高齢者が不動産取引を行う際の注意点は?売却・購入時にトラブルを防ぐコツも解説

高齢者の不動産取引は、今後日本で増えていく可能性が高いですが、老後の資金確保や住み替えができるなどのメリットがある一方、注意点もあります。この記事では不動産売買を行うメリットや注意点などについて詳しく解説します。

目次
  1. 増加する高齢者の不動産取引
  2. 高齢者が不動産取引を行うメリット
  3. 高齢者が不動産取引を行う際の注意点
  4. 意思能力が低下している場合は成年後見制度を利用しよう
  5. 高齢者の不動産取引は不動産会社に相談しよう
記事カテゴリ 相続 シニア
2023.10.11

増加する高齢者の不動産取引

昨今、日本の総人口は減少していますが、高齢者の人口は増加しています。2022年9月時点では、高齢者の占める割合は総人口の29.1%と、前年2021年の28.8%から0.3%上昇し、過去最高になりました。これは世界でも最も高い割合です。国における高齢化の進行具合を示す言葉として「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」の3種類が挙げられます。高齢化社会とは、65歳以上の人口が総人口の7%を超えることをいい、高齢社会とは総人口の14%を、超高齢社会とは総人口の21%を超えることをいいます。その言葉の定義からすると、日本は現在超高齢社会であるといえます。

高齢化に伴う社会の基準
・高齢化社会:65歳以上の人口が総人口の7%を超えること
・高齢社会:65歳以上の人口が総人口の14%を超えること
・超高齢社会:65歳以上の人口が総人口の21%を超えること

平均寿命は現在も上がっており、男性81.47歳、女性87.57歳となっています。そのため、老後の資金に充てるといった理由で今後は所有する家を売却して資金を得る、生活のしやすい家に住み替えるなど、高齢者の不動産取引がさらに増える可能性が高いでしょう。

また、2021年時点での65歳以上の住宅所有状況は、持ち家(一戸建て)が75.6%、持ち家(分譲マンション等の集合住宅)が11.8%となっています。このように高齢者が土地を多く所有していることからも、高齢者の不動産取引が増加することは予想できます。

高齢者が不動産取引を行うことには、メリットがありますが注意したいポイントもあります。この記事では不動産取引を検討している高齢者の方や、その家族に向けて、不動産取引を行うメリットや注意点などを解説します。

三井のリハウス「シニアデザイン」では高齢者の方を対象とした不動産取引のサポートを行っております。お気軽にお問い合わせください。

不動産の相談をする老夫婦

高齢者が不動産取引を行うメリット

高齢者が行う主な不動産取引は「不動産売却」と「不動産購入」の主に2つです。ここでは、高齢者が不動産取引を行うメリットをいくつかご紹介します。

老後の資金が入手できる

所有している不動産を売却することで、老後の資金を確保できます。活用していない空き家や、空き地は、固定資産税や、場所によっては都市計画税といった税金、管理費などの出費がかかるばかりです。そのため、もう住んでおらず、活用の予定がない場合は早めの売却をおすすめします。特に立地がよい物件、家の面積が広い物件は評価が高く、納税額も高くなりやすいため、保持しているだけだと負担が大きいでしょう。持ち家を売却し、現金を得ることで、老後の生活費に充てることが可能です。

相続がしやすくなる

不動産は物理的に分割できないため、相続の際の分割が難しくなりがちですが、売却すると不動産を現金化できるため、相続がしやすくなります。相続人が1人の場合は、不動産を売却せずにそのまま相続するケースもありますが、複数人いる場合はスムーズに相続を行うために売却して現金化するとよいでしょう。現金化することで、相続人同士で平等に分けることができ、トラブルが起こりにくくなります。

老後の生活に適した物件に住み替えられる

不動産を売却し、得られた資金で、老後の生活に適した物件に住み替えることができます。高齢になると、若い頃に比べて体力が低下したり、体を動かしにくくなったりすることがあり、住み慣れた家でも不便だと感じることが生まれるかもしれません。そのため、駅から徒歩圏内の物件や、近くにスーパーや病院がある物件に住み替えることで生活しやすくなることが期待できます。将来、起こり得る介護を見据えて、高齢者住宅へ住み替えるのもよいでしょう。また、子ども夫婦や親戚が近くに住んでいると、何か問題が起こったときにはすぐに来てもらうことができて安心です。孫がいる場合には、お世話をすることもできるため、暮らしの充実につながる場合もあります。

