親の家の片付けをうまく進めるには?片付けの手順やコツを解説

実家の片付けは、親が元気で一緒に話し合えるうちに済ませておくのが理想です。もめることなく、スムーズに片付けを行うためには注意すべきポイントがあります。今回は、実家の片付けを成功させる方法をご紹介します。

目次
  1. 親の家の片付けは難しい?
  2. 実家の片付けを成功させるには
  3. 外部のサポートなしで片付ける手順
  4. 片付け業者への依頼もおすすめ
  5. 親の家の片付けはなるべく早めに
記事カテゴリ 相続 シニア
2023.01.31

親の家の片付けは難しい?

親だけで住んでいる実家に、古いものや使っていないものがたくさんあるのが気になっている人は多いのではないでしょうか?

しかし片付けようとすると、「ものを捨てたくない」と言われてしまい、片付けを進めるのが難しい場合もあります。育った時代によって、ものを捨てることを「もったいない」と感じたり、また、体力の衰えによってハードルが高くなっていたり、必要なものと不要なものの判断が付きにくくなっている場合もあるためです。

親が元気なうちに片付けておくことによるメリットは多くあります。たとえば、安全に暮らせるだけでなく、後々相続が発生し、遺品整理を行う際にも負担が少なくなります。将来のことを考慮し、余裕をもって実家の片付けに取り組みましょう。

今回は、片付けを成功させるためのポイントや手順についてご紹介します。


実家の片付けを成功させるには

家を片付けるといっても親が納得してくれない場合が多くあります。原因として、親が高齢者となり、終活を迫られているように感じることや、片付ける気力や体力が低下していること、また片付けや整理の必要性を感じていないことなどが挙げられます。

今回は、親が「片付けたい」と自ら思えるような工夫をご紹介します。

片付けのメリットを伝える

まず、片付けのメリットを伝えましょう。ここでは主な例を4つご紹介します。

探しものが見つかりやすくなる
ものを探すのに時間がかかるとストレスを感じます。逆に、身の回りがきれいだと心にも余裕が生まれることを認識してもらい、整理整頓を促しましょう。

安全な住まい環境を整えられる
床にものを置かないことで、つまずきや転倒、また上から物が落下するのを防ぐことにもつながります。家の中で思わぬ事故が起きないようにするためにも、住まい環境を整えてもらいましょう。

防災につながる
ものがきちんと収納されていると、居室や通路にスペースができ、急な災害時にも逃げ道を確保しやすくなります。片付けることで、非常時にスムーズに避難できることを知ってもらいましょう。

リフォームが必要なときにスムーズに進められる
バリアフリーが必要となり、リフォームする際に家が片付いていると、業者の人がすぐ施工に取りかかることができます。また、作業スペースを確保できるため、工事が順調に進みますよ。

散乱した荷物と腕を組む人物

外部のサポートが必要かを判断する

親が片付けをする気になってくれたら、自分や家族だけで片付けられるのか、あるいは専門業者といった外部のサポートが必要なのか判断をしましょう。

外部のサポートなしで片付ける場合、また専門業者に頼む場合のポイントは後ほどご説明します。

判断材料として、以下の3点について考えるとよいでしょう。

手伝える人手
子どもや、兄弟姉妹、孫など、家族内に手伝える人がいるかどうかを確認しましょう。身内に人手が足りない場合は、専門業者に依頼しなければならないかもしれません。

実家との距離
毎週や、毎月など、頻繁に実家へ帰ることができるかを考えましょう。家の片付けは長期戦です。また、1回の片付けで数時間かかるため、時間の確保も必要でしょう。交通費とスケジュールの両面から、無理がないかどうかを検討することが大切です。

片付けの範囲
家が広い、ものが多い、片付けが必要な部屋の数が多いといった場合は、身内の人手だけでは片付けきれないかもしれません。また、いわゆる「ごみ屋敷」になってしまっている場合も、専門業者に依頼することをおすすめします。


外部のサポートなしで片付ける手順

親の了承を得られたら、さっそく片付けを始めましょう。ここでは、初めての片付けをスムーズに進めるための手順をご紹介します。

[ 1 ] 計画を立てる

手を付ける前に、まず「いつまでに片付けを終わらせる」という大まかなスケジュールを決めます。ポイントは、1日に1か所、1部屋というように、無理のない目標を設定しておくことです。

一気に片付けようとすると負担が重過ぎるため、途中で諦めたくなってしまうかもしれません。ですが、達成しやすい目標を決めておけば、1つずつこなす度にモチベーションが上がりやすくなります。もし計画通りにできない日があっても、あわてずコツコツ続けましょう。また、「ものを運び出す人」「掃除する人」などというように家族間の役割分担を決めるのも、一人ひとりにかかる負担をコントロールし、片付けを継続しやすくするポイントですよ。

