した高齢者です。

介護付き

介護付き有料老人ホームとは、自立した人から要介護の人まで幅広い人を対象とした、介護サービス付きの高齢者向け住居施設です。

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住宅型有料老人ホームの特徴

住宅型有料老人ホームには、「健康型」「介護付き」とは異なる点が多くあります。まずはそれぞれの特徴をご紹介します。

さまざまな状態の高齢者が入居できる

冒頭でもご紹介しましたが、住宅型有料老人ホームは自立している人から、介護が必要な人までさまざまな状態の高齢者が入居できる施設です。ただし、入居対象が施設によって異なる場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

また、住宅型有料老人ホームは「健康型」「介護付き」と比べて施設数が多いため、どの施設にするか選択肢が広いことも特徴の1つです。

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介護施設でのレクリエーションの様子

施設によって設備が異なる

住宅型有料老人ホームの設備は、施設によって異なります。利用者のニーズや費用に応じてさまざまなバリエーションがあるため、事前に十分に調べたり、実際に施設を見学したりして選ぶことがおすすめです。

住宅型有料老人ホームの設備には、「居室部分」と「共用部分」のそれぞれに入居者が使える設備が用意されています。それぞれの箇所に用意された主な設備は以下の通りです。

居室共用
洗面所
トイレ
食堂
浴室
健康管理室
機能訓練室

ただし、施設によっては居室にキッチンや浴室が併設されていることもあります。自立している方であれば、居室にあると便利ですが、要介護の方であれば必要ないケースもあります。また、居室の面積は13㎡以上と厚生労働省によって定められており、個室や夫婦2人用の部屋など種類もさまざまです。

施設によって強みが異なる

住宅型有料老人ホームには、レクリエーションが豊富だったり、リハビリに力を入れていたり、低価格にこだわっていたりと、さまざまな特長があります。

レクリエーションは入居者間のコミュニケーションの活発化や、入居者それぞれの脳の活性化、身体機能の維持などを目的としており、ゲームや脳トレ、歌、工作など入居者の生活が充実するような工夫をしている施設があります。リハビリは、方針や方法、担当者の体制など施設によって多種多様です。一方で設備やサービスを絞ることで、リーズナブルな価格設定をしている施設もあります。

住宅型有料老人ホームの入居条件

住宅型有料老人ホームに入居するには以下のような条件があります。

年齢要介護レベル
65歳以上自立~要介護

ただし、65歳未満でも、要介護認定を受けている場合は入居できることもあります。また、独自で条件を設けている施設もあるため、詳細は入居を希望する施設に確認してみるとよいでしょう。

先ほどお伝えしたように、住宅型有料老人ホームは施設の数が多く、幅広い状態の高齢者が入居対象となるため、健康型や介護付きに比べて入居しやすい傾向があります。ただし、低価格な施設は入居率が高く、なかなか空きが出ないケースもあるため、早めに施設を探しておくことが重要です。

老人ホームで食事をとる高齢男性

住宅型有料老人ホームの主なサービス

住宅型有料老人ホームで受けられる主なサービスは生活支援や緊急時の対応です。生活支援の内容は一般的に以下になります。

・食事の提供
・洗濯や掃除などの家事支援
・健康管理
・見守り
・生活相談

なお、住宅型有料老人ホームに介護サービスはありません。介護が必要になった場合は、自宅と同じように外部の介護事業者と契約をし、訪問介護やデイサービス、リハビリなどを利用する必要があります。この場合は、健康状態や介護度に合わせてサービスを組み合わせることが可能です。

住宅型有料老人ホームにかかる費用は?

ここからは、住宅型有料老人ホームにかかる費用について解説します。一般的に住宅型有料老人ホームにかかる費用は、「入居一時金」と「月額利用料金」の2つに分けられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。

老人ホームの費用を説明される高齢夫婦

入居一時金

入居一時金とは、入居する際に支払う家賃の前払金のことです。想定居住年数分の家賃を前払いし、想定期間を満たさず退去する場合は残った分の金額が返還されます。

入居一時金の金額は施設によって大きく異なり、入居一時金を設けていない施設もあれば、数千万円までかかる施設もあります。手持ちの資金や、今後の生活費についてよく検討し、自分に合った支払い方法の施設を選ぶとよいでしょう。

電卓と家の模型と杖

月額利用料金

月額利用料金とは、月々に施設でかかる生活費のことです。一般的には、10万~30万円程度が相場となりますが、数万~数百万円の場合もあり、施設によって大きく異なります。また、入居一時金の額、設備のグレードやサービスの充実度によっても金額が変わることを覚えておきましょう。

月額利用料金の主な内訳は以下の通りです。

・家賃(入居一時金で支払っていない分)
・管理費
・食費
・水道光熱費
・生活支援サービス費
・そのほかの費用(介護サービス費、医療費など)

なお、入居一時金として想定居住年数分の家賃を全て前払いしている場合、月々の家賃は不要です。水道光熱費に関しては、管理費に含まれている場合と、部屋ごとに徴収される場合があります。また、介護サービス費や医療費は使った分だけ負担するケースが一般的です。具体的な項目や料金設定は施設に確認しましょう。

ほかの施設とはどう違う?