老人向け住宅

高齢者が不動産取引を行う際の注意点

高齢者が不動産取引をする場合、若い頃に取引するときとは異なる注意点があります。

賃貸物件に入居しにくい

高齢者の場合、不動産を売却して得られた資金で賃貸物件に入居しようとしても、審査に通りにくい傾向があります。これは、若い世代に比べて安定的な収入が期待できないことや、1人で入居となれば、孤独死のリスクがあるためです。

ただし、シニア世代が入居しやすい賃貸物件もあります。三井のリハウス「シニアデザイン」ではシニア向け賃貸住宅についてのご相談や、物件紹介を行っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

住宅ローンが組みにくい

長年住んだ自宅を処分し、コンパクトな家に住み替えようとしても、高齢であると住宅ローンが組めない場合があります。なぜなら金融機関は、借入時や完済時の年齢における制限を設けていることが多いためです。ただし、最近では年齢制限を引き上げる金融機関が増えたり、高齢者向けの住宅ローンが登場したりしています。「シニアデザイン」ではシニア向けのローンを紹介するサービスも行っていますので、ぜひお気軽にご利用ください。

また、高齢者を対象とした所有の不動産を担保に融資を受けられる「リバースモーゲージ」という制度があります。毎月の支払いは利息のみで、融資を受けた所有者が亡くなった際に、不動産を売却して得られた資金で借入金を完済します。リバースモーゲージのメリットや注意点をご紹介しておりますので、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

悩む老人

意思能力が低下していると取引できない

不動産の所有者が高齢になり、認知症によって意思能力や判断能力が低下している場合、不動産取引はできません。たとえ不動産売買契約を結んでも、意思能力を持っていなかったと判断された場合はその契約は無効になります。意思能力の低下が見受けられる高齢者が誤って不動産取引を行ってしまった場合、認知症の進行具合によっては契約解除できるケースがあるため、確認してみるとよいでしょう。認知症の症状がある場合でも、意思能力があると判断された場合は、通常通り不動産取引ができることもあります。

意思能力が低下している場合は成年後見制度を利用しよう

先述の通り、意思能力が低下していると判断された場合は不動産取引を行えません。もしも家族がそういう状態になってしまった場合には、成年後見制度を利用するとよいでしょう。成年後見制度とは、認知症や知的障害などの影響で意思能力が低下している人を保護する制度です。家族や親戚などが後見人となり、本人に代わって財産の管理や医療・介護の契約などを行うことで、間違って購入したり、契約したりするトラブルを防ぎます。

ただし、後見人は誰でもなれるわけではありません。後見人になるのは最も適切な人として家庭裁判所に選ばれた人です。最近では社会福祉士や税理士、行政書士、司法書士などが任意後見人として後見業務を行うといった方法もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

三井のリハウス シニアデザインでは、成年後見制度を利用するためのコンサルティングや、手続きのサポートを行っています。ほかにも認知症になる前の対策として有効な家族信託についても同様のサポートを行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

老人の手を握る様子

高齢者の不動産取引は不動産会社に相談しよう

ここまで高齢者が不動産取引を行うことのメリットや注意点などを解説してきました。不動産を売却することでまとまった資金を得られたり、家を住み替えることで生活しやすくなったりするなど、不動産取引を適切に行えば老後の生活は楽になるでしょう。一方で、若者とは異なる注意点もあるため、特に認知症やそのほかの病気のリスクが高くなる後期高齢者の方は注意が必要です。

三井のリハウスシニアデザインでは「シニアおまかせ売却パック」を提供しております。家財整理や不用品回収、引越しなど自宅売却までの手続きをワンストップでサポートいたしますので、不動産売却における面倒な手間が省けます。売却をご検討中の方はぜひお気軽にお問い合わせください。この記事でご紹介した内容を参考に、よりよい老後を過ごしてくださいね。

三井不動産株式会社 ケアデザイン室

三井不動産グループが培ってきた住まいと不動産に関する総合力・専門性を生かし、豊かな老後を過ごすためのお手伝いをするとともに、福祉の専門職が豊富な経験に基づいたコンサルティングを通して高齢期のさまざまなお悩みにお応えしています。