[ 2 ] 仕分け方を決める

次に、処分するもの・しないものの仕分け方を決めます。高齢の親にとって、ものを処分するかどうか判断するのは負担になりますが、だからといって家族が勝手に決めてはいけません。親の価値観を尊重しながら、手放すものの基準を設けておきましょう。たとえば、1年以上使っていない場合は処分するといった具体的なルールを決めることが重要です。

必要、不要、保留のボックスを作っておいて仕分けるなどし、簡単に意思決定ができるよう促しましょう。

段ボール箱と女性

[ 3 ] 不要なものの処分方法を把握する

不用品と判断したものの処分方法も、あらかじめ調べておきましょう。まだ使えるものと、使えないものとで処分の方法は異なります。使えるものは、リサイクルショップに出したり人に譲ったりできますし、使えないものは自治体の規則に従って廃棄する必要があります。円滑に作業が進むよう、ごみ収集日や粗大ごみの出し方などを確認しておきましょう。

親が迷っていて時間がかかるからといって、親やほかの家族のものを勝手に譲ったり、処分はしないようにしましょう。信頼関係がなくなり、親が片付けに対して不信感を抱きかねません。あくまで親の気持ちを尊重し、コミュニケーションを取りながら進めていくことが大切です。

[ 4 ] 片付ける

親の家に子ども部屋があり、まだ荷物が残っている人は、まずその部屋から片付けを始めましょう。自らの部屋の片付けから始めることで、親への説得力が増すでしょう。

逆に、旅行のお土産や亡くなったパートナーの形見の品など、思い出のものが詰まった部屋から始めると仕分けに時間がかかってしまいます。なるべく思い入れの少ない場所から片付け、取りかかるハードルを下げることをおすすめします。また、仕分けたものが散らからないように一時的な保管場所を用意しておくと、順調に作業が進みますよ。

[ 5 ] 掃除する

片付けや整理が終わった場所は、掃除をしましょう。しまい込んでいたものを取り出した後には、ごみやほこりがたまっているものです。また、きれいにすることで、「この状態をキープしよう」というモチベーションにもつながります。ちなみに、掃除は「奥から手前、上から下」の方向に向かって行うのが基本です。衛生面にも気を配り、快適な部屋を作りましょう。


片付け業者への依頼もおすすめ

「実家から離れて暮らしており、頻繁に帰れない」「親だけでは体力的に片付けをすることが難しい」といった場合は、片付けの専門業者に相談し、依頼しましょう。ここでは、片付け業者に依頼するメリットや手順をご紹介します。
 

片付け業者に依頼するメリット

片付け業者はプロなので、効率よく作業が進んで時間短縮になります。なかなか時間が取れない人や、急ぎで片付けをしたい人におすすめです。また、プランによっては不用品の回収や清掃、庭の手入れまで行ってくれる場合もあるので、負担を大きく減らせますよ。

片付け業者が作業している様子

片付け業者の選び方

まずは、インターネットや広告などを利用して、片付け業者をいくつかピックアップしましょう。複数の業者から見積もりを取ることで、比較し検討することができます。

比較する際のポイントは、高齢者の対応に慣れているか、また丁寧に接してくれるかどうかです。親の暮らしに密接に関わることなので、安心して任せられる会社を選びましょう。

段ボールに衣類を入れて運ぶ高齢女性

親の家の片付けはなるべく早めに

親の家を片付けなければと思いながら、つい先延ばしにしている人は多いかもしれません。ですが、さらなる加齢や身体機能の低下、病気などによって、急に住まいの見直しを迫られることもあります。そうしたときのためにも、前もって家を片付けておくことは大切です。

また、片付けの目的は、親が安全かつ快適に生活できる住まい環境作りであることも忘れないようにしましょう。よって、最も尊重すべきなのは親の意向です。強い口調で指示したり、注意したりせず、対等なコミュニケーションを心がけて一緒に片付けを進めていきましょう。

また、片付けのほかに親の生活が心配な場合は、見守りサポートを利用するのもおすすめです。特に、親と離れて暮らしており、頻繁に訪問することができない場合は一度相談してみるとよいかもしれません。

見守りサポートのサービスには、担当者が直接訪問するタイプ、センサーで安否確認するタイプなど、いろいろな種類があります。親の健康状態や希望するライフスタイルに合わせて、適したサービスを選ぶとよいでしょう。上手に利用して、親の暮らしをサポートしてあげてくださいね。

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三井不動産株式会社 ケアデザイン室

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