住宅型有料老人ホームと似たタイプの施設に、「ケアハウス」や「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」があります。入居する施設を検討するうえで、これらの施設についても知っておくことがおすすめです。ここからは2つの施設の概要と、住宅型有料老人ホームとの違いについてお伝えします。

笑顔の高齢者と介護福祉士

ケアハウスとの違い

ケアハウスは住宅型有料老人ホームと比較すると、安い金額で生活支援を受けられる施設です。入居対象者や提供サービスにより、「一般型ケアハウス」と「介護型ケアハウス」の2つに分けられます。ケアハウスの概要は以下の表の通りです。

主な入居条件主な提供サービス初期費用の目安月額料金の目安
住宅型有料老人ホーム65歳以上
自立~要介護
・食事の提供
・洗濯や掃除などの家事
・健康管理
・見守り
・レクリエーション
・生活相談など
~数千万円程度10万~30万円程度
一般型ケアハウス60歳以上または
夫婦のどちらか一方が60歳以上
自立~軽度の要介護者
・食事の提供
・洗濯や掃除などの家事
・健康管理
・見守り
・生活相談
~30万円程度6万~十数万円程度
介護型ケアハウス65歳以上
要介護1以上
上記に加え、
・入浴、排せつ、食事などの介護
・医療ケア
・リハビリ
~数百万円程度6万~20万円程度

ケアハウスは、身寄りがない人や、家族による支援が受けられない人など、生活に不安のある人を対象としており、地方自治体や社会福祉法人が運営していることから、料金は割安に設定されています。条件やサービス、料金などは施設によって異なるため、確認してみてくださいね。

リハビリの様子

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー対応の賃貸住宅でサ高住とも呼ばれています。介護が必要になった場合、外部の介護サービスを利用する点は住宅型有料老人ホームと同じですが、明確な違いもあります。以下の表をご覧ください。

契約形態主な提供サービス初期費用の目安月額料金の目安
住宅型有料老人ホーム利用権方式・食事の提供
・洗濯や掃除などの家事
・健康管理
・見守り
・レクリエーション
・生活相談など
~数千万円程度10万~30万円程度
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)建物賃貸借契約・安否確認
・生活相談
家賃の2~4か月分程度10万~30万円程度

住宅型有料老人ホームとサ高住の大きな違いは、契約形式です。住宅型有料老人ホームは、居住部分と介護や生活支援等のサービス部分の契約が一体となっている「利用権方式」の契約となりますが、サ高住は通常の賃貸物件と同じ賃貸借契約を結びます。また、サ高住ではレクリエーションサービスの提供が少ない傾向があります。

住宅型有料老人ホームを利用する際の注意点

ここからは住宅型有料老人ホームを利用する際の注意点を見ていきましょう。

介護度が高くなると住み続けられなくなる

先ほどお伝えしたように、住宅型有料老人ホームは介護が必要な高齢者でも入居可能です。ただし、24時間の介護が難しいケースがあるため、介護度が重くなったり、医療ケアが必要になったりすると施設によっては住み続けることが難しくなる恐れがあります。

一方で、最近では看護師が常駐している施設も増えており、その場合には介護度の高い人や、寝たきりの人でも住める場合があります。どの程度の介護度まで対応しているのか、施設の状況を事前にチェックすることがおすすめです。

介護費用が高くなる可能性がある

介護付き有料老人ホームでは、介護サービス費用は介護度に応じた定額制ですが、住宅型有料老人ホームの場合は、介護サービスを利用した分だけ費用がかかるため、介護度が高くなったり、サービスの利用回数が増えると費用負担も重くなっていきます

また、介護保険の利用限度額を超えると全額自己負担(10割)となり、負担が大きくなります。特に夜間の介護や看護を必要とする場合には費用が高額になったり、介護保険以外のサービスを利用することになったりする可能性があるため注意が必要です。

老人ホームに入居した高齢夫婦

ポイントを押さえて納得できる施設選びを!

ここまで住宅型有料老人ホームの特徴やかかる費用、ほかの施設との違いなどについて解説してきました。入居する際には、以下のポイントをチェックするとよいでしょう。

・希望するサービスが受けられるか
・経済的な問題はないか
・介護や医療が必要になったときの対応はどうか
・ホームの雰囲気が入居者に合っているか
・家族は会いに行きやすいか

お伝えしたように、住宅型有料老人ホームは施設によって設備のグレードや、サービスの充実度が異なります。三井のリハウス シニアデザイングループでは、シニア向け住宅や施設の紹介を行っておりますので、施設選びに迷った際はご相談くださいね。

また、以下のサイトでは「シニア向け住宅検索」がご利用いただけます。住まいや暮らしに関する相談は、三井のリハウス シニアデザイングループまでお気軽にお問い合わせください。

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三井不動産株式会社 ケアデザイン室